『奈良競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:2月22日

 奈良競輪場を舞台に、開設67周年記念「春日賞争覇戦(GIII)」が、2月22日に開幕した。短走路での戦いだけに、オープニングレースからスピードバトルが繰り広げられた。メーンの特選では、三谷将太、松谷秀幸、三谷竜生が勝ち名乗り。23日の2日目は、優秀戦をメーンに二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 なお、本場ではたくさんのファンサービス、イベントが予定されております。開催を通して先着300名様に、日替わりでおもてなし振る舞いや、未確定車券の抽選会(6R発売中)、2日目は抽選で100名様に奈良県産のはきものプレゼントなどのイベントを予定しています。2日目も、「春日賞争覇戦」をぜひ本場でお楽しみください。

<1R>

山本直選手
山本直選手
 オープニングレースは山本直(写真)が制した。赤板で前に出た山本は徐々にピッチを上げて先行態勢へ。軽快に風を切ると、星島太の追撃も振り切った。
 「組み立てに問題はなかったです。落ち着いても走れましたね。1(レース)の1(番車)だったので、期待に応えられてよかったです。でも、緊張が入って、えらかった。状態は良い感じです。このまま緊張を切らさないように」
 星島太はまくってきた西本直大をブロックするなど、山本をきっちりと援護した。
 「西本が良い勢いで来たので被ってしまって(抜けなかった)。もうちょっと、すんなりならゴール前勝負ができたけど。でも、山本君が要所で踏んでいて、うまく駆けてくれましたね」

<2R>

 野口正則が赤板で前に出るが、合わせて踏んだ三ツ石康洋が番手に飛び付いて前団がもつれる。前受けから後方に下げた矢野昌彦は戦況を見極めると、最終ホームから反撃を開始。力強いまくりで前団を飲み込んだ。
 「本当は先行するべきだったんですけど、スタートで誰も出なくて。前受けしかないかなと。構えてからは脚に余裕があったし、いつでもいける感じでした。でも、上位相手だとまくりじゃ通用しないと思う。脚的には大丈夫だけど、セッティングがまだしっくりきていないですね」
 風を切った野口正則だったが、5着で予選敗退。地元記念での勝ち上がりを逃し、がっくりと肩を落とす。
 「もうちょっと早く切るべきでしたね。先行態勢に入っていれば、筒井(裕哉)さんも、黒木(誠一)さんも仕事をしてくれるので。躊躇しているところがダメですね。失敗でした」

<3R>

 後ろ攻めの竹内翼が青板のバックから動くと、中団の岡崎景介は竹内をしきりにけん制。すると、前受けの小酒大勇が赤板で誘導を下ろし先行態勢へ。そのまま中団を確保した岡崎は、最終1コーナーからまくって別線を粉砕した。
 「若い選手はチャレンジの時から戦っているし、竹内君の走りは知っている。脚の差がなければ、経験値は僕の方があるので勝てますよ。今は1日5時間くらいしっかり練習しているので、今回はその成果が出て良かった。この記念の為に練習してきたので」
 岡崎に迫った林巨人だったが、タイヤ差及ばずの2着。
 「岡崎さんが巧いレースをしてくれました。竹内君を後方に置ければと思っていたので。抜ける感じがあったので、ああいう時に1着を取っておかないとダメですね。でも、脚の感じも良かったし、気分も良いです」

<4R>

 後ろ攻めの石口慶多が、合わせて踏んだ坂本周輝を赤板前で押さえる。坂本は別線を警戒しながら前との間合いを取ると、2コーナーから踏み込んで主導権を奪取。守澤太志は番手で粘った石口を凌ぐと、直線で追い込んだ。
 「勝ち上がりの1着は久しぶり過ぎて覚えていないですね。(坂本)周輝が良い仕掛けをしてくれました。前回からフレームを換えて、自分の状態と良い感じにマッチしている。調子も上がってきているので、これからですね」
 坂本周輝は力強い先行策で、ラインを上位独占に導いた。
 「奈良は癖がないですからね。前々に踏もうと思っていました。石口さんが思ったほど踏んでいなくて、スピードを上げて仕掛けたかったので車間を空けました。内容良いレースができてよかった。満足です」
 川津悠揮は、3番手の仕事をきっちりと遂行して3着に入った。
 「前2人のおかげですよ。内を空けたら武藤(篤弘)さんとかが、掬ってくると思ったので、そこだけを意識して走りました。直線は交せなかったけど、伸びも悪くないと思う。これで4日間、走れるのでホッとしました」

<5R>

松岡篤哉選手
松岡篤哉選手
 中村一将が赤板で前に出る。しかし、押さえられた今泉薫がすぐさま巻き返すと、中村も突っ張って前団はモガき合いに発展。これで絶好の展開となった松岡篤哉(写真)は、最終1コーナーから仕掛けて前団をまくり切った。
 「前々に踏んで突っ張りたかったけど、思ったより早かったので。自分が行きたいところで今泉君がいったので、そこは落ち着いて。でも、組み立ては失敗ですね。状態はだいぶ良くなってきたけど、まだ余裕はないですね。今シリーズでいいきっかけをつかみたい」
 松岡マークの松尾淳が、きっちり続いて2着に入る。
 「後ろに加倉(正義)さんが付いているから、緊張しましたよ。モガき合いになったけど、8番(今泉薫)が邪魔になって。松岡が内から行くのか、外から行くのかで付いていくのが難しかったですね。しかし、前をちっとも抜けんな」
 加倉正義は、直線で前との車間が空くも3着に入線。ラインで上位独占となった。
 「恵まれました。松尾君が松岡君をしっかり操縦すると思っていたので、付いていくだけでいいと。最後は3番手で離れているように見えるけど、宗景(祐樹)君の動きとかを見て計算しながら。余裕がなかったらピタリと付いていくんですけど、意外と余裕がありましたね」

<6R>

柴崎俊光選手
柴崎俊光選手
 赤板でカマした岡本総が、打鐘で大石崇晴を叩く。しかし、日当泰之がすかさず巻き返し、最終1コーナーで最終主導権。岡本が渡辺に絡むと、柴崎俊光(写真)は3コーナーから前に踏んで突き抜けた。
 「意外なレース展開で、(岡本と)2人で決められなかった。車の進みは良かったし、余裕はありました。日当君のスピードが良くて、ホームで対応できなかったのが悔しい。1着を取れたので、二次予選に繋げていきたいです」
 北勢に付けた會田正一は、打鐘の2センターで前と連結を外してしまう。それでも、京都勢の3番手を奪うと、直線で伸びて2着に食い込んだ。
 「結果は良かったけど、離れてしまったので…。でも、前回(2月小田原724着)よりは走れたと思う。和歌山記念の時は落車の影響があったが、今回は大丈夫だと思います」

<7R>

 津村洸次郎が、合わせて踏んだ金子哲大を赤板で押さえる。一旦3番手に収まった金子だったが、2コーナーから踏み上げて主導権を奪い返した。そのまま絶妙なペースで駆けると、別線を完封して押し切り。
 「S級になってから短走路が苦手だったけど、逃げきれて良かった。3番手を取れそうな展開だったので、取ってから仕掛けのタイミングを考えようと思っていました。結果的に自分のタイミングで仕掛けることができましたね。今年初勝利を挙げられてよかったです。脚も悪くないです」
 2着の石川裕二は、悔しそうにレースを振り返った。
 「前回の松山から中2日で少し疲れが残っているのかな。金子君が強かったのもあるけど、しっかりと差したかったですね。危うく大薗(宏)さんにくわれる所でした。まあ、ラインで決まったので、よしとします」
 大薗宏も、きっちりと3着に続いた。
 「やるべき事をしっかりとできましたね。直線では突き抜けるイメージと脚があったのにコースが空かなくて。でも、余裕もあって踏めているので悪くない」

<8R>

鷲田佳史選手
鷲田佳史選手
 加藤健一が赤板で出るも、押さえられた中本匠栄が内から盛り返す。すると、望月裕一郎が松本大地を巻き込んで落車するアクシデントが発生。これを回避した元砂勇雪は一気に踏み込み、打鐘の2センターで主導権を奪取する。番手の鷲田佳史(写真)は車間を切って別線の反撃に備えると、ゴール寸前で差し切った。
 「(片岡(迪之)君がもう一度仕掛けて来るのもわかっていたし、ギリギリまで見て。でも、これは調子がよくないとできない。ここのあっ旋が出てから、ここに向けて仕上げてきました。今年に入って一番くらいのデキです。伊原(弘幸)さんが4着なのは反省ですけど、あそこで踏んだら(元砂)勇雪が残らなくなるので」
 元砂勇雪は、鷲田の援護を受けて2着粘った。
 「バックまでは余裕があったんですけど、3コーナーで急にキツくなりました。いつもなら逃げ切れる展開なんですけどね。自転車にあたりはあったけど、緊張もあったし、調子も落としているので」

<9R>

 人気を背負った桐山敬太郎は青板のバックで前受けの宮崎康司に突っ張られるも、冷静に車を下げて中団をを確保。打鐘の4コーナーから一気に仕掛けると、逃げる宮崎を軽々とまくり切った。
 「オッズを見て緊張していました(笑)。本当は打鐘で主導権を取ろうと思っていたんですけど。冷静に対応できました。(中団に入った後も)最終バックは取ろうと思って仕掛けました。思ったよりも車が進むし、調子は良いと思います」
 石毛克幸がピタリと続き、南関ワンツー決着。
 「桐山君は落ち着いていましたね。自分はずっと内を締めていました。オッズも見ていたので、絡まれたらヤバいなって思っていましたよ。付いていけて良かったです。あの展開で奈良のバンクだと抜けないですよ」

<10R>

三谷将太選手
三谷将太選手
 先に切った稲垣裕之は、押さえに来た根田空史を突っ張って出させない。一旦は車を下げた根田だったが、赤板の1センターから再度踏み上げて、強引に主導権を奪い返した。態勢を整えた稲垣は、1センターからまくって抵抗する根田を力でねじ伏せる。最後は三谷将太(写真)が直線で抜け出した。
 「南関勢の後ろから組み立てたいというのはあったけど、作戦という作戦はなかった。稲垣さんが突っ張ってくれて(主導権を)取り切れたと思ったが、根田君が無理矢理きて。自分としてもキツかったけど、稲垣さんを抜けているので好調だと思う」
 稲垣裕之が2着。巧みなレース運びで、同型ライバルを撃破した。
 「根田君をすんなり出させてはしんどいので、苦しめようと思っていました。本当は突っ張り切りたかったが、出られてからは冷静に対処できましたね。自力でのトレーニングの成果を出せましたね」
 南関勢と連係を外した竹内智彦は、打鐘の2センターで近畿の3番手にスイッチ。そのまま前を追って、3着に入った。
 「最後は伸びてくれました。(実感はないが)やっと戻ってきたのかな。キツい展開だったけど、結果が良かったので。ラッキーですね」

<11R>

松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 赤板で中井太祐を叩いた櫻井正孝が、ハイペースで風を切る。しかし、前受けから8番手に下げた吉澤純平が、打鐘から反撃に出てジワジワと前団に迫る。これに対して早坂秀悟は番手まくりで応戦。両者でサイドバイサイドの展開に。松谷秀幸(写真)は茨城コンビの仕掛けを追うと、2センターからまくり追い込んだ。
 「1回自分で動いてから、櫻井君と吉澤君のどっちが先行するか見て。そこから3番手に追い上げようと思ったけど、そんなスピードじゃなかったですね。その後は(茨城コンビに)スイッチできたし、脚の感じは全日本選抜よりいいかもしれないです。でも、もうちょい早く仕掛けられたよかったですね。吉澤君が合わされるかと思って見てしまいました。あそこで仕掛けられたら、もうワンランク上がる」
 武田豊樹が、吉澤の番手から追い込んで2着に入る。
 「併走していたから、(吉澤)純平が残るか、残らないか。早めに踏んでもしょうがないのでね。自分が踏み遅れたところもありました。吉澤も8番(中井太祐)がどういうレースをするのかとか難しかったと思う。2番(松谷秀幸)の位置取りも巧みですし、相手にとって不足はないレースでしたけど、できれば人気に応えたかったですね。優秀で反省を生かしたい」
 早坂に踏み勝った吉澤純平は、3着で優秀に駒を進めた。
 「打鐘で緩んでいたので、詰まって車が出てしまいました。でも、そのまま8番手なら負けパターンなので。(早坂に踏み勝てたのは)たまたまですね。何とか優秀にいけたけど、反省材料はある。優秀は初日と違った形で走れればいいかなと思います」

<12R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 青板の3コーナーから中井俊亮がカマすも、先に出た永井清史も踏み上げて赤板からモガき合い。中井が打鐘の2センターで力尽きると、三谷竜生(写真)は内に降りて5番手を確保。先に仕掛けた佐藤友和ら東勢の動向を見極めて、2センターから鋭いまくりを決めた。
 「良い着を取れて良かった。脚に余裕はなかったけど、とりあえず外を踏んでと思って。最後しか自力を出していないですけど、脚は悪くないと思う。1着に届いて良かったです。優秀は兄(将太)と連係するが、兄弟連係に関しては特に何も思わないですね。地元の意地もあるし、稲垣(裕之)さんが3番手の意味も含めて自分らしいレースをしていきたい」
 佐藤友和は2センターで永井をまくり切るも、三谷に屈して2着。
 「初日の位置は、優秀戦へ勝ち上がる為の最低限のポジション。永井君のスピードも良かったので、苦しかったけど、自分もしっかり反応して仕掛けられたので動けていると思います」
 佐藤マークの河野通孝が3着を確保した。
 「恵まれましたね。佐藤君も強いし、北野(武史)さんが、自分の所に絡みに来ても対処する余裕がありました。初日は付いていただけなので、勝ち上がれて良かったです」
 8着に沈んだ永井清史だったが、積極的に攻めて手応えをつかんだ様子。
 「早めに動いてくるラインがなかったので、あの展開なら誰も出させてはダメだと。踏み合いになって自分のペースじゃなかったので最後はまくられてしまったけど、脚は悪くないと思う。3か月程前からナショナルチーム式のトレーニングに変えたら、動きが戻ってきた感じです」