『福井競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:7月22日

 福井競輪場で開設73周年記念「不死鳥杯(GIII)」が、7月22日に幕を開けた。初日のメイン、特選は、北津留翼目標から追い込んだ山田庸平が1着で波乱の決着。地元の脇本雄太は7着に終わった。また、一次予選では、小森貴大、鷲田佳史の2人が地元で白星発進、二次予選に弾みをつけた。7月23日のシリーズ2日目は、S級S班3人がそれぞれ分かれて、二次予選で勝ち上がりを争う。
 記念シリーズは開催中の毎日、先着200人様にオリジナルエコ扇子をプレゼント。また、7月23日はグルメイベントブース、ウォーターパークin福井、選手会の福井支部による縁日イベントも予定されています。福井競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

園田匠選手
園田匠選手
 赤板2コーナー過ぎに笠松将太が、林慶次郎を押さえて主導権。しかしながら、鈴木陸来もすかさず仕掛ける。打鐘2センターで関貴之のブロックを受けた鈴木は、それでも踏み込むが最終1センター付近で力尽きる。後方でじっくりとタイミングをうかがっていた林は、2コーナー手前からまくりを打つ。林がスピードの違いで逃げる笠松をとらえて、林ライン3車が出切る。番手の園田匠(写真)が、ゴール前できっちりとらえた。
 「(林)慶次郎の好きに走らせていたし、もうなにも言うことはないです。自分はまだ朝早くて眠たいですね、ナイターからの今回だったので。明日(2日目)からは大丈夫だと思う。慶次郎が全部やってくれたし、吉本(哲郎)さんも3番手でしっかりしてくれていたので良かった。バンクがボコボコしていて、自分の乗り方だと後輪が滑っていたので、その辺のバランスを修正したい」
 笠松と鈴木が踏み合って林慶次郎のまくりごろ。好展開をモノにした林が、ラインを上位独占に導いた。
 「全部、作戦通りでした。モガき合ってくれたらラッキーだなって思っていた。ホームは向かい風で、そこを越えたら流れていってくれた。暑さで体がイマイチなのかフワフワしている。でも、しっかりゴール前踏み直せて、園田さんとゴール勝負できたので良かったです」


<2R>

 吉田茂生が上昇して、次の順番が来た原口昌平が動き出すと合わせて齋木翔多も仕掛ける。齋木の上を叩いた原口が、打鐘から先行策に出る。齋木は3番手に収まり、吉田が6番手の一本棒で最終ホームを通過する。2コーナー手前からアクションを起こした齋木だが、なかなか進まない。その外を吉田もまくって、逃げる原口マークの吉本卓仁は番手まくり。別線を合わせて勝ち切った。
 「(齋木のまくりは)ちょっと踏んで止まった感じがした。それでもうひと我慢と思ったら、原口君が内に避ける感じになって、もう出ていってしまった。(番手から)出ていきたくはなかったですね。要所、要所で離れているし、余裕はなかった。(前回の)函館の疲れが残っているのか、無理やり練習もした。それで久々にキツいですね。あんまり息が上がることもないんですけど」
 まくった齋木の余力と進み具合を確かめながら、佐々木龍は最終3コーナーで吉本後位に切り替えて2着。
 「(齋木は最終)ホームくらいから詰める勢いで行っちゃうのかと。そしたら2コーナーで休んだんで、僕も春日(勇人)さんがいるし、判断は難しかった。(齋木が)3コーナーで止まった感じがあったので、吉本さんのところにスイッチした。(落車で骨折した)鎖骨は大丈夫ですね。苦しかったけど、この1走で感覚を取り戻していきたい」


<3R>

 伊藤慶太郎が押さえて先頭に出たところに、立部楓真が仕掛けるが伊藤がペースを上げて駆ける。伊藤が主導権キープも、3番手以下はもつれる。立部が3番手に入り、坂本亮馬、勝瀬卓也で最終ホームを通過する。皿屋豊は6番手で桑原亮と併走で出られない。まくった立部を芦澤大輔がけん制。皿屋は内に詰まったままで、坂口晃輔はバック手前から前に踏み込む。4コーナーで大外をまくり気味に追い込んだ坂口が突き抜けた。
 「ゴチャつきましたね。皿屋さんも引き切れていなかったので、これ以上は厳しいのかなって。皿屋さんがどかして行ったとしても、時間が掛かりそうだった。後ろに小嶋(敬二)さんもいたので外を踏みました。進みは良くなかったので半信半疑でした」
 最終3コーナーでも皿屋と併走になっていた桑原亮は、2センター過ぎから追い込んで2着。
 「出だしはキツかったけど、(坂本)亮馬が内へ降りたので、亮馬もキツんだなって思った。外併走になっても脚を回せていたし、余裕はあった。坂口君を目標にする形になって、行けるところまで行こうと。調子は悪くないと思う。7車立てより9車立ての方が好きだし、これ以上修正するところはないです」


<4R>

 前受けの高田修汰は、赤板過ぎに菊池岳仁、小原丈一郎の上昇を阻んでそのまま先行態勢を取る。小原が3番手に入り、周回中は3番手にいた菊池岳は7番手で立て直して、打鐘2センターからスパートする。高田も合わせて逃げる。菊池岳が前団に迫り、最終1コーナーで菊池岳マークの杉森輝大を小原が大きく外に振る。高田、菊池岳との踏み合いを小原がまくりでのみ込んで先頭で入線も失格。大きな不利をこうむった杉森は、小原に続いて2位入線から繰り上がった。
 「(菊池岳の仕掛けに)間合いを取りながら、余裕をもって付いていた。(小原が)あそこまで来ると思ってなくて、(ブロックが)うまく入った感じですね。完全に外に浮かされて、遅れをとったんでうまく走れればと。前回からは、中3日でケア中心で自転車には乗ってない。だから、初日は体が重いのかと思ってたんで、明日(2日目)以降は立て直して走れるかなと」
 高田の気迫のこもった走りに付けた古賀勝大が、直線で差し脚を伸ばした。
 「高田君が思い切って行ってくれて、いいペースでした。(高田が菊池岳を)合わせてたのに、(止められなくて)申し訳なかったです。最後はもう(高田を)抜くしかないと。(脚の感じは)とくに悪くないです」


<5R>

河野通孝選手
河野通孝選手
 赤板過ぎに磯島康祐が飛び出して、関東3車が続く。前受けの地元の脇本勇希はすんなり7番手まで下げる。車間を空けた脇本は打鐘を通過しても仕掛けず、引きつけた磯島が最終ホームを目がけてペースアップ。2コーナー手前から脇本がまくるが、川津悠揮のけん制でスピードが鈍る。外を岡崎智哉が踏み込む。が、阿部大樹マークから中のコースを河野通孝(写真)が、シャープに伸びた。
 「脇本君が来る前に阿部君も仕掛けていれば、チャンスがあったと思う。(最終)3コーナーくらいからは内も見て、詰まっていたので外に行きました。アタマまで突き抜けたのはたまたまです」
 脇本のまくりに乗った岡崎智哉は、最終4コーナーで外を踏み込んで2着。
 「脇本君の動向をうかがいながら、最後は前に踏みました。細かいところをいろいろ修正していきたい。フォーム的な部分でいろいろとやりたいことがあったが、1走して物足りなさを感じる。結果も求めながら、修正していきたい」


<6R>

稲毛健太選手
稲毛健太選手
 打鐘手前でじわりと出た小原唯志が主導権。4番手で山本直と併走になった稲毛健太(写真)は、スローペースのなかを打鐘4コーナーでインを進出する。柴田洋輔の横まで行きかけるが、小原が踏んで稲毛は3番手を手に入れる。詰める勢いで最終2コーナー過ぎからまくった稲毛が、関東勢を仕留めた。
 「山本選手の動き次第でしたね。(押さえに来るのが)遅かったら、踏んで踏んでと。(結果的に中団併走になり)いつもだったら引くんですけど、(渡辺)十夢さんもいるんで。(3番手からのまくりは)そこまで出も良くなかった。(先行の)小原さんもすんなりだった。(三谷)政史さんまで(ラインの3人で)決められれば良かったんですけど。(実質的に)中2日でほぼほぼ練習してなくて初日は不安だった。けど、前々にいって、思いのほか良かった」
 稲毛マークから直線で外を追い込んだ渡辺十夢は、半車身差の2着。ラインでのワンツーも、地元記念白星スタートとはいかなかった。
 「(稲毛は)すばらしい自在選手の動きというか、うまかったですね。(稲毛を3番手に)うまく迎え入れられたと思うけど、(自分は)イマニ、イマサンかな。(稲毛を)交わせるかと思ったけど。悪くはないんで、ボチボチです」


<7R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 前受けの大矢崇弘は佐々木豪(写真)を突っ張る。その大矢がペースを落としたところを、土生敦弘が仕掛けて打鐘過ぎに主導権を握る。土生のペースで、大矢は4番手を確保。車間が空いた6番手で最終ホームを通過した佐々木は、詰める勢いでバック手前から襲い掛かる。鷲田幸司が外に振るが、佐々木のスピードが抜群。あっさりとまくり切って抜け出した。
 「中団を立ち回っていい位置取りでいきたかったけど、変なことをして脚を使うなら気持ちを切り替えてまくりにしようと思った。土生君が気持ちの入った先行をしていたけど、落ち着いて車間を詰めながらまくっていけました。脚はかなり重たい。でも、気持ちでカバーできています」
 佐々木の加速に難なく対応して、8分の1輪まで迫った柏野智典の状態も悪くなさそうだ。
 「思っていた組み立てと違った。関東は前受けからだったので、ああいうレースをするってことだろうなと。厳しそうだなって思ったけど、佐々木君は射程圏に入れている感じで仕掛けていってくれた。まくり切るだろうなって思っていました。佐々木君のまくりに迫れたし、脚は悪くないです」


<8R>

鷲田佳史選手
鷲田佳史選手
 能代谷元、金子幸央、小原周祐の順番で切って出て、藤井栄二が打鐘2センターで主導権を握って出る。ぐるりと1回りして、周回中の隊列と同じ並びで最終ホームを通過する。4番手で車間が空いた小原は動けず、先手を取った近畿勢の流れ。6番手の金子が3コーナー過ぎから追い込むも、番手の鷲田佳史(写真)が願ってもない展開をホームバンクでモノにした。
 「地元記念で1着を取れるなんて、なかなかないんでうれしいです。藤井君もいい掛かりだったし、バックが向かい風なんで余裕がなかったら(藤井との車間を)空けられない。(4月に)ギックリをやって、復帰戦の久留米では7、8割くらいだった。ようやくですね。連戦だったけど、練習で基礎トレーニングをして、それを実戦で出すうような感じでやってきた。(地元記念に)出られない時は、指をくわえて見ていたけど。(地元記念に出られるっていうのは)競輪選手になって良かったと思える瞬間ですね」
 鷲田に仕事をさせないペース配分で、藤井栄二が逃げ粘った。
 「(前受けから)ほかのラインにも脚を使わせてっていうレースに持ち込みたかった。理想の流れになりました。誰が付いてもしっかりっていうのはあるんですけど、(後ろが)地元の方っていうのはより一層、気持ちが入りました。ホームが追い風なんで、そこで(スピードに)乗せようと思ってました」


<9R>

 北日本勢が前団に構える。渡邉一成は下井竜を送り出して中団に下げると、そこを竹内翼が踏み込む。竹内は空いた下井の後ろに入り、前団の隊列が短くったところを渡邉が打鐘で反撃。北日本3番手の佐々木省司と下井が接触して、最終ホーム手前で下井が落車。佐々木省は車体故障。アクシデントで出切った渡邉、佐々木雄一の後ろが大きく離れる。福島勢のゴール勝負は、佐々木雄が、渡邉を交わして1着。
 「(渡邉の)踏み出しが良かった。自分は久々のレースだったのでビリビリしながら付いていきました。最後、交わせたのはギリギリです。腰を治してから2週間ほどトレーニングはできたし、今日(初日)で1走したので不安も楽になりました」
 流れも向いたが、渡邉一成は例によって出し惜しみなく仕掛ける。1周半を駆けて結果につなげた。
 「下井君が竹内君を突っ張って、その時に仕掛けていったけど、車の出はイマイチでした。暑さもあるんだと思う。ちゅうちょなく踏めているのはいいけど、(佐々木)省司さんが内を締めなきゃいけないような形になったのは反省というか課題ですね。(佐々木)雄一さんも車間を切っていただろうし、うまくコントロールしながら脚をためられたと思う」


<10R>

中井太祐選手
中井太祐選手
 中団の蒔田英彦が赤板過ぎに切って、近畿ライン3車を受ける。根本哲吏を後方に置いて、上杉嘉槻がホームバンクで快調に風を切る。最終バック手前から根本がまくるが前が遠い。番手の中井太祐(写真)が、別線との間合いを計り追い込んだ。
 「(上杉は)絶対に主導権っていう気持ちの入った走りだった。初連係だったので、どれくらい掛かっていくのかわからなくて、あんまり(車間を)切れなかった。けど、(別線に)来られるようなスピードではなかった。(終わってから)映像を見たら、(自分が踏むのを)もうちょっと待っても良かった。(上杉を)3着に残したかった。夏バテ気味の感じもあったんで不安があったけど、1着なんで気にせずに走りたい」
 4番手キープで脚を温存した蒔田英彦は、まくり追い込みで2着に届いた。
 「(上杉は)赤板前の半周くらいから上がってきたんで早いかなと思った。でも、(上杉に先に)行かれた、もう出させてくれないと。そのあとは7番手からじゃないんで、脚はたまってました。カッコよく言えば、(仕掛けの)タイミングを遅らせたけど、上杉君が掛かってたんであのタイミングになりました(笑)。1、2カ月前じゃ、こんなに伸びてないと思うし良かった」


<11R>

 赤板2コーナーで真船圭一郎が、。古屋琢晶を押さえてペースを握る。単騎の柿本大貴が続いて、古屋は5番手に下げる。後方になった小森貴大は、打鐘3コーナーから巻き返す。真船も合わせて、今度は空いた3番手に小森が入り最終周回。3番手まくりの小森が3コーナー過ぎにまくり切り、最終ホームで丸山貴秀にからまれた神田紘輔は2センターで荻原尚人にさばかれる。地元の小森が後ろをちぎった。
 「しっかり力勝負をしようと思っていたけど、(仕掛けが)ちょっとワンテンポ遅かったかも。3番手が空いているのが見えたので、冷静になりました。ちょっと脚はキツかった。ただ、荻原さんのけん制を乗り越えられればいけると思った」
 真船が小森を出させずに逃げる。番手の荻原尚人は、遅れ気味の神田を阻んで追い込んだ。
 「真船君が楽に出られる展開が理想でしたね。後ろに9番(小森)が入ったのはわかったけど、暑さなのか誰だっけみたいな感じになりました。そのあとまくって来た時に小森君だって。ビシっと止められれば良かったけど、止められなかった。真船君は最高の先行をしてくれたし、勝ち上がれたのは前のおかげです」


<12R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 吉田拓矢が赤板で6番手の脇本雄太に併せ込むと、脇本は下げて8番手。さらに踏み込んだ吉田が打鐘で出て、その上を神奈川コンビが叩く。松井宏佑が4コーナーで主導権を奪い最終周回へ。3番手に吉田、5番手に北津留翼。脇本は一本棒の8番手に置かれ、2コーナーからまくるも前が遠い。3コーナーから吉田、北津留が踏み上げる。北津留がスライスして、付けた山田庸平(写真)は2センターから外を踏んで鮮やかに突き抜けた。
 「(北津留に)スピードをもらえたんで、自分の持ち味が生きたかなと。サマーナイトフェスティバルの準決のこともあったんで、外に行ったらマズいかなと思って踏んだ。今日(初日)は周回中はあんまり余裕がなかったけど、(最終)4コーナーからは伸びていった。(前回から換えた)フレームがいいのかはわからない。とくに(セッティングを)いじることもないと思う。自転車に体を合わせていく感じかなと」
 吉田に付けた佐藤慎太郎は、最終4コーナーで和田真久留の内に進路を取って神奈川コンビの中を割って伸びた。
 「(吉田は)先行するっていう気持ちがあったから、いい位置に収まれたんだと。松井(宏佑)も強い選手だし、(吉田の)タイミングの取り方とかも良かった。吉田がいいレースをしてくれた。自分は一番外っていう(コースの)選択はなかった。吉田の内か、和田の内かでした。仕上がっている時は外を踏めるけど、目がそっち(外のコース)にいかないってことは、そういうデキなんだと思います」
 まくった脇本が外を回り、古性優作は最終2センターから内よりのコースを踏んで3着に強襲。しかしながら、自己ジャッジは厳しい。
 「僕の感触は最悪。全然、ダメです。力が入らない。見てもらった通りですね」