『奈良競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:2月19日
 奈良競輪開設62周年記念「春日賞争覇戦」は2月19日に最終日を迎えた。未明から降っていた雪の中始まった最終日のレースだったが、雪は小雨へと変わって、次第に雨は止み、レース終盤にはバンクもすっかり乾き、万全のコンディションの中、決勝戦が争われました。決勝戦はGP王者・村上義弘を筆頭に4名が勝ち上がった近畿勢が2車ずつに分かれて別線勝負。S級S班武田豊樹、佐藤友和ら豪華メンバーで33バトルを舞台にスピードバトルが展開されました。
決勝戦 レース経過
 号砲で脇本雄太がゆっくり出て、正攻法に構える。脇本-三谷将太が前受け、中団に佐藤友和-伏見俊昭、武田豊樹-合志正臣、単騎の山賀雅仁が続き、川村晃司-村上義弘が後攻めの形で隊列は落ち着く。
 2周回目のバックから早くもレースは動き始める。後攻めの川村が上昇すると、前受けの脇本は車を下げる。青板周回の2コーナーから武田が仕掛けて先頭に立つ。川村は3番手に入るが、今度は5番手から脇本が一気にスパート。赤板で武田を叩いて主導権を握る。武田は3番手を確保し、川村は5番手、単騎の山賀は6番手、佐藤が8番手の態勢で打鐘を通過。脇本がそのまま快調に逃げて、1列棒状のまま最終ホームを迎える。佐藤がホーム8番手から巻き返し、2コーナーからは武田がまくり上げる。武田は三谷のけん制を耐えて脇本を捕らえるが、バックで佐藤を飛ばした川村が武田の上を豪快に踏み上げる。川村のスピードをもらった村上が直線で中コースを鮮やかに突き抜け、今年初優勝を飾った。


村上義弘選手
村上義弘選手
 脇本雄太が主導権を握り、武田豊樹が三番手。武田の磐石な位置取りを見て、武田が優勝するシーンが目に浮かんだ。だが、直線を伸びたのはGPユニフォームを身にまとった村上義弘(写真)だった。中団5番手の位置から仕掛けた川村晃司のスピードを貰い、直線は川村の内コースを鋭く追い込んでの優勝。ゴール直後には優勝の喜びをガッツポーズで高らかに表現した。
 「地元地区の開催なので看板を守るために必死でした。近畿の後輩もみんな頑張っていたし、期待に応えられるようにと思って走りました。ワッキー(脇本)が(三谷)将太を連れて、(川村)晃司が自分を連れて、二人の気迫は十分に伝わってきた。自分はゴールまでしっかりと思い、それが結果につながりました」
 ゴール直後には、たくさんの声援で場内が沸いた。ファンへの感謝の気持ちも忘れない。
 「地元地区のファンはいつも声援が暖かいですね。優勝することが出来て、いろんな意味でホッとしました。近畿地区だけの話ではないけど、選手として一生懸命走ることで、もっともっと競輪を盛り上げていきたいです」

 タイミング良く仕掛けた川村晃司は2着の結果に悔しい表情。
 「2着は何度もあります。優勝はまだ早いということですかね。落ち着いて仕掛けられたけど、タイミングは何度か躊躇していた。また次に頑張るしかないですね」

 武田豊樹が3着。中団3番手と絶好の位置をキープし、2コーナーから仕掛けたが、三谷将太のブロックでスピードが鈍った。
 「川村君を斬って、脇本君に飛びついて、そこからまくって。勝つにはあの3番手の位置が欲しいですからね。力は出し切りました。100%の力だし、あれ以上の力は出ない。脇本君の先行力の強さを改めて実感したし、川村君も責任感が強い選手で、村上君もそれに応える選手。個人個人がみんな強い中で、確定板に上がれて自信になりました」

 逃げた脇本雄太は最後の直線で力尽きた。
 「前受けになることはある程度想定してました。川村さんが早く動いたのは想定外だったけど、誰も行かなきゃ自分が逃げるつもりでした。2日目に位置を狙ったりして、今回はいろんな事に挑戦できた。もっと上のレースで勝つために、今後も色々なスタイルを見せられるようにしたいですね」

 脇本雄太と連係した三谷将太は武田の仕掛けをブロック。そのまま前へと踏み出したが、外の武田と内を突く合志正臣に挟まれてしまいコースを塞がれた。
 「自分にしては珍しくタテに踏んで優勝を狙ったんですが、ワッキーにも合わされてしまった。次の奈良記念で優勝出来るように出直してきます」

 佐藤友和は後方からの仕掛けが届かず。
 「川村さんがレースを動かすのが早くて、それが誤算でした。33バンクの、しかも奈良バンクで8、9番手じゃキツいと思ってたんですよね。最終ホームで川村さんが仕掛けることを期待したけどそこでは動かなかった。無理矢理自分で行ったけど、すぐに合わされてしまいました」


ゴール
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