『奈良競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 2日目編
 
配信日:2月22日


 奈良競輪場開設58周年記念「春日賞争覇戦」(GIII)は二日目を終了。本日は二次予選、優秀戦をメインに各戦行われたが、いずれも激しい攻防の連続となった。優秀戦「飛天ちゃん賞」を制したのは海老根恵太。出色のスピードで中団からのまくりを決め、明日以降に向けて弾みを付けた。 
  場内イベントは連日大盛況で、明日も引き続き先着2000名様に奈良競輪オリジナルスポーツタオルが当たるラッキーカードを配布。他にも、井上茂徳氏による場内予想会などが行われます。どうぞ奈良競輪場へお越しください。


<5R>
浦山一栄選手
浦山一栄選手
   5レースからは二次予選B。4つのラインができた細切れ線を制したのは浦山一栄(写真)。前がもつれたところを、すかさずカマして主導権を奪い、そのまま押し切った。
  「今日は細切れだったし、赤板からの先行争いだけは避けようと。川崎(健次)君と永田(修一)君が踏み合ってくれたし、良い展開になった。打鐘で出切った時、この距離なら行ける(勝てる)と思っていました。いつもは2周近く駆けているわけだしね。今日の1着は嬉しい。まるで優勝したような感じですよ」
  浦山の番手にハマった永田修一が2着に入線し、準決Bに駒を進めた。
  「打鐘から駆けようと思っていたら、あっという間に(浦山に)行かれてしまった。だけどもう引けなかったし、前に前にと。その結果、番手に入れたんでしょう。浦山さんの番手から出ようとも思ったけど、思い切り踏み直しをされてしまって出られなかった。脚の差は感じたけど、攻める気持ちは負けていなかったと思う」


<6R>
大沼孝行選手
大沼孝行選手
   6レースは大沼孝行(写真)が2車ながら、打鐘から気風良く駆けて別線を完封。圧巻の逃走劇を演じた。
  「2車で無理にやり合っても仕方がないし、今日は先行する気は無かったんです。だけど、赤板で誰も動いてこなかったからスイッチが入りましたね。無我夢中だったけど、鈴木(守)さんの援護があったから最後まで持った。準決Aは初めてだし、本当にうれしい」
  古屋琢晶は「前にいた岡本(大嗣)さんの動きが気になってしまい、仕掛けを躊躇したのが失敗でした。結局、後ろに置かれてしまったし、最後は自分だけの仕掛けになってしまった。宮澤(晃)さんに申し訳ない…」と、2着入線にも笑顔は無い。
  岡本大嗣は仕掛けどころを逸して着外に。
  「(打鐘前に)前に踏もうと思った矢先、市本(隆司)さんがスイッチしたのが見えたから慌ててしまった。立て直してすぐに行こうとしたら、古屋君に行かれてしまった。力を出し切れませんでしたね」


<7R>
大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
    7レースは阿部秀樹が先制すると、番手絶好の大槻寛徳(写真)が追い込んで1着。2着に大槻後位の遠藤貴人、3着に阿部が逃げ粘り、北日本3者で決着した。
  「阿部には『好きに走って』と言っていたんです。中団に入ったし、このまま行ければと思っていたんだけど、まさかあれだけ行ってくれるなんてね。今日は阿部に感謝ですよ。ただ、道中も余裕があったし本当なら2着に残さないとダメですよね。そこだけが反省点です」
  阿部秀樹は「ここしかないってくらいの良いタイミングで仕掛けられました。最後は失速してしまったし、まだまだですね」とやや謙遜気味にレースを振り返る。
  前日、快走した笹倉慎也は、ここでは精彩を欠き9着と大敗した。
  「岸澤(賢太)君は点数も上だし、出させてくれると思ったんだけど、突っ張られたんで引きました。阿部さんがいるからやり合いたくもなかったですし。すぐに立て直したけど、後ろに置かれてはダメですよね…」


<8R>
中村一将選手
中村一将選手
   8レースからは二次予選A。逃げた柴崎淳の番手に入った中村一将(写真)が直線で抜け出した。
  「今日は展開でしょう。フレームを2台持ってきていたんですけど、3・71用のに換えたら急に感じが良くなった。ただ、後ろに迷惑をかけたし、自分だけ結果が良くてもね…」
  柴崎淳はマークの滝川秀嗣が離れてしまい単騎となったが、しぶとく踏ん張り2着に逃げ残った。
  「33バンクだし、今日はどこからでも仕掛けるつもりでした。最後は交わされてしまったけど、タテのある中村さんだったから仕方がない。自分は最後までタレなかったしうまく踏み切れたと思う。疲れはあるけど、日に日に戻っているんで明日も頑張りたい」
  幸田光博は柴崎ライン三番手から、巧みなコース取りで3着に食い込んだ。
  「昨日、何もできずに不甲斐なかったから“今日こそは”と気合が入っていました。昨日は身体が重かったけど、今日はいくぶん良かった。離れながらだけど柴崎のダッシュに付いていけたわけだしね」
  中村との連結を外してしまった市田佳寿浩は辛うじて6着に入線し、準決Cに進出を決めた。
  「外併走に慣れていないから、今日はちょっと厳しかったですね。当たったら踏み遅れてしまうから、外々に踏んでいたら、2センターから四角でスピードが落ちてしまった。状態は問題無いけど、展開がイマイチですね」


<9R>
深澤伸介選手
深澤伸介選手
   9レースを勝ったのは深澤伸介(写真)。前々に攻める強気な競走で先手ラインの三番手に潜り込むと、矢口のまくりに俊敏にスイッチ。最後はゴール前で鋭い差し脚を見せた。
  「今日は単騎だったし、何でもやってやろうと構えていました。自分で言うのも変ですけど、自画自賛ですね。最後、抜けないと思ったけど交わせているし、身体のキレや反応が良いですね。どれだけ続くか分からないけど、明日はやれそうです」
  矢口啓一郎は打鐘過ぎからカマしたが、後続の堀政美が離れてしまい単騎での仕掛けに。それでも、強烈なスピードで他を圧倒して2着を確保した。
  「出だしも良かったし、スピードにも乗せられたんだけど、車の回転にやや不安がある。だけど、1車でまくれたわけだし、身体が悪いって事じゃ無い。むしろ仕上がっています。ギアを上げれば、車と身体が噛み合うと思う」
  人気を背負った北津留翼は不発に終わった。9着大敗にさすがに表情は浮かない。
  「落ち着いてまくりに備えれば良かったけど、レースが全く見えていなかった。身体の調子は戻ってた気がしたけど、結構厳しいですね」
  その北津留をマークした松本大地は、「翼に、身体の状態は大丈夫か?と聞いたら、『まだ少し不安です』と言ったから、ならばまくりで行けと伝えました。堀(政美)さんをけん制して、北津留が駆けやすいようにしたけど、行ききれませんでしたね。結局自分も立ち遅れてしまったし…。北津留と勝ち上がりたかっただけに残念です」


<10R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   10レースは、逃げた稲垣裕之を利した大井啓世が、ゴール手前で稲垣を交わして1着に。昨日に引き続き、地元で大健闘している。
  「稲垣がバックからぐんぐんと加速したから、最後は交わせないと思った。だけど、自分もここに向けてやって来たわけだし、渾身の力で抜きに行きました。稲垣は本当に頼もしい。明日もしっかりと勝ち上がって、近畿のみんなと決勝に乗りたい」
  稲垣裕之(写真)は2着となったが、別線を完封したその競走内容は、目を見張るものがあった。
  「大井さんに交わされたのは“気迫負け”ですね(笑)。だけど、金子(貴志)さんを後方に置けたし、三番手を固めてくれた遠澤(健二)さんまで連れ込めたわけだから、レース内容には納得しています」
  遠澤健二にとっては、絶好の展開となった。それだけに笑いが止まらない。
  「ホント恵まれた、良い位置を回れたね。2センターでまくり追い込みが来て被るのが怖かったけど、張り気味に踏めば何とかなると。あとは中を割られない事だけ注意していました」
  小川勇介は6着入線で、準決Cに進出。首の皮一枚つながった。
  「金子(貴志)さんが引いて中団が取れたけど、あまりにもすんなりだったんでかえって慌ててしまった。慌てずに早く仕掛けられていれば、もっと良い着だったかもしれませんね」
  一方、金子貴志は七番手から仕掛けたが車は進まず、7着に。準決勝進出を逃してしまった。
  「連日、身体の反応が良くないですね。ダービーもあるし、ここでどうにか立て直したいんですけどね…」


<11R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   11レース・優秀戦の「飛天ちゃん賞」は、海老根恵太、新田祐大、三宅達也にラインができる三分戦。中団からのまくりを決めた海老根恵太(写真)は、「一滴でも降るときつい」と公言している雨の中での激戦を制し、ほっと胸をなで下ろす。
  「雨が気になったし、(赤板を過ぎて)自分で一回斬ったらすぐに三宅(達也)が来たでしょう。そこで何気に脚を使ったから、踏み出した時の感触がやけに悪かった。それでもまくれたし、明日以降も何とかなるでしょう」
  武井大介は2着に食い下がった。
  「海老根さんの勢いが凄かった。今日は番手だったし、「先行もあるかもしれない」と海老根さんが話していたからギアを下げてみました。うまく行きましたね」
  三宅達也マークの三宅伸は3着に食い込んだが…。
  「自分にもっと余裕があれば達也をもっと援護できたけど、海老根のスピードが違ってどうにもならなかった」
  新田祐大は仕掛けどころを逸した事を悔やむ。
  「三宅さんに良いスピードで行かれてしまった。それでも何箇所か仕掛けるタイミングがあったけど、雨も降っていたし少し消極的になってしまった。だけど、明日は大丈夫だと思う。2日間走って33バンクのポイントもつかめたし、攻める気持ちもありますから」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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