『向日町競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月2日

 向日町競輪場で開設71周年記念「平安賞(GIII)」が、9月2日にスタートした。高配当も飛び出した一次予選では熱戦が展開され、初日のメイン、特選は脇本雄太がまくりで制した。9月3日の2日目には二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 向日町競輪場では緊急事態宣言の発出に伴い、無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

<1R>

 赤板の1コーナーで先頭に立った鈴木薫が、先行態勢を取る。4番手で車間を開けた晝田宗一郎は、打鐘を通過して鈴木のペースを見極めて2センターから叩きに出る。スピードの違いで晝田が出切り、中四国勢を追いかけた不破将登がその上をまくる。晝田も懸命に粘り込むが、不破が直線でとらえて抜け出した。
 「晝田君が行くっていう感じがあったから、そのラインに付いていって勝負と思った。けど、感覚的に出が悪いですね。まくり切れたけど、ギリギリでした。道中しっかりすれば志智(俊夫)さんに迷惑を掛けずに済んだ。勝負前のところで失敗でした。しっかりとレースを組み立てないと」
 不破マークの志智は田中晴基にさばかれ、晝田宗一郎が2着に粘り込んだ。
 「打鐘で鈴木さんが流してペースに入れたから、チャチャっと踏めば出れるなと。出てしまえば5着以下にはならないだろうと。最近のなかでは練習の感じが一番で、それがレースでも出てくれた」


<2R>

 押さえに動いた瓜生崇智を、三好恵一郎が突っ張るようにペースを上げて主導権を渡さない。4番手が森川康輔と瓜生で併走になり打鐘を通過する。森川がインを進出すると、最終ホーム手前で瓜生は外から踏み込む。瓜生がバック手前で三好をとらえて、続いた大坪功一がゴール前できっちりと交わした。
 「(瓜生に)付いていけば、どうにかなるかなと思ってた。初連係だったんで、イメージがつかめないところはあったけど。レースを作ってくれるんでね。自分の状態自体は重たかった。(瓜生を交わした)その脚はあると思う。あとは上の方で戦った時ですね」
 楽な展開ではなかったものの、レースの流れに順応した瓜生崇智がまくりでラインを上位独占に導いた。
 「力でねじ伏せる形になっちゃいましたね。叩きにいったけど、三好さんがヤル気だったんで、あそこから行ったら厳しいかなと。それなら外併走は苦じゃないんでっていうのがあった。どこからでもイケる感じがあった。ラインでワンツースリーができたんで良かった」


<3R>

池田憲昭選手
池田憲昭選手
 7番手に引いて態勢を整えた竹内翼は、赤板2コーナーから山降ろしで仕掛ける。豪快に前団をのみ込み、池田憲昭(写真)を連れて別線をちぎる。中四国勢を追いかける元砂勇雪は、なかなか車間が詰まらない。最終バックを通過して、すでに別線の出番は望み薄。池田が差し切って人気に応えた。
 「竹内君のおかげ。別線が離れたのは竹内君が掛かっていたからだと思う。落車明けの1走目でまだ完治もしていないからキツかった。練習では大丈夫だったけど、レースはキツかった」
 別線を置き去りにするカマシで池田とのゴール勝負に持ち込んだ竹内翼は、長い距離を踏んで持ち味を生かした。
 「前を取って順番がくるだろうから、そこで仕掛けようと。出切ってしまえばなんとかなると。松浦(悠士)さんから仕掛ける時に踏むっていうよりも体重の圧をかけて出るイメージでいけばいいと、アドバイスをもらって実践できた。雨が降っていたけど、軽く感じた。圧がほしい軽さだったから修正したい」


<4R>

横関裕樹選手
横関裕樹選手
 酒井雄多、伊藤旭の順番で出て、前受けの横関裕樹(写真)は打鐘で6番手。伊藤がペースを上げないと見るや、横関はカマす。スピードに乗せた横関が出切り、伊藤は番手に飛び付く。酒井もまくりで迫るが、横関が二の足で押し切った。
 「(伊藤の)ペースがあんまり上がらなかった。それで酒井君も行こうかっていう感じだったけどやめた。それを見て踏んで、出てからも楽でした。(酒井の)まくりを合わせ切って、逃げ切れたんで良かった。自分の得意な形に持ち込めて、最後まで踏み切って1着だったんで良かった」
 番手に飛び付いた伊藤が最終3コーナー過ぎから後退すると、塚本大樹はコースを見極めて伸びた。
 「(伊藤は)あそこで(横関ラインを出させて)3番手に入った方がおもしろかった。自分は余裕もありましたし、コースも見えてるんでいいと思います」


<5R>

 初手で中団に位置した北勢の外に中近ラインが併走した状態から、伊藤成紀が仕掛けて打鐘手前で誘導を切って先頭に立つ。合わせて動いた橋本智昭は内の新納大輝をキメて再度中団を確保すると、最終2コーナーからまくって出る。橋本は3コーナーで中近勢を飲み込み、あとはマークの大森慶一との一騎打ち。最後は粘る橋本をギリギリで大森が交わした。
 「スタートは誰も出なければ前からで基本は中団でそこから組み立てる感じでした。(橋本は)前々に踏んでくれたおかげで中団が取れて、そこから落ち着いて仕掛けてくれた。余裕はありました。モヤモヤしていたものがあったけど、この1着で上向いてくれれば。前回から状態は変わらないから後は展開ですね」
 橋本智昭がレースをしっかり作った。3着も杉山悠也で、ラインでの上位独占で決着。
 「スタートは前でも良かったけど、3番(阿部兼士)が出てくれたので、中団でいいやと。中団が空いていたから入ろうと思った。追い上げてから仕掛けたので、出切ってからキツかった。2着だけどやることはやれました。前々に動けている」


<6R>

田中誠選手
田中誠選手
 村上直久の仕掛けに打鐘で慌ててペースを上げた原口昌平が、突っ張って主導権をキープする。南関コンビが中団に収まり、中井俊亮は2センターから巻き返す。田中誠(写真)が中井を阻んで、3番手で平沼由充と中井の併走。逃げる原口後位の田中は、直線で平沼との接触もあったが1着。
 「周回中から(平沼が)後ろにいたんで、たぶん3車みたいな形でいけるかなと。中井君に気づくのが遅れたけど、止めないとっていう感じでした。トレーニング疲れなのか、脚の感じがダルいですね。ちょっと腰の方にガタがきているところもある」
 村上、中井と別線を不発にした原口昌平は、積極策で田中とのワンツーも感触はイマイチの様子。
 「後ろからだったら、(押さえて出て)誰も出させないで先行しようかと。(平沼が)3番手にいてくれたのが大きい。途中から脚がいっぱいで全然踏めてなかったけど、なんとか残りました。脚の感じはいつも通り普通ですね」


<7R>

 後方から動いた城幸弘が赤板過ぎに誘導を切ると、宇佐見裕輝が内をすくい、外を窓場千加頼が叩いてと各ラインが前へ前へと攻め上がる。結局、窓場が先頭に立つところを福岡コンビが叩いて先制。窓場も3番手を確保する。そこからは城が5番手に追い上げて宇佐見と併走になった以外は全く動きはなく、ペース駆けに持ち込んだ林が完全にレースを支配。そのまま直線勝負に持ち込まれ、直後から迫る窓場をけん制しつつ桑原亮が抜け出した。
 「スタートは取れた位置からと思っていたが、作戦通りでしたね。展開も。林君は掛かっていた。出たあとも、サーっと流して2コーナーからまた踏み上がっていった。過去に連係した時には林君に離れていた。1着取れているから状態は悪くない」
 狙い通り3番手を確保した窓場千加頼だったが、そこから仕掛けられず2着まで。
 「良い車番をもらったので、それを生かして良い位置から始めようと。3番手の位置が取れて、2コーナーから行ければラインで決まったと思うが、林君が強くて…。1センターから踏み上がっていって、合わされたらどうしようとか弱い気持ちの面が出てしまった。地元で絶対に勝ち上がらないといけないとか悪い方が出た。脚とかは万全なので、気持ちの修正をしたい」


<8R>

柿澤大貴選手
柿澤大貴選手
 前団でレースを組み立てた小林泰正は、赤板過ぎに吉田篤史を突っ張ると、その後は落ち着いて北日本勢を受けて3番手を確保する。後方の別線の動きを確認した小林は、最終1センターからまくりを打つ。バックで出切った小林を柿澤大貴(写真)が微差とらえた。
 「(小林)泰正君が強かった。全然、タレないですね。脚質からわかってたけど、(小林は)調子いいんじゃないですか。今回は新車なんですけど、練習だったり、アップではすごく感じが良かった。だけど、(実戦だと)まだまだですね」
 脚を使って好ポジションを確保した小林泰正は、早めにまくりを断行。前団を仕留めて、危なげない運びでラインでの上位独占を果たした。
 「前からだったら最初(のライン)は突っ張ってと思ってた。あとは菅田(和宏)さんが絶対に飛んで来るだろうから、そこを出すか出さないかでした。バックが取れる時は取るようにって師匠(小林潤二)にも言われてるんで、前の掛かり具合をみて(まくって)行きました。自分的には出し切れたかなと思います」


<9R>

 大波乱の決着。3連単78万円超の高額配当が飛び出した。後攻めから上がった中西大が赤板1コーナーで誘導を切って飛び出す。中西はイン北勢、アウト西勢での中団争いを誘うと徐々にペースアップ。西勢が諦めて後方に下がっての一本棒に変わって最終ホームを過ぎ、2コーナーで野口大誠を捨てて7番手にいた松川高大がまくる。前との車間を切って待ち構えていた山田久徳は3コーナーで松川をブロック。しかし、この時に大きく外に車が流れてしまう。がら空きになったインを突いた高市訓但、佐藤康紀が直線鋭く伸びて1、2着。3着には立て直して大外を伸びた野口が入った。
 「力勝負になると思っていた。松川君が強いから3番手でしっかりとついていこうと。(最終2センターから)吸い込まれるような感じでしたね。行ける所まで吸い込まれたので踏んだ感じです。所々で1着を取れているから良くなっている。練習もできていて、怪我をすることもなく、走る毎に良くなっている。勝ち上がりで1着取れたのが一番良かった」
 前を任せた高谷敏史は中団で動けず、最終2センターでは最後方となった佐藤康紀だったが、俊敏に高市を追っていって同じコースを踏んで2着まで押し上げた。
 「車番が良くなかったから前か後ろでとりあえず、前に出ようと。展開がどうなっているのか分からなくて。でも高谷君が脚を使って中団を取ってくれて、山田君の動きを見て空いたと思ったので、突っ込もうと。2着まで伸びてくれて良かった」


<10R>

大石剣士選手
大石剣士選手
 北日本ラインが主導権を握り、吉本哲郎がインをなめるよう入って4番手を確保する。そのまま佐々木堅次が風を切って逃げる。大石剣士(写真)は、一本棒の7番手に置かれて最終ホームを迎える。1コーナーで吉本が仕掛けると、飯野祐太も番手から出る、両者のまくり合戦の外を大石が飲み込んだ。
 「吉本さんのところで止まって叩いてもらえればと思ったら、(4番手に)入られてしまったんで甘いところがありますね。(打鐘の3コーナーと)ホームでも仕掛けようと思ったけど、厳しいかなと。それで結果、まくりになってしまった。吉本さんが止まってたんで、隊列が短くなってたんで運も良かった」
 最終2コーナーで自力に転じた飯野祐太は、ギリギリで吉本を合わせて2着。
 「吉本さんより大石君が来るんだろうと思ってた。そしたら吉本さんが来て、自分は援護しようと車間を切ってたんで反応が遅れました。もっとほかになにかできなかったかなと。前検日も今日(初日)もあたりがなかったけど、1本走ったんで大丈夫だと思います」


<11R>

南修二選手
南修二選手
 赤板過ぎに矢口啓一郎が誘導を切った上を、打鐘で押さえて前田義和が先制。後方となった山本伸一が中団まで追い上げて最終ホームを迎える。そのまま前田が駆けていき、山本は外併走からまくっていくが、前とペースが合ってしまってなかなか車が進んでいかない。結局、山本は不発で前田を先頭に直線へ。番手絶好の稲吉悠大と前田、九州コンビ追走から厳しく中を割りにきた佐竹和也の争いかに、山本の動向を見極めて最終2センターで中団に降りた南修二(写真)が直線鋭く突き抜けた。
 「スタートは前からでした。力勝負になって山本君が完全に行き切れなくなるまでは待とうと。一回、入った時に前がもつれてバックを踏んでしまった。そこは修正したい。最後は何とか届いた感じです。状態は変わらず普通ですね」
 九州勢の活躍が目立った初日を象徴するように前田の先行を利した稲吉悠大が2着で二次予選へと勝ち上がり。
 「何もしていない。前田さんに付いていっただけ。自分の脚でできることをしようと。佐竹さんが内に入ってきたときに凌げている。調子が悪かったら浮いているけど、そこで耐えられたので悪くないですね。展開が良かったです」


<12R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 赤板の2コーナーで眞杉匠が先頭に立つと、眞杉ラインを脇本雄太(写真)が追いかける。打鐘の3コーナーで空いた3番手に入った脇本は、前団との車間を取って態勢を整える。もつれた後位を気にかけながらも、脇本は最終2コーナー手前から一気にまくって後続をちぎった。
 「(眞杉が)ヤル気満々なのはわかってました。普段なら僕も(眞杉のヤル気に)付き合うところだけど、ライン4車で決めなきゃっていうのもあって弱気でした。後ろが競りになってたのもわかってた。そこは申し訳ない気持ちでいっぱいでした。(オールスターのあとにオフがあって)休んだんで気持ちの部分でリフレッシュしてるけど、体が追いついていかない。今日(初日)のバンクコンディションが難しかったし、かなり重く感じた。自転車に乗って修正したいです」
 まくった新田祐大と脇本を追いかけた松浦悠士が接触して、2人とも車体故障。新田マークを追い込んだ佐藤慎太郎が離れた2着。
 「新田の踏み出しがすごくて、自分は一瞬、反応が遅れた。(近畿勢に)4人並ばれるとキツいなと思ってた。新田は失格だけど、あれがなければ届いてたんじゃないかと。そういう意味では収穫があった。疲れがあるけど、明日(2日目)以降どんどん良くなっていくと思います」
 脇本が3番手で落ち着くと稲垣裕之は、松浦と併走。最終ホーム過ぎに遅れて連結を外した。
 「(松浦に)粘られる形になったけど、なんとかしのぎたかった。松浦が脇本の内をすくおうとしていて、それを見すぎた。僕も差し込んでおくべきだった。狙われるポジションでもあるし、そこをしのいでこそなんで、反省するところがある」