『四日市競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:11月10日

 四日市競輪場でナイターで開催された開設70周年記念「泗水杯争奪戦(GIII)」は、11月9日に最終日が行われた。地元の浅井康太ら好メンバーによる決勝は、4車で結束した南関勢が主導権を握った。単騎で最後方になった坂井洋は、同じく単騎だった浅井康太のまくりに乗ってゴール寸前でわずかに交わしてV。記念初制覇をナイターで飾った。

決勝戦 レース経過

 号砲で郡司浩平が迷わず出て、岩本俊介-郡司-内藤秀久-中村浩士の南関勢が前受け。中団は古性優作-稲垣裕之-東口善朋の近畿勢が中団を占め、坂井洋、浅井康太の単騎勢はそれぞれ8、9番手での周回となる。
 青板を過ぎて岩本が誘導との車間をやや切って、しきりに後方を警戒しだす中、2センターで古性が動いて戦端が開かれる。この時に浅井も1車上げて坂井の前に入る。岩本は突っ張り気味に踏み上げて赤板経過と同時に誘導を切って主導権は譲らない構え。これに対して古性は岩本の番手追い上げ策に出て、南関ラインを切り崩しにかかる。岩本の後位で激しい競りの状態で打鐘。3コーナーあたりから岩本がペースを上げると、外の古性は踏み遅れて番手は郡司が死守する。先に内藤の後位に割り込んでいた稲垣に入れられて古性は4番手で出直し。一方、前団のモツれをジッと見ていた浅井は最終2コーナーからスパート。合わせるように古性も仕掛ける。これに郡司がバック番手まくりで応戦。古性は止まるが、その外を浅井が一気に駆け上がってくる。そのまま前団を飲み込む勢いだった浅井を、郡司が2センターで自らブロックして直線勝負へ。押し切りを図る郡司と、なおも伸びてくる浅井で踏み合ってゴールを目指したが、浅井のまくりを追ってまくってきていた坂井が外を強襲。2人をまとめて捕らえて優勝をさらった。


坂井洋選手
坂井洋選手

 昨年11月の防府記念以来、2度目のGIII優出は、関東が1人で単騎での戦いになった。すでにペースが上がっていた最終ホームでは9番手。坂井洋(写真)の後ろは、誰もいなかった。
 「いつもだったら古性(優作)さんが仕掛けてゴチャついたところで、仕掛けるんですけど。そこは休んで勝てるようにと思ってた」
 結果的には、単騎での落ち着いた立ち回りが功を奏した。赤板前に浅井康太にすくわれて9番手に置かれたが、ジタバタせずにチャンスを待った。
 「(本当は)先に仕掛けて浅井さんと勝負をしたかったんですけど、すくわれたんで(並びが)逆になっちゃった。前もすごいあおりだったんで、一瞬、反応ができなかった。でも、なんとか仕掛けないとって。ゴール前だったんで、目いっぱいでした。なんとかギリギリでした」
 前受けから突っ張った岩本俊介が風を切る。4番手で立て直した古性がまくったとほぼ同時の最終2コーナーで浅井もまくる。今度は郡司浩平が番手まくりに出て、古性は不発。郡司が浅井を外に振って直線を迎える。坂井がまくり追い込みで、前の2人に並んだところがゴールだった。3車の横一線の勝負は、タイトルホルダーを抑えて坂井に軍配が上がった。
 「まだ実感がわいてこないですね。ゴール線であれっ、1位かなと。それで思わず手を上げちゃった」
 115期の在校1位。S級一番乗りこそ高橋晋也(福島)に譲ったものの、同期をリードしてきた存在だ。しかしながら、近況は思うような成績を残せず。坂井自身がもどかしさを感じていた。
 「正直、焦りもありますね。自分としてはむちゃくちゃ練習をやっているつもりだし、苦しい思いもしている。練習通りに(レースで力を)出せればいいんですけど、なかなかそういう風にはいかない。でも、結果を出せている人もいるんで、これじゃセンスがない人になってしまう」と、前検日に逸る気持ちを吐露していた。それだけに記念初Vは、これ以上ない自信になろう。
 「(この優勝で)来年こそ競輪祭に出られるようになって良かったです。まだ自分の得意パターンじゃないと勝ててないし、平原(康多)さん、郡司さんみたいに、なんでもできる選手になりたい。今年やっとまともな結果を出せた。運も実力のうち(笑)。良かったです」
 どこかポップな在校ナンバーワンに、勝利の女神がほほ笑んだ。

 再三に渡る古性の反撃を阻んで番手まくりに出た郡司浩平だったが、坂井、浅井に交わされて僅差の3着。
 「(岩本が)あそこを突っ張り切って、自分のやるべきことは援護をしつつ、誰かしら優勝を取りにいかないといけない。結果、残念です。(競りを)しのいで、古性君はまた来るところはさすが。浅井さんも仕掛けてきたところはさすがですね。(自分は)反応に気持ちの弱さが出た。あの態勢なら、早めに行く覚悟も必要だった。引き付けて、引き付けて、っていうところは自分の甘さでした。古性が見えてから踏んだのでは遅かった」

 岩本後位に追い上げた古性優作は、郡司に負けて稲垣裕之に4番手に迎えられる。最終2コーナーからまくりを打つも、郡司の番手発進で7着に散った。
 「どうしようもないですね。(郡司と)競りにもならなかったです。ダッシュにちぎれてしまった。昨日(3日目)もそうですけど、ダッシュが…。ハンドルがフニャフニャするような感覚もあって、力が入らなかった」





「第63回朝日新聞社杯競輪祭」が11月18日~23日の6日間に渡りナイター開催で行われます。
今開催はS級S班の9名や全国各地から強豪が集結します。
GP前最後のGIということもあり、GP最後の椅子をめぐって熾烈な戦いになること間違いなしです。
また、11月18日~20日に渡り、ガールズグランプリ2021トライアルレースも開催されるため、こちらにも目が離せません。
11月7日時点の出場予定選手データを分析した、「第63回朝日新聞社杯競輪祭」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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