『奈良競輪開設57周年記念(GIII)レポート』 2日目編
 
配信日:2月3日


 奈良競輪・開設57周年記念『春日賞争覇戦』も開催2日目を終えた。11レースの優秀戦『奈良テレビ放送杯飛天ちゃん賞』をメインに、二次予選A、Bを勝ち上がった選手が準決勝の椅子を射止めた。準決勝進出の選手を中心に検車場から生の声をお届けします。
  開催を通して行われるファンサービスは工藤元司郎氏、荒木実氏、吉井秀仁氏によるガチンコ予想大会(司会・工藤わこ)、5000円以上の車券をご購入の方にブランド品などが当たる抽選、女性入場者先着100名様に有名ブランドハンカチをプレゼント、先着1000名様に早得キャンペーン!となっております。



<5R>
杉山剛選手
杉山剛選手
   5レースから二次予選Bがスタート。シビアな勝ち上がりに白熱のレースとなった。押さえて駆ける松坂洋平の後位で山岸正教が粘ると、打鐘から杉山剛(写真)が一気のカマシ先行。落車のアクシデントもあったが、力強く逃げ切った。
  「4番(亀井宏佳)が付いてくれている感じだったので、先行も考えていました。2車だったら、あそこで行けたかどうか…。自力にはこだわっていないけど、動いて逃げ切れたし、動くレースの方がいいのかもね(笑)」
  杉山を好追した宮本佳樹が2着でラインで上位を独占。差し切れずも連日、目標選手の奮闘に助けられ納得の笑顔。
  「ええところで行ってくれました。僕も余裕はあったけど、抜きに行ったら踏み直されました。そこがカッコ悪かった(苦笑)」
  一瞬のスキを突かれて主導権を奪われた松坂洋平は悔しそうな表情でレースを振り返る。
  「駆ける気だったが…。後ろの併走と雨で杉山さんの仕掛けが見えなくて。ここからと思った瞬間に行かれてしまった」


<6R>
萩原操選手
萩原操選手
   6レースは新鋭の坂本匡洋が前受けから突っ張り先行を敢行した。安福洋一、萩原操との連係が外れ、中川司が番手にはまる展開を自らまくったのは萩原操(写真)だった。
  「あの展開では行くしかないでしょう。高橋マジックにかかりました(笑)。坂本君が駆けて三番手なら自力はないけど、あれじゃ仕方ないでしょう。それにしても並びで2車単で1万はつき過ぎじゃない?(笑)」
  萩原に迫った高橋京治もしてやったりの表情。前日のコメントと違った理由から説明する。
  「水島(洋一)君のコメントを知らないうちに、コメントを出してしまった。水島君が南関の後ろだと、僕は中川(司)君ラインの四番手でしょう。それなら逃げそうなラインの四番手がいいと思って、顔見せで並びを見せたつもり。それにしても『行ってくれ』と思ったところで仕掛けてくれました」
  道中は中団キープの三槻智清は最終バックからのコース取りに迷った様子。自ら一旦斬る手もあったが。
  「僕が斬ると、その上を中川さんに斬られるでしょう。それに(坂本は)突っ張る気満々な感じだったしね。最終バックで一旦待って、空いた内に行くべきだったかな。外々で浮かされて厳しかった」


<7R>
大井啓世選手
大井啓世選手
   二次予選Bの最後は地元の大井啓世が登場の7レース。打鐘前から三宅裕武と市田佳寿浩で踏み合い、市田が後位にはまり込むとバックから番手まくり。これを大井啓世(写真)が差し切って今シリーズ初白星を挙げた。嬉しさというよりは噛み締めるような口ぶりで記者団に答える。
  「初日よりはリラックスして気負いもなかった。全面的に市田君を信頼していました。反省点は四角から交わすのが早過ぎたこと。まだ余裕がないんでしょうね。とにかく最終日の最終レースを走ること。これを目標に準決も精一杯頑張るだけ」
  一方の市田佳寿浩は笑顔なしのインタビュー。状態の悪さを本人も実感しており、厳しい表情のままだ。
  「大井さんが勝ったことで責任の半分は果たしたが、僕としては納得がいかない。イメージでは三宅君を合わせて、そこからペースで駆ける感覚なのに、出られているわけで…。出られてからは落ち着いて走ったつもりだが…。今日は押さえ先行で走る作戦だったので、出られたのが悔しいです…」
  カマシ先行の三宅裕武は援軍を失い、流せず踏みっぱなしで息を切らせる。
  「一人になったのは分かったけど、流せば市田さんに出られるし…。いけるところまで全開で踏むしかなかった」


<8R>
武井大介選手
武井大介選手
   8レースから初日特選組が登場する二次予選Aがスタート。準決勝Aの権利、3着以内を目指し出入りが激しくなったが、打鐘から逃げたのは渡部哲男。3着で準決勝行きを決めたものの、小雪混じりの寒さが堪えたようで不満げに引き揚げてきた。
  「寒さもあるんだろうけど、重くて、重くて。自分のイメージとは全然違うかかりだった気がする」
  一周半逃げた渡部を交わせず豊田知之は苦笑い。SS班格付けだけに期待される立場だったが。
  「余裕が無かったねぇ…。あまりの寒さで脚の感触もおかしくなるよ。藤田君を止めたかったが、ブロックできないくらい上を行かれたので…」
  先輩を連れて大逃げが予想された藤田大輔は、三番手キープからのまくり勝負となった。
  「先行するつもりだったが、赤板で小松(剛之)さんの勢いがよかったので、もう一度立て直して仕掛けるつもりでした。打鐘でも渡部さんがいい感じで踏んでいたので、結果まくりになりました」
  藤田のまくりの外を更に伸びたのは武井大介(写真)。競輪祭優参の実績は伊達ではないことを見せ付けた。
  「番手まくり? たとえ藤田君が逃げても、考えていませんよ。二次予選だし、お互いに勝ち上がらなくちゃね。あれだけ動いて脚を使っているのに、二角から踏んでいける藤田君は強いね」


<9R>
手島慶介選手
手島慶介選手
   9レースはグランプリレーサーの手島慶介(写真)が貫禄勝ち。松本一成の先行に乗ると、別線を封じて抜け出した。ゴール前の落車で審議対象も心配なしの表情。
  「僕は真っ直ぐ走ってましたからね。須田(雄一)さんが寄り掛かる形だったので、僕が巻き込まれなくてよかった。松本君もいいレースをしてくれたね」
  2着は石丸寛之が不発と見るや、自らまくり上げた友定祐己。石丸を気遣いながらも渾身のまくりを放った。
  「内をキメたかったけど、藤野(光吉)さんが先に降りていて、キメるところがなくて自分でまくるしかなかった」
  3着は初日好脚を披露した南修二。南も目標の松岡健介が仕掛け逸して、自分で仕掛ける形となった。
  「初日は自分のタイミングで行けたけど、今日は松岡さんに任せた形からの仕掛けなので、タイミングもズレますよね。準決Aは久し振りだし、ここまできたら決勝進出を目指します」


<10R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
   10レースは武田豊樹(写真)が横綱相撲で主導権を取り切った。後ろが競り合いになり、余裕の逃げ切りかと思われたが、差し切られて残念そう。
  「ほんとに寒くて脚にくるね。赤板から出てるわけだから脚は使っているけど、それにしても重い。残り一周でかなり一杯でした。カマシを打つようなレースもしたいけど、メンバー的に押さえて駆けることを望まれているでしょう(苦笑)。競り勝って抜く諸橋(愛)君は大したもんだね」
  諸橋愛は「必死だった」と言うが、落ち着いてレースをさばき切った。武田を差し切り充実した表情を見せる。
  「スンナリと付いているだけじゃなくて、競りを凌ぐのも勉強ですね。武田さんも2周駆けたしキツかったと思います。ほんと必死だったけど、飛び付きは頭の中では予想していた。練習しているので抜けたかな」
  飛び付いた牧剛央は諸橋に競り負けるも、その後ろの鈴木誠をドカして意地を見せた。
  「ハナから飛び付きなら武田さんの前にいて、斬って飛び付きだけど、そういうつもりではなかった。でも武田さんからスンナリ押さえてきたし、引けないでしょう。知らず知らずに競輪祭の疲れがあるのかも…。感触は悪くないけど、気付かない筋肉疲労があるのかな。僕も若くないしね(苦笑)」


<11R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   最終11レースは稲垣裕之と飯野祐太のモガキ合いが予想されたが、飯野の出ばなを稲垣裕之(写真)が叩き切って主導権を取り、自力型のプライドを見せた。
  「走り終わって脚の疲労を感じるが、それだけ力を出し切るレースはできているってことですね。仕掛けるタイミングもよかったし、(飯野に)見えへんように隠れて行きました(笑)。でもさすがにゴール前はタレてましたね」
  稲垣を差し切った志智俊夫は彼らしく、クールな口ぶりでレースを振り返る。
  「いいところで行ってくれました。出てからは流してないし、ゴール前もタレてなかったよ。え、稲垣君自身がタレたって? 僕にはそう感じないほどのスピードでしたよ(笑)」
  カマシの三番手は付け切るのが難しいが、そこは巧者濱口高彰だけあって、そつなく3着キープ。
  「連日、志智君を抜けませんね(苦笑)。稲垣君の勢いは凄かったね」
  反省の弁は飯野祐太。出たところを稲垣に一気にカマされ対処できずに終わった。
  「後攻めは攻めにくかった。早目からフカせばまくられるし、稲垣さんを押さえても引いて巻き返されるし…。押さえた時点で新田(康仁)さんが、サッと引いたので、稲垣さんが仕掛けやすくなったのかな」
  新田康仁は当てが外れてガックリ。主導権争い激化と読んでいたようだ。
  「あんなにスンナリのレースになるとはね…。稲垣君と飯野君で踏み合って、そこをガーンと仕掛けたかったが…。ホームで休まず行ったけど、もう一杯でした」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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