『福井競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:7月8日

 福井競輪場で行なわれている開設72周年記念「不死鳥杯(GIII)」は7月8日が大会2日目。メインの二次予選では地元の脇本雄太を筆頭に、古性雄作、松浦悠士、松井宏佑と初日特選を走った機動型が次々に1着で勝ち上がっていった。中でも松井はバンクレコードタイとなる上がりタイム10秒6を叩き出し、脇本も上がりタイム10秒8のまくりで後続に大差を付けて圧勝とスピードの違いを見せ付けた。シリーズもいよいよ佳境。9日の3日目は準決3個レースでファイナル進出をかけた熾烈なバトルが繰り広げられる。
 福井競輪場では、9日、10日と競輪専門解説者によるレース予想会、「ご当地」グルメのキッチンカー、アウトドアイベントブース、夏祭り縁日などをご用意してお客様のご来場をお待ちしております。なお、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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藤井昭吾選手
藤井昭吾選手
 小森貴大が簗田一輝を打鍾前に叩いて先制する。吉澤純平は7番手に置かれ、小森がペースを上げて最終周回へ。小森マークの藤井昭吾(写真)は前と車間を切って別線の反撃に備え、詰めた勢いのままに直線で抜け出した。自力が本業の藤井だが、2日間の番手回りをモノにして連勝を決めた。
 「(小森は)掛かっていた。バックからの仕掛けも見えて、車間を切って詰めたら、そんなに後ろのまくりが進んでいなくて。残せそうだなと思ったけど、風もあったし4コーナーで詰まってしまった。もうちょい遅めに踏んだらどうだったかな。昨日(初日)のレースでもうちょっと引きつけて踏んでも残せると分かったので、もっと落ち着いて。番手の経験がないので落ち着けていない。巧い人なら(小森を)3着に残していると思うので」
 切って中団の簗田だったが、山口泰生のけん制もあってまくり不発。中近ライン3番手で藤井に続いた山口が2着に入った。
 「(小森が)積極的にいってくれて、そのおかげ。ピッタリ付いていったら、前が車間を空けた時に離されると思って、気持ち車間を空けて追走していました。ちょっと振ったときに4番手にラッキーパンチが入って。運も味方してくれましたね。昨日(初日)と一緒で、最後は一杯じゃなかったし、どこを踏もうかって余裕もありました」

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松井宏佑選手
松井宏佑選手
 谷口遼平が3番手の松井宏佑(写真)にフタをしてスローな流れ。松本貴治が打鍾で切ってレースが動きだす。谷口は最終ホーム目掛けてカマすと、外が開けた松井もすかさず反撃を開始。谷口をあっという間にまくり切った松井が1着。上がり10秒6のバンクレコードタイ記録を叩き出した。
 「理想としている前中団が取れたんですけど、残り1周まで谷口さんにフタをされていたので。すんなり切ってくれたらその上を叩こうと思っていたんですけど。谷口さんが行ったところで付いて行って、1センターから踏んだ感じですね。正直、疲れはありますけど踏んだ感触は悪くなかった」
 松井の加速に鈴木裕は若干離れ気味も、懸命に食らい付いて2着を確保。
 「上野(優太)君が(谷口を)突っ張ると思っていなくて想定外だったんですけど、松井君が下がらずに中団で粘ってくれたので良かった。スゲーきつかったですけど、あのまくりについて行けたので悪くないっすね。前回は良くなかったけど。昨日はちょっと車間を空けながら走った感じだったので。今回の方がいいですね」

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南修二選手
南修二選手
 松岡辰泰が3番手の野原雅也にフタをする。村上直久がその上を押えて出て、今度は松岡が打鍾で叩く。視界が開けた野原雅也は2センターでカマす。後方では接触があり、佐藤礼文と恩田淳平が落車し、奥原亨も車体故障を起こしてしまう。野原のカマシを受けた松岡は宇根秀俊をさばいて3番手を確保。最終4コーナーから外を踏むが、これをけん制した南修二(写真)が鋭く追い込んで1着。
 「全部野原に任せていました。強かったです。後ろの動きを見ながら、(ラインで)決まるように。ワンツーを目標に走っていたけど、技量不足でした。今日(2日目)も変わらず、戦える状態だと思います」
 動いて好位を取り切った松岡辰泰が南に続く形で2着に入り、勝ち上がりを決めた。
 「前を取れれば昨日(初日)みたいにカマシかまくりだったけど、後ろだったのでフタして、その上を切るところに合わせて出て、そこ目掛けて叩くって感じで。出切ってニュートラルに入れた時にガシャンって聞こえて踏み上げました。3番手ならゴール前勝負でいいと思って、8番(宇根)だけしのいで。前に出て、飛び付いてしのいでってできたので、脚の調子は悪くないですね」

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菅田壱道選手
菅田壱道選手
 切った菅田壱道(写真)を、打鍾前に藤田大輔が押さえる。7番手から森田優弥がカマすが、あおりもあってこの仕掛けに宿口陽一が離れてしまう。森田は裸逃げとなり、瓜生崇智が追い上げを狙うが、萩原孝之が最終2コーナーで大きく瓜生を張ってけん制する。菅田は空いた内をすくって位置を上げると、そのままの勢いで森田をまくって混戦を制した。
 「細切れ戦だしこれっていう作戦はなかったんですけど、それでも何パターンも考えていたんですけど。どれにも当てはまらない展開になったので臨機応変に走りました。外を踏もうと思っていたんですけど、内が空いたので考える前に瞬時に体が反応しました。考える前に動けているので状態は良いと思う」
 瓜生が萩原のけん制で後退すると、中本匠栄は切り替えて外から追い上げて菅田後位に入る。そのまま流れ込んで2着に入った。
 「ちょっと想像していた並びとは違ったんですけど、瓜生君の判断に任せていました。(萩原の)ブロックが大きかったんですけど、それでも瓜生君が勝つと思っていたので外に差し込んでしまっていて。内は間に合わないと思って外を踏ませてもらいました。3コーナーで休んだ分、最後は出なかったですね」

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松浦悠士選手
松浦悠士選手
 鈴木輝大、伊藤旭の順で切り、打鍾目掛けて山本紳貴が叩く。松浦悠士(写真)は南関勢の仕掛けを追って、間髪入れずにカマして出る。最終ホームではライン3車で出切ってあとは中国勢のペース。松浦が力強く逃げ切った。
 「細切れ戦なので、3つのラインが切った後、カマしたいと思ってました。自分たちの後ろのラインが切った所を付いていって叩くか、まくるかでしたね。山本さんが間を置いて切ったので、そこを叩こうと思った。3車でしたし、桑原(大志)さんを信頼して最終バックは取ろうと。自分の距離よりも長くて、しかもオーバーペースになったのでタレたけどギリギリ押し切れた。昨日(初日)の方が感じはよくて、今日(2日目)は朝起きたら体が重い感じがした。今日はアップを早目に切り上げたけど、昨日と同じ感じに戻してみる」
 松浦マークの桑原大志が仕事をして続き、中国ラインワンツーが決まった。
 「(松浦は)ほぼほぼ先行するだろうなって思っていたし、流石だなと。(仕掛けが)早いとかうんぬんじゃなくて、あそこがタイミングだったんでしょうね。自分は脚力が足りていないし、松浦君が気を使って駆けてくれた。それが嬉しい。年齢とか関係なく、なんでこんなに自分と違うんだろうと思うし、これからもう一回自転車と向き合いたい」

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古性優作選手
古性優作選手
 打鍾前に切った久米康平を、齋木翔多が一気に叩く。南関勢を追った古性優作(写真)は、3番手で久米と位置取りがバッティングしたまま最終周回に入る。古性は外併走から2コーナーでまくり発進。後続を千切って3車身差でゴールした。
 「もう(最終)ホーム前、2センターから仕掛けないとダメですね。なんかずっと引きずっている感じできつかったっすね。前のレースで松浦(悠士)さんが格好いいレースをしていたので、同じようなレースをしたかったんですけど。2センターで行っていれば澤田(義和)さんと中井(護)さんと3人で決められたと思うので。調子的には良くないなって感じですね。出力が落ちてしまっている感じで、タイムも出ていないと思います」
 最終2センターでは福田知也が斜行して久米が落車。そのあおりもあって澤田義和は古性と口が空いてしまい、後方からまくり追い込んだ坂本周作が2着に突っ込んだ。
 「できれば古性さんの後ろからがよかったので、イメージとは違ったんですけど、結果的によくなりました。古性さんの仕掛けにスイッチしていってと考えていたんですけど、思ったよりも出ましたね。昨日よりも軽く感じたし悪くないと思います」

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脇本雄太選手
脇本雄太選手
 スタートを中四国勢が取って北日本勢が中団。脇本雄太(写真)は周回中に7番手の位置取り。坂本周輝が赤板で先に動いて先頭に立つが、脇本は動じない。前と車間を切ってタイミングを取り、最終ホームから仕掛ける。グングンと加速していった脇本の前に別線は手も足も出ない。あっという間にまくり切り、最終的には2着に大差を付けて圧勝した。
 「後ろ攻めになるとは思っていなくて、けん制で前を取らされると思っていたので意外でした。中団から先に動かれた感じなんですけど、誘いには乗らずに自分の行きたいところで仕掛けた。自分の中ではジャンの4コーナーを過ぎて踏んだので1周くらいですかね。伸びてるって感じはあるんですけど、初日よりも仕掛けが半周遅いのに疲れが同じくらい。なので調子はあまりよくないのかな。気温も上がっているので体調を整えたい」
 脇本マークの稲垣裕之は湊聖二にさばかれて連結を外してしまう。先手を取った坂本後位から、阿部力也が差し脚を伸ばして2着に入った。
 「(坂本)周輝が駆けるつもりでいてくれた。一回出たら誰も出させない感じだったし、最悪ワッキー(脇本)だけにならいかれてもいいけど、あとは全部止めるつもりでいた。ワッキーはもうしょうがない。周輝のおかげですね。ハンドル周りを変えたんですけど、いい時のものに戻したので感覚的にはいいですね」