『奈良競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:2月23日
 2月20日からはじまった奈良競輪開設65周年記念「春日賞争覇戦」G3は23日に最終日を終え、4日間にわたる熱戦に幕を下ろした。SS班の平原康多、園田匠ら主力が相次いで脱落し、落車事故も多発した波乱の今シリーズ。まさに死闘を勝ち抜いた9名により決勝戦が行われた。注目の決勝は浅井康太が8番手からまくって今年初優勝を遂げた。
決勝戦 レース経過
 号砲で浅井康太が飛び出し、山内卓也が続く。以下の隊列は芦澤大輔、新田祐大―和田圭、石井秀治、吉本卓仁。古性優作―三谷将太が後方に待機して周回を重ねる。
 単騎の吉本が青板から動き出し前に出ると、その上を芦澤が押える。古性は新田を警戒しながら赤板目がけて踏み出し主導権を握って出る。先行態勢の古性に三谷、3番手に芦澤が飛び付き、石井。中団に新田が収まり、7番手が吉本。古性がそのままペース上げて、浅井は一本棒の8番手で打鐘を通過する。2センターからようやく浅井は反撃を開始。浅井がグングンと加速して最終1コーナーで新田のヨコに並ぶと、石井も合わせて出る。芦澤のけん制で石井が不発も、今度は逃げる古性マークの三谷が番手まくり。しかしながら、スピードの違いで浅井がバック過ぎに前団をとらえる。浅井に続いた山内まで出切り、新田が中部の2人に迫り直線へ。浅井がそのまま後続を振り切りV。新田の強襲を凌いだ山内が2着をキープして中部ワンツー。


浅井康太選手
浅井康太選手
 昨年の最優秀選手か、はたまたグランプリ覇者か。「輪界の頂上決戦」と言っても過言ではない今シリーズの決勝は、浅井康太(写真)に軍配が挙がった。前受けから8番手に置かれたものの、そのリスクは想定内とばかりに慌てず一気のスパート。一瞬にして優勝を手にした。
 「33バンクで8番手の苦しい展開になりそうだから、少しでも早い仕掛けを心掛けていました。(山内)卓也さんに付いてもらったのに後手後手でまくり追い込みにならないように。新田君より先に仕掛けようと思っていたことが結果につながったと思う」
 グランプリ覇者のプライドに賭け、負けられぬなかでの今回の優勝となるが、「グランプリはあくまで去年の成績。全員が今年1からのスタートだし、自分も初心に戻って1からのスタートだと思っているので」と王者のおごりは一切ない。居並ぶトップ選手たちの1ライバルとして、目の前の一戦一戦に全力を注ぐ。
 次はG1の最高峰・ダービー。勢いそのまま、舞台となる名古屋で再び頂点を極める。
 「中部地区だからってコメント欲しいんでしょ(笑)。でも僕は走る以上はどこでも関係なく、気持ちを込めて走っているので。全国にファンがいるし、競輪界を背負っている気持ちで走っているので、どこでも。今回ホッとしたのもあるけど、体は整っているので。普段からしっかり練習しているし、いつも通りやれば大丈夫。今回もそうだけど、落車に巻き込まれないレースをするのが僕の課題でもあるので、怪我をせずに1年間調子を保って、今年もグランプリを走りたい」

 山内卓也は完璧マークから、最後は優勝も見えたが。
 「抜きたかったですね。今日は前受けの作戦しかなかった。単騎が多いし、かく乱させられるんだったら面倒だから前受けと。あそこで行くと言ってたし、タイミングもバッチリでした。付け切れたから、もしかしたらと思ったけど」

 新田祐大は懸命に浅井を追ったが、3着が精一杯。
 「連日後ろになってしまったけど、決勝に限って良い位置が取れたので逆に前を見てしまった。前の石井さんに振られてタイミングも取れなかったし、ずっとバックを踏まされる展開だった。4日間で1番楽な展開だったけど、脚を使わず終わってしまいました」

 芦澤大輔は3番手好位を取ったが、仕掛けられず。
 「飛び付いたまではいいけど、そこから車を出せなかった。脚にはきてたけど、1周休めたし、やらなきゃいけないところだったのに。大事なところで出なかった。そこは練習ですね。消化不良で終わってしまいました」

 古性優作は地元を連れ、力の限り逃げたが力負けに終わる。
 「力不足ですね、まだまだ。今日は車番的に後ろ攻めになると思ってました。でも、決勝に乗れたのはステップアップだと思うし、課題だらけだけど、セッティングとかも分かった部分もあるのでダービーは楽しみです」

 地元の三谷将太は必死に番手まくりを打ったが及ばず。
 「相手にならんかった。あれだけ前が頑張ってくれたのに。悔しい、力不足……。また来年頑張ります」

 石井秀治は1コーナーでアタックしたが車は出ず。
 「動いて位置を取れたのはよかったけど。車間を斬って仕掛けたかったし、疲れがあって思ったように車が進まなかった。(初日の)落車の影響があったのかもしれない。仕方ない」


ゴール
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