『奈良競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:2月3日
 奈良競輪開設64周年記念「春日賞争覇戦」は2月3日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦を制したのは単騎の天田裕輝。最後方から鮮やかにまくって完勝。無傷のシリーズ4連勝で記念初制覇を果たした。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴るといち早く稲垣裕之が飛び出し、初手は稲垣ー三谷将太、山形一気ー岩津裕介、松谷秀幸ー鈴木誠、早坂秀悟ー佐藤慎太郎、天田裕輝の順で並んだ。
 レースが動いたのは青板周回のバックから。まず早坂が動いていくと、合わせて松谷が上昇して先に誘導を斬った。すると、今度は早坂が外併走から赤板目掛けてカマしていき、先頭に躍り出る。松谷はすんなり3番手を確保し、山形は内をすくって中団5番手。さらに天田が続き、稲垣は8番手に置かれた。早坂は後方を警戒しながらペースを保つと、稲垣が打鐘から反撃を開始。すると早坂も2センターから本格的に踏み込んで先行態勢に入った。三谷が踏み出しで千切れたため、稲垣は単騎で前団に迫ると、佐藤はこれを大きくブロック。稲垣はスピードが鈍った。すると、そこへ今度は天田が襲い掛かる。天田は2コーナーからスパートすると一気に距離を縮め、2センターで前団を捕らえた。天田は勢いそのままゴールし、完全Vで記念初優勝を飾った。早坂の番手から佐藤が追い込んで2着。その後ろの松谷が3着に入った。


天田裕輝選手
天田裕輝選手
 超細切れ戦で単騎となった天田裕輝(写真)だが、組み立てに迷いはなかった。「位置取りに脚を使っても面白くない」と脚力を温存して一発にかけた。早坂秀悟と稲垣裕之で踏み合って絶好のまくり頃に。最後方から豪快弾が炸裂した。
 「単騎だったんで、自分の力を信じて一発狙ってみようと。やり合ってくれればチャンスはあると思ってました。流れが向きましたね。今回は感じも良かったし、一戦一戦、集中して走れました。本当にうれしいです」
 昨年は9月前橋オールスターでG1優出するなど大きく飛躍した。今年も初戦の前橋で優勝。そして今シリーズは無傷の4連勝で記念初制覇と勢いは増すばかりだ。
 「レースに対して積極的に仕掛けるようになって、それが結果につながっています。今はG1を目指してやっているし、今年はタイトルを獲ってグランプリに出るのが目標。これから警戒もされてくるし、ここからしっかり勝てるように。次はG1で結果を出せるように頑張ります」
 今年最初のG1、全日本選抜はもう目前。自慢のスピードで頂点奪取に挑む。

 先行したのは早坂秀悟。番手の佐藤慎太郎は巻き返してきた稲垣裕之を好ブロックで止めたが、天田のスピードには対処できなかった。
 「(早坂)秀悟が頑張ってくれました。稲垣は止められたんですが、天田が強かったですね。止める、止めないの感じじゃなかった。俺にもう少し脚があれば、車間を空けて合わせて出るとか、もっと何かできたかもしれない。ラインの先行選手のためにも、後ろがしっかりしないとダメですね。課題が見つかったし、まだまだ強くなれると思う」

 東北コンビの3番手を確保した松谷秀幸は流れ込みの3着が精いっぱいだった。
 「組み立ては良かったんですけどね。ホームで詰まったときに行けば良かった。結果がダメでも仕掛けるべきでした。ちょっともったいなかった。出し切れずに終わった感じですね」

 早坂秀悟は赤板からハイペースで逃げてレースを作った。
 「稲垣さんにいい位置を取らせて、先行争いを避けたかったんですけどね。ああなったら仕方がない。稲垣さんを合わせ切れたのは良かったんですが、もう1人(天田)は無理でした。最後はいっぱいでした」

 後方から巻き返した稲垣裕之は東北コンビの前に敗れた。
 「早坂君の先行が強かったし、(佐藤)慎太郎さんも上手かった。実質(早坂との)2分戦みたいな感じだったので、位置にこだわってもつまらないですからね。突っ張るか引くかのレースを考えてました。力は出し切りました」

ゴール
9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)
一ノ瀬匠選手
一ノ瀬匠選手
 シリーズ最終日の第9レースに第5回「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」が行われた。最後方から打鐘過ぎに前へ出た伏兵の一ノ瀬匠(写真)がそのまま後続を退け、まんまと逃げ切り。上がり9秒4の好タイムで優勝を飾った。
 「自信はなかったんですけど、とりあえず前に出て先行しようと思ってました。いいタイミングで仕掛けられたし、ホームで脚が回りだして、バックはかかってましたね。誰も来ないでくれって思ってましたが、まさか逃げ切れるとは自分でもびっくりです。いつもよりも踏む距離は短かったですね。これがいいきっかけになってくれれば。今度は普段の競輪でもしっかり結果を出したい」

 3番手を確保した小埜正義は最終2コーナーからまくって出たが、一ノ瀬を捕らえることはできなかった。
 「打鐘で一ノ瀬を追えずに3番手に入ったんですけど、その時にサドルが下がってしまったんですよ。それで力が入らなかったし、全然出なかった。9秒2のまくりで届かないんじゃ仕方ないですね」

 安東宏高は前受けから飛び付いて、一瀬の2番手をキープしたが、空いてしまった車間は最後まで詰まらなかった。
 「車番は悪かったんですが、前が取れて良かったです。組み立ては上手くいったし、チャンスはあったんですけどね。一ノ瀬君が強かった。力不足です」

 稲毛健太は5番手まくり不発。ナショナルチームの実力を発揮できなかった。
 「一ノ瀬君が来たのは見えたんですが、はさまれてしまったので、引いて態勢を整えました。車の出は良かったんですけど、前まで遠かったです。ナショナルでやっているし、結果を出したかったんですけどね。悔しいです」

ゴール
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