『奈良競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:2月14日


 奈良競輪場開設59周年記念「春日賞争覇戦」は2月14日に最終日を行い、全日程を終了した。ベストナインによる注目の決勝戦を制したのは市田佳寿浩。まくった谷津田将吾の後位に切り替えると、直線で鋭く差し切り、昨年5月の別府以来となる記念優勝を飾った。
 なお、第7レース発売中に行われたガールズケイリンの決勝戦は前田佳代乃選手が逃げ切って快勝。地元地区でシリーズ初優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲で稲垣裕之が飛び出しスタートを取り、市田佳寿浩-大井啓世が続く。近畿3車に三宅伸が付け、単騎の谷津田将吾が中団。神山拓弥-十文字貴信-阿部康雄-稲村好将の関東勢が後方で周回が進む。
 青板過ぎで神山が上昇するが、稲垣は突っ張り出させない。何度か叩こうとする神山だが、その度に稲垣に合わされる。神山不発とみた十文字は、赤板過ぎの1センターで一瞬のスキを突き、内から稲垣の番手を奪う。打鐘は稲垣-十文字-市田-大井-三宅…となり、神山は外に浮いたまま。最終ホームで神山が力尽きると、満を持していた谷津田がまくり発進。稲村-阿部が追いかける。好回転でまくる谷津田に、最終バックで市田が切り替えて稲村をドカしにかかる。稲村も市田を締めて応戦するが、2センターで十文字、三宅、大井が落車のアクシデント。稲村をドカした市田が、そのままの勢いで谷津田を捕え優勝。3着入線の稲村は失格となり、阿部が繰り上がった。


市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手
 S級S班でただ一人決勝に勝ち上がった市田佳寿浩(写真)が近畿の牙城を守った。稲垣裕之と神山拓弥の主導権争いで展開は大きく乱れたが、最後は切り替え策から意地で追い込んだ。
 「落ち着いて走ろうと思っていたんですが、(十文字貴信に)内をすくわれて、冷静さを失いましたね。打鐘で追い上げに行きたかったんですが、後ろから来る選手を絶対に止めなければと思ってました。バックで脚は残っていなかったけど、いける感じはあった。今日は僕なりの精一杯の勝ち方。大井(啓世)さんは残念な結果になったけど、優勝できて良かった」
 今年から初のS級S班。プレッシャーは相当あるが、今シリーズはきっちり結果を出した。
 「S班のプレッシャーは大きいけど、その中で走れる楽しさもある。向日町(記念)で村上兄弟がいいレースをして、その流れに続きたかった。この後も西王座、ダービーと続くので、いい緊張感を持って走れると思います。しっかりとこの流れを大事にして、近畿の中で自分の役割をしっかり果たしていきたい」

 単騎の谷津田将吾は記念初優勝にあと1歩届かなかったが、満足そうな表情でレースを振り返る。
 「先行争いになってくれればと思っていましたが、いい展開になりました。車間を詰める勢いで仕掛けたかったけど、ホームで詰まってしまったので、まくりに行きました。ゴール前は無我夢中でしたね。抜かれてしまったのは今の力だから仕方がないです。でも、まくれて自信になったし、上出来です」

 稲村好将の失格により、阿部康雄が3着に繰り上がった。
 「ああいう展開になってしまったので、自分は後ろまで引きました。谷津田君が仕掛けてノブ(稲村)が先に行ったので、それを追いかける形で踏んで行ったんですが、(三宅)伸さんが内にいて厳しかったです。ノブが失格しての繰り上がりなので、後味は悪いですね」

 稲垣裕之は残り2周半から神山拓弥を突っ張って先行した。
 「近畿の中から優勝者を出したかったし、突っ張って先行することしか考えていませんでした。赤板過ぎに内を空けてすくわれたのは悔いが残ります。結果的に市田さんが優勝したけど、あれは市田さんの力です」

 突っ張られた神山拓弥は「予想していたけど、あのタイミングで突っ張られたら無理。どうしようもないです」と諦めの表情。

 落車した三宅伸は幸い軽傷で済んだ様子。
 「ああいう展開になって、ちょっとパニックになった。自力は用意していたんだけどね。最低、3(着)はある展開だったけど、引っかかって落車してしまった」


ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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