『四日市競輪開設57周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:8月20日


 四日市競輪、開設57周年記念競輪『泗水杯争奪戦』は8月20日に決勝戦を迎え、4日間の全日程を終了した。地元のエース・浅井康太は残念ながら準決勝で敗退となったが、その分も柴崎淳が奮起し準決勝を見事1着で勝ち上がり決勝へ進出。その他、S級S班の神山雄一郎、渡部哲男や、復調を遂げた武田豊樹もサバイバル戦を生き抜き決勝進出を果たした。
 注目の決勝は細切れの4分戦。レースは武田豊樹が石橋慎太郎を強引に突っ張って先行。巧く中団を取った柴崎淳が高速まくりを決めて記念初優勝を遂げた。

決勝戦 レース経過
 号砲で飛び出した高橋大作が、前団に武田豊樹-神山雄一郎の茨栃コンビを招き入れる。中団からは柴崎淳-山口幸二-一丸安貴-渡部哲男-石橋慎太郎-佐藤康紀の並びで周回を重ねる。
 青板の2センターから石橋が上昇を開始する。ホームで正攻法の武田にフタをするが、やる気マンマンの武田は1センターで石橋をけん制。それでも踏み込む石橋を制して、打鐘から突っ張って先行する。石橋の動きに続いていた柴崎だが、主導権取りを諦めた石橋が後退すると中団四番手を確保する。先行態勢に入った武田は一度ペースをスローに落としたが、ホーム線目掛けてペースアップ。車間を切って追走した柴崎が1センターからまくって出ると、三番手の一丸は離れてしまう。グングン加速した柴崎が3コーナーで前団を飲み込むと、三番手以降に神山―高橋がスイッチ。一丸後位からまくり上げた渡部が、関東両者を追いかける。番手絶好の山口はゴール前で懸命に詰め寄るが、最後までスピードが落ちなかった柴崎が押し切って地元で記念初優勝。3着には神山が続いた。


柴崎淳選手
柴崎淳選手
 波乱を予兆していたかのように、レース直前、スコールのような激しい雨がバンクに降り注いだ。神山雄一郎の700勝達成に注目が集まったが、若手のホープ・柴崎淳がこれを打ち砕く結果に。2コーナーからスパートすると異次元のスピードで前団をひと飲みし、地元ファンの目の前で記念初優勝を遂げた。
 「今日は武田さんが前なら自分達は中団から。石橋さんが前なら後ろから攻める作戦でした。初手は作戦通り並んだけど、武田さんが突っ張ったからどうしようか迷ったけど、山口さんが巧く導いてくれて中団を取ることができた。自分のタイミングで仕掛けられたし、脚を使っていなかったから踏み出してすぐにいけると思った」
 前回の奈良FIを完全優勝し、今節も記念初優参して見事、記念初優勝。
 「F1で優勝して、今回は決勝に乗るのが目標だったけど、まさか優勝できるとは思っていなかった。(優勝は)自分で本当によかったのかな(笑)」と大仕事を成し遂げても飄々としている姿には将来の大物ぶりを予感させる。
 S級のデビュー戦となった昨年の地元記念は、一次予選で凡走しあっさりと敗退。今年は成長した姿を地元ファンに披露できた。
 「最近は自分でも粘りが付いたと思うし、押さえ先行もできるようになった。一時つまずいたときもあったけど、夏場はずっと体が良く動いていたので結果が出て嬉しいですね。次はG1で活躍できるように頑張りたい」

 山口幸二は絶妙な手綱さばきで柴崎をアシストした。結果は交わせず2着も満足げ。
 「武田が突っ張ったから、柴崎をうまく中団に入れてあげないとと思った。柴崎も焦っただろうけど、落ち着いて中団を取り切ってくれたね。2コーナーから良いスピードで行ったし、自分は連日長い距離を踏んでいたから抜くのは難しいよね」

 700勝が期待された神山雄一郎は、今回はお預けとなった。
 「柴崎は2コーナーから仕掛けて、届かないくらい外を踏んでいた。でも、向こうのスピードが違ったね。自分達のラインと石橋のラインだけが力を出し切るレースになってしまった。もう少し中団がもつれて、武田を援護できるような展開になってくれれば面白かったんだけどね」

 力を出し切った武田豊樹だが、レース展開に不満を残す結果となった。
 「石橋が遅くきたし、あそこで出させたら今度は石橋が柴崎を行かせるでしょう。だから絶対に行かせる訳にはいかなかった。準決勝のこともあるし、柴崎はもっと思い切ってくると思ったんだけどね。なんだか面白いレースにならなかったね。ああなっては俺はダメ(優勝はない)だろうけど、神山さんに700勝を取ってもらいたかった。貢献できなくて残念でした」

 渡部哲男も展開を読み違えた。
 「柴崎が思い切っていくだろうから、中部の後ろからいったんだけどね。武田さんの突っ張りは予想外だった。ジャンで石橋がもう一回行くと思ったし、柴崎もすんなり中団を取るとは思わなかった。一丸(安貴)さんが離れているのに気づくのが遅れたし。単騎戦の難しさを感じたね」


ゴール




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