『松阪競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:11月11日


 松阪競輪開設58周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪」は11日に全日程を終了。荒井崇博、平原康多、浅井康太らの強豪によって行われた注目の決勝戦を制したのは岩見潤。地元連係が見事に実り、自身通算三度目、地元では平成13年、開設51周年記念後節以来となる記念制覇を成し遂げた。

決勝戦 レース経過
 スタートでゆっくりと平原康多が踏み上げる。飯嶋則之-兵藤一也が続き、関東ラインが前団。荒井崇博-濱田浩司の即席コンビが中団で、浅井康太-岩見潤-萩原操の地元トリオに藤原誠も加わり、結束固い中部ラインが後攻めで周回が進んでいく。
  赤板前に浅井が上昇を開始すると、これを見た荒井も合わせて踏み込んでいく。平原を荒井が押さえ込んだところで浅井が発進。中部4人がきれいに出切って、荒井が中団をキープ。平原は車間を切った七番手で巻き返すチャンスを窺う。最終ホームから全開でフカす浅井に対し、平原は最終二角から遅いかかる。踏み出したスピードは悪くなかったが、荒井がこれに合わせて仕掛けた為に、最終バックは平原と荒井で併走しながらのまくり合いとなり、両者とも三番手の萩原のアウトまでで一杯となる。四角まで無風の岩見が一気に踏み出すと、大ギアで迫る萩原の差し脚を堪えて7年ぶりの地元記念制覇を達成。萩原が2着に入り、地元ワンツーフィニッシュ。3着には2センタードン尻から内、外と俊敏なコース取りで直線伸びた兵藤が入った。


岩見潤選手
岩見潤選手

 浅井康太が主導権をにぎると、岩見潤が四角ハコの絶好の展開を生かし、直線で鋭く追い込んで快勝。岩見は検車場に引き上げると、嗚咽をもらしながら号泣し、その喜びに浸っていた。
  「客席に知ってる顔が大勢いたし、仲間達がみんなで出迎えてくれた。その姿を見たらもうダメでね、思わず泣いてしまった。優勝自体が2年前の四日市ナイター以来。それだけに、4日制の記念を取ることはもうできないと思っていたんで本当に嬉しい」
  今回は浅井康太、萩原操の両者がおり、さらに4番手を藤原誠が固めるなど、地元勢にとっては磐石のV態勢が敷かれていた。その中で見事に地元の意地を見せた。
  「浅井が連日あれだけ頑張ってたし、操(萩原)さんの昨日のレースもすごかった。それだけに今回は安心感があったから、いつものような地元を走るときのカチカチさが無かった。それに操さんが番手を回してくれた気持ちに絶対に応えたかった」
  昨年、地元で開催されたふるさとダービーでは、無念の失格欠場となった。これがずっと胸のつかえになっていたという。
  「ふるさとに向けてずっと練習していたけど、ああいったかたちになった。あの時はショックで半年以上立ち直れなかったんです。今回で気持ちが晴れましたよ。この先いつまで上で戦えるかは分からないけど、この優勝が弾みになったのは間違いないです」

 2着の萩原操は地元三番手を固め、ゴール寸前あわやのところまで迫った。
「浅井はよう踏んでいたね。まだ行かなくて良いところから踏んでいて、バックでのカカリがもの凄かったから全くタレる気がしなかった。もっと早くタレていれば俺たちも前に踏めたけど、あれじゃ踏めないよ。こんなオッサンが勝つよりも、岩見が勝ったほうがええやろ。チャンスをつかんで欲しいから番手を任せました」

 浅井康太は連日の積極策が際立っていた。決勝でも別線の機動型を封じる圧巻の走りで岩見の優勝に貢献した。
  「打鐘のところで、荒井(崇博)さんが斬ってくれるかなと思って、少し様子をみました。そうしたら斬ってくれたし、抜群の行きごろになりましたね。ただ出切ってからは、ずっと踏みっぱなしだったんでえらいきつかった。でも力は出し切れたし今日は納得です」

 後方七番手に置かれた平原康多はすかさず巻き返したが、中団にいた荒井崇博に合わされてしまい万事休す。
  「最終ホームで荒井さんが立て直していなかったから早めに仕掛けました。そうしたら(荒井と)合ってしまった。今日は前受けだったし、組み立て的にもああなってしまったら仕方がないです」

 平原ライン三番手の兵藤一也は、バック最後方に置かれる苦しい展開となったが、俊敏に立ち回り3着を確保した。
  「まくり追い込みでも良かったんだろうけど、今日は早めに巻き返してくれたわけだし、平原は頑張ってたよ。最後は内に行こうとしたけど、ごちゃついていたし少し待ってから外コースを踏みました。良く伸びたし、俺自身のデキは良いです」

 荒井崇博は「平原にうまく合わせられたけど、岩見さんがフラフラしていたし、外にいた平原をどかしながら踏んだからまくりきれなかった。カカっているんだか、カカっていないんだか、良く分からなかった」とサバサバしていた。


ゴール





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