『奈良競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:2月28日

 奈良競輪開設69周年記念「春日賞争覇戦」は2日目。今日、28日も無観客での開催となったが、バンクではトップレーサーがスピードあふれるレースを繰り広げた。6Rからの二次予選では平原康多が連勝で準決勝に進出。地元勢からは三谷竜生、将太に中井俊亮が準決勝に駒を進めた。ここからはいよいよ後半戦。3日目は準決勝3個レースでシリーズのベストナインが決まる。

<6R>

萩原孝之選手
萩原孝之選手
 後ろ攻めから青板4コーナーで前に出た月森亮輔は打鐘前2コーナーからカマしてきた元砂勇雪を突っ張って出させない。これで展開が向いた萩原孝之(写真)が最終ホーム8番手からまくって後続をぶっ千切った。
 「月森があんな踏むとは思わなかった。イン粘り待ちかなと思ったけど、やり合ってくれたので自分の出番が来た。感触は良かったです。前回(2月名古屋)、最終日の(まくり)あれが自信になった。でも、これから自力(の番組)になると困りますね。こんなに決まりて付いちゃうと。こんな出るんだったら(調子は)悪くない」
 元砂を突っ張った月森亮輔が2着に粘った。
 「良かったです。初日より軽かった。(作戦は)突っ張りです。(飛び付きは)出られたら最悪。単騎の人が切り替えて来てなくてヤバいと思ったけど、元砂もいい位置だった分、来るのが遅かったので。前回(2月小松島)から良かったので。あんまり変えてないけど上がってきました。直近が95点しかなかったんで良かったです」


<7R>

小原唯志選手
小原唯志選手
 3番手からレースを進めた小原唯志(写真)が青板のバックで上昇する中釜章成に合わせて出て、4番手を確保。中釜が打鐘前からペースを上げると、木村幸希は終始8番手で動けない。好位をキープし続けた小原は1センターからまくって、神山雄一郎の猛追を振り切った。
 「まずは出て切ってから考えようと思っていた。(位置を確保してからは)タイミングを待っていました。木村君がホームから来るかなと思っていたけど、来なくて落ち着いていましたね。(2日目の前半レースは)まくりがあんまり決まっていなかったけど良かった。ワンツーで何よりです。(状態は)前回は悪かったけど、今回はいいのかな」
 神山雄一郎は小原のまくりに微差まで詰め寄った。
 「33の奈良だし、2コーナーからなので、あれはもう(抜くのは)無理だと。でも思いのほか出ましたね。あそこまで詰め寄れたので十分ですよ。昨日(初日)よりは良かった」


<8R>

内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
 赤板ホームで前に出た戸田康平の番手に櫻井正孝が飛び付くと、打鐘前から仕掛けた鷲田幸司が合わせて踏んできた戸田の番手にはまる。西谷岳文の巻き返しに合わせて鷲田が3コーナーから持ち出すと、中を割りに行った櫻井はコースを失う。櫻井後位から鷲田目がけて外に持ち出した内藤宣彦(写真)が直線で突き抜けた。
 「まさかの展開でしたね。基本的にはタテでって話でしたから。大坪君が飛んだ時点でヨシヨシと思っていた。みんな風を受けているなかで、俺は風を受けなかったし、脚をためられた分、伸びた感じですね」
 前々に攻めた鷲田幸司が2着。2着権利の狭き門を自力で突破した。
 「初手は戸田君が下げると思ったらこだわって、残り4周で下げてそこから叩きにいくのもバカらしいから。本当の前々勝負なら打鐘のところでちゃんと切らないとですね。ちょっと番手の取り方はいやらしかったかなと。でも叩きにいっての結果なので。バックがすごい向かい風で進まなかった」


<9R>

宮本隼輔選手
宮本隼輔選手
 高久保雄介が赤板ホームから主導権を握ると、前受けから下げた宮本隼輔(写真)は8番手に。それでも1コーナーから仕掛けると、鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「ひとライン、ふたライン突っ張れれば良かったけど、(8番手になって)仕方ないなと割り切った。顔を出せば柴崎(淳)さんが行くかなと思ったけど、あんまり行く気配がなかったので先に行かせてもらった。もっとはっきり踏めば小倉(竜二)さんもすんなり付けたと思う。そこは反省ですね。感じはいいです。少しずつですけど。あんまり勝ちにこだわらずにリラックスして走れてます。それがいいのかも」
 駆けだしで口が空いた小倉竜二だったが、追いついて2着をキープした。
 「遊ばれました。もて遊ばれた。(宮本が)行けるか行けんか分からん感じだったし、柴崎に合わされるかと思った。アイツだけは余裕ですね。行くなら一気に行ってくれんと、こっちは困る。どっちにしても強いですね。全開で行ってたら離れてるんじゃないですか」
 宮本を合わせられなかった柴崎淳は中四国2車を追いかける形で3着に。
 「あの並びが一番いいなっていうのになったけど、けっこう(高久保が)フカしてましたね。僕は宮本(の仕掛け)待ちだったけど、ちょっと遅れました。大塚(玲)さんが蛇行してて行きにくかった。(レース)運びとしてはいいけど、自分的にはまだまだですね」


<10R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 野口裕史が青板の2コーナーから下りを使って仕掛けると、前受けの竹内雄作も合わせて踏み込む。野口マークの佐々木雄一は中部勢の後ろに降り、強引に叩いた野口の番手にはまった竹内も打鐘過ぎにはすかさず巻き返して先頭に立つ。残り2周半から始まった壮絶なモガき合いを尻目に脚をためた三谷竜生(写真)が3番手から合わせて出てくる佐々木とのつばぜり合いをゴール前で制した。
 「(初手で)一番いいのは中団からいくことだった。竹内が前を取って、(野口と)やる気だったので、そうなるのかなと。2周半からけっこう踏んでいるし、佐々木さんにも見られていたので、何とかでしたよ。しっかりと1着を取れたので、(準決勝も)結果を残していきたい」
 野口との連結を外した佐々木雄一だったが、中部勢の後位で立て直すと、直線でも鋭く伸びた。
 「(レースが始まるのが)早かった。野口は合わされたと思って、降りて入れる準備をしていたんですけど…。申し訳ないことをした。追い上げていたら、三谷にまくられてしまうし、難しいレースでした。脚の感じは余裕があるんですけどね」


<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 後ろ攻めの南潤が上昇を開始するが中団の吉田拓矢がけん制して上昇をはばむ。赤板過ぎに吉田が飛び出して主導権を握ると打鐘で巻き返してきた南に合わせてペースを上げる。これで南は不発になったが、今度は南を目がけて津村洸次郎が2コーナーまくり。好回転で前団に迫ったが、これを張りながら前に踏んだ平原康多(写真)が連勝を決めた。
 「10Rも11Rもすごいレースでしたね。拓矢が外にいたら南君みたいになっていたと思う。文句のつけようがないレース。あとは脚力をつければ、勝手に残る。拓矢は悔しいと思うけど、みんなやってきたと思うので、それを跳ねのけて上にいってほしい。南君が浮いた時点で決まると思ったけど、津村君が南君を目がけて仕掛けてきたので。一緒に勝ち上がれなくて悔しいですね。ヨコに並ばれてから踏んで合わせているので悪くないと思う」
 津村のまくりに乗った湊聖二が直線中を割って2着に突っ込んだ。
 「初日に苦しい思いをした分、今日(2日目)は楽でしたね。津村君が踏み切ってくれたのも良かった。内に行ったらダメなので、外にいけと思った願いが通じましたね。そこからは外しかみていなかった。何とか勝ち上がれましたね」
 3着に敗れた津村洸次郎だが好回転で前団に迫った。
 「平原さんのヨコまでいったときにスピードも悪くなかったのにスピードが奪われた。ちょっと違いますね。覇気ですかね。行けたと思ったけど、行けてないのは反省ですね。でもデキに関してはいいと思う」


<12R>

中井俊亮選手
中井俊亮選手
 和田真久留を押さえて眞杉匠を受けた中井俊亮は3番手を確保。2コーナー過ぎから仕掛けて前団をとらえると、続いた村上博幸が鋭く抜け出した。
 「全部、シュン(中井俊亮)任せだったので。彼が走りやすいレースにしたほうがいいと思った。(周回中の)並び的には良かったですね。ジャンからホームにかけて(眞杉が緩めてたので)誰かカマして来てもおかしくなかったし、逆にシュンがカマすかと思った。自分としても修正点はある。体が動くようになるほど、修正点が出てくるので。グランプリのあと崩れだしたのが、今やっと心技体が戻ってきてる」
 中井俊亮(写真)も落ち着いた走りできっちりと二次予選を突破した。
 「3番手に入ってからはタイミングを逃さんように。しっかりバックではまくり切ろうと思ったけど、前のあおりもあったので。展開も良かったので準決勝に乗れました。成績も最近のなかではいいし、脚の状態も悪くない。準決勝は(三谷)竜生さんの前で積極的に頑張ります」
 林巨人が3着に流れ込んで、中近勢で上位独占を決めた。
 「言ってたとおり、作戦どおりでした。(ペースを緩めた)眞杉も落ち着いてたし、中井も落ち着いてた。かぶったらどうしようと思ったけど、ワンツースリーで良かったですね。付いてく分には余裕はあるので、あとは前を抜けるかどうか」