『奈良競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:2月3日
 奈良競輪場開設63周年記念「春日賞争覇戦」は2月3日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。注目の決勝戦を制したのは平原康多。神山拓弥マークから最終ホームで自力に転じると、後続の追撃を力強く振り切った。これで1月立川に続き、早くも今年2度目の記念制覇。直後に控える高松全日本選抜競輪に大きな弾みをつけた。
決勝戦 レース経過
 スタートでいち早く渡邉一成が飛び出して誘導の後ろを取った。初手は渡邉―大塚玲、神山拓弥―平原康多―長塚智広、阿竹智史―小倉竜二―北野武史の順で並び、三谷将太が長塚の外に並びかけ、平原の後ろを主張した。
 周回が進み、レースが動いたのは青板のホームから。まずは阿竹が早めに上昇をはじめると、神山も合わせて踏み込んで中団を取りにいく。阿竹が先頭に立ってペースを緩めると、8番手に引いた渡邉が巻き返していき、赤板過ぎに叩いて出た。すると今度は神山がカマして反撃を開始した所で打鐘が入る。しかし、渡邉も合わせて踏み上げ、神山を出させない。神山が番手に降りようと試みたが、大塚も必死に抵抗する。このもつれを尻目に、平原は自力に転じてホームからスパート。三谷に競り勝った長塚が続くと思われたが、内から阿竹が長塚を飛ばして番手を奪取した。平原は2角で渡邉をまくり去ると、続いた徳島勢との勝負に。最後の直線に入ると小倉が平原、阿竹の間を割って鋭く伸びてきたが、平原が力強く押し切って優勝を飾った。


平原康多選手
平原康多選手
 予想以上に激しい決勝戦だった。33の小回りバンクで残り3周の青板からレースは目まぐるしく動く。人気を集めた平原康多(写真)にとっても厳しい流れとなったが、最後は意地のまくりで決着。SS班の底力を見せた。
 「苦しいレースでしたね。(渡邉)一成があんなに早くいくとは思わなかった。本当に激しい展開だったんですが、後輩が頑張ってくれたおかげですね。仕掛けるべきか迷ったけど、あそこでいかないと阿竹(智史)君に持っていかれそうでしたから。脚がいっぱいで後ろの様子は全く分からなかった。ゴールした瞬間は抜かれて3着かと思ったけど優勝できて良かったです。ゴールまで踏み切って終われたので納得のレースです」
 今年最初のG1、全日本選抜は目前に迫っている。記念V2で最高の弾みをつけた平原が大会連覇に挑む。
 「もう全日本選抜まで日にちがないですからね。しっかり疲れを取って調整します。連覇は全く気にしていないけど、今回よりもいい走りで終われるように頑張ります」

 記念決勝で初めて連係が実現した徳島の師弟コンビは見せ場十分の内容だった。小倉竜二が最後は得意のハンドル投げで平原に迫ったが、僅かに届かなかった。
 「あそこまで迫れたから勝ちたかったですね。残念です。阿竹が前々にいいレースをしてくれた。阿竹の上手さが出たし、動きが俊敏でしたね。今回は阿竹にとってもいい刺激になったと思う。今後に期待します」

 阿竹智史は平原のまくりに俊敏にスイッチして4角番手の絶好展開となったが、詰めを欠いた。
 「一旦斬って前に出たけど、まだ先行は早いと思っていたら(渡邉一成が)来るのが見えたので出しました。平原君のまくりに反応良くスイッチできたし、余裕はあったんですけどね。抜いてやろうと思ったんですが、平原君が強かったです」

 渡邉一成はライン2車で赤板過ぎから果敢に主導権を奪った。
 「順番が来たら仕掛けようと思ってました。思ったよりレースが早く動いて残り2周で前に出る形になってしまった。まだ早いと思ったけど、あそこで出させたら終わりですから。もう1車、ラインがいれば違ったんですけどね。駆けた感じは良かったし、力は出し切りました」

 突っ張られた神山拓弥は渡邉の後位に割り込んだ。
 「レース前はどうするか色々と考えていたんですけどね。予想していたよりも、かなり早くレースが動いた。思い切って仕掛けていけたんですけど、スピードが合っちゃいましたね。番手に降りる判断は良かったと思います。結果的に平原さんが優勝したので良かったです」


ゴール
↑ページTOPへ