『福井競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:6月29日


 スタートで勢いよく飛び出したのは坂上樹大。これで柴崎淳-坂上-朝日勇の中部勢が前受け。この後ろに佐藤慎太郎が入り、村上義弘-市田佳寿浩が中団に構え、萩原孝之-望月裕一郎-鈴木誠の南関勢が後攻めで周回が進んでいく。
  赤板前から萩原が上昇を開始し、柴崎を押さえ込むと、打鐘前に村上が巻き返して主導権を奪取。ワンテンポ遅れて佐藤が切り替えて村上ラインの後位三番手へ。萩原は中団キープ、車を下げた柴崎は一気のカマシを狙って踏み込む。しかし、村上も懸命にこれを突っ張り、両者でモガキ合いとなるが、最終バック手前で村上が突っ張りきり柴崎は失速。するとモガキ合いを見極めた萩原がまくり上げたが、車間を空けていた市田が萩原に合わせて前に踏み出し直線へ。全力でモガく市田を4回転パワーで佐藤が一気に抜き去り歓喜のガッツポーズ。市田が2着で、萩原のスピードをもらった望月が3着強襲。

決勝戦 レース経過
  福井競輪場開設59周年記念「不死鳥杯」は最終日の決勝戦を迎えた。S級S班の新田康仁、紫原政文はまさかの脱落を喫し、波乱に満ちた準決勝となったが、地元期待の市田佳寿浩や、村上義弘は実力を発揮して順当に決勝へ駒を進めた。注目の決勝は、村上の三番手を確保した佐藤慎太郎が追い込んで優勝した。

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
   連日、怒涛のまくりを放った佐藤慎太郎が最後は地元・近畿勢の野望を切り裂いた。ジャンで村上の三番手へ俊敏にスイッチすると、早めに追い込みをかけた市田をゴール前で捕らえて優勝。勢いは最後まで止まらなかった。
 「南関が先行するかなと思っていたんでそのラインに付いて行って、早めに巻き返しがくれば飛び付こうかなと思っていた。でも、村上さんは熱い人だから先行もあるかなと。そうしたらジャンで(村上さんが)行ったんで切り替えました。坂上(樹大)君が下りてきて入られると終わりだから、そこだけは注意してました。あとは市田さんが内か外のどちらを踏むか。幸い前に踏んでくれたんで、自分はその外を思いっきりいきました」
 昨年5月の全プロ記念で落車し、剥離骨折の大怪我を負い入院。長期欠場を余儀なくされた。しかし、長い我慢の末、ビッグ復帰戦となった前回の高松宮記念杯では勝ち上がりに失敗したが2日目から3連勝。苦難を乗り越えてようやく表舞台に戻ってきた。
 「今はやってないけど、怪我をしている間、ずっとブログを通して応援してくれている人もいたし、喜んでもらえると思う。高松宮記念杯ではどこまで戦えるか不安の中で走ったけど、今回は一人一人の動きを落ち着いて見られるようになったし、力まずに自信を持って走れた。まだまだ完成形ではないので、これからも上を目指していきたい」


 市田佳寿浩は地元Vをつかみかけたが、ゴール寸前で両手からスルリとこぼれ落ちた。あまりの悔しさにレース後は涙を見せる。
「村上さんやファンに申し訳ないの一言。バックで萩原君のスピードが良く見えたし、慎太郎も後ろを確認してたんで焦って出てしまった。車間を空けてもう少し引き付けてから踏めばよかった。慎太郎が強かったけど、自分に冷静さがなかった」

 3着は望月裕一郎。前を任せた萩原のスピードが鈍ると、最後は落ち着いてコースを探して伸びてきた。
「スピードが良かったんで、萩原君は行けると思ったんですけどね。止まりそうだったでニュートラルに入れて、コースを探しました。あんな一流のメンバーの中で3着に入れたし、今回は自信になった。レースが楽しかったですよ」

 村上義弘は持てる力を振り絞ったが、最後は2センターで力尽きた。
  「もう少し(柴崎が)遅ければ中団に入ることも考えたけど、あそこで叩かれたらもう勝負権はないから。雨だから飛び付きは落車のリスクがあるし、お客さんが望んでいるレースで結果を出そうと思っていたので、それなら先行かと。近畿地区だしラインから優勝者を出したかったけど、そこまでの実力がなかったということです」

 村上に真っ向勝負を挑んだ柴崎淳は、敗れたものの力を出し切り満足げ。
  「村上さんをすんなり逃してはまくれないし、今日は先行しようと思っていた。村上さんはジャンから全開で踏んできたし出切れなかった。雨で前が見えにくかったし、後ろ攻めをして自分から動いた方が良かったかも」
  村上と柴崎で壮絶にやり合い、萩原孝之に展開が向いたが。
「押さえて遅めに来たら突っ張ることも考えてたけど、村上さんが早めに来たので。先行争いになって、予想した通りの展開になったんだけどね…」と、最後は力負けに終わった。
 なお、本日の3レースをもちまして、江嶋康光選手が32年間の選手生活にピリオドを打ちました。敢闘門ではご家族とたくさんの選手達に出迎えられ、花束が手渡されました。

  「最後のレースを無事に走れてホッとしています。(引退にするにあたって)悔いはあるけど、後悔はありません。今後のことは全くの白紙ですが、僕でよければ競輪界にお手伝いができればと思っています。今までご声援ありがとうございました」


ゴール





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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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