『奈良競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:2月17日
 奈良競輪開設62周年記念「春日賞争覇戦」は2日目が終了。優秀競走『奈良はきもの杯・飛天ちゃん賞』をメインに2次予選が争われました。優秀競走は、単騎で叩いた阿竹智史の後位から、佐藤友和が仕掛けて勝利。3日目は準決勝3個レースが争われ、決勝戦に進出する9名が決定します。
 3日目も先着入場者1000名にネックウォーマーが当たるラッキーカードを配布。場内では「ボルトボルズ」による漫才ライブ(4R、6R発売中)、スポーツコメンテーター中野浩一氏によるトークショー(8R発売中)とイベントも予定されています。是非、奈良競輪場に足をお運びになって、レースとともにお楽しみください。
<5R>
堤洋選手
堤洋選手
 ここから二次予選がスタート。永井清史の中団まくりへと切り替えた堤洋(写真)が直線を鋭く追い込んだ。
 「山形(一気)と永井が接触して、音がした。山形が車体故障したと思い、自分は内に切り替えました。山形はまだ、力が残ってたみたいだし、申し訳なかったですね。自分の状態は、永井を最後に抜いているし、悪いとは言えません。新車の感じも良さそうです」
 2着は永井清史。打鐘ガマシを坂本貴史に突っ張られたが、中団に入り直し、山形の仕掛けに合わせてまくりを仕掛けた。
 「叩けず、危ない展開だったけど、坂上(忠克)さんに入れてもらえて助かりました。その後は、山形君が来てて、自分のタイミングじゃないけど上手く踏み出せた。自分のペダルが山形君の前輪に入って、ヒヤッとしました。でも初日、2日目と軽く走れてるし、準決はもう一枚ギアを上げてもよさそうですね」
 山形一気は最終ホームから勢いよく仕掛けたが、前輪が故障のアクシデント。諦めずに踏み続けたが、結果5着で準決勝には勝ち進めなかった。
 「惰性で永井さんの横まで行って、そのあともう一回踏み直したかったところでした。車体故障の後も、まだいい勢いで行けてたので、堤さんを追いかけていったけどダメでしたね。車体故障さえなければ行けてたと思うけど、これも競輪ですので」

<6R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
 藤田勝也が打鐘で叩いて先頭に立つが、正攻法の矢口啓一郎(写真)がすんなり3番手へ。矢口は最終ホームから一気に巻き返し、そのまま力強く押し切った。
 「後ろからの仕掛けが全くなくて、自分が1回動けば、誰かが来るかなと思ってました。来なきゃ自分のペースになるだろうし、いい展開になりました。そんなに気持ちの良い仕掛けではなかったけど、展開は考えた内のひとつでしたね。とりあえず勝負は準決勝ですので、勝ちあがれてよかったです」
 台和紀は矢口に続いて2着入線。
 「余裕があったので、もう少し早く踏めば前を抜けたかもしれないけど、33バンクだし、中を割られた時に浮いて着がなくなると思って我慢しました。ワンツーが決まったのが一番うれしい。準決がABCの制度だった時は覚えているけど、制度が変わってからは初めての準決勝だと思います」
 松岡孔明は、関東ラインに続き、藤田から切り替えた中井護にからまれながらも3着。
 「矢口さんを追って、追いつきざまにまくってもと思ったけど、回転がマックスで出たら外に浮くと思い、内を締めることに集中しました。あの展開なら2着までいきたかったんですけどね」

<7R>
小松崎大地選手
小松崎大地選手
 金子貴志の打鐘ガマシに岩見潤が離れて、小松崎大地(写真)が番手にはまる。金子がペースを作って逃げたが、小松崎が直線を追い込んで勝利した。
 「とにかく、金子さんよりも前で競走をしたかった。でも巻き返しが本当に早くて、自分の着は結果オーライなので。早めに抜きに行かないと、ラインにチャンスがなくなるし、仕掛けに行きました。3番手の杉山(悠也)にはチャンスがなくなって申し訳なかったとは思ってます。記念の準決勝は初めてですが、二次予選以上にシビアだけど、ちゃんと力を出し切りたいですね」
 金子貴志は3着に踏みとどまり、準決勝進出の権利を確保。
 「小松崎君もフカしてて、難しいタイミングだったけど、とりあえずは前に出切ることだけ考えてました。前回(全日本選抜)は番手戦ばかりで、昨日が昨日だっただけに、自分でも半信半疑で踏み出してましたね。久々に自力で力を出し切って、脚に刺激を入れられたと思います」

<8R>
水谷好宏選手
水谷好宏選手
 竹村勇祐が赤板で一気にピッチを上げて先頭に立つが、水谷好宏(写真)が最終ホームで更に叩いて最終主導権。そのまま押し切って、2連勝で準決勝へと勝ち進んだ。
 「先手必勝でしたね。勝負所で、(井上)昌己さんよりも後ろにいたら、早めでも仕掛けようと思ってたし、その通りに走れた。竹村君はあんなにフカすと思わなかったけど、追いつく勢いでそのままいけました。気持ちが前に出てる分、考えるよりも先に身体が動いてます」
 水谷の3番手を回った富永益生が2着。水谷をマークした佐藤成人が4コーナーで別線をブロックしたところをシビアに前へと踏みこんだ。
 「水谷がいいカカリでした。このバンクは展開に大きく左右されるし、欲を持って踏ませてもらいました。年齢的に、落ち着きたい年齢ですが、今は流れも向いてるし、もっと欲を持って走りたい」

<9R>
友定祐己選手
友定祐己選手
 芦澤辰弘が赤板からピッチを上げて主導権を奪取。芦澤を地元の三谷竜生は叩けず、中団の外を踏まされる苦しい展開に。中団の内に控えた友定祐己(写真)はバックから仕掛けると、直線を鋭く伸びた。
 「もっと強引な仕掛けをしないと、付いてもらった人に申し訳なかったかな。三谷君は、普通なら諦めて居なくなるところだけど、最後まで外を踏んで自分の外にいて、出て行けなかった。最後、彼が前に少し進んで、慌ててケツを上げて仕掛けました。まくりでケツを上げたのは多分初めて。本当に三谷君が強かった」
 芦澤辰弘は、三谷竜生との対戦にスイッチが入った模様。
 「地元のホープとの対戦だし、自分は当てられてる方なのでスイッチが入りました。叩かれたら粘ることも考えてましたけど、こなきゃ先行と決めていた。これからも対戦していく相手になるし、自分も負けて苦手意識は持ちたくなかったので。自分らしいレースは出来たかなと思います」
 芦澤を目標に直線で追い込んだ中村淳が3着。
 「芦澤君が逃げてくれた。友定君が外を来るのはレースの展開上仕方ないですね。自分が出て行くのは簡単だけど、先行して頑張っているし、できるだけ彼を残してあげたかった。準決も頑張りたいですが、あとは自分の体調がどこまで付いてきてくれるか」

<10R>
川村晃司選手
川村晃司選手
 青板周回で上昇した川村晃司(写真)が押さえると、柴田洋輔が川村後位でイン粘り。赤板で石橋慎太郎が叩いて、内村泰三がそれに続き、川村は5番手へ下げる。先頭の石橋は打鐘を目掛けてピッチを上げ、先行態勢に入るが、最終ホームで川村が一気に巻き返す。番手を取りきった柴田が懸命に追うが、川村は後続を寄せ付けずに押し切った。
 「メンバーを見て、番手で粘るのはあると思ってました。押さえ気味に上昇して、石橋君がやる気だったので出させてもと思ってましたが、4番(内村)まで続いて出られるのは想定してなかった。その後はしっかり落ち着いて、自分のタイミングで踏み出せた。身体も反応しているし、状態は良いほうですよ」
 柴田洋輔は番手を取り切り、川村を追走して2着。
 「(川村さんが)カマシ気味の仕掛けなら、付いて行って自分も行ける所から仕掛けようと思ってましたが、ジワジワ押さえてきたので粘るしか、自分達にチャンスはないと思った。強い川村さんに付いていくことができたので、状態は悪くないと思います」
 柴田と連係した岡光良は、仕掛けに遅れ石橋後位から切り替えた中村浩士に前に入られたが、直線で冷静に追い込み、3着で準決勝進出を決めた。
 「初日に柴田君がいいレースをしてたし、任せてついていきました。粘ることも、想定してましたね。ちょっと遅れてしまったけど、前は中村さんだけだったので、これを抜けば準決勝だと思って、落ち着いて踏み出せました。バンクは軽く感じるし、状態は悪くないですよ」

<11R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 優秀競走『奈良はきもの杯・飛天ちゃん賞』は佐藤友和(写真)が勝利。青板バックで誘導後位へ入った佐藤に対し、中団は内に脇本雄太、外に武田豊樹で競り合いに。赤板で阿竹智史が前に出て、打鐘過ぎからピッチを上げていくと、外併走の武田が最終ホームでタテへと発進。佐藤がそれに合わせて踏み出し、そのまま先頭でゴールを通過した。
 「中団で競るとは思ってなかったけど、そうなったら動くのは阿竹君だし、その後ろをキープできるようにと思って踏みました。脚を使ってたし、踏んだ感じはあまり良いとは言えないけど、動くべきところでは動いている。準決勝も展開をしっかりと作ってラインで勝ち上がりたいですね」
 佐藤マークの伏見俊昭は、真横まで迫る武田を凌ぎ2着に続いた。
 「阿竹君が動いてくれて、いい展開になりましたね。武田さんは絶対に仕掛けてくると思って、内だけあけないように気をつけて直線勝負だと思いました。今日は友和君が強かったです」
 武田豊樹は脇本の抵抗を退け最終ホームからタテへと踏み出すも、伏見の抵抗で伸びを欠き3着。
 「自分も勝ちたいので、友和君の3番手の位置は自分も譲れない位置。外で我慢しました。もっと強くなるために新しいことに挑戦することは決して悪くないこと。阿竹君が逃げたのだけは誤算でした」
 脇本雄太に前を任せた村上義弘は仕方なしといった表情。
 「タイミング的には引いて一気にでも良かったけど、新しい試みなのか、さらに上を目指しているんでしょうね。ああいうレースだし、自分はやりようがなかった」
 脇本雄太は新たな挑戦を、大舞台で披露した。
 「前を取って、全部引いてドンは何度もやってるし、違ったことをしようと思いました。練習でもやったことはなかったけど、凄いメンバーの中で、実戦だから学べたことも多いです」
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