『向日町競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:9月4日

 向日町競輪場で開催されている開設71周年記念「平安賞(GIII)」は、9月4日に3日目を迎えた。熾烈なバトルが展開された準決では、S級S班の松浦悠士が5着に敗れて決勝進出を逃したが、脇本雄太、佐藤慎太郎は優出を遂げた。また、地元からは村上博幸が勝ち上がった。シリーズも大詰め、9月5日の最終日には、スピードバトル必至の決勝の号砲が鳴らされる。
 向日町競輪場では緊急事態宣言の発出に伴い、無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

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大石剣士選手
大石剣士選手

村上博幸選手
村上博幸選手
 窓場千加頼が赤板の1コーナーで出て地元京都勢が主導権を握るが、小林泰正も叩きに出て打鐘では両者の踏み合い。最終ホームを過ぎて小林が出切ると、切り替えた稲垣裕之は荒澤貴史をさばいてまくりに転じる。そこへ2コーナー手前からのまくりで大石剣士(写真)が襲い掛かる。関東勢をとらえた稲垣の外を豪快にのみ込んだ大石が1着。
 「(窓場と小林で)踏み合ってくれて、展開が向いてラッキーでした。稲垣さんがかぶっていたけど、遅れてしまって稲垣さんを単独にしてしまった。仕掛けるのが一緒になって、波を2、3回もらってキツかった。止まったと思ったけど、気持ちでこらえた。初日、2日目と脚の感じが良くなくて、修正して良くなった。レース内容は悪くなかったけど、最後でタレていたので、そういう所を修正した」
 大石マークの佐藤慎太郎は、最終3コーナーでコースを探して村上博幸の内から大石に付け直すように2着に入った。
 「窓場君の先行が濃厚だと思っていたから、突っ張られるよりも前受けから突っ張る方が楽なんじゃないとは思っていた。大石君のスピードが良かったけど、3コーナーで波をもらって行けないのかと思って、それで内に降りたら行き切った。大石君が強かった。そのまま番手にいれば良かったけど、レースが見えているがゆえに余計な動きでした」
 佐藤慎に内から当たられた村上博幸(写真)は、態勢を立て直して佐藤康紀を制して3着。
 「窓場君が積極的なレースをしてくれた。稲垣さんと一緒に(決勝に)上がりたかった。なんとかしのげましたね。執念と気持ちで乗れたかなと。混戦でいかに自分が冷静に対処するのかですから。窓場君もレースをつくってくれて、稲垣さんも自分の判断であおりをつくって、みんな出し切った。S班のパンツを履いていた時に欠場して、悔しかったし、歯がゆい気持ちでテレビを見ていた。それで先が短いなと思い、今回取り組んできた。やれることはやってきたし、悔いなく練習も調整もしてきたから決勝も気持ち一本で走りたい」

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眞杉匠選手
眞杉匠選手

内藤秀久選手
内藤秀久選手
 横関裕樹が押さえて出るとその上を単騎の酒井雄多が切って、眞杉匠(写真)がさほど脚を使わずに打鐘手前で主導権を握ってレースを支配する。4車の眞杉ラインは3番手の田中晴基まで出切るが、酒井が春日勇人を弾いて4番手を奪取する。8番手で車間が空いた松浦悠士は、仕掛けられず最終ホームを通過。6番手からまくった横関は田中が阻んで内藤秀久に絶好の展開も、眞杉が押し切った。
 「しっかりと4車を生かして、(ラインで)決められるようにと思って作戦を立てました。(踏んだ感じは)昨日(2日目)よりいいかなっていうのがありますね。(最終)ホームくらいで後ろを確認して、あとは後ろ任せでした。軽くは感じなかったけど、1着だからいいのかなと。最後も差されたと思ったんで自信になります」
 初日特選に次いで眞杉の番手を回った内藤秀久(写真)は、眞杉の先行力を絶賛して、こう振り返る。
 「(眞杉は)南関に欲しいですね。あの先行力は侮れない。セッティングとか体の部分で全然問題はないけど、お客さんは僕が差して買っている人もいるので、恩返しができてない」
 眞杉ライン3番手の田中晴基は、横関のまくりをブロックしてラインに貢献して3着に流れ込んだ。
 「(自分たちのラインに)いい流れでしたね。眞杉君の掛かりが良すぎて、後ろがどうなっているのかわからなかった。そこは余裕がなかった。そのあとは白いの(松浦)が来ると思ったけど、(横関のまくりで)白いのじゃないぞって思ったけど、止めとかないとかぶっちゃうんで。(連日)自分はラインに助けられている形です。(前回の)小田原で運を使い果たしたと思ったけど、まだ残ってましたね」

<11R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手

瓜生崇智選手
瓜生崇智選手
 周回中、後方に構えた脇本雄太(写真)は、赤板手前から前の6車にプレッシャーをかけながらタイミングをうかがう。3番手から仕掛けた橋本智昭が先頭に立ち、そのままペースを上げる。打鐘の4コーナーで踏み込んだ三好恵一郎の上を、脇本が異次元の加速力で襲い掛かる。別線はなす術もなく、脇本が一気に出切る。村上義弘は付いていけず、ロングまくりで後続をちぎった脇本の圧勝。
 「(スタートで)けん制になって僕が(周回中は)前かなと思ってたんで、後ろなら自分のタイミングまで待ってカマしていこうと思ってた。想定していた以上に(橋本が)早く行ってくれたんで、展開が向きました。いまのところいい意味で現状維持ですね」
 橋本ラインに飛び付いた瓜生崇智(写真)は、最終2コーナーで近藤保をすくい大森慶一に続く。逃げる橋本を利した大森が、3コーナーで自ら踏んで脇本を追いかける。大森を追走した瓜生が、ゴール前で追い込んで2着。
 「後ろから押さえにいくと脚が削られるんで、(周回中は)前からで前々にと。(最終2コーナー手前は)前の近藤さんの車輪が(外帯線から)外れたんで、1車でも前にと思い踏みました。脇本さんが行ってるのもわかったし、村上さんが離れているのも見えた。日に日に良くなっている感じがあります。キレという意味では課題は残るけど、レースが見えている」
 脇本のひとり旅。橋本もいっぱいで難しい選択を強いられた大森慶一は、最終3コーナーで前に踏んだ。
 「(橋本は)しっかりと踏み上げていった。それでも(脇本は)来るだろうと。スピードが違いすぎました。(自分の後ろに)瓜生君がはまっているのもわかった。タイミングが難しかった。橋本君には悪いけど、踏ませてもらった。橋本君の気持ちをムダにしたくなかったけど、相手が相手だけに(優出は)自分だけになっちゃいました」