『松阪競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:11月20日
 松阪競輪開設62周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪」は11月20日に、4日間の熱戦に幕を下ろした。地元勢から唯一優出し、シリーズ完全優勝を狙った浅井康太に人気が集まった決勝戦。浅井は最終ホーム8番手に置かれるピンチでも動じることはなかった。気温が下がり、風も吹くコンディションでも脅威の10秒8をたたき出し、4回転の威力をみせつけた。
決勝戦 レース経過
 号砲と同時に浅井康太が飛び出して正攻法に構える。浅井には濱口高彰が付けて中部コンビが前受け、中団には村上義弘-市田佳寿浩-合志正臣、後閑信一-中村淳が入り、桐山敬太郎-勝瀬卓也が後攻めの形で隊列は落ち着く。
 赤板前の4コーナーから桐山が上昇。一旦、村上の横で止まってから踏み上げ、打鐘で先頭に立つ。その上を後閑が叩いて出るが、さらに村上が一気にスパート。最終ホーム手前から主導権を握る。後閑が4番手を確保、桐山は離れた6番手、立ち遅れた浅井は8番手に置かれてしまう。最終バックも一列棒状の態勢で通過。4番手からまくった後閑は1車しか進まない。このまま前で決まるかと思われたが、バックから力強く踏み込んだ浅井が急追。直線でイエローライン付近を鮮やかに駆け抜け、地元で完全優勝を飾った。番手絶好の市田は2着、浅井を懸命に追った濱口が3着に入った。


浅井康太選手
浅井康太選手
 どんなコンディション、どんな展開も浅井康太の敵ではなかった。ドンピシャのタイミングで逃げを打った村上義弘ラインははるか前方。8番手に置かれた浅井だが、そこからの一撃は鮮やかだった。レース後は「遠かったですね」と苦笑いするが、2日目から使った4回転のギアの威力は絶大。見事に完全優勝を飾った。
 「村上さんが4コーナーからすんなりの先行でしたからね。桐山さんが仕掛けるかなと思ったけど、このままでは遅くなると思って無理やり行った。届かんと思ったけど、最後伸びたんで。4回転のおかげですね。よかったです」
 この優勝で賞金ランクは9位に躍り出た。「僅差ですね」と前置きをしながらも、競輪祭へ向けて大きな弾みをつけた。「G1を獲ってグランプリに出たいんで。狙っていきます」。4回転という新たな武器を手に入れた浅井。競輪祭でGP出場権争いを面白くするのは間違いなく、この男になるだろう。

 4角番手の絶好展開。それでも優勝の2文字はゴール寸前で市田佳寿浩の手からこぼれ落ちた。
 「勝った浅井ですよね。強かったのひと言。僕も調子が上がってきたし、この状態を維持していければ今度は村上さんに前を任せてもらえると思う。そうなれるように頑張っていきたいです。まあ、今日は浅井が強かったですね」

 準決勝に続き浅井を好追した濱口高彰だが、わずかに届かず3着まで。
 「作戦はサラ脚でどの位置にいれるか。8番手は最悪ではなかったし、内に詰まるのだけが最悪だと思ってました。浅井が届いてくれてよかったです。僕はしょうがないですね」

 近畿ラインを追走した合志正臣は4着。
 「内じゃなくて、我慢して外でしたね。外で思い切り踏めばよかった。でも後閑さんが来てかぶってたんでね」

 主導権を握った村上義弘は「浅井が強かったですね。タイミングもよかったけど、3、4コーナーの風で止まってしまった」とレースを振り返ると、「競輪祭が最後のチャンスなんで」とGPをかけた最後の戦いに視線を向けた。

 「今日は叩いて先行しようと思ったけど」と話す後閑信一は打鐘で桐山を叩くのに脚を使った。「桐山がけっこう踏んでたので。あそこが誤算でした」と予想外の流れを悔やんだ。


ゴール
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