『四日市競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:6月22日


 四日市競輪場開設59周年記念「泗水杯争奪戦」は今日(22日)で4日間の全日程を終了した。決勝戦は中団まくりの松岡貴久の番手から柴崎俊光後位にスイッチした園田匠が直線で鋭く追い込み優勝。悲願の記念初制覇を決めた。

決勝戦 レース経過
 号砲で谷津田将吾が勢い良く飛び出し、スタートを取る。隊列は伏見俊昭―谷津田の福島コンビに松永晃典が付けて前団、柴崎淳―柴崎俊光―鈴木幸紀の地元勢で中団を形成、松岡健介―園田匠―大塚健一郎の九州勢が後攻めの形で落ち着く。
 赤板で松岡がゆっくり上昇。中団の外でしばらく止まって地元勢をけん制する。松岡は打鐘で踏み込んで先頭に立つも、柴崎淳がすかさずその上を叩いて主導権を奪う。柴崎俊は番手をきっちりキープ。踏み出しで遅れた鈴木も何とか追い付いて3番手を確保する。松岡は中団の4番手で立て直し、伏見が7番手の態勢で最終ホームを通過。2コーナーから松岡が好回転でまくり上げると、柴崎俊は3コーナーでこれをブロックしながら前に踏み込む。松岡は不発に終わったが、そのスピードをもらった園田が鋭脚を発揮。直線鋭く抜け出して優勝を飾った。園田を追走した大塚が2着に流れ込み、九州ワンツー決着。番手まくりの柴崎俊は3着に終わった。


園田匠選手
園田匠選手
 初の兄弟連係、そして何より柴崎淳の当所記念3連覇に焦点が集まった決勝戦。それに待ったをかけたのが、九州からの刺客・園田匠だった。レースは柴崎淳の先行を、4番手の松岡貴久が最終バックからまくる展開に。最終3角では兄・柴崎俊光が渾身のブロックで松岡を止め、番手から踏み込む。しかし、園田はその柴崎俊光後位にすんなりスイッチすると、ゴール前で抜け出して悲願の記念競輪初制覇を達成。連日見せていた鋭い差し脚は、決勝の舞台でも火を噴いた。
 「今日は、全てラインのおかげ。前の(松岡)貴久も頑張ってくれていたし、大塚さんも後ろを固めてくれた。(松岡)貴久はブロックを乗り越えると思っていたけど、あいつは最終ホームで一回バックを踏んでいた分、昨日までの出脚じゃなかったね。ただ、柴崎俊君がかなり大きく外に車を振っていたし、僕も身体が勝手に反応し、気付いたら内を突いていたという感じでした。二日目の優秀競走で(加藤)慎平さんにやられた競走を、今日は僕が出来ました。ここまで3日間、毎日色々考えながら走れていたし、今日も色々な局面をイメージしながらレースに臨めた。大塚さんにわがままを言って前を回らせてもらったことで重圧もあったけど、その中でしっかり結果を出せたことは本当に嬉しいし、ほっとしています」
 決して良い流れの中で迎えた開催ではなかった。全てを賭けて臨んだ高松宮記念杯では失格と散々な結果に終わっていただけに、この優勝は何にも増して価値がある。
 「最近は、しっかり練習もできている。やる事をやっているだけに、宮杯はショックだったけど、ようやく結果が出てくれましたね。最近は同門の小川(勇介)君がかなり調子が良くプレッシャーを掛けられっぱなしだったけど、(記念制覇は)先をこせて良かった。ぼくは常に上しか狙っていないし、これからも小川君と切磋琢磨しながら、もっと大きな舞台で活躍していきたいです」

 園田に続き2着に流れ込んだ大塚健一郎は、淡々とレースを振り返る。
 「まずは自分の仕事に集中し、最終4角からは全力で園田を交わしに行った。直線勝負で力を出し切って敗れたわけだから、今日は園田が強かったと言うことです」

 松岡貴久のまくりを合わせ切った柴崎俊光は直線半ばで弟・淳を交わして懸命にVゴールを目指したが、園田匠に一気に交わされて3着。先行策にでた弟の気持ちに応えることはできず。
 「淳は自分が獲る競走で良かったのに、躊躇なく行ってくれた。それだけに何とかその気持ちに応えたかったんですけどね。僕は松岡さんがまくってきた時点で、焦ってバタバタになってしまった。直線も必死で前を追ったけど、最後は脚が三角に回ってしまいました。また、来年頑張るしかないですね」

 最終ホームからカマし、果敢に風をきった柴崎淳は直線で力尽き6着。3連覇達成はならなかった。
 「力を出し切らずに終わる事だけは避けたかったので、今日は何があっても先行と決めていた。その結果なので仕方ないですね」

 連日、好調さが際立っていた松岡貴久も、決勝では柴崎俊光のブロックに屈し最下位に沈む。
 「最終ホームでバックを踏んだこともあったけど、今日は最初から身体にキレがなかった。まくれなかったのは力不足ということだし、後ろの二人がワンツーを決めてくれたのだから良しとします」

 後手を踏んだ伏見俊昭は懸命に追い込むも4着まで。
 「最後まで流れに乗り切れませんでしたね。もう少しペースが緩めば、僕にも仕掛けるチャンスがあったけど、柴崎君もかなりフカしていましたから。普段、自力を出していない訳だししかたないけど、後ろの人には申し訳ないことをしました。ただ、頑張っている若手と一緒に走れるってことは、本当に刺激になります」


ゴール




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