『松阪競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月27日

 松阪競輪開設68周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪」が1月24日~27日の日程で開催された。竹内雄作、吉田拓矢が激しく火花を散らした決勝戦を制したのは村上博幸。逃げる竹内マークの浅井康太と内に切り込んだ野田源一がからみながらゴールを目指す外をまくり気味に追い込んでシリーズ4連勝。一昨年12月の広島以来、通算7度目の記念優勝を飾った。

決勝戦 レース経過

 スタートはけん制が入ってから浅井康太が取る。竹内雄作-浅井-舛井幹雄の中部勢が前団を形成。以下隊列は、村上博幸-神田紘輔、野田源一、吉田拓矢-武田豊樹-大塚玲の並びで周回を重ねる。
 レースが動いたのは青板過ぎから。上昇した吉田が誘導員後位に収まると、後方に下げた竹内ら別線の動向をうかがう。警戒された竹内だったが、赤板の1センターから踏み込み、打鐘で主導権を握った。吉田は中部勢を出させて4番手で村上は7番手、単騎の野田が9番手で最終ホームを通過する。吉田は2コーナーから仕掛けるが、浅井のブロックもあって不発に。今度は最後方にいた野田が空いたインコースを一気に進んで竹内と浅井の中を割ったが、浅井に締め込まれてしまう。後方で脚を溜めていた村上は、2センターから大外に進路をとる。もつれた浅井らを横目に、直線で鋭く伸びてV。野田が浅井の抵抗を退けて2着。浅井は野田を阻んで失速し、3着まで。

村上博幸選手
村上博幸選手

 ゴールしても優勝の実感はなかった。敢闘門で待っていた近畿の選手たちに自分を指さして確認したほどだ。引き揚げてきた村上博幸(写真)は開口一番「まさかでした」と目を丸くする。
 「展開が遅くなるようならハコも考えてたけど中団、中団(の作戦)が。(吉田拓矢が竹内雄作を)合わせてくれるようなら、やり合ったとこをモガけるかなと思ったら7番手になって最悪やと思った。ホームでは独り言のように『最低や』って言ってました(苦笑)」
 4年ぶりのS班として迎えた2019年は村上にとって挑戦の年だ。「1回目に(S班に)なった10年前とは心境が違う。チャンスがあるという感覚よりも逆に色々試して。壁にぶち当たるだろうし、ぶち破る準備をしてる」と初日のレース後に話していた。ピッチの早い今の競走形態に対応するために、この2、3年で磨きをかけたタテの脚が決勝戦で爆発した。
 「こんな記念の決勝で出るとは思わなかったけど、色んなトレーニングをした成果が出たと思う。今回は4日間練習でやったことをレースで確認作業してた。自信になると言うより、まさかです」
 次節は2月8日から別府競輪場で開催される全日本選抜。今年最初のGIでも村上のタテ脚が輝きを放つ。

 単騎の野田源一は最終バックで最後方。前が遠かったが、3コーナー過ぎからインを突いて、ゴール寸前で浅井を交わして2着。
 「(吉田が)突っ張り切って、合わせ切るのか微妙だった。あそこはスイッチできない。なるべくサラ脚で回りたかったし、もう自分の位置からだと外は届かない。何回か内が空いたけど、神田(紘輔)君もいたし、(村上が)仕掛けるまで待った。浅井君が気づいた感じだったけど、竹内君が(内に)逃げたんで自分のコースはあった」

 浅井康太にとっては内に切り込んでくる選手がいることがまさかの事態だった。
 「(番手から)出ることはそんなに考えてなかったし、吉田君のスピードがイマイチなかったので止まるなと思った。舛井(幹雄)さんもおるし内に来られることはないと思ってたんですけどね。(野田に入って来られて)内に気を取られたところを、そのうえ来られてしまいましたね」

 竹内に叩かれた吉田拓矢は立て直して2コーナーからまくりに行ったが、浅井の壁を乗り越えることはできなかった。
 「作戦的には良かったんですけど…。あれで合わせ切りたかった。そしたら行かれちゃったんで、まくりになった。竹内さんが強かった。ああなってまくりになっても、越えられるようにならないと。出直しです」

 吉田を強引に叩いて主導権を握った竹内雄作は粘れずシンガリ負け。
 「浅井さんがあれだけ仕事してくれて残れてないんで。本当はそこからだと思うのに出て終わってる。残れれば一番良かったけど、現時点はこの脚ということ。もっと練習します」





次回のグレードレースは、1月31日~2月3日まで高松競輪場において、開設68周年記念「玉藻杯争覇戦」(GIII)が開催されます。
今開催はS班の平原康多と村上義弘が出場予定。地元・四国勢はヤンググランプリ優勝の太田竜馬を筆頭に地元記念優勝を狙う香川雄介、先日の和歌山記念を制した池田憲昭等が迎え撃つ。
最終日には、「推理しやすい、わかりやすい、的中しやすい」をコンセプトにしたS級ブロックセブンが実施されます。
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