『奈良競輪開設57周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:2月5日


 奈良競輪・開設57周年記念『春日賞争覇戦』は5日に最終日を行い、全日程を終了した。連日冷え込んで選手は寒さとの闘いとなったが、最終日は好天に恵まれ、バンクコンディションもほぼベスト。武田豊樹、手島慶介、稲垣裕之らの優勝候補が脱落し、注目の決勝戦は渡部哲男と飯野祐太の二分戦となった。大方の予想通り主導権を取った飯野祐太の番手を、牧剛央を競り下ろして死守した飯嶋則之が、渡部哲男のまくりも巧ブロック。飯野をまくり気味に差し切り、通算2度目の記念優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲で友定祐己が誘導を追うと、渡部哲男-香川雄介を前に入れて瀬戸内勢が前受けで、単騎の濱口高彰がそれに続く。後攻めの飯野祐太の後位は競りとなったが、ひとまず飯嶋則之-諸橋愛が続き、その後ろに牧剛央-前田拓也と付いて周回が続いた。
 青板バックから牧-前田が動き飯嶋-諸橋のヨコに並ぶと、赤板手前から飯野が上昇。牧と飯嶋の攻防は打鐘まで続いたが、結局飯嶋が番手を死守した。その際、前田が三番手、諸橋が四番手に入った。飯野が最終ホーム手前から全開で踏むと、渡部が最終二角から発進。しかし、飯嶋の執拗なブロックに屈し、あえなく力尽きる。飯嶋は渡部をけん制しながら前に踏んで、2センターで飯野の番手から抜け出すと、そのまま直線を鋭く伸びて優勝をさらった。2着には渡部マークから外を伸びた香川、3着には一旦は四番手に置かれたが、インコースをするすると突いた諸橋がそれぞれ入線する。


飯嶋則之選手
飯嶋則之選手
 前日のコメント通り、飯野祐太の後位は、顔見せから競り合いと波乱ムードで始まった決勝戦。飯野の後位は飯嶋則之と牧剛央で入れ替わってもつれたが、最終的に番手を取り切ったのは飯嶋則之だった。渡部哲男の渾身のまくりをブロックすると、そのまま踏み込んでゴールを先頭で駆け抜けた。
 「気になるのは、ブロックしてそのまま踏んでしまったこと。ブロックして戻って、交わせるレースができればベスト。ブロックはいい感じで止められたと思います。初手から競りだったので、気合負けだけはしないようにと頑張ったつもり。でも、技術がないからちょっと荒かったですね」
 逃げた飯野祐太は顔見せからの併走がかなり気になっていた様子。押さえて駆けたが、ゴールまでは粘れなかった。
 「(ヨーイ)ドンから競りだし、やっぱり気になりますよ。初めての記念決勝だったけど、変な緊張感はなかった。でも、準決のカマシに比べるとかかりはイマイチでした」
 飯嶋後位の諸橋愛は、勝負所で一瞬の踏み出しに遅れてしまい、前田に割り込まれて悔しそう。
 「ホーム手前で踏み遅れたのが悔やまれます。あれがなければね」
 良いスピードでまくり迫った渡部哲男も、悔しさを隠せない。
 「1センターでは行ける手応えだった。一発目のブロックは凌いだと思ったが、二発目にキツイのもらって苦しくなった。濱口(高彰)さんの動きを一瞬見たけど、タイミングは悪くなかったはず。もったいないことをしたね」
 渡部の後位から外を伸びて2着強襲の香川雄介も、渡部のスピードには、ラインで連独占の手応えを感じていた。
 「行ってしまったと思ったがなぁ…。準決の哲男よりずっとかかってたよ。哲男も飛ばずに張り付いていたので、内行ったらコケるし外を踏みました」
 強気に番手勝負を敢行して、競輪祭での気合を持続させていた牧剛央だったが、打鐘で競り負けた。敗因は技術不足を強調する。
 「気合は入っていたが、勝負所で飯野君が気になって、競るヨコ(飯嶋)への意識が足りませんね。外で競るつもりだったし、もっとしごいて締め込まなくちゃね」

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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