『被災地支援競輪松阪競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:3月25日
 松阪競輪場を舞台に、平成28年熊本地震被災地支援・開設66周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」が3月25日に開幕した。オープニングからスピードレースが展開された。メーンの特選3個レースは坂口晃輔、古性優作、浅井康太が勝ち名乗り。26日の2日目は優秀「松阪牛賞」をメーンに、二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 開催を通して本場ではたくさんのファンサービス、イベントが予定されております。2日目は「宇宙戦隊キュウレンジャー」によるヒーローショー(1回目は12:10頃~、2回目は14:15頃~、メインステージにて)や、射的やスマートボールが楽しめる縁日コーナー(イベント広場にて)などのイベントを予定しています。26日の2日目も「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」をぜひ本場でお楽しみください。
<1R>
 桐山敬太郎が斬ったところを、すかさず日当泰之が打鐘の3コーナーで叩いて先制。北日本勢を受けた桐山は、2コーナーからまくるも大森慶一に止められて不発。これで、番手絶好の大森が抜け出すかに思われた。だが、7番手で脚をタメていた坂本健太郎が、3コーナーからまくって白星をさらった。
 「日当君が落ち着いて駆けていましたね。ホームで詰まっていたので。ホントはそこで仕掛けていけばよかったけど、普段行っていないぶん行けなかった。ただ、桐山君が中団で仕掛けてさえくれればそこに乗っていけると思ったし、不発でも外を踏んでいけば何とかなると思いました」
 大森慶一は直線で日当を交わして2着。
 「桐山さんに中団でフタをされたら厄介だったけど、斬ってくれたので想定通りの展開になりました。日当君が落ち着いて駆けてくれたし、頑張ってくれた。桐山さんがもっと良いスピードで来ると思ったけど、ジワジワ来たのでうまく止められました」
 先行した日当泰之が、大森の援護を受けて3着に粘った。
 「大森さんには前回迷惑をかけていたので、何とか頑張りたいと思っていました。今日のメンバーだったら、すんなり駆けさせてもらえる展開もあると思ったし。出切ってからは落ち着いて踏めました。しっかり力を出し切れたし良かったです」

<2R>
大塚英伸選手
大塚英伸選手
 後ろ攻めの水谷将司が赤板の1センターで坂本周輝を押さえて主導権を握る。すかさず上野真吾が中団に追い上げて、坂本は車を引いて7番手。打鐘、最終ホームと一本棒で通過する。好位を確保した上野は2コーナーから仕掛けて前団をまくり切る。続いた大塚英伸(写真)が追い込んで1着。しかし、上野が5着で勝ち上がりを逃がしただけに表情は険しい。
 「焦っちゃいましたね。ゴールした後に抜きすぎちゃったなと思いました。余裕があったら残さないと。残しようがない感じではなかったので。(ゴール後に篠田宗克も落車しており)さすがに喜べないですね。反省点は多いです」
 後方に置かれた坂本は3コーナーから仕掛ける。すると、これに乗った小橋秀幸が直線で鋭く伸びて2着に食い込んだ。
 「俺らが先行だったら、ダメだったかもしれないですね。水谷君も上野にまくられてますし。サラ脚でまくってくれたのでよかったです。ラインで勝ち上がっていますしね。坂本君は落ち着いていましたよ。(怪我も)大丈夫です」

<3R>
 打鐘前でハナに立った藤岡隆治が、片折亮太を出させずに主導権をキープ。脚を溜めていた伊藤信は、3コーナーからまくるも車の出は一息。番手の北村信明は別線を動きを確認すると、ゴール前で抜け出した。
 「藤岡さんのおかげです。片折君の初手の位置次第では先行もあると言っていたので。鐘からあんなに踏んでもらって、先行してもらって。あとは伊藤さんがいつ飛んでくるのかと思って警戒していました。2センターで外から来る気配があったので、慌てて踏んでしまいました。前を残せなかったのは自分の技量不足です」
 片折と連結を外した金子真也は、最終ホームで渡辺満の後位にスイッチ。2センターから伊藤の仕掛けに合わせて踏んで2着に食い込んだ。
 「前が頑張ってくれたおかげです。自分は切り替えてからも余裕があったし、うまくコースも突けました」
 渡辺十夢は目標が不発も、中のコースを伸びて3着に入った。
 「伊藤君がキメられて、迎え入れる形になったけど。その後にしっかり仕掛けてくれたので、迎え入れて良かったです。今日は脚というよりかは、判断が良かった」

<4R>
 高比良豪が斬った上を、北野良栄が打鐘で押さえて先行策。前受けから7番手に下げた土屋壮登は、仕掛けるタイミングを見極めて最終ホームから反撃を開始。逃げる北野を最終バックで捕らえると、続いた磯田旭の追撃も振り切った。
 「仕掛けるタイミングはあそこしかなかったですね。緩めていた感じはありました。結果は良かったです。でも、あの展開にしてはダメ。強い人が駆けていたら、一本棒になってしまうので。感じは良いと思います。役割が回ってきたら、行くときは行くし。何でもやります」
 松崎貴久は関貴之が離れているのを確認すると、北野を3番手に迎え入れる。2センターからタテに踏んで3着を確保した。
 「相手が強かったですね。北野が駆けて悪くなかったけど、飛び付ける状態ではなかったです。(まくられてからは)北野を入れて。勝ち上がり権利が4着までなので、2人だけでもと思って」

<5R>
佐藤一伸選手
佐藤一伸選手
 谷口明正が打鐘前に誘導を降ろして先制。中部勢を出させた佐藤一伸(写真)は、1コーナーから巻き返してきた鈴木庸之を張りながら踏み上げる。そのまま舛井幹雄のけん制も乗り越えて1着を手にした。
 「たまたま仕掛けたところで(鈴木と)仕掛けが合いました。鈴木さんが来たのは分かったし、前年度の覇者で自分よりも強いので。ヨコに振ってしっかりと止めてから踏んでいけました。何とかその後のけん制も乗り越えられて良かったです」
 渡邉正光が、佐藤に続いて2着。福島ワンツー決着となった。
 「佐藤君が強かったです。ゴールまで流れていたし、抜ける気はしなかったです。作戦通りに中団が取れたし、仕掛けるタイミングもバッチリでした。普段から練習も一緒にしている中で、頼もしい同級生ですね」
 目標が不発に終わった江連和洋だが、外のコースを伸びて3着に入る。
 「鈴木君は前年度の覇者だし、強いので。もう一度盛り返してくれると思って見捨てられずにギリギリまで待ちました。その分踏むのが遅れましたね」

<6R>
吉岡篤志選手
吉岡篤志選手
 大方の予想通り、藤井昭吾が打鐘で蒔田英彦を叩いて先行策に出る。蒔田が内に包まれて隊列が短くなると、8番手の戸田洋平は最終ホームからスパート。抵抗する藤井をバックで捕らえる。最後は吉岡篤志(写真)が直線で差し切った。
 「戸田君とはA級の時から一緒に走っているし、前々にいってくれますね。距離は長かったですけど、ホームでよくいってくれました。今日が誕生日なので、最後は早めに踏ませてもらいました。(戸田に誕生日の事は)伝えていないです。でも、戸田君が強かったです。付いていて余裕もなかったですね」
 ワンツー決着に導いた戸田洋平は、息を整えながら口を開く。
 「出し切りました。僕にとっては距離が長いと思ったけど、隊列が短くなったし、緩んでいたので。でも、しんどいですね(笑)。今は追い込みだと思って走っています。今日のバックはマボロシです。(ワンツーを決めたが)タレているので、課題はありますね。今後もしっかりタテを磨いて」

<7R>
 黒川茂高が赤板の2コーナーで前に出ると、別線からの巻き返しはなくペースで駆ける。ホーム、バックと一本棒で通過すると、最後は絶好の展開となった前田拓也がゴール前で差し切った。
 「別線のまくりは来なかったし、黒川君も良い感じで駆けてくれました。自分は付いていくだけだったけど、抜けているし上出来ですね。自分の調子も良いと思います」
 黒川茂高は別線を完封する力強い先行を見せた。
 「想定通りの展開になって、めっちゃペースで踏めました。周回中は重かったけど、踏み上げている時は興奮して気にならなかった。2コーナーから思い切り踏んでいってまくられていないし、しっかり力を出し切る事ができて良かったです」
 中団の山田庸平は2センターから仕掛けるも、3着までが精いっぱい。レース後は反省の弁に終始した。
 「中団を取るまでは良かった。ただ、行けるタイミングは何度もあったのに見てしまい失敗。気持ちの問題です。警戒される立場で変にプレッシャーを感じてしまい、小さいレースをしてしまいました」

<8R>
西村光太選手
西村光太選手
 不破将登が打鐘で前に出ると、巻き返してきた日野博幸を突っ張って主導権を譲らない。連結を外して9番手となった内村泰三が最終2センターから自力に転じるも、中団までが精いっぱい。車間を切っていた番手の西村光太(写真)は冷静に別線の動きを見極めると、直線で追い込んだ。
 「不破君を残したかったですね。内村さんが見えたし、城君も生き返ってくるかもしれないと思っていたら、内から(小林覚)がきて。あそこまで来て、全員がおじゃんになったらと思って(前に踏んだ)。技量があるないっていうより、今回は地元なんで自分、自分と決めています。4日間、どんな内容でも勝ち上がりたいです」
 萩原操が続いて地元ワンツー決着。検車場に引き揚げてくると、安堵の表情を浮かべた。
 「とりあえず良かった。何とか一つでも勝ち上がりたい。疲れも大丈夫です。(声援も力になった?)そうだね」
 不破将登は直線で失速して5着。しかし、地元勢を勝ち上がりに導く気合いの先行策を見せた。
 「長い距離を苦にはしていないので。地元が後ろに付いていたし、どこからでもいこうと思っていました。ただ、ホームでペースに入れすぎましたね。バックが向かい風だったので、もっと駆けておけば何とかなったかな」

<9R>
 後ろ攻めの清水剛志が、赤板の2コーナーで押さえて前に出る。しかし、取鳥雄吾がカマして最終ホームで主導権を奪取。番手の池田憲昭は後方からまくってきた岸澤賢太を止めると、ゴール前で追い込んで節目の200勝を達成した。
 「取鳥が警戒をされていてどうなるかと思ったけど、あいつなら何とかしてくれると思って任せていました。もう少し取鳥が内圏線を踏んでいてくれたら、自分も内を締めながら踏んでワンツーを決められたけど。内からも来ていたので、早めに踏ませてもらった。前回からギアを変えて自転車と合っているし、良くなっている。200勝を決められて良かったです」
 武藤龍生は目標の岸澤が不発に終わるも、直線で追い込んで2着に入る。
 「岸澤さんが吸い込まれる感じで仕掛けていって、その勢いで早めに踏んでしまいました。でも、あそこまで岸澤さんが行ってくれたので、自分にもチャンスがきました」
 取鳥雄吾はゴール寸前で武藤に交わされて3着。
 「本当はもっと早めに仕掛けたかったけど、別線も行く気だったので遅くなってしまいました。疲れが残っているのか、体がフワフワしますね。3着には残っているけど、1周駆けて後ろに抜かれているので。その辺を修正していきたいです」

<10R>
三谷竜生選手
三谷竜生選手
 岩本俊介が早めに動いて前に出る。続いた三谷竜生が中団で併走すると、岩本は誘導を降ろして先行策。苦しい展開となった三谷だったが、最終1センターから踏み上げる。成清貴之のブロックも乗り越えて前団をひと飲み。坂口晃輔は三谷にしっかり続くと、ゴール寸前で交わした。
 「内側からもってこられるんじゃないかと思って、しっかり追走して。3コーナーで成清さんに当たられる前に、内に差し込んで。あとは、内に成清さんが残っていたので、外だけ見て。外併走からいけているし、竜生は強いですね。抜いたのは初めてだと思います」
 三谷竜生(写真)は苦しい展開から、見事ラインを上位独占に導いた。
 「外併走はしょうがないですね。タイミングがズレていきにくかったし、前が踏んでてきつかったです。何とかラインで決まって良かったですね。状態自体は良いです。(中3日だが)疲れも大丈夫」
 3着に流れ込んだ三宅達也も、三谷の強さを絶賛する。
 「何もしていないです。恵まれました。付けて良かったですね。竜生は強い。外併走からいっているし。(状態は)悪くないです」

<11R>
古性優作選手
古性優作選手
 青板の1センターから動いた中井太祐が、赤板前でハナに立つ。正攻法から引いた吉田拓矢は1センターから巻き返すと、抵抗する中井を強引に叩き打鐘の4コーナーで主導権を奪う。しかし、武田豊樹が古性優作(写真)に張られて続けず。番手に嵌った中井は1コーナーからまくり出るが、吉田に合されて元の位置に戻る。これを見た古性は自らまくり上げると、逃げる吉田を直線で捕らえて混戦を制した。
 「吉田君が来たのは分かったけど、すごいスピードで。外を張って武田さんを止めたけど、止め方が下手でした。中井さんも2コーナーで踏んでくれたけど、武田さんも外から来ていたのは分かって、このままでは被ってしまうと思ったので踏ませてもらいました。難しい判断でした」
 武田が古性に張られると、その後ろの佐藤慎太郎は5番手の松岡貴久と併走。さらに古性後位にスイッチして2着に入った。
 「想定外の展開になってキツかったです。切り替えることができているし、動き自体は良い。今回から使っている新しいフレームの感触も悪くない」
 援護を失った吉田拓矢は古性にまくられるも、3着に踏みとどまった。
 「中井さんが行くのが早かったので、自分のタイミングで、なるべく前が見づらいところでいきました。ラインで出切れていれば、ラインで決めることはできたと思うけど…。古性さんにまくられても、何とか自分でカバーはできました」

<12R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 後ろ攻めから深谷知広が上昇。中団の近藤隆司にフタをしてから、赤板の2コーナーで主導権を握る。番手の浅井康太(写真)は、軽快に風を切る深谷を車間を切ってアシスト。最終ホームから仕掛けてきた近藤をけん制すると、ゴール前できっちり差し切った。
 「ピッタリ付いてあたるんじゃなくて、わざと空けて。もっていき方を変えました。深谷があそこからいっているので(抜けた)。深谷のおかげです。(優秀で)いいメンバーと走ってしっかり戻していけるように。しっかり練習もして、5月(ダービー)に向けて」
 力強い先行策を見せた深谷知広が2着。持ち味を存分に発揮した。
 「今日はすんなりいかせてもらえたので。でも、(アクシデントがあって)仮車輪だったので、今日のは参考外です。重かったけど、何とかしのげました。(優秀は)地元が後ろなので、しっかり負けないように」
 中近3番手を固めた東口善朋も、しっかり続いて3着を確保。明日の優秀戦へ駒を進めた。
 「今日は付いていくだけだったし、付いていけてよかったです。とりあえず食われないようにと。深谷のおかげですね。良い先行でした。自分の置かれた役割を果たして、明日も頑張ります」
 最終ホームから反撃に出た近藤隆司だったが、前団をまくれず9着に沈んだ。
 「阿竹(智史)さんが粘るかなとか思っていて。でも、他人をあてにしているようではダメですね。思い切りいったけど、スピードが違いました。でも、感じは悪くないと思います」
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