『福井競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:7月24日

 福井競輪開設70周年記念「不死鳥杯」は2日目。予選2走目を終えて、準決勝進出の21名が決まった。初日特選、予選2と連勝の脇本雄太がポイントトップで準決勝へ。地元勢は渡辺十夢が1着権利の勝負駆けに成功するなど、6名が準決勝へと勝ち上がった。3日目はいよいよ準決勝。決勝戦7つのシートをかけた激しいサバイバルレースが繰り広げられる。

<1R>

 伊藤裕貴、横関裕樹の順で切ったところを打鐘過ぎ4コーナーで稲毛健太が叩いて主導権。3番手に入った横関や後方になった伊藤の巻き返しは叶わず、逃げた稲毛後位から椎木尾拓哉が抜け出した。
 「稲毛に任せてました。前を取って、しっかり行けるところからって作戦だったし、緩んだところをすぐに行ってくれた。叩き切ったときに他のラインは来ないかなと思った。(連勝だが)明日(準決勝)が勝負なんで。明日はもう1個スピードが上がるだろうし、戦えるように修正したい」
 稲毛健太も2着に粘って、2日間の合計ポイントを9に伸ばした。
 「初手はどこでも良かった。昨日(初日)失敗してるんで、逃げてみてどこまでいくか。今日(2日目)はある程度のレースをしとかんと、明日(準決勝)不利なんで。3車だし、今日は距離が長くなっても行こうかなと思ってた。キツかったですけどね。中途半端に(打鐘過ぎの)3、4コーナー踏んでたんで、もう1個スピードを乗せたら楽だったのかな」

<2R>

 後ろ攻めの栗山俊介が中団の柴崎淳にフタをして打鐘で叩きに行くが、前受けの小堺浩二が抵抗して両者で踏み合う。そこをすかさず柴崎がロングスパート。最終1センターで栗山を抜き去り、そのまま軽快に押し切った。
 「タイミングとか内容はいいけど、体の状態を上げたい。初日よりはマシですね。まだ明日(3日目)までに時間があるから確かめながら乗りたい」
 笠松信幸は柴崎にピタリと続いて2着。
 「(柴崎君が)落ち着いて仕掛けて強かった。差せればいいが、かかりが良かった。状態とかは問題ないが、もう少し余裕がほしい」

<3R>

松岡健介選手
松岡健介選手
 赤板1コーナーから先行態勢に入った藤井昭吾がラスト1周でペースを上げると、高橋和也より先に谷口友真が中団から先まくり。松岡健介(写真)はこれに合わせるように番手から踏み込むと、3番手の伊代野貴照とワンツーを決めた。
 「2分戦だし、藤井君は自分の得意なパターンでいきますと言ってた。本人はもっと勝負できると思ってたみたいですけど、谷口君が見えて、スピードも良かったので出ないといけないかなと。僕の感じは悪くないです。修正するにも脇本(雄太)のペースに合わせて変にいじると訳がわからなくなるので難しい。ちょっとずつですね」
 2着の伊代野貴照だが合計6ポイントで準決勝進出はならず。「1着じゃないと可能性が薄いのは分かってた。でも全力は尽くしたんで」と悔しそうにレースを振り返った。

<4R>

高久保雄介選手
高久保雄介選手
 川口聖二が切った上を高久保雄介(写真)がすかさず切り、堀僚介を打鐘過ぎに出して3番手を確保。川口の巻き返しに合わせて2コーナーからまくった高久保が白星をつかんだ。
 「初手は想定外でした。堀君が前を取るのは考えていなかった。川口君が行った後にすぐに叩いて堀君を行かせやすい展開を作った。川口君より先にまくって、筒井さんの上は早く通過できた。感触は良かった。最後まで踏めているし、久々の白星なので、このいい感覚で明日(3日目)も走りたい」
 川口聖二は高久保に合わされるも懸命に踏み続けて2着に入った。
 「初手は前を取らされると思った。高久保さんが切って堀君が飛んでくるのは把握していたので、一緒に行こうと思ったら高久保さんも踏んでいた。高久保さんにずっと見られていたのでやりづらかったです。バンクが軽かったですね。流れていく感じでした」

<5R>

稲川翔選手
稲川翔選手
 廣田敦士の上昇に反応が遅れた小嶋敬二を制して中団に入った福永大智は打鐘過ぎ4コーナーで廣田を叩いて主導権を握る。番手の稲川翔(写真)はバック過ぎから車間を切って後方をけん制すると、計ったようにゴール前で福永をとらえた。
 「(福永が)しっかりレースをしてくれました。警戒されるっていうのはわかってたんで、初手の位置は関係なく力を出せば大丈夫と言ってたので。(福永は)練習じゃあんなもんじゃない。もっと強いんで。まだまだ力を出し切れてないのは、ある意味プラス材料ではありますね。練習じゃもっと苦しめられるから、レースでもっと苦しめてほしい」
 惜しくも準決勝進出を逃した福永大智だが、同郷の先輩とワンツーの結果にホッと胸をなでおろす。
 「昨日(初日)よりかはいいレースができたと思う。やっぱり流してるし、まだ改善点は多いです。まだ自分だけで頑張っちゃってる感じがあるし、どこまでいけるかもわかってない。ペース配分はこれからつかんでいけたら。緊張したけど、ラインで決まって良かった」

<6R>

渡辺十夢選手
渡辺十夢選手
 前受けから5番手まで車を下げた野原雅也は打鐘過ぎ4コーナーでカマシを敢行。松岡篤哉を最終1コーナーでとらえると、最後はゴール前で渡辺十夢(写真)がわずかに差し切った。
 「120%、雅也のおかげ。チャンスがあるように仕掛けてくれて、いい後輩を持ちました。ダッシュが良かったですね。後輪が飛ぶぐらいのスピードでしたね。自分が千切れないぐらいのいいあんばいの仕掛けでした。最後は抜いていないかと思ったけど、(抜いていて)ひと安心」
 タイヤ差の2着に敗れた野原雅也だが、的確な仕掛けでラインを上位独占に導いた。
 「セオリーどおりの動きなのかなと。ごちゃごちゃせずに松岡さんが駆けてカマせるかどうかかなと。石口(慶多)さんも車間を空けていたので、カマシに行くときに遠く感じた。力を出し切って悔いの残らないように走りたかった。渡辺さんと藤木(裕)さんとゴール前勝負できたので、やることはやれた。ここ最近、力を出し切れず、思うようなレースができていなかったが、地元記念で勝ち上がりでいいレースができたので、残りの2日間も思うようなレースをしたい」

<7R>

村上義弘選手
村上義弘選手
 打鐘過ぎに先頭に立った中井俊亮に対して中釜章成がカマして出たが、肥後尚己が離れて、単騎での仕掛けに。車間を詰めた中井が3コーナーから中釜をまくると、続いた村上義弘(写真)がゴール前で逆転した。
 「自分たちが絶対的な本線だし、シュン(中井)も受けて立つ組み立てかなと思ったので前から。中釜君は一発で止まるかと思ったら、気持ちが入ってましたね。強かったと思う。2センターぐらいで内が空いたので入られると良くないと思って差し込みながら様子を見た。疲れもあるかなと思うけど、色々修正を繰り返して立て直したいと思う」
 中井俊亮も2着に残って人気サイドで決着した。
 「前からタイミングが来たら、どっかで積極的に行こうと思ってました。中釜君の巻き返しが早かったけど、動きは見えてたので落ち着いてレースできた。感触自体も悪くないと思う。とりあえずラインで決まって良かった。決勝に乗れるように積極的に明日(準決勝)も頑張りたい」

<8R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 伊藤信の上昇に谷田泰平は続かず寺崎浩平は3番手。打鐘で伊藤がペースを緩めて寺崎ににらみを効かせるも寺崎は踏み上げて最終ホームで伊藤を叩き切る。最後は絶好展開の東口善朋(写真)が差し切った。
 「早期卒業生で周りが騒ぎ立てているから緊張感を持って走った。(寺崎君は)堂々とした走りっぷりでした。6車立てで、構成的には簡単に見えるけど、9車立てと違って難しい。踏み出しさえ付け切れば、何とかなると思い集中していた。(スピードが)上がってしまえば、体重があるから乗せることができるから、なんとか差せました。1着を取れたのは自信になる」
 寺崎浩平は逃げ切れずの2着を悔しがる。
 「初手は後ろを考えていたので、中団だったのは想定外でした。後ろの様子が気になってしまい、仕掛けも遅くなった。始めから全開ではなくて、粘れると思ったが、思ったより粘れず、逃げ切れなくて残念。最近は差されることが多いので、そろそろ逃げ切りたい。2日間、持ち味を生かせているので、悪くない。明日(準決勝)は2着権利なので勝てるように頑張りたい」

<9R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 雨走路もなんのその。後ろ攻めから打鐘で一気に踏み込んだ脇本雄太(写真)が、隊列がバラけるほどのスピードの違いを見せて押し切った。
 「2分戦で前を取らされるかなと思ったけど、後ろからなら誘導を残しても自分のレースをしました。踏んだところからは(後ろの)確認も全然してないので。(雨で)バンクが濡れてたので宮杯の初日みたいに滑りたくないなって気持ちの面では弱気な部分があった。完全に回復したかと言われたらそうじゃないし、走れないほどかと言われたらそうでもない。走ってみないと何とも言えない状態ですね。(準決勝に向けて)自分で修正できるところはしてって感じ。自転車はいじるところがなくなった。明日(準決勝)もそのまま行こうと思う」
 離れた鷲田佳史に代わって脇本を追いかけた谷口遼平は2着まで。脇本の強さを肌で感じるレースだった。
 「ジャンで来るなと思ったので、そのときにしっかり踏んで、あとはどうなるか。考えたとおりだったんで。普通の人なら追いかけて休もうってなるけど、離れそうで追いかけるのに精いっぱいだったです。まくれる感じはしなかった。必死でした。差し込めれば良かったけど、いい経験はできました」
 脇本の仕掛けに離れてしまった鷲田佳史だが、谷口後位に下りて何とか3着をキープした。
 「しっかり付いていくことができなかったので、お客さんに申し訳なかった。諦めずに追いかけたけど、谷口君にも離れていったんで…。諦めなかったというのが(準決勝につながった)。準決勝も頑張ります」