『四日市競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:11月7日

 四日市競輪場で開設70周年記念「泗水杯争奪戦(GIII)」が、11月6日に幕を開けた。ナイター開催での今シリーズ。初日の一次予選では、伊藤裕貴、柴崎淳の2人が地元で白星を挙げた。メインの特選では、東口善朋がシャープな伸びを見せて2日目に弾みをつけた。11月7日の2日目には、初日特選組も加わり、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 なお、四日市競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。検温、手指の消毒、マスク着用などのご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 本郷雄三が切った上を脇本勇希が押さえて出て主導権。坂井洋は6番手で打鐘を通過する。後続を一本棒にして、4コーナーからペースを上げた脇本が逃げる。最終2コーナー手前から坂井が踏み込むと、本郷も3番手から仕掛ける。本郷も前団をのみ込む勢いだったが、坂井のスピードが断然。あっさり坂井がとらえて、そのまま押し切った。
 「バンクは昨日(前検日)の指定練習よりも軽かったし、風も気にならないですね。1レース1番車っていうプレッシャーもあったけど、人気に応えたいっていう思いでギリギリまで緊張しないようにしていた。(最終)1センターから仕掛けた。バックを取りたかったですね。スピードは悪くないし、疲労も抜けてきた」
 坂井マークの芦澤辰弘は、直線でも詰まらず1車身差のまま流れ込んだ。
 「(坂井に)全面的に任せていました。どの展開でもいけるだろうって感じでしたね。(踏み出しは)口が空きましたね。自分は抜くとかじゃなくてマークでした。中5日あったけど、誘導とかもあって、練習が1日しかできなかった。疲れながら入ってきていたので、気持ちをもたないとと思って走りました」

<2R>

伊藤裕貴選手
伊藤裕貴選手
 佐藤博紀が緩めた赤板2コーナーで、藤井侑吾が仕掛ける。スピードに乗せて先頭に立った藤井に地元勢が続いて、4番手に飛び付いた佐藤博は車間が空く。6番手に立ち遅れた吉田智哉が、最終バック手前からまくりを打つ。佐藤博も合わせるように3コーナー過ぎに外に持ち出す。直線に入り藤井もさすがにスピードが鈍る。番手の伊藤裕貴(写真)は、後続との間合いを計りながら踏んで抜け出した。
 「(藤井)侑吾がジャンからスピード上げて行ったし、すごくいい掛かりだった。誰も来ないなって感じだったんですけど、あのタイミングで(佐藤博に)来られたら、対応が難しかった。掛かりっぱなしの1周半でしたから。僕も脚がキツかった。どうしたら良かったのか、先輩に聞いて修正したい」
 佐藤博に乗った佐藤康紀は、中のコースを伸びて2着。
 「重い感じがして、みんなもタレてる感じがした。先行(藤井)も後ろが地元っていうのもあっただろうけど、最後はいっぱいだった。(藤井は)もっと強いだろうし。自分は展開に恵まれたけど、調子も悪くない」

<3R>

 赤板過ぎに竹内雄作を押さえて正攻法の位置に入った阿部大樹を、小川丈太、竹内の順で叩いていって最終ホーム入り口へ。5番手となった阿部は間髪入れずに巻き返すが、合わせて竹内にペースを上げられると外に浮く。しかし、冷静に濱田浩司をキメて4番手を奪い取った阿部は、3番手からまくった小川と止めにいった原真司の内を2センターですくってそのまま突き抜けた。
 「初手の並びは最悪でした。打鐘のところで反応して、(竹内と小川が)モガきあってくれるようにすれば良かったんですけど。内が空くのもわかっていたし、神山(雄一郎)さんが後ろにいるのはわかっていたので、突き抜けるように踏めば決まるとは思った。脚に余裕はあったし、平原(康多)さんにセッティングを見てもらって良かったです。気持ちとセッティングがぴったりではないので、そこですね。明日(二次予選)は勝負できるところでしっかりと自力を出していきたい」
 内をキメにいった阿部の動きにもしっかり続いた神山雄一郎が2着を確保。
 「長期欠場や落車もあったし、このまま終わってしまうのかなっていうのがあったけど、今回は来る前から体調が良くて、昔に戻った感覚があった。阿部君とは相性がよくて決まっているし、遅れないようにと。自転車も進んでくれていますね」

<4R>

野口裕史選手
野口裕史選手
 赤板過ぎに野口裕史(写真)が押さえて先頭に立って、南関3車が出切る。4番手に引いた川口聖二と単騎の戸田洋平が併走になり打鐘を迎える。3コーナーから内を進出した川口は野口の番手まで押し上げるが、中村浩士にキメられて3番手に下げて最終ホーム。パワーにモノを言わせて野口が風を切る。3番手で立て直した川口も伸びず、別線に出番はない。わずかに中村を退けた野口が1着。
 「普通に押さえて駆けるっていう感じだったんですけど、戸田君がからんできそうな雰囲気もあったんで、そこを気にしすぎました。外を気にしてたら、(内から)川口君が来たんで、そこから慌てて踏んだ。それで(中村に)迷惑を掛けちゃいました。自分は前回より脚の感じいいし、風も気にならなかった」
 からまれた中村浩士だったが、内の川口を2発でキメて逃げる野口の番手を守った。
 「外を(警戒しなきゃ)って思ってたら、内に(川口が)いきなりいたのでビックリした。それで急な対応しかできなかった。無警戒だったんで、ヒヤッとしました。でも、そのあとは安定して最後まで踏むっていうところは、野口の真骨頂でむちゃくちゃ強かった。自分は力不足です」

<5R>

 赤板で上昇の高木翔を突っ張った嶋津拓弥を、打鐘で叩いて取鳥雄吾が先制。追って平尾一晃が仕掛けてくるが、取鳥に出させる気はなかった。モガき合いの末、最終1センターで平尾は力尽きて後退。そのまま緩めることなく踏み続ける取鳥の前に5番手の嶋津も7番手の高木も全く動けずに最後の直線に入り、取鳥が堂々押し切った。
 「打鐘のところは悩んだけど、流れていたので突っ張ってライン3人で決めたいと。平尾君も、長くモガいてきたので、きつくていっぱいだったけど、(三宅)達也さんと決まればと思って踏んだ。バンクがすごい軽いのでスカスカする。風もそんなに感じないし、ホームが流れますね。(記念は二次予選9着続きで)勝負は明日(7日)なんでね。あと、ワンチャン、ウィナーズ(カップ)の特選に乗れるかもしれないので1着を目指して頑張る」
 吉永好宏をキメて3番手に割り込んだ坂本亮馬の中割りをしのいだ三宅達也が2着に続いた。
 「雄吾が強い。踏み出しのところも凄いし、(平尾を)出させるかと思ったら、合わせたので、きつかったですね。バックからバタバタしてきたので、タレるかなと思ったら踏み直しましたね。強かった」

<6R>

阿竹智史選手
阿竹智史選手
 先頭に立った鶴良生のスピードを見極めて、橋本智昭が赤板2コーナー過ぎから仕掛ける。主導権を握った橋本ラインの3車が出切り、鶴が4番手に入る。6番手の島川将貴は、車間を詰める勢いで最終2コーナーからまくる。逃げる橋本の番手の山崎芳仁は、島川をけん制。島川が外に膨れると、島川と山崎の間を追い込んだ阿竹智史(写真)が、山崎に踏み勝ち1着。
 「(島川への山崎のブロックがあって)自分は内に差し込んでしまった。(踏むのが)ちょっと早いかなと思った。待ちながらだったけど、そこのタイミングが難しかった。シマちゃん(島川)が3着までに入ってくれたんで良かった。自分の感覚としてはイマイチかなと思います」
 橋本が先行策に出て好展開が巡ってきた山崎芳仁だったが、ゴール前で阿竹に屈して2着。
 「(橋本が)普通に駆けて、あとは残れるかどうかだと。島川君がまくってくると思ったんで、そこさえ止められれば残るかなって。そしたら阿竹君が来たんで、焦って踏んじゃった。自分のやれることはやった。踏んだ感じとしても、前回よりいいですね」

<7R>

 スタートけん制もあったレース。後方待機の高橋築が赤板手前から踏み上げて2コーナーで主導権を奪う。4番手がモツれる中、中団にこだわった山田久徳が、引かずに内に残っていた巴直也を4番手に入れてから最終2コーナーでまくり発進。3コーナーでの鈴木竜士のブロックを乗り越えた山田は2センターで高橋を捕らえて快勝した。
 「スタートは中団からがよかった。嘉永(泰斗)が内から来たので。来なければ、(高橋を)叩いて嘉永(のカマシ)待ちかと思ったけど。内から来たので行く理由もなかった。(道中は)ごちゃごちゃしたわりには脚を使っていなかったので、出脚はよかった。夏くらいから調子はよかったので、競輪祭に向けても頑張っていきたい」
 落合達彦とからんで山田の仕掛けに続けなかった稲垣裕之は、すぐさままくりに転じて山田を追う。高橋の番手から抜け出した鈴木をゴール寸前で捕らえて京都ワンツー決着を果たした。
 「内をすくわれないように締めすぎて、久徳の仕掛けに離れた。何とかワンツーはと思っていきました。(前回の落車で)体は大丈夫だけど、フレームが壊れた。1年くらい前に使っていたものなので、今開催はこのフレームのセッティングを煮詰めていきたい」

<8R>

上野雅彦選手
上野雅彦選手
 坂本貴史が打鐘手前で押さえて出てペースを握る。いったん4番手の上野雅彦(写真)の外まで追い上げた伊藤信は、最終ホーム手前から再度踏み込んで北日本勢に襲い掛かる。中野彰人は離れて、伊藤が坂本をとらえる。中野にからまれた上野だったが踏み勝ち、伊藤を目標にまくって1着。
 「今日(初日)みたいな感じで(押さえて)いって、ペースかなと思ってた。そしたら(坂本に)早めに巻き返しに来られて、内に包まれて後手を踏んだ。脚が軽かったからよかった。でも、(ラインの)山形(一気)さんが転んでしまった。自分がもっと前々に攻めていけてたら良かった。(初めてのグレードレースで9車立てを)1回走ってみたんで、(2日目は)もうちょっと落ち着いてできると思います」
 坂本マークから直線で外を追い込んだ大槻寛徳は、2着にも反省しきり。
 「伊藤君があそこまで強いとは…。(坂本)貴史が勝手に合わせてくれると思ってしまった。もっとちゃんと仕事をしてれば。自分の判断ミスですね。(脚には)余裕があったんで問題ない。判断ミスのところだけです」

<9R>

 前団を小川賢人、竹内翼の順で押さえるが、打鐘3コーナー7番手から岩本俊介が一気の巻き返しで襲い掛かる。反応が遅れた竹内を2センターであっさり叩いて岩本が先行勝負に出る。ライン3車で出切って竹内が4番手、6番手に小川、前受けから下げた北川大五郎が8番手の態勢で一本棒に。このまま東勢のペースかに、2コーナーからまくった小川のスピードがいい。勢いよく駆け上がってきた小川を、内藤秀久が3コーナーで強烈ブロックを浴びせて止めるが、内藤は岩本に遅れて車間が空いてしまう。そのまま岩本がセーフティーリードを保って押し切った。
 「狙っていたレースができた。今回から新車なので、緊張はしていたが、感触も良かったし自信につながる。競輪祭に向けてというよりは、前のフレームがへたってきていたので。出も良かったし、長い距離を行ってなので自信が付いた」
 岩本との車間が空いてしまった内藤秀久は、なおも盛り返してくる小川に何とか踏み勝って2着を確保。
 「レース勘がずれていた。俊介の力を侮っていましたね。(小川に)あのスピードで来られたので、バックでやばいと思って持っていった時に、(岩本が)行ってしまいましたね。俊介も初日特選級の選手。何とか2着死守しようと思ったけど、申し訳ないレースだった。1走すれば、相手の点数とイメージが付いてくるので大丈夫」

<10R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 藤井昭吾の上を木村弘が出て主導権。両者での踏み合いにはならず、北津留翼(写真)は、一本棒の7番手で最終ホームを通過する。3番手の藤井のまくりを泉慶輔が阻み、北津留はようやく最終バック手前から仕掛ける。だが、次元の違う爆発力を見せた北津留が、あっという間に先頭に立って人気に応えた。
 「前受けから引いて、行けるところからと思ってた。(最終)ホームで行くつもりだったけど、焦って前に詰めすぎて、車間がなくて仕掛けられなかった。そこがヘタクソでした。立ち遅れたんで、半周目いっぱい踏むだけだった。クツも新作にして、前のヤツよりもいい数値が出ていたんで換えた。指定練習のあとのクツの調整をして問題もなかったんで、(次の)競輪祭もこれでいこうかなっていう感じです」
 井上昌己だからこそ対応できた北津留の踏み出し。直線勝負で1輪まで詰めたところがゴールだった。
 「あれを抜ける人いないんじゃないですか、SSでも抜けない感じがした。(最終)ホームで行くかと思ったけど、(北津留がそのタイミングを)見たからまくり追い込みかなと。スピードが違いすぎましたね」

<11R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 打鐘でカマシ気味に出た磯川勝裕が絶妙なペースをつくり出して、7番手の谷口遼平は最終ホームでは動けない。2コーナー手前から谷口がまくるも、今度は中団の近藤夏樹が仕掛ける。イエローラインのさらに外を回った谷口は、直線の入り口で前団に並んで抜け出す。柴崎淳(写真)はその外を踏んで、谷口をゴール寸前で交わした。
 「(谷口は最終)1コーナー過ぎから踏んでた。あおりもあってどうかなっていうのもあった。だけど、いままでの(谷口)遼平と違うんで行っちゃうと思ってた。(1着は)気持ちですかね、声援がすごい力になった。(昨年に落車で大怪我をして)強かったころの体に戻すのは無理だと思っている。ただ、自分の中で気持ちで限界をつくらないようにとは思ってます」
 3番手の松崎貴久まで引き込んでラインを上位独占に導いた谷口遼平は、ホッと胸をなで下ろす。
 「早く巻き返せたら良かったけど、そんなペースじゃなかった。危なかったですね。(まくりに行って)踏んでいれば、(最終)4コーナーから伸びるかなと。せめて(柴崎)淳さんのコースをつくろうと。緊張で出が悪かった。(前回の寛仁親王牌でGI初勝利を挙げて)今回が大事だと思ってた。1走して明日(7日)の方が余裕をもてると思います」

<12R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 近畿勢の連係が崩れて古性優作に続いた郡司浩平が、その上を叩いて打鐘の4コーナーで主導権。しかしながら、和田健太郎が東口善朋(写真)にさばかれて、郡司後位には近畿勢が入る。4番手には浅井康太。最終2コーナーから古性が踏み込むも、郡司が合わせる。郡司、古性の余力を計りながら、最終4コーナーで外に持ち出した東口は、直線で鮮やかな伸びを披露して1着。
 「(一度、古性と連結を外して)慌てたけど、そこから位置を取りに行って冷静にできた。(郡司の番手から古性)優作が早めに仕掛けてくれたんで、僕の脚のためもできた。浅井君が来ているのもわかった。(状態としては)しっかりと体と自転車がマッチして進んでくれている。このメンバーで1着が取れるとは思わなかった」
 最終ホーム手前で和田にからまれながらも、浅井に続いた坂口晃輔が3着。ホームバンクで上々の動きを見せた。
 「古性君の後ろに郡司君がいて、並びがおかしいなっていうのがあった。自分は1車分だけでもどかしてと思った。(和田とからんだけど)軽かったんで苦じゃなかった。あんまり意固地になるよりはと。それで浅井さんに突っ込んだりしてもまずいんでと思ってた。(周回中の)並びとしては、1回まわって後ろになってしまうかと思ったけど、さすが浅井さんですね」
 先行策に出た郡司浩平は、番手にはまられた古性を合わせ切り、逃げても強いところをアピールした。
 「気持ち的にも前回よりも強い、攻める気持ちで走れた。結果5着ですけど、吹っ切れた感じもあります。ただ、和田さんには付きにくくしちゃった。古性君とも切りに行くタイミングが合ってしまった。(最終)ホームで古性君が後ろにいるのがわかったんで、変にフカしすぎても、緩めすぎてもっていうのがあって、ペースに入れた。それで来たら合わせてと思ってました」