『奈良競輪開設64周年記念（GIII）レポート』 3日目編
配信日：2月2日
奈良競輪開設64周年記念「春日賞争覇戦」は佳境のシリーズ3日目を終了。準決勝3個レースは激しい戦いの連続だった。最終レースでは深谷知広が敗退するなど波乱もあったが、稲垣裕之をはじめ、天田裕輝、早坂秀悟ら好調な機動型が数多く勝ち上がった。明日の決勝戦でシリーズのベストナインが激突する。
最終日も場内イベントは盛りだくさん。こまごめピペットによる歌とダンスパフォーマンス、井上茂徳トークショーが予定されています。ぜひ奈良競輪場でお楽しみください。
＜１０Ｒ＞
天田裕輝選手
岩津裕介選手 |
後攻めの西村光太が青板周回のバックから先行。中団の原田研太朗は車間を詰める勢いで最終ホーム手前から前団に襲いかかる。これに小嶋敬二が番手まくりで応戦。この混戦を天田裕輝（写真）が豪快にまくって完勝。シリーズ3連勝で完全優勝に王手をかけた。
「かなり厳しい展開でしたが、冷静にいけました。残り2周ぐらいなら突っ張りも考えていたけど、かなり早めにレースが動いたので溜めていこうと。前の惰性をもらえたし、いい判断だったと思います。3日間1着はうれしいですね。佐世保記念の頃は疲れていたけど、1月は1本しか走ってなかったし、けっこう休めたのが大きかったです。まだ記念は優勝したことがない。決勝はそう簡単にはいかないと思うけど、いいレースをできるように頑張ります」
完璧マークの佐藤慎太郎が2着。天田の強さに脱帽する。
「厳しい展開になったけど、びっくりするぐらい天田君が強かったです。追走いっぱい。岩津（裕介）君が俺のところを狙っている感じだったので、そこだけ避けながらいきました。でも、スピードも違ってましたね。あれは抜けない。決勝は天田君が敵になるから厳しいですね」
目標の原田が出切れないとみた岩津裕介（写真）は俊敏に内に斬り込んで、そのまま先頭に立つ予想外の流れ。天田には行かれたが、3着に食い込んだ。
「いい展開になったと思ったんですけどね。西村君はオーバーペース気味に駆けていたし、前もバテてましたね。原田も車間を空けていた分、苦しそうでした。合わされたと思って内をキメにいったんですが、小嶋さんが降りてこないので、仕方なく前に出ました。まだゴールまで遠いと思って流してたら、いいスピードで（天田に）行かれてしまった」
小嶋敬二は絶好展開を生かせず4着に敗れた。
「ずっと後ろは確認していたし、余裕を持って原田君に合わせて踏んだんですけどね。このまま3角まで真っ直ぐ踏んでいこうと思ったら、内から岩津が来てびっくりしました。仕方ないですね」
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＜１１Ｒ＞
稲垣裕之選手
松谷秀幸選手 |
中近ライン4車の先頭を任された伊藤信が赤板前から迷わず逃げる。稲垣裕之（写真）は最終2コーナーから番手まくりを敢行。後続の追撃を振り切って人気に応えた。
「（伊藤）信君が本当に躊躇なく行ってくれて、すごいうれしかったです。その気持ちに応えるためにも、絶対に1着を取ろうと思いました。信君と2人でプレッシャーを感じながら走れましたね。後ろがどうなっているかは分からなかったです。調子は問題ないですね。自力で優勝を目指して頑張ります」
中団をキープしていた山形一気は最終ホームから内を進出。林巨人をすくって稲垣後位を取り切り、2着に流れ込んだ。
「とにかく1車でも前にいく作戦でした。もがき合いも想定していたんですけどね。脚を使っていたんで、最後は余力が残っていなかった。小倉（竜二）さんと決められなかったのが残念。記念決勝は初めてなんで、自力でしっかり力を出し切ります」
松谷秀幸（写真）は最終バック9番手。3コーナーで判断良く内を突いて3着に入った。
「残り2周でもう終わったと思いました。3コーナーでも9番手でしたからね。でも、余裕はあったし、根田君が飛んだと思ってパッと内を見たら空いていたので、入っていけました。身体は反応しているし、レースは見えてますね。悪いなりに3着に入れて良かったです。決勝も見せ場は作りたいですね」
根田空史は8番手まくり不発に終わった。
「今のフレームは長い距離を踏めるけど、反応が今ひとつですね。次に課題ができました」
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＜１２Ｒ＞
早坂秀悟選手
鈴木誠選手 |
最終レースは後攻めの早坂秀悟（写真）が早めに押さえて先行態勢に持ち込む。打鐘前の2コーナーから巻き返してきた深谷知広を抜群のダッシュで合わせ切り、会心の逃げ切りを決めた。
「レース全体が見えていたし、落ち着いて先行できました。（深谷が）いつ来てもいいように準備はしていました。もし行かれても3番手には入れるはずだし、そうなったら（鈴木）誠さんとの勝負だと思ってました。思い切り踏んだのは1周半ですからね。でも、初日より踏めていたと思います。自分らしいレースができたし、決勝につながるはず。ここに来る前にナショナルチームの合宿にも参加させてもらったし、小嶋（敬二）さんとも2、3日練習してアドバイスももらってました。今回、結果が出たのは、そのおかげですね」
ベテランの鈴木誠（写真）が好マークから2着に流れ込んだ。
「深谷君に行かれても1人だと思っていたけど、合わせ切るんだから早坂君は強いですね。あれだけの先行をしてくれたのに抜けなかった。付いてていっぱいでした。最後は中を割られないようにだけ気をつけてました」
地元の三谷将太が深谷不発の展開から鈴木後位に切り替えて3着。単騎の鈴木庸之は最終ホームで三谷に割り込まれたのが響いた。
「三谷君に当たられてしまった。その後ろから車間が詰まる勢いで仕掛けようとしたけど全然出なかったですね。そうしたら今度は内から園田（匠）さんが来てしまって…。気が休まるところがなかったです」
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＜最終日・9R KEIRIN EVOLUTION（ケイリン エボリューション）＞
稲毛健太選手 |
第5回ケイリンエボリューションが最終日の第9レースに行われる。このレースは国際大会を規範とした競技規則で争われる。主役はナショナルチームの強化指定選手に選ばれている稲毛健太（写真）だ。走り慣れているカーボンフレームなら持ち味を最大限に発揮できる。
「競輪の成績は上がってきているんですが、競技の方はあまり結果が出ていないんですよ。和歌山記念のあとはナショナルチームの合宿に行ったり、練習はしてきました。あんまり勝ちにこだわりすぎても失敗するので、いつも通り走ります」
小埜正義は前回平記念で決勝3着と好調を持続。競走得点は一番高い。
「成績がいいのはタマタマですよ。平のあとに熱が出たんですが、2日休んでから練習は普通にやってきました。カーボンフレームなんて乗ったことがないし、ここでセッティングを出します。ルールを勉強して先行基本に頑張ります」
小川祐司はここ3場所連続で予選敗退。今ひとつ波に乗り切れていない。
「前回小倉で課題が見えました。回転力が足りない。日にちはそんなに空いてなかったけど、ペダリングを意識しながら練習してました。今回は自分のパフォーマンスを出せるかどうか。競技の経験が少ないので、ルールに気をつけて、あとは思い切り行くだけですね」
追い込み型の安東宏高は小回りの33バンクだけに好位を確保できるかがポイントになりそうだ。
「33ですし、前々にいきます。ギア規制はもともと軽いギアだったので違和感なく走れています。フレームも地区プロ、全プロで使っているから不安はありません。エボリューションは初めてなんで1着目指して頑張ります」 |