『奈良競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:2月24日


 奈良競輪場開設58周年記念「春日賞争覇戦」(GIII)は無事に全日程を終了。9名のファイナリストによって行われた決勝戦を制したのは三宅達也で、これが嬉しい記念初制覇。強烈なまくりで前団を飲み込んで快勝し、直後に控えるダービーに向けて、弾みを付けた。

決勝戦 レース経過
 ゆっくりとしたスタートから三宅達也が誘導員を追う。これで三宅達也-三宅伸-西村正彦の瀬戸内勢が前受け、中団には加倉正義-佐藤成人、海老根恵太-武井大介-遠澤健二-佐藤康紀が後ろ攻めで周回を重ねる。
  青板周回の1センターから海老根が上昇を開始すると、合わせて踏む三宅達を押さえて2センターで誘導員を交わす。これで三宅達が車を下げると、中団五番手に加倉が切り替える。三宅達が下げたのを確認した海老根はペースを落とし、中バンクに上がって三宅達の反撃に備える。五番手にいた加倉だったが、打鐘に合わせて内から上昇。不意を突かれた武井をあっさり飛ばすと、ここで海老根がペースを上げる。懸命に追い上げた武井だったが1コーナーで加倉に一発もらい力尽きる。追い上げた武井を目標にホームから三宅達が反撃を開始。2コーナーから山おろしで再加速すると、逃げる海老根をバック過ぎに捕らえる。2センターで三宅伸が加倉にからまれると、三宅達はそのまま後続を千切って嬉しい記念初優勝を飾る。三宅伸は直線に入ると失速し、2着には加倉が入線。3着には加倉マークの佐藤成が流れ込んだ。


三宅達也選手
三宅達也選手

 三宅達也は表彰式を終えて検車場に引き揚げると、達成感にあふれた表情で記者団の取材に応じた。
  「今日は誰も前を取らなければ前受けから、海老根が遅めならば突っ張ってでもと考えていました。そうしたら思ったよりも早めに海老根が来たんで慌てずに引きました。そうなれば加倉さんが海老根の番手に行くと思ったし、案の定そうなりましたね。想定していた展開通りだったから落ち着いていました。(三宅)伸さんが2着じゃなかったのが残念でしたけど」
  ひとつの大きな目標だった記念制覇。これまで幾度と無くチャンスを逃してきたが、ようやく実を結んだ格好だ。
  「やっと、獲れましたね。長かったな本当に。ここ2,3年、狙っていたけどずっとダメだっただけに、何とか今年中に獲りたいと思っていたんです。これでダービーに向けて勢いが付きましたね。もっと頑張ろうと思えるようになりました」

 海老根の番手を取り切った加倉正義は絶好の展開となったが、その上を抜群のスピードで三宅に行かれてしまっては、もう打つ手は無かった。 
  「東勢がどんな駆け方をするのかな? と思っていたんですけど、打鐘になっても海老根が踏まないものだから、思わず番手に行きました。ギアを掛けていたし、本当ならば中団にこだわりたかったんだけどね。(2センターでは)三宅のスピードが違ったし、うまく対応できませんでした」
 
  海老根恵太は4着に敗れたが、“有言実行”の先行勝負で見せ場を作った。
  「ラインも厚いし、この後(ダービー)の事も考えたら逃げておきたかった。だから達也の動きしか気にしていなかったし、後ろ攻めにこだわりました。それだけに加倉(正義)さんの動きが予想外でしたね。切り替えはあると思ったけど、まさか番手までとは…。しかも、踏もうとした瞬間に来られてしまったんで慌てて空けてしまった。残念です」

 武井大介も「考えていなかった…」と、加倉の予定外の動きにしてやられた。
  「後ろの動きには全く気にしていなかったんです。打鐘で詰まったけど、すぐに海老根さんが踏むと思ったし、踏み出しにだけ気を付けていたら、(加倉に)来られてしまった。油断していましたね。もっと考えないとダメでした」

 近畿地区最後の砦となった佐藤成人は3着に入線し、地元の意地を見せた。これで11月の競輪祭の権利もゲットして満足気だ。
  「加倉さんからは『海老根が駆けるなら、番手を狙うのも作戦の内にあるよ』と聞いていたんで、ずっと身構えていました。だからすんなりと付いていけました。何も聞いていなければヤバかったですけど。加倉さんのおかげで地元で見せ場を作れました。色々と収穫のあった開催でしたね」

 三宅伸は、三宅達也に離れてしまい6着となったが、「スピードが違ったし、達也は4日間強かった。自分の力で取ったものだし、達也を誉めてあげてください」と三宅達の優勝を素直に喜ぶ。 

 遠澤健二は千葉コンビの三番手を固めたが…。
  「前の二人に任せていたし、今日は仕方が無いよ。久しぶりに決勝に乗れたから自分的には上出来だったと思う」



ゴール




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