『福井競輪場開設56周年記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:7月31日



 市田佳寿浩、新制度で初の地元記念制覇に王手! 『不死鳥杯』をサブタイトルに開設56周年福井記念(GⅢ)は、今日が大会三日目。準決勝4個レースをメインに熱戦が繰り広げられた。サマーナイトフェスティバル優勝の余勢を駆った市田、東日本の“大砲”へと成長した山崎芳仁がソツなく白星を奪取。有坂直樹が賞金ランク2位の鋭さで絶体絶命のピンチを凌ぐなど、今日もトップクラスがプライドを懸けた1日をレポートします。
 明日はいよいよ決勝戦。記念チャンプの栄誉と優勝賞金420万円(副賞含む)を懸け、今シリーズのベストナインが激突します。また、初代グランドスラマー・井上茂徳氏が場内ステージに登場する他、サイクルシアターに入場された皆様(292名)には「福井競輪オリジナルクオカード(500円分)」が配布される予定です。今年の後半戦を占う大一番に、イベント、ファンサービス等が盛りだくさん。昭和天皇のお言葉をヒントに名づけられた“越前おろしそば”など名物が多く、梅雨が空け夏本番の福井市、そして福井競輪場に是非足をお運びください。
 

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松岡健介選手
松岡健介選手
   1着権利の準決勝C、狭き門を突破したのは松岡健介(写真)だった。最終ホームで松岡慶彦ら前団のペースがスローになると、満を持してカマシ発進。鈴木幸紀ら後続を千切り、そのまま粘り良くゴール線を駆け抜けた。自身の逃げイチとはいえ、記念初優参を果たす結果に「先行一車は、あんまり好きじゃない。三和(英樹)さんにセッティングを直してもらい、市田(佳寿浩)さんには作戦を考えてもらった。沢田(義和)さんや中村(一将)さんには、『踏み出した後で流すな』とアドバイスされた。いつもは流して失敗してますからね。周りを見ずに踏んだのも良かったかも」。腰痛の影響で本調子を欠くとはいえ、持ち前のダッシュ力を出し切り笑顔が続いた。
 2着は岡田雅之だった。優参が叶わなかったものの、直線では大外から松岡健介に詰め寄り「伸びた? いやいや、豊田(知之)さんが頑張ってくれたお陰です。ただ、S級のレース勘は戻っている。高速に上げてもらえるS級戦は戦いやすい。A級は自分でペースを上げなくてはならない。自分は低速から中速、高速に上げるのが苦手ですからね」。S級復帰3場所目で、手応えを確かにした。


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森田達也選手
森田達也選手
   準決勝Bでは森田達也(写真)と高木隆弘が、それぞれ1、2着で優参を果たした。本村隆文の先制に、森田は最終バックを七番手で通過。バックまくりで前団を飲み込むと、ゴールまでその勢いは衰えなかった。発走の際に各車が牽制した中、真っ先に誘導員を追ったのも森田。意外な形で脚力をロスする流れを克服し「きつかった。脚を使わされて、最後は踏みっぱなし。展開が良かっただけ。状態?良いんでしょうかね、(決勝に)行けたのだから。明日にはもっと疲れが取れれば良いですね」。中2日の追加参戦ながら、配分停止の9月を前に初の記念優参と流れを呼び込んだ。
 高木は2着惜敗にも納得の表情。森田の三番手から中団四番手へと切り替え、怒涛のバックまくりでジカ付け目標不在のピンチを凌いだ。「苦しかった。切り替えたのは仕方ない。(番手が)競りで(森田が)まくりなら、(自分は)離れちゃう。6番(本村)が捨て身で駆けそうだったからね。バックで踏み出そうと決めていた。よく凌げたよ。大きい。明日は脚が残っているかな…」と、冗談まじりに疲労感を口にした。


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山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   山崎芳仁(写真)が強さを際立たせた。吉田敏洋、荒井崇博を相手に打鐘過ぎから先制。その後はペース配分を絶妙に変え、番手の坂本英一に差し込む余地さえ与えなかった。クールダウンを終えて、山崎は余裕たっぷりに「軽かった。ある程度、(吉田と荒井を)引きつけてから、位置を確認してから踏めば良いかなと。良いペースで駆けられた」。調整不足での参戦にも、熊本以来の記念Ⅴへ徐々に状態は上がっている。
 坂本は山崎の強さに驚くばかり。「最後は全力で踏んだけどね。笹川(竜治)と3人で打ち合わせしたら、山崎は『先行したいです』と。それを聞いたら緊張した。迷惑を掛けないよう、番手の仕事をしなくてはと。駆け出しの前から力が入ったよね」とレース前、レース中の心境を思い起こした。


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市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手
   市田佳寿浩(写真)がシリーズ2勝目を上げた。打鐘から最終ホームにかけて、外から内へと車を差し込み三ツ石康洋の番手を奪取。その後も絶好態勢は変わらず、2センター過ぎから踏み出し楽にゴール線を駆け抜けた。これで、3連勝で飾った平成10年7月以来の記念Ⅴへリーチ。「(打鐘からの立ち回りは)とっさの判断。さすがに1周半(を逃げる)はきつい。軽く踏んだら、三ツ石君のラインが崩れた。容赦なく斬りこんだよ。反応? 抜群です。レースが小さいとか何を言われても良い。一応自在屋だし、もつ距離で踏みたい。ただ、近畿ラインを連れてけなかったのは僕の責任。明日は展開がどうなっても諦めない。暴れます。勝ちます!」と口調は穏やかに宣言した。
 有坂直樹は最終バックを9番手で通過。それでも、確定行きを逃さなかった。コンビを組んだ太田真一のバックまくりが不発にも、その勢いを借りてゴール寸前は市田、合志正臣に3着と迫った。大ピンチを凌いだにもかかわらず、涼しい表情で「太田のスピードが凄かった。(最終)ホームで変な音がしなければ、もっと前(の位置)から仕掛けられた。そしたら、2人でワン・ツーだったかも。自分は冷静にコースが見えて良い感じ。明日は楽しみな決勝だね」。

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