『福井競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:7月28日
 福井競輪開設65周年記念「不死鳥杯」(G3)は7月28日、4日間にわたる熱戦に幕を下ろした。激戦を勝ち抜いた9名によるファイナルは最終11レースで争われ、注目の一戦は逃げた早坂秀悟と、中団から出た脇本雄太の力勝負に。勝負は直線までもつれたが、最後は脇本がゴール寸前でライバルらを捕らえて地元記念連覇を果たした。
決勝戦 レース経過
 号砲で森川大輔が飛び出してスタートを取る。森川には柴崎俊光が付けて中部コンビが前受け、早坂秀悟―大槻寛徳―明田春喜の北日本勢で中団を形成、後方は脇本雄太―稲垣裕之―伊藤保文の近畿勢、単騎の岩津裕介が最後方の並びで落ち着く。
 青板周回のバックから早くも脇本が上昇。3番手の外で止まって、早坂をけん制する。早坂の動きを警戒しながら脇本が打鐘過ぎに先頭に立つも、すかさず早坂もカマして出る。最終ホームで早坂が叩き切り、大槻、明田も懸命に続く。一方、脇本は4番手で態勢を立て直す。後方8番手から最終1センターで巻き返した森川は稲垣の強烈なブロックで勢いが止まる。軽快に早坂が逃げるなか、脇本は2センターからまくり追い込み勝負。好スピードで前に迫った脇本が宮城両者をゴール前で捕らえ、地元記念連覇を達成した。番手絶好展開から追い込んだ大槻は惜しくも2着。逃げた早坂が3着に入った。


脇本雄太選手
脇本雄太選手
 気心の知れたナショナルチーム同士の勝負は、わずかな差で地元の脇本雄太(写真)に軍配が上がる。「疲れから腰痛が再発したけど、今回は気持ちが強かったので」と強い精神力が優勝を呼び寄せた。「早坂さんが中団になるとは思ってなくて、蓋をしてから自分の距離に持っていこうと。先手を取って自分のレースをしたかったけど、どうあれ力を出し切ろうと思ってました。親王牌のレースを皆見てたと思うし、思い通りのレースをさせてくれないだろうけどそこは気持ちで。去年もそうだったけど、楽でない所で結果を出せたのは大きいですね」。
 前半は落車の怪我で苦しんだが、高松宮記念杯、そして親王牌は圧倒的な強さで決勝進出と一気に反撃態勢へ。これで初のG1優勝、さらにグランプリ出場も視野に入ってきた。
 「親王牌は優勝したかったけど、次のオールスター、グランプリもあるんで。今回の優勝で少しずつ近づいたと思う。その前にサマーナイトがあるので、繋げるためにもしっかり調整して頑張ります」

 大槻寛徳は番手絶好の展開も2着。目の前の大魚を逃し悔しがる。
 「一瞬夢を見ました。くそ! 悔しい…。あれ以上早く踏んだら(脇本を)引き出してしまうんで、待ってから踏んだけど…。もうこういうチャンスはないかもしれないのに獲れなかった。とにかく悔しい」

 早坂秀悟は持てる力を出し尽くし、表情は晴れ晴れ。
 「脇本君はいつも受けて立ってくれるし、今回も地元戦なんで。受けて立ってくれた所で自分がどれだけできるかだった。皆が勝ちにこだわっているだろうから、今日は僕も勝ちを狙っていこうと。タイミングもバッチリだったし、良いレースができた。それでの結果なんで力負けです。でも、やっぱり負けると悔しいですね」

 稲垣裕之は今回ばかりはアシストに徹し、後輩の地元Vを称える。
 「脇本君はホーム過ぎに中団に入ったし、態勢を整えてからと思ってた所で6番(森川大輔)が来たので、自分は止めるので精一杯だった。普段ならそこで出る所だけど、今日は番手戦だったので、我慢できたのは収穫です(笑)。今回は体調を崩したけど、そのなかでベストを尽くせたと思います。脇本君が勝って良かった。僕は負けたけど満足です」

 その森川大輔は一発勝負に賭けたが、稲垣に止められ万事休す。
 「タイミングは良かったんですけどね。あそこで(稲垣に)バレなければ面白かったかもしれないし、あそこは持ってこられない所なんですけどね。相手が強かった」

 レース巧者の岩津裕介だが、今回は珍しく見せ場なく終わる。
 「今日は先行しそうな所からだったけど、あまり考えずに行こうと。僕は単騎のレースだったんで、皆が勝ちに行かないと難しいね。脇本君も本来の仕掛けではなかったし。自分の流れにはならなかった」


ゴール
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