『被災地支援競輪松阪競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:3月27日
 松阪競輪場を舞台に、平成28年熊本地震被災地支援・開設66周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」は佳境の3日目が行われた。準決勝3個レースでは、深谷知広、古性優作、地元の浅井康太が勝ち名乗り。他にも吉田拓矢、坂口晃輔らが優出を決めた。明日、28日の決勝戦でシリーズの頂点が決まる。また9レースでは本社杯「109回生ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)」が一発勝負で争われる。こちらも注目したい。
 開催を通して本場ではたくさんのファンサービス、イベントが予定されております。最終日は、開門時から先着350名様にひとりじめ【せんべえ】の無料配布や、人気・話題の屋台グルメの出店などのイベントを予定しております。最終日も、「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」をぜひ本場でお楽しみください。
<10R>
深谷知広選手
深谷知広選手
濱田浩司選手
濱田浩司選手
 後ろ攻めの中井太祐が、前受けの深谷知広(写真)を赤板で押さえて前に出る。続いた菊地圭尚が中団で、単騎の江連和洋も北日本勢に続く。深谷を警戒していた中井は徐々にピッチを上げると、隊列を一本棒にして最終ホームを通過。厳しいマークにあった深谷は、最終バック手前からようやく反撃を開始。目の覚めるようなスピードで前団に迫ると、濱田浩司のけん制も乗り越えて圧勝した。
 「中井君を見過ぎてしまいました。昨日ほど余裕がなかったので、仕掛けが遅れてしまいました。風はそんなに気にならなかったし、周回に影響があるほどでもないです。でも、(状態は)前回よりはいいので、しっかりダウンして明日に備えます」
 坂口晃輔は深谷に踏み出しで口が空くも、懸命に追いかけて2着。四日市に続き、地元記念で連続優出を決めた。
 「深谷君は見られていたし、いきにくかったと思います。スレスレに付きすぎて、態勢を崩したところで『あっ』と思ったらいってしまいました。何とかいけたけど、付いていけていないです。もう自力でしたね」
 深谷を止められなかった濱田浩司(写真)は、2センターからタテに踏んで3着に入った。
 「中井君が頑張ってくれたおかげです。(深谷がきたのは)気づいたんですけど、スピードが違いましたね。(けん制したが)意味がなかった。何もできなかったです。車も全然進まなかったので、ちょっと調整します」
 果敢に先行した中井太祐だが、最後は馬群に飲まれた。
 「ジャンくらいから、(深谷が)どこでくるかなって見ていて。焦ってしまった感じはありましたね。風も強かったし、前に出たのが赤板からだったのでキツかったです。でも、今日のレースは今後に生きると思います」

<11R>
古性優作選手
古性優作選手
吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 赤板で前に出た吉田拓矢は、誘導との車間を空けて別線を警戒。4番手は続いた古性優作(写真)と、早坂秀悟で併走になる。吉田は3コーナーから踏み上げた古性に反応して先行態勢へ。古性は、すぐさま武田豊樹をキメて番手を奪取。そのまま好位をキープすると、ゴール前で抜け出した。
 「カマシに行こうとしたら、(吉田と)仕掛けが合ってしまって。いつもなら下げているところだけど、強気に攻めていきました。(追い上げてきた)武田さんが内に降りたのは分かっていたので、ワンテンポ踏むタイミングを遅らせました。それにしても吉田君は強かったです」
 援軍を失った吉田拓矢(写真)だが、懸命に踏み直しを効かせて2着に逃げ粘った。
 「(古性が見えて)踏もうと思ったけど、その時にはもう武田さんの横にいました。もう少し早めに踏んでいれば武田さんの位置も狙われることはなかったと思いますし、後ろに迷惑をかけました。カカりは悪くないけど、武田さんと決められなかったのは悔しいです」
 東口善朋は追い上げてきた武田にからまれながらも、凌いで3着。
 「ホームでバランスを崩したけど、うまく立て直すことができました。後ろに誰かいると思ったし、武田さんが来るかと思って構えていました。ゴール前では抜かれたと思ったけど、伸び勝てました。何とか凌げましたね」
 早坂秀悟は最終ホームから仕掛けるが、吉田に合されて不発。
 「古性がフタをしてきたけど、あの位置では引けないでしょ。引いたところで自分が不利になるだけなので。競りがもう少し長引いていれば、カマシが決まってていたかもしれないけど、仕掛けた時には古性が勝っていたし。仕掛け所を失敗しました」

<12R>
浅井康太選手
浅井康太選手
三宅達也選手
三宅達也選手
 地元の浅井康太(写真)が節目の300勝を決めた。レースは近藤隆司が赤板で前に出ると、巻き返してきた三谷竜生を突っ張って出させない。三谷は浅井に迎え入れられて4番手に降りる。最終ホームから仕掛けた阿竹智史に合わせて再度踏み上げるも、車は進まず。浅井は阿竹と被って三谷を追えない。しかし、松坂英司をすくって成清貴之に追い上げた阿竹と3番手で併走すると、3コーナーから空いたインを突いて追い込んだ。
 「三谷が(最終1センターから)仕掛けていったけど、阿竹さんがドッキングしてしまって。前に踏むしかなかったですね。あとは運です。あそこはなかなか空かない。もっていますね(笑)。(300勝は)お客さんの期待に応えられた回数だと思っています。(強くなるには)練習一本です。やり続けることが、300勝にもつながったと思います」
 三宅達也(写真)は3コーナーから浅井後位にスイッチ。そのまま続いて2着に入った。
 「(最終ホームでは)様子を見ながら、『阿竹がんばれ』と。でも、バリバリと音がして内にいくしかないと思って。阿竹が前々に踏んでくれたおかげです。気持ちが伝わりましたね」
 阿竹にすくわれた松坂英司は後方に車を下げるも、コースを見極めて直線を一気。3着に食い込んで決勝に進出した。
 「近藤君が頑張ってくれました。すくわれてしまって、近藤君や、成清さんには申し訳ないですね。(すくわれた後は)展開なので、脚は関係ないです。でも、状態としては立て直せているし、コースも見えているので悪くはないかな」
 三谷を突っ張るなど果敢に駆けた近藤隆司だったが、直線で失速して6着。
 「今日は阿竹さんが斬った上を、すかさずいくって作戦でした。(中団がもつれていたのは)見えていたけど、(インの浅井は)見えていなかったです。いっぱいになって外しただけです。もったいないことをしましたね。余裕のなさが、ラインをパンクさせてしまいました」

<最終日9R ルーキーチャンピオンレース>
太田竜馬選手
太田竜馬選手
竹内翼選手
竹内翼選手
 最終日の第9レースには109回生によるルーキーチャンピオンレースが一発勝負で行われる。
 中心となるのは太田竜馬(写真)だ。昨年のデビューから5カ月でS級に駆け上ると、今年の1月松山記念で記念を初優出。今やS級上位陣と肩を並べるまでに成長した。
 「(岐阜の欠場理由は)腰痛です。ここまでだいぶ空きましたね。ここまではいつも以上に練習をしてきました。これでアカンかったら、自分が弱かっただけ。1周くらいならもつと思うし、全力を出したい。(島川は)同県なので、優勝してくれてもいい。徳島勢から優勝者を出したいです」
 その太田の番手を回るのは島川将貴。2月松山から9連勝でS級レーサーの仲間入りを果たしたばかり。勢いに乗って大一番を制するか。
 「いつも通りやってきました。(練習で太田に離れることは)ないですね。明日も千切れないように。今回から新車に換えました。感じはこっちの方がいいです。セッティングも出ていますね。(前の自転車より)硬くしました。太田君が勝てるレースをしてくれれば、チャンスはある。(特進して)これで記念とかを走れるので、名前を売るチャンスだと思っている。(今後は)みんなが嫌がる選手になりたいです」
 太田に続いてS級に特進した竹内翼(写真)は、3月京王閣を無傷決勝など随所で存在をアピール。明日は全力投球を誓った。
 「(ビックの)裏開催でしたけど、京王閣は先行して無傷優出できたので自信になりました。(明日は)結果よりも、納得するレースをしたいです。どうにかして先行したいですね。ここがゴールではないし、今は年末のヤンググランプリに出ることが目標なので。酒井(拳蔵)君も、太田君も狙ってくると思うので、先行で自分の力を試したいです」
 大阪コンビも強力だ。前を走る酒井拳蔵は、A級1、2班戦で優勝8回と実力はS級にも匹敵する。持ち前のダッシュで強敵撃破を目論む。
 「(堀僚介とは)普段から一緒に練習をしています。ここまでは変わりなくきました。(明日は)競走の流れを見て、勝ちにこだわりたいです。松阪がデビューです。その時は3連勝しました。(検車場の)雰囲気で緊張していますけど、レースが始まれば大丈夫です」
 堀僚介が酒井の番手。現在、A級1、2班戦を6連勝中と良い流れで当所を迎えた。
 「調子は悪くないし、ここまで良い流れでこれましたね。拳蔵君が頑張ってくれれば、それに応えられるようにしたいです。(追い込みは)逃げよりかは好きですね。松阪は初めて走ります」
 池野健太は109回生の在校1位だけに、ポテンシャルは高い。大阪コンビとは連係せずに単騎で優勝を狙う。
 「大阪の後ろだと3番手になってしまうし、自分でやります。ある程度、位置取りもこだわって。今年に入ってから、状態は上がってます。練習もしっかりやってきて、調子も良いですね」
 小林令が東日本から唯一の参戦。ここは意地をみせたいところ。
 「単騎も、一発レースも初めてです。逆に伸びしろはありますね(笑)。2、3カ月くらいはルーキーチャンピオンを意識してやってきました。東の同期に『東の代表として頑張って』と、みんな応援してくれました。なるべく意地を見せられるようにしたいです。(見せ場は)作ります」
 瓜生崇智は、3月小松島で長欠から復帰。怪我の経過も良好そう。竹内の番手から一発を見舞うか。
 「徳島の後ろと迷ったけど仲の良い竹内君の後ろのにいきます。自分が一番弱いので、誰かの後ろに付きたいので。来る前に師匠(合志正臣)と作戦も考えてきました」
 佐々木豪もここに向けて、しっかり仕上げてきた様子だ。
 「結構きつめに調整をしてきました。明日は一人で走ります。しっかり落ち着いて。(徳島勢と一緒に練習は)まったくしていないですね。優勝を狙っていきます」
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