『奈良競輪開設56周年記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:2月17日


 奈良競輪場開設56周年記念「春日賞争覇戦」はいよいよ大詰めの3日目を迎えた。今日は準決勝A、B、C合わせて4個レースがメイン。午後からは生憎の雨模様となったが、バンクでは決勝進出を懸けた熱いバトルが展開された。
  明日は7レース発売中に近畿地区の競輪学校92回生生徒8名によるエキシビジョンレースが開催。今年夏にデビュー予定の新鋭が健脚を披露します。そしてメインは決勝戦です。「春日賞」を制すのは果たして? ぜひ奈良競輪場へ足をお運びください。

<8R>
有坂直樹選手
有坂直樹選手
   8レース準決勝Cから決勝戦進出を懸けた戦いが始まった。このレースは全員が追い込み型で、GP覇者の有坂直樹(写真)のみが自力のコメントをする難解レースとなった。田島浩二が前受けし、近畿勢がその後ろ。有坂は中団五番手からの攻めとなった。打鐘過ぎに増田鉄男が内をすくって上昇すると、そのままハナに立つ。バック七番手、さらに2センターで外に膨らむ絶体絶命の展開になった有坂だが、最後は力の違いを見せ付けた。
  「昨日は何もせず9着だったからね。プレッシャーはあったけど、坂口(卓士)に任せて負けるくらいなら自分でやりたかった。でも、苦しかったなあ。1着権利のレースで勝ち上がれたので調子は悪くない。とりあえず良かったです」
  2着には外を伸びた開坂秀明が食い込んだ。
  「有坂さんを目標に行ってるし、一番伸びるコースだったから。それでも伸びてビックリです」
  地元で決勝進出を狙った安福洋一にもチャンスはあったが、相手が悪かった。
  「(2センターで有坂が外に膨らみ)展開が向いたと思ったけどね。イケたと思ったけど、脚が違う。力の差を感じるわ」


<9R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手

   9レースの準決勝Bは佐藤友和後位が伏見俊昭と西田雅志で競りになる。峠祐介の上昇に対し、前受けの佐藤は車を下げて打鐘過ぎに巻き返す。追い上げ番手を死守した伏見だが、佐藤に離れてしまう。結局、佐藤は後続を離して快勝。第二先行の形になった峠は小橋正義の追撃を振り切って2着に粘った。
  勝った佐藤友和(写真)は淡々とレースを振り返る。
  「伏見さんのダッシュを信頼して、伏見さんが追い上げた時に仕掛けるつもりでした。タイミングは良かったけど、出切った時に後ろを見たら影が見えなかったので、伏見さんはいないんだなって。あとは2着に残れるように全開だったけど、昨日より(モガく距離が)1周少ない分だけ楽でした。北日本で決まらなかったけど、勝つ競走に徹したので。明日また勝てるように行きます」
  2着に粘った峠祐介は昨年8月久留米以来となる決勝進出。
  「打鐘から思いっ切り踏んで、あとはゴールまで我慢だと思ってました。普段なら誰も来れないと思ってたので(巻き返してくる)気配を感じた時は、ウソって思いましたよ。今日は相手が強すぎて良かった。伏見さんに追い上げられないように、最後は死に物狂いでした」
  佐藤後位を競り合った二人。離れてしまった伏見俊昭は、「競りだし、33だし友和のダッシュには離れますよ。何とか追いかけたかったけど、上りながらだったのでキツかった。脚は問題ないけど、これも勉強ですね」。
  一方の西田雅志は、「内にいると思ってた伏見さんが外から来たので…。あれで遅れてしまった。取り切って離れたんならまだマシだけど、情けないです」とガックリ肩を落とす。


<10R>
飯嶋則之選手
飯嶋則之選手


大塚健一郎選手
大塚健一郎選手

   10レースは後ろ攻めの乾準一の番手に飯嶋則之(写真)が攻め込む。最終ホームで飯嶋が番手を取り切ると、四番手からまくる吉永好宏、七番手まくりの稲垣裕之を退けて直線鋭く抜け出した。
  「番手基本のコメントだったけど、乾さんのハコだと決めてました。まだ僕は負けても良い立場だし、周りからもまだまだと思われてるでしょ。その点で気が楽ですよ。昨日(浜口高彰に競り勝ち)といい今日といい収穫があるし、自信になる。決勝に乗れたし、調子は良いと思います」
  最終ホームではドン尻だった大塚健一郎(写真)が内を強襲して2着に。
  「市田さんはどこからでも届くだろうけど、僕はその後ろからではムリ。もうあれしかないでしょ。昔ならバンと当たって落車させたりしてたけど、今回は最近になく落ち着いて走れてますね」
  大塚のコメントどおり3着には大外から市田佳寿浩が強襲した。
  「ありえない位置? 自分ではそんなにキツいと思わなかったし、届くと思ってました。競輪祭の失敗が良いきっかけになってるし、今回も普段どおりに仕上がってます」
  市田のスピードの前に決勝進出を阻まれた柏野智典は悔しさを隠せない。
  「内が空いてるのは分かってたけど、レース前からどうしても内を踏んで勝てるイメージが沸いてこなかった。それでも(決勝に)乗ったと思ったけど…。外を見たら市田さんが見えて、負けたと思いました。もうワンテンポ早く入れれば。そこが上位との差ですね」


<11R>
中村一将選手
中村一将選手


大井啓世選手
大井啓世選手

   最終11レースは中村一将(写真)が果敢に赤板から先行勝負。打鐘ガマシに出た吉田敏洋の反撃を封じると、近畿で上位独占の立役者となった。
  「あのレースで意識するのは吉田君一人に見えて、実は晴智さんの動きが重要でしたからね。それでも近畿で決まって良かった。それが何より嬉しいです。前から攻めようかと思ってたけど、後ろ攻めにして正解でした」
  大井啓世(写真)は連勝で決勝に進出。地元記念連覇に王手をかけた。
  「押さえてから吉田だけ見て駆ける予定が、一将がドンドン踏んでくれた。いつも以上に一将が頑張ってくれました。晴智の動きが気になってたから、近畿でワンツースリーまで決まって良かった。去年は西王座で結果が出せず、1年間我慢したけど、今回は決勝に乗れたからね。明日も近畿のみんなで頑張りたい」
  しっかり2着をキープした前田新はホッとした表情。
  「後ろに晴智君がいると分かってたので焦ったけど、良かったです。後ろから先に踏まれると厳しかったけど、大井さんが前に踏んでくれたので。感じは日に日に良くなってると思います」
  動向が注目されたのは渡辺晴智。勝負どころで近畿四番手をキープするも優参はならなかった。
  「作戦は近畿の四番手か、別のラインだったら三番手。思った位置は取れたけど、かぶって出番がなかったね。もったいなかったけど、仕方ないです」
  「中村さんの動きに続いて叩くつもりが、打鐘前に反応が遅れてしまった」と話す吉田敏洋は巻き返し実らず7着に終わった。


   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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