『福井競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:9月30日


 いよいよ今日から福井競輪開設60周年記念「不死鳥杯」が開幕した。初日から地元勢はエンジン全開。伊原克彦の逃げ切りに始まり、鋭い伸びでトリを飾った市田佳寿浩と4名で3勝を挙げる大活躍を見せた。明日も優秀の「福ノ井賞」をメーンに、2次予選ではし烈なサバイバルレースが展開される。
  明日(1日)は外れ車券抽選会や特別観覧席・シアター利用者から抽選で20名様にオリジナル日本酒プレゼント、バンク内観戦なども予定しております。白熱の福井記念をぜひ本場でご観戦ください。


<1R>
片寄雄己選手
片寄雄己選手
   中団争いのつもりが引けなくなった自力型2車がイン粘り。これでマイペースに持ち込んだ片寄雄己(写真)が、まんまと逃げ切った。
  「あれじゃ踏む必要はないですよね。後ろの動きは全て見えてたし、あとは誰が来るか。大熊さんの追い上げも見えてたし、誰が来ても合わせられる自信はあるので。朝イチは大好きだし、状態も悪くないですね」
  タイミング良く追い上げた大熊正太郎は「俺ばっかりだったけど、仕方ないですね。引いて追い上げしかないと思ったけど、バッチリ決まった」としてやったり。


<2R>
筒井裕哉選手
筒井裕哉選手
   大きく分けて2分戦となったこのレースも逃げる筒井裕哉(写真)の番手で小島雅章がイン粘り。後続のモツれを尻目に筒井が逃げ切った。
  「小島さんは引いて力勝負かなと思ったら、打鐘で内にいるから引かないんだって。あとは小堺(浩二)の動きだけを見てました。ジワジワ踏んで2コーナー勝負だったら四宮(哲郎)さんが勝てるかなと思ったんですけどね。僕は変わらず自信がないけど、今日はこれ以上ない展開だったから。今回は松岡(健介)さんの代わりで追加。勝ち上がりたかったので、とりあえず良かったです」
  粘った小島雅章が2着に。「今日は後ろ攻めだったら押さえるし、筒井くんが来るのが遅ければ粘って、早ければ引くの3パターンでした。引いたら杉浦(康一)さんに切り替えられるからね」と組み立てを説明した。


<3R>
 このレースでも逃げる村上直久の番手で村上卓茂がイン粘り。村上直が押し切り、1Rから3連続で逃げが決まった。
  「今日は先行にこだわりました。すんなりと駆けられたけど、6番(山口貴弘)に横まで来られたのが納得できないですね。バックで踏み直したときにブレたのも反省点です。良いときはそんなことないので、2次予選までに修正したい。後ろも付いてきてくれて良かったです」
  土屋裕二は外併走をしのいで番手を死守した。
  「6番は止まるだろうと思ったし、外も苦にならなかった。からまれたけど何とかしのげました」


<4R>
 ホームからカマした片岡迪之の番手から室井健一が鋭く抜け出した。
  「(ホームで)屋良(朝春)くんに合わされるかと思ったけどね。前半は逃げが決まってたから片岡くんもそのまま行けるかと思ったけど、無理して行ってくれた分最後はタレた。残したかったけど、仕方がない。僕はそこそこの感じじゃないですか」
  4回転の大ギアにモノを言わせた布居寛幸が2着に強襲した。
  「(後ろでレースが始まって)もう少し遅ければ突っ張ろうかと思ったけど、まだ早いなと思った。勢いを付けて3コーナーから行ったら僕は無理でも後ろの三橋(政弘)さんが内を行ってくれると思ってた。もがき合いになると思ったらスンナリ出させたのでびっくりしたけど、今日はたまたまです」


<5R>
 打鐘から突っ張る小松剛之の抵抗を強引に叩いた伊原克彦がそのまま逃げ切り。地元勢の好スタートを切った。
  「小松さんの突っ張りは頭にありました。(赤板の)ホームは4番(滝山実)さんを行かせてってのもあったので、ちょっと迷いましたね。叩いてからも余裕はあったけど、4番に来られんように警戒してました。ちょっと緊張したけど、体調は問題ない。今日踏んだので、明日はもっと楽になると思う」
  小松に粘られた門野匡秀だったが、番手を死守。「何より伊原が(勝って)良かった」とホッとした表情を浮かべた。
  3番手で立て直した小松剛之も積極的なレースを見せた。
  「行かれたら粘るつもりだったけど、出させるつもりはなかった。全力だったんですけどね。ホームは苦しかったけど、頑張れてますね」


<6R>
 良永浩一を出させず根田空史が強引に先行。そのまま押し切るかに、ベテラン梅澤謙芝が豪快なまくりを決めた。
  「僕は負けてもと思って走ってるけど、オジサンに負けられんと思って走る根田くんは損ですよね。(新藤敦の)ブロックはキツかったけど、来ると思ってたのでもらわないようによけて走った。僕は展開次第ですよ。6番(良永)が行ってくれて、それがなかったら厳しかった。根田くんをまくれたので十分です」
  力強い先行を見せた根田空史だが、表情は冴えない。
  「前回で感じが戻ってると思ったら、また元どおり。踏んでないと失速する感じで回せてないですね。自分のペースで行けなかった。原因は分からないし、何だか嫌な方向に向かってる気がする。どうにかしないと」
  梅澤のまくりに続いて3着の疋田敏は笑顔が絶えない。
  「梅澤さんは僕が付くと走行距離が長いんです。今日も安心してました。僕も前回の3日目から感じが良かったので、梅澤さんが一番スピードの出るパターンで一発狙ってくださいと伝えてました。旧式2人で勝ち上がれて良かったです」


<7R>
渡辺十夢選手
渡辺十夢選手
   松田優一が先行態勢に入ったが、そこをすかさず稲川翔が叩いて出る。松田に粘られそうになった渡辺十夢(写真)だったが、これをあっさり下ろすと最後もきっちりと勝機をモノにした。
  「ホームでドンと当たったときにバックを踏まれたら苦しかったけど、翔がよく駆けてくれました。からまれたので抜けないと思ったけど、翔をかばう余裕はあったし意外に良かった。とりあえずホッとしました」
  4番手で立て直した須田雄一が鋭く伸びて2着に。
  「前回の落車で直前はケアばかりだったから、練習ができてなかった。勝ち上がれて良かったです」
  3着に敗れてしまった稲川翔だが、全く悲壮感は見られない。
  「力を出し切るレースはできたので。最後は末を欠くんじゃってバックで思ったけど、改善できる点がある。修正すれば、もっと長い距離が踏めるんじゃないかな」


<8R>
大井啓世選手
大井啓世選手
   圧倒的な人気を集めた脇本雄太を、番手の大井啓世(写真)が逆転。インで粘る近藤隆司の抵抗をしのいでの結果だけに、なおさら価値はある。
  「6番(近藤)の子は粘るだろうと思ってたし、外併走でも楽だったからイケルかなと思った。最近は何とか踏めるようになってきましたね。頑張って準決勝に行きたい」
  差された脇本雄太だが、逃げることで自分自身の状態を確認できたようだ。
  「落車の影響はありましたね。体が崩れてたし、(落車は)右に倒れたから右半身に力が入りづらい。でも今日で2周行けることは分かったので。落車明けで2周なら、まだまともな状態ですよ。新車は新しい分、まだ硬いけど、それも許容範囲内。とりあえずゆっくり休みます」


<9R>
兵藤一也選手
兵藤一也選手
    前々に動いた井上昌己を相手に、矢口啓一郎が中団外併走からホームガマシ。吉川誠の巻き返しを阻んだ兵藤一也(写真)が番手絶好の展開を生かした。
  「矢口は絶好調だし、どんな走りをするか楽しみだったけど、やっぱり強かったです。1着は久々(高松宮記念杯以来)なんですね。矢口が落ち着いてたし、自信がありそうだった。吉川にブロックを逃げられてかぶったけど、何とかラインで決まって良かったです」
  2着には関東ライン3番手を固めた宗景祐樹が食い込んだ。
  「前の2人が頑張ったのに付いて行っただけ。たまには良いこともないとね。矢口を抜けたんだから、たぶん調子も大丈夫だと思います」
  矢口啓一郎も最近の好調ぶりをうかがわせるに十分な走りを見せた。
  「落ち着いてないとキツいレースでしたね。最終的に先行できたのも理想どおりでした。ラインで決まって最高です。流れもあるけど、調子も変わらず良いと思う。調子が良くなければ兵藤さんも吉川を止められなかったでしょうから」
  まくり不発に終わった吉川誠だったが、「コーナーにかからなければね。でも良い感じで行けたと思う」と密かに手ごたえをつかんだ様子。


<10R>
南修二選手
南修二選手
   先行態勢に入った濱田浩司をホームから村上義弘が強引に巻き返す。バックで飲み込んだ村上後位から最後は南修二(写真)が抜け出した。
  「村上さんを抜いたのは初めてです。今日は脚が軽かったですね。岩津の動きは見えてたし、来られても耐えられるように差しながら回れた。ワンツーが決まって最高だし、もっと技術と脚力を磨いて頑張っていきたい」
  「昨日重かったから」と当日にギアを変更した村上義弘。「後ろに3人付いてるし、できるだけ早めに動こうとは思ってた。ギアをかけてダッシュとか実戦練習から遠ざかってるのでちょっとギアが重いかな」としながらも、さすがの力強さでファンを沸かせた。
  岩津にからまれながらも3着に食い込んだ山口富生も調子が良さそうだ。
  「ホームで休みたいところを村上はよく頑張ってくれた。ペースに入ってたので出切れると思ってました。修二がからまれると思ったら、俺のとこだったね。何とか頑張って3着だし、悪くないと思う」
  濱田浩司は「緩めたつもりはないのに、楽勝で行かれた」とガックリ肩を落とした。


<11R>
園田匠選手
園田匠選手
   市田佳寿浩が最終バック8番手に置かれる大ピンチ。それでも3コーナーから空いたインコースを突くと、鋭くアタマまで突き抜けた。
  「福井の若手が良い競走をしてるのに、たとえ9番手でも踏まずに終わるのは格好悪いからね。結果はどうあれ今日は敏洋の存在が頼もしかった。浮いてしまったけど、仕掛けてくれなければ内も空かなかったんだから。この展開を切り抜けられたのは大きいし、明日からももっと苦しい展開が待ってると思う。今日勝ってもあと3走って思いは強いね。とにかく今日は突き抜けられて良かった。それに尽きるね」
  逃げる吉本卓仁の番手で絶好かに見えた園田匠(写真)だったが、市田の強襲に屈した。
  「石毛(克幸)さんが来て、止まったのも分かった。市田さんたちが来るなら外だろうし、決まったと思ったら油断してましたね。これも勉強ですね。悔しいし、頑張ってくれたのに申し訳ない。でも脚の方は仕上がってると思います」
  三谷将太は市田の動きに感心しきり。
  「さすがですね。市田さんがどのコースを行くか分からなかったので、付いて行くことに集中しました」
  逃げた吉本卓仁は「怖くて流せなかった感じです。思い切って行って大きな着ではなかったので自信になりました」と5着でも手ごたえを感じ入る走りに胸を張った。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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