『福井競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:7月31日
 福井競輪場開設62周年記念「不死鳥杯」は7月31日に最終日を迎えた。真夏の厳しい暑さが続くなかで選手達は4日間を全力で戦い抜いた。注目の決勝戦は脇本雄太の先行を武田豊樹が3番手から力強くまくって快勝。無傷の4連勝で通算18回目のG3優勝を飾った。地元記念3連覇の偉業に挑んだ市田佳寿浩は7着に敗れた。
決勝戦 レース経過
 スタートで一瞬見合ったが、最内の市田佳寿浩が先に出て誘導の後ろを取った。初手の並びは脇本雄太ー市田、武田豊樹ー中村淳、吉田敏洋、木暮安由ー稲村成浩、山崎芳仁ー佐藤慎太郎の順。
 周回が進み、青板周回の3コーナーから山崎が上昇していくと、赤板手前で脇本が誘導を斬って突っ張った。山崎は車を下げて8番手に戻り、隊列は元通りに。先頭に立った脇本は徐々にスピードを上げていき、打鐘を迎える。後ろからの反撃は一切なく、一本棒のまま最終ホームを通過。ペース駆けに持ち込んだ脇本だが、丸2周風を受けてはさすがに厳しかった。すんなり3番手でサラ脚の武田が2コーナーからスパートすると、地元2人を一気に抜き去っていく。踏み出しに集中した中村はピッタリと武田を追走し、その後ろの吉田も付いていく。結局は武田、中村、吉田で並んだ順番で入線し、武田が完全優勝を遂げた。市田は真後ろからまくられては抵抗できず、吉田に続いた木暮にからむのが精一杯だった。


武田豊樹選手
武田豊樹選手
 武田豊樹(写真)が地元の強力タッグを打ち破った。前受けの脇本雄太が赤板前から山崎芳仁を突っ張って先行。難なく3番手を確保すると、最終2コーナーから一気に踏み込んで前2人を抜き去った。
 「前受けはしないようにと思っていたけど、それ以外は特に作戦を決めていなかった。脇本が突っ張った時点で、自分は脚を使っていなかったからね。位置を取るだけのレースはしたくないし、早めに仕掛けようと思っていました。3番手でも脚は溜まらなかったし、まくれないかもと思ったけど勝てて良かった」
 前回の弥彦寬仁親王牌では精彩を欠いたが、中2週間できっちり立て直した。同じ失敗を繰り返さないのが一流のアスリート。このまま手綱を緩めず、全力でファンの期待に応えていく。
 「前回はオーバーワークで失敗して、そのあとに練習量を落として今回はデキが良かった。親王牌でもこれぐらいの力強い走りをする予定だったんですけどね。このあとも日程はきついけど、オールスターまで気を抜かずに走ります」

 中村淳は準決同様、武田にしぶとく食い下がって2日連続のワンツーを決めた。
 「脇本君が突っ張って展開は向いたと思います。武田君の踏み出しは強烈でした。離れず付いていけて良かった。あれは抜けないですよ。力の差ですね」

 単騎の吉田敏洋が武田ラインを追う形から3着に入った。
 「もう少し出入りの激しいレースになると思っていました。ああなると分かっていたら近畿の後ろにいたんですけどね。僕にラインがあれば違ったんでしょうけど、ただレースに参加しただけという感じになってしまいました。でも、今回は調子が悪い中で結果を残せて手応えもつかめました」

 期待された地元コンビは惨敗という結果に。大会3連覇に挑んだ市田佳寿浩だが、真後ろからまくってきた武田になす術がなかった。
 「残念です。脇本には何もアドバイスはしていないし、自分のVに集中していました。真後ろから来られて、チャンスを逃してズルズルといってしまった感じですね。脇本はこの失敗を踏み台にして、これからもっと成長してほしい。連日、ファンの車券に貢献できずに僕としても苦い福井記念になってしまったけど、調子が上がってようやくエンジンはかかってきたし、これからきっちり結果を出していきたい」

 脇本雄太は赤板前から山崎を突っ張って先行したが、もがく距離がさすがに長かった。
 「優秀競走のことが頭にあって、引いていけずに終わると悔いが残りますからね。悩んだ末に、自分の力を信じて突っ張って持久力で勝負しました。道中で踏み直せるとは思ったんですが、風と自分の脚に負けていました。やっぱり半周長かったですね。疲れはあったし、身体のケアとかがこれからの課題ですね。オールスターが本当の勝負だと思っているし、1カ月空くので、やれることをしっかりやります」

 突っ張られた山崎芳仁は諦めの表情で振り返る。
 「あれをされたらどうしようもないですね。カマシ気味に仕掛けて思い切って出るしかなかったかな。ちょっと厳しかったです」


ゴール
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