『奈良競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:2月21日


 奈良競輪場開設58周年記念「春日賞争覇戦」(GⅢ)が開幕。天候にも恵まれ、最高のバンクコンディションとなったなか、選手たちは熱い激闘を繰り広げた。そんな選手たちの様子を、検車場からレポートします。
  なお、場内ではイベントが盛りだくさん。明日(22日)は先着2000名様に、奈良競輪オリジナルスポーツタオルが当たるラッキーカードの配布や、井上茂徳氏による場内予想会、せんとくん&飛天ちゃんが来場して第4、9レースの発売中に写真撮影会やダンスを実施します。こちらの方もお楽しみに。


<1R>
  1レースでは、バック後方から守田秀昭がまくりを放つと場内からどよめきが。そのまま前団をまくって1着に入線し、いきなり3連単10万円強の高配当を叩きだした。
  「伊藤(成紀)君がまくったけど、スピードが止まったから、イチかバチかで踏みました。三角の山を登ったところで止まってしまうかもと怖かったけど、どうにか乗り切れましたね。伊藤君が行ききれなかった場合、自分で仕掛けるつもりだったし準備はできていました。だからって、年に何回も(まくりは)出しませんよ(笑)」


<2R>
笹倉慎也選手
笹倉慎也選手
   2レースは浦山一栄に突っ張られ、一旦後方まで車を下げた笹倉慎也(写真)が最終バックからスパート。マークの濱野雅樹が離れる強烈なスピードでまくりを決めた。
  「浦山さんが前を取った時点で突っ張られるなと覚悟していました。車を下げてヤバいなーと思ったし、道中では全く余裕がありませんでした。車が勝手に進んだって感じですね。記念で、しかも勝ち上がりで1勝を挙げられて嬉しい」
  中団を確保し、先まくりを放った柳谷崇の動きも軽快だった。
  「前を叩いて先行できそうだったけど、それだと俺が持たない。待って待って、いけるタイミングで仕掛けました。セッティングが良いのか、感じ良く走れました」


<3R>
 3レースは近藤隆司が逃げると、中団外併走から岡本大嗣がひとまくり。前団を飲み込んで快勝し、幸先良いスタートを切った。
  「もっと早く仕掛けても良かったけど、近藤君が結構フカしていたんで、少し様子を見ました。上田(国広)君と外併走になってしまったけど、今日はギアを下げていたし、その分踏んでいて楽でした。身体のキレはずっと良かったし、ひとつ結果が出るとこの先につながります」
  上田国広は終始インコースに包まれる苦しい展開を耐えしのぎ、3着を確保した。
  「二角で内が空いたとき、そのまま前に踏んでいれば良かったんだけど、ちょっと前を見てしまったし、7(鈴木守)のペダルが少し接触してしまったんで、躊躇してしまった。もっと前に踏む積極さがあれば良かったけど…」


<4R>
 4レースは田中雅史が主導権をにぎると、阿部秀樹がイン粘りで抵抗。結局、後続のもつれを尻目にペース駆けに持ち込んだ田中が押し切った。
  「後ろが競りになって焦ったけど、今泉(元嗣)さんがずっと踏ん張ってくれたから自分が1着を取れたようなもの。今年に入って、セッティングを見直したら、このところやけに調子が上がってきた。今は逃げれば何とかなるかなって気持ちがありますね」
  阿部秀樹はイン粘りで今泉と競り合いに。最終的に番手を奪取して2着に流れ込んだ。
  「誘導を追いかけた時点で脚を使ってしまい、これは突っ張るのは無理だなと思い、粘ろうと決めました。昨日、遠藤(貴人)君に『飛び付きもある』と伝えておいたんですけど、結果的にその通りになりましたね」


<5R>
 5レースは窪田陽介の番手にハマった永田修一がバック手前から番手まくりを敢行。ゴール寸前、南和夫に交わされたが両者でワンツー決着。さらに3着には三番手を固めた市本隆司が流れ込み、ラインで確定板を独占した。
  「一旦、叩いて前に出たけど、作戦としてはどうしようか迷っていたんです。その中のひとつに窪田(陽介)が来たら飛び付くって作戦があった。今日は前々に攻めようって強気な気持ちがあったからうまく行ったんだと思う。バックで窪田に合わされそうだったけど、こっちにもラインがあったからすかさず仕掛けました。三人で決まって良かった」
  勝った南和夫は「永田が良く行ってくれたね。バック辺りでまだ行かないだろう?と思ったらすかさず行ってくれた。出だしも良かったし、俺は付いていくだけでした。まさか抜けるとはね」と永田の頑張りを称える。


<6R>
玉木勝実選手
玉木勝実選手
   6レースからは選抜戦。古屋琢晶が積極的に駆けて先手を奪うと、ライン三番手を追走した玉木勝実(写真)が最終2センターから早めに踏み込んで1着をさらった。
  「今日は古屋君が頑張ってくれたおかげです。踏んで止めてを繰り返して、良いように駆けていましたからね。僕は2(吉永好宏)と被らないようにと、そこだけ気を付けて踏んだ。感じは少しモコモコしていたけど、僕には後ろもいたし精一杯踏みました」
  2着には石渡正也が。しかし、古屋を残せず表情は複雑だ。
  「二角で古屋が踏み直した時、離れかけてしまった。それに、普段番手を回る機会が少ないから、技術不足で古屋を残せなかった。悔いが残ります」
  古屋琢晶は「1周以上駆けたし、最後はへとへとでした。それでも、3着までに入れる手応えはあったんですけどね」


<7R>
小川勇介選手
小川勇介選手
   7レースは先行した高城信雄が最終1センターで流し気味にしていると、すかさず小川勇介(写真)がスパート。出色のスピードでゴールを駆け抜けた。
  「緩んだところを仕掛けようと、今日は作戦通りにいきました。ただ(佐々木)昭彦さんと決められなかったのが残念でしたが。今年に入りようやく体調が上向いてきたなと感じているんです。今回もそこそこ良いし、車の進みもスムーズですね」
  高城マークの佐藤成人が3着に食い込んだ。
  「本来、まくりを止めなければダメなのに、タイミングもずれたし中途半端になってしまった。8(飯尾主税)を無理やり飛ばしたけど、落車も覚悟していました。良く3着まで突っ込めましたね」


<8R>
大井啓世選手
大井啓世選手
   8レースは大井啓世(写真)が逃げた川村晃司をしっかりと援護し、ゴール直前で追い込んで1着に。地元の意地を見せた格好だ。
  「今日は川村の頑張りに尽きるでしょう。あとは中井(護)もしっかりと固めてくれたしね。焦らずに休みを入れて本番を迎えたから、疲れも残さず身体もすんなり反応してくれた。毎年、毎年の事だけど目標は“決勝”。それに尽きるでしょう」
  2着の川村晃司は、アグレッシブな競走で大井の勝利に貢献した。
  「自分が描いていた展開とは微妙に違ったけど、力は出し切れたと思う。最近はレースでも、焦らずに落ち着いて駆けられているし、練習でもずっと調子が良い。良い流れが続いていますね。ホント3人で決まって良かった」
  3着の中井護も「川村は打鐘から勢いよく行ってくれたし、前二人のおかげです。俺は内を締めて三番手の仕事に徹してました」とラインでの勝利に納得の表情だ。


<9R>
佐藤康紀選手
佐藤康紀選手
   9レースからは特選競走。柴崎淳との先行争いを制した新田祐大が主導権をにぎると、番手絶好の佐藤康紀(写真)が直線を追い込んだ。
  「(ゴール手前で落車があり)自分が審議じゃないかとヒヤヒヤしていたんです(苦笑)。今日は新田の勢いが凄かった。自分は絶対に離れられなかったし必死でしたね。柴崎は根負けしたんじゃないかな。それほど新田の気合が凄かった」
  新田祐大は「柴崎へのライバル心とか、そういうのじゃないです。前回の高松(東王座)で先行出来なかったし、ここは絶対に風を切りたかった」と逃げた背景を説明する。また、「33バンクはあまり走らないし、風もきつかったから、ペース配分をつかむのに手こずりました。準決、決勝までにはバンクの特徴をつかみたい」とこの先を視野に入れて気持ちを入れ直す。
  3着入線の山口富生も「今日は柴崎が気持ちで負けていたと思う」と新田の執念に舌を巻いた。自身のデキに関しては、「2センターから外を踏んで、車も出たし良い感じじゃないですか」とひとこと。
  柴崎淳は着外に。今回は、新田相手に完敗だ。
  「いつも新田さんは(自分が一緒だと)動くのが早い。自分は立て直してすぐに行こうと思ったけど、そうしたら松本(大地)さんが来てて…。今日はきつかったですね。ただ、日に日に身体は良くなってくると思う。もう一回、勝ち上がりで新田さんと戦いたい」 


<10R>
武井大介選手
武井大介選手
   10レースは中村一将が2車でカマして後続を大きく引き離して最終ホームを通過。すると、1センターからスパートした海老根恵太がグングンと加速していき中村を捕らえた。最後は武井大介に交わされたが、その強烈なスピードで、力の違いを見せ付けていた。
  「仕掛けるべきところから行ってまくれたわけだし、状態は悪くないと思う。だけど、一杯になってからのもうひと踏みができていない。見えない疲れがあるのかな…」
  1着の武井大介(写真)は「後方になったけど、海老根さんがあれだけ早く行ってくれたからチャンスができた。それをものにしただけです。最後は残しながら踏んだけど、それでも海老根さんの粘りは凄いし抜けるかどうかわからなかった」と海老根の強さに脱帽する。
  中村一将マークの前田新が3着に食い込んだ。
  「海老根のスピードが違ったから、止めることができなかった。中村君が良いところまで行ってくれただけに残念。でも、普段の練習バンクであるここで勝ち上がれたわけだから嬉しいです」
  金子貴志(4着)北津留翼(9着)の両機動型は、成す術なく着外に沈んだ。金子が「とっさの判断がイマイチですね。何か変だな…」と話せば、北津留も「いつもと違って息が上がるのが早い。身体の反応も悪いです」と共に歯切れが悪い。


<11R>
三宅伸選手
三宅伸選手
   11レースを勝ったのは三宅伸(写真)。打鐘カマシで先制した三宅達也が別線を封じると、直線を追い込んで快勝した。
  「今日は99.9%達也のおかげですね。それしかない。でも(三宅達が)押し切るくらいの勢いが欲しいな。今日のカマシも、本来なら逃げ切れるくらいのなんだから」
  その三宅達也は「追い付きざまに矢口が流していたし、そのまま仕掛けようと。作戦通りだったし、タイミングもバッチリでしたね。身体も動いているし、明日もワンツーを決めたい」と勢いをつかんだ様子だ。
  稲垣裕之は後方に置かれてしまい万事休す。巻き返しならず、7着に沈んだ。
  「自分のペースに持ち込めなかったのが全てですね。あっという間にいかれてしまい気がついたら後方だった。気持ちを切り替えて明日、絶対に巻き返します」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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