『第9回大阪・関西万博協賛競輪in奈良(GIII)レポート』 前検日編

配信日:6月5日
 奈良競輪場で「第9回大阪・関西万博協賛競輪(GIII)」が、6月6日に4日間シリーズの幕を開ける。地元の中井俊亮をはじめ石塚輪太郎、柴崎淳、瓜生崇智、道場晃規、佐々木眞也ら精鋭が33バンクで熱戦を展開する。優勝候補は五指に余る混戦で、初日から目が離せない。6月5日の前検日には、翌日からの戦いに備えて、選手それぞれが入念に調整を行った。
 GIIIシリーズ開催中の毎日、来場者プレゼントとして、先着で150人様に「春日鹿まんじゅうかのこ」をプレゼント。大阪・関西万博PRブース、未確定車券抽選会、奈良県のグルメブースなどが予定されています。奈良競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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東矢圭吾選手
東矢圭吾選手
 オープニングの1番車を務めるのは東矢圭吾(写真)。熊本競輪場でバンク練習ができるようになり、気持ちもより一層高まっている。
 「脚は上がってきているが、展開とか(レースを考える)頭の部分がまだまだ。(3月の松阪落車で)フレームが壊れて、そのあとから新車を使っているけど、セッティングをいじりながら少しずつ良くなっている。自分の県で(バンクに)入れて、いい練習ができている。(今回の目標は)決勝には上がりたいです」
 東矢の番手を回るのは徳永哲人。近況は4月の京王閣FIを121着で優勝。前回の函館FIは212着と近況の好調ぶりが光っている。
 「(4月の京王閣優勝は)S級で2回目の優勝でした。前期のA級の時に感じが良くて、そのままいけているのが大きいですね。東矢君との連係は初めて。たまに、練習グループに顔を出してくれたりしますね。熊本でバンク練習ができるようになったのは全然違う」


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 成績の波がなく、安定感の高さを見せているのは高橋築。前回の函館記念は4走ともに番手回りで、最終日は眞杉匠とワンツーを決めた。今回の初日はラインの先頭で戦う。
 「前回は全部の人の後ろでしたけど、(ラインの先頭で)やるようにもやってきています。いろいろと思ったことがあったので、そこを練習しつつ、いつも通りにやってきた。何年か前のポジションにサドルをいじりました。奈良は久しぶりですけど、33バンクなので、前、前に攻めていきたい」
 このメンバーでバック数上位は長田龍拳。ペースに持ち込んだ時には強じんな粘り脚を発揮しているだけに、軽視はできない。
 「最近は積極的に行って、残るか、終わるか、自分の展開に持ち込めるか、どうかですね。とくに33バンクは自分の展開にハマって余裕をもって行ければ残るイメージがあるので、そうできるようにしたいです」


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松岡辰泰選手
松岡辰泰選手
 松岡辰泰(写真)は前回の玉野FIが77着での途中欠場で、そこから中6日での参戦。状態は気がかりだが、3月の武雄GIIIでは3勝を挙げているように9車立てのレースで巻き返したい。
 「玉野の前の練習で右足首をひねって、思ったよりも痛みがあって欠場になりました。ケアと練習をしてきて、踏んだ感じは悪くなかったです。奈良は(23年1月の)1回しか走ったことがないけど、その時は決勝に乗っているし、(仕掛ける)タイミングさえ間違えなければ」
 近況の吉本卓仁はラインの先頭や、番手、3番手など、その時に応じた役割をこなせるように奮闘している。
 「前回の函館は久々に3日間とも自力戦でした。疲れがある状態で入っていたのもあって初日、2日目は重かったですけど、3日目は軽かった。でも、仕掛ける勇気がでなくてダメでした。最近は番手だったり、3番手回りも増えてきて難しさもありますね。(松岡)辰泰とは何度も連係がありますけど、良かったり悪かったり。自分が勝ち切れるようにしっかりと走ってもらえれば」


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 兼本将太は前々回の弥彦FIで216着、続く函館FIが137着と連続で決勝に進出している。同門の選手のS級優勝に刺激を受けた様子。さらに7月の熊本競輪再建記念(7/20から)の配分が決まり、それが高いモチベーションになっている。
 「(決勝に)上がれていい感じです。(同門の)上野(優太)君が(5月11日に)S級で(初)優勝して、その影響を受けて頑張ろうと思った。7月の熊本に呼ばれているので、そこに向けて頑張ろうと思っています。練習はいつもと変わらずにできた。しっかりと勝ち上がれるように積極的に仕掛けたい」
 脇本勇希は、前回の函館記念が4983着では一度も最終バックを取れなかったが、今回までには2週間以上空いて充実した練習ができた様子。
 「今は福井バンクが改修中なので、5月31日から今月の3日まで大垣に行って練習していました。兄(雄太)と寺崎(浩平)さんと一緒に。兄と練習するのは久々だったんですけど、いい刺激になりました。ウエートトレーニングの環境も整っていて、バンクとウエートトレーニングとをやれました。ここ4場所くらいは岸田(剛)君のフレームを使っていたんですけど、サイズが大きいっていうのもあってキレがなかったですね。今回は自分の自転車に戻して頑張ります」


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 成績に波のある原田研太朗は、日本選手権で2196着。準決に進出しており、GIでも通用するスピードがあり競走得点上位の意地を見せられるか。
 「ダービー(日本選手権)が終わってからフレームを(別ので)変えていたけど、今回はダービーの時のフレームに戻してきました。(奈良はS級初優勝で)33バンクは嫌いじゃないし、いいイメージがある。練習はいつも通りやってきて、感触はいつも通りでした」
 地元のトップバッターは田中大我。今期はA級スタートだったが、3場所連続完全優勝で特進を遂げて、3月1日付けでS級戦士になった。初めての地元GIII参戦でその走りに注目したい。
 「(地元GIII初出場は)楽しみですし、(あっ旋されて)うれしい。(特進してから)前回と武雄のGIII以外は走れているのかなと思います。練習では三谷将太さん、竜生さんに引きずられて頑張っています。勝ち上がりたいですね」


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金子幸央選手
金子幸央選手
 昨年は8月に行われた昼夜リレーGIIIで、金子幸央(写真)は昼開催に行われた和歌山で初のGIII制覇を遂げている。今回も優勝を目標に掲げてシリーズに挑む。
 「昨年はGIIIを獲りたいと思っていたし、獲れて良かった。今年もチャンスだと思うし、まずは決勝進出して優勝を目指していきたい。今は練習が充実しているし、感触もいい。あとは競走でかみ合ってくれれば」
 高久保雄介は1月の名古屋FI、2月の豊橋FIと連続の落車で調子を落としていたが、近況は1場所ごとに復調を実感している。
 「(連続落車で)調子を落としていたんですけど、動き自体は良くなっているっていうのはある。成績的にはまだまだで、点数も落としてしまっていますし、戻していかないと。またGIにも戻りたいので頑張っていかないと。福元(啓太)君とは初めての連係ですけど、バック数を見ても積極的なタイプですし、しっかり番手でフォローできるように」


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 菅原大也はウィナーズカップ出場組が不在だった3月の武雄で初めてGIIIの決勝に進出。そのレースで落車をした影響はまだ残るものの、今回は高松宮記念杯組が不在の開催で上位進出をうかがう。
 「(武雄の落車は)打撲と擦過傷でした。まだ戻ってはいないけど、あとはレースを走りながら戻していければ。徐々には良くなっています。(今期好調の要因は)昨年A級を走った時に勝ちグセをつけて上がれたことですね。平塚のバンクが使えなかったので、今回を見据えて(33バンクの)小田原で練習をしてきました」
 高橋和也は、前回の玉野FIが511着。2日目は上がりタイム10秒7の快速まくりで1着をつかんでおり、状態面は問題なさそう。
 「(前回は)自力で動いて1着を取れたことは良かったのかなって。(3月の)四日市からなんとなく良くなってきて、動けるようになってきた。奈良は優勝をしたこともあるし、頑張りたいですね」


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小原丈一郎選手
小原丈一郎選手
 小原丈一郎(写真)は、今期の競走得点が102.79だが、今期は2回の失格があり、来々期のS級点確保へと正念場のシリーズを迎える。
 「前回は今年初めての決勝でしたね。単騎だったけど動けてはいた。(最近は)手応えが良くなかったが、前々に攻めた結果が出ているとは思う。(競走得点を)0.5くらいは上げたいので結構キツいけど、そこばかり気にしていたら動けないですからね」
 このメンバーでの競走得点トップは五日市誠。今期3回目のGIII参戦になるが、2月静岡記念、4月西武園記念と一次予選はクリアしている。
 「小原君とは何度も連係していますし、ワンツーも決まっていると思います。でも、最近の小原君はトリッキーな動きをするので、連係を外さないように集中していきます。(2月の伊東で落車した影響で)まだ右の肩甲骨に痛みは残っていますけど、最近は練習がうまくかみ合ってきて良くなっていると思います」


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 昨年は15勝マークした山根将太だが、今年はここまですでに11勝を挙げている。養成所時代にゴールデンキャップを獲得したポテンシャルを考えれば、まだまだ成長する要素は十分だ。
 「(直近は連続優出だが)裏開催みたいな感じだった。感覚はいつも通りだけど、決勝に乗れているので、いいのかなと。今の流れは昨年と一緒です。何も変えていないし、普通通りに戻ったという感じです。(今回の目標は)準決勝まで乗れたらいいなと思います。(悪かった時期は)原因はわからなかったけど、(昨年9月の立川記念で)失格をしてからっていうのはあると思う」
 金ヶ江勇気は前々回の地元、武雄記念で3勝を挙げる活躍だっただけに、前回の玉野FIは477着と不本意な成績。番手回りと自力の時の成績を自己分析する。
 「前回の玉野はさっぱりでした。自転車が進まなかったですね。でも、武雄記念は4日間とも番手回りで3勝できた。自力じゃイマイチでも番手の時は悪くないと思う。平尾(一晃)君とは同期同級生ですけど連係は初めて。うまくサポートして決められるように」


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中井太祐選手
中井太祐選手
 2月の当所年記念は三谷竜生と三谷将太による感動の兄弟ワンツー。今回は中井太祐(写真)、俊亮(12R)の中井兄弟が地元の牙城を守るべくシリーズに臨む。
 「地元を走る時はいつも結果が欲しいと思っています。先(決勝に乗るという)のことよりも、1走、1走、気負わずに走りたい。谷(和也)君との連係は1回あって、僕は勝ち上がらせてもらいました。ここ何カ月もフレームを換えながらやってきたけど、今は3カ月前に届いた新車を使っていて、これかなって思います」
 谷和也は今期に入り急激に力をつけている。3月に行われた伊東GIIIでは1291と活躍しており、今回も注目の1車。初日は地元2人の前で果敢に風を切るか。
 「(乗車)フォームで骨盤の角度を変えてから成績が良くなった。練習と休養を入れながら、ここに追加が入ったらうれしいと思っていました。GIIIは準決勝までしかいったことがないので、決勝進出を目標にしたい。最近はずっと先行でやってきたし、7割先行で考えていて、たまにまくりという感じですね」


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元砂勇雪選手
元砂勇雪選手
 地元の元砂勇雪(写真)は、一次予選のトリを務めるも自然体で臨む。目標の貴志修己とは前々回の小田原FI最終日と、前回の富山FI準決で連係して1着を取っており、3場所連続の連係になる。
 「今の成績は前の頑張りと展開のおかげ。気持ち的な余裕はありますけど、怪我なくやれているのが大きい。ここを走るのを知ったのも直前ですし、ここに合わせてというのはないですね。先を見据えてやっています。地元とか気負わずに。欲を言えば、決勝に乗りたいけど、1つずつしっかりとやっていきたい」
 貴志修己は5月の武雄記念を67着で途中欠場したが、1開催ごとに復調を実感している。
 「武雄記念がおかしくて欠場した。そこが一番下(の状態)で戻ってくる兆しがある。(前々回の)小田原が終わってからは富山に向けてやっていたし、内容は悪くなかった。セッティングを迷っていたが、体の問題が大きかったです。自転車ももともと使っていたものに富山から戻して、自分のパフォーマンスを出せる自転車なんです。力を出し切れれば問題ないです」


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中井俊亮選手
中井俊亮選手
 地元勢から唯一、初日特選からスタートする中井俊亮(写真)。2月の記念では二次予選で無念の落車棄権となってしまっただけに、その分までもと静かに闘志を燃やす。
 「前回からは練習の上積みというよりも、疲れを取るようにしてきた。決勝に乗りたいという気持ちはあるが、まずは1戦、1戦気持ちを入れて走りたい。番手が増えてきて、前でやるのとは違う緊張感があるけど、いい経験になっている。(2月の奈良記念は)落車に巻き込まれたので、その分もと、思っています」
 佐々木眞也は1月の岐阜FIでS級初優勝。平の日本選手権競輪で初めてGIの舞台を経験すると、前回の函館FIも優勝して勢いに乗り今シリーズに参戦した。
 「(S級初優勝は)ホッとしたところと、うれしさがあった。初めてのGIも経験して雰囲気の違いを感じたし、こういうところで戦いたいと思いました。(師匠の)父(龍也・57期引退)からは気持ちの面も教えてもらっています。練習をしていることが、この成績につながっていますね。目の前の1走、1走を頑張って、結果がついてくれば。同期の道場(晃規)君とは何度か連係があります」
 初日特選は4つのラインができる細切れ戦。今節の競走得点トップの瓜生崇智だけが単騎での戦いになった。
 「ダービー(日本選手権)前のウエートトレーニングで張り切りすぎて、全身ギックリみたいな感じでした。背中、腰、首ですね。3走目と4走目は確定板に入れたし、ちょっとは走れていました。(今は)体は大丈夫。単騎になるけど前々に攻めていきます。(今節は)高松宮記念杯に出られない気持ちをぶつけていきたい」