『向日町競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:8月31日


 向日町競輪場で開催されている開設58周年記念「平安賞」は初日を終了。特選競走では山崎芳仁、神山雄一郎、村上博幸、兵藤一也らが勝ち上がり、明日の優秀戦「朱雀賞」へ駒を進めた。
 なお、9レースには93回生によるルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)が開催された。見事に今井裕介が栄冠を勝ち取り、この先に向けて弾みをつけた。
 なお、明日(9月1日)も場内イベントは満載。京都学生祭典・京炎そでふれの演舞や、抽選でクオカードの当たるラッキーカードの配布などが行われます。ぜひぜひ、足をお運びください。



<1R>
 オープニングレースは浦山一栄が打鐘過ぎから一気に仕掛けて主導権。最後はマークの川井利晃に交わされたが、2着に粘り両者でワンツー決着。
 「予選でしかも1レースなんか久々だし、緊張したよ。3着までってプレッシャーもあった。三住(博昭)さんも後ろを固めてくれるような展開になったし、ありがたかったですね」
 1着の川井利晃は「浦山さんの駆け方が絶妙だったし、競りにはならないなと思ってました。それにしても浦山さんは強い。グングンかかっていく感じでしたよ。最後は必死に抜きにいった」


<2R>
高橋陽介選手
高橋陽介選手
   2レースは主導権をにぎった高橋陽介(写真)が、赤井(学)の巻き返しを封じて四角を先頭で通過。高橋後位に切り替えた中川司に交わされたものの、積極性ある競走を披露していた。
 「今日は、いつも通り先行しか考えていなかった。赤井さんがカマシてこないだろうと思っていたら一気に来られたけど、踏み出しには自信があるし、しっかり合わせられると思った」
 中川司は久々の1勝に笑みが絶えない。
 「赤井の強さは良く知ってるだけに、先行でもまくりでもどんな展開になっても付いていくだけでした。前二人の頑張りでたまたまコースが空いただけ。どんな勝ち方でも1着は本当に嬉しい」


<3R>
 3レースは、中団を確保した立花成泰がバック前から豪快にひとまくり。あっという間に前団をまくって快勝した。検車場に引き上げた立花は、どっかりと床に座り込み開口一番「良かったー」と安堵する。
 「打鐘の時点で誰も来なかったし、突っ張ろうかなとも思ったけど、ムキにならずに落ち着いて中団に入ったのが良かった。でもバック追い風だったし、乗り越えられるかちょっと不安でした。それだけにホントに嬉しい。今日はゆっくり寝られますよ(笑)」


<4R>
佐野梅一選手
佐野梅一選手
   4レースでは地元の佐野梅一(写真)が力上位の脚を見せ付けた。後方七番手に置かれる苦しい展開も何のその。スピード抜群のまくりを決めて地元軍1勝目を挙げた。
 「緊張したけど、案外あっさりとした展開になりましたね。ただ内村(泰三)さんの先制は考えてなかった。一角から目一杯踏んだけど、今日は重かったですね。ただ展開もスムーズだったし、言い方は変だけど、練習通りのレースが出来たと思う」
 内村泰三は意外?の先行策だったが、結果は着外に。
 「本当は中団に入ろうと思ってたんだけど、あれだけ緩んでいれば行ってしまえと。先行したのは久々だったしキツかったなあ」


<5R>
 5レースは西村豊が主導権を取り切ると、そのハコにはまった國武耕二が直線で追い込んだ。
 「桑原は(西村に)合わされながらも一生懸命踏んでいましたね。彼があれだけ行ってくれたおかげですよ。自分は身体の反応も良いし、調子もまずまず。まずは一次予選を突破できて安心しています」
 西村豊は「桑原君を出させてしまうわけにはいかんと必死でした。後ろが地元の河村さんだったし、逃げる展開はある程度想定していました。だけど河村さんが着外じゃね…」と3着入線にも素直に喜べない様子。


<6R>
 6レースからは選抜戦。勝ったのは穴井利久。先制した田中雅ラインの三番手から中割りを決めた。
 「同期の渡会さんがハコだったし、おとなしく三番手を固めようと。チャンスがあれば狙ってましたけど、田中君が予想以上に強かった。前の二人に感謝ですよ。二次予選Aは初めて。相性良いこのバンクで決められて最高ですね」
 田中雅史は連にはからめなかったが、別線の反撃をしのいでペースで駆けた。
 「記念クラスでは思い切って行かないとなかなか出させてもらえない。出るのに脚を使ったぶん、ペース配分がちょっと狂ったかな。でも展開は悪くなかったし、自分のレースはできたと思います」
 バックで中団四番手を確保した谷津田将吾が3着に食い込んだ。
 「踏み出しが悪いし、身体もしっくりこない。今日は良いときの状態とちょっと違った。だけど、レース後にじっくりローラーに乗って感じが戻ってると手ごたえをつかんだ。徐々に上がっていると思いますよ」


<7R>
柴田洋輔選手
柴田洋輔選手
   7レースは、柴田洋輔(写真)が打鐘先行で別線を圧倒。マークの山崎充央とワンツーを決め、その存在感をアピールした。
 「展開うんぬんっていうより、今日はとにかく先手を取る競走をするだけでした。中団ももつれていたし、ペースで駆けられた。踏み直しもできたし良いレースだったと思います。これが記念初勝利。嬉しいですね」
 山崎充央は「後ろの関も含め、ラインが各自責任を持って仕事こなした競走でしたね。快勝でしょう。今日は俺なんかより、しっかりと柴田を褒めてあげてください」と柴田の頑張りを称える。
 三番手を固めた関一浩は「落車の予感が何となくあって、早めに内に入ったら重くて重くて…。結局その分伸びを欠いてしまった」と苦笑い。
 城戸崎隆史が山崎のブロックに阻まれると、城戸崎マークの荒木真慈が巧みなコース取りで3着に入線した。
 「城戸崎君の動きに追いつかず少し離れてしまった。何とか付き直したけど、最後はコースを辿るので一杯でした。ただ脚には余裕があったし、余したまま終わりたくなかった」


<8R>
川崎健次選手
川崎健次選手
   8レースは川崎健次がまくりを決めると、マークの金川光浩が直線で追い込んだ。
 「川崎が頑張ってくれたおかげでしょう。川崎が一旦、9(稲川)のところで粘ったけど、そのあとすぐにまくってくれた。思ったより早めに仕掛けてくれたし、自分もしっかりと付いていけた」
 まくりきった川崎健次(写真)だが、「稲川君をすんなり行かせる展開だけは避けたくて、一旦粘った。立て直してまくれたけど、最後に差されているしまだまだ。明日以降、上位相手に力を出し切れるように頑張る」とレース内容には納得していない様子だ。


<10R>
内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
   10レースからは特選競走3個レース。ここでは山崎芳仁が突っ張り先行。打鐘過ぎからそのまま主導権を渡さず、そのまま押し切るかと思われたが、ゴール寸前にマークの内藤宣彦(写真)が追い込んだ。
 「作戦は山崎任せ。後ろがもつれていたし、どうなるのかな?と思いながら付いていきました。案外あっさりと突っ張り切っていましたね。俺もちゃんと付いていけたけど、後ろに神山さんが入っていたのがわかったから、締め気味にして四角でワンテンポ遅めに踏みました。中も割られなかったし、神山さんを惑わせられたかな」
 山崎芳仁は「今日は1周半しっかりと駆けられた。ジワジワとスピードもかかっていったし、ゴール前に踏み返しもできたし、納得いく競走ができた」とサバサバしている。
 厳しい展開から何とか3着を確保した神山雄一郎はホッと胸をなで下ろす。
 「藤田は出切れる感じじゃなかったね。山崎が(打鐘過ぎの)4角で山おろしで行ったでしょう。後ろから見てて踏み方が本気だったから、降りる場所を探してました。でも、脚を使ってたから、とても自分でまくりに出るのは無理だったし、直線でも余力が残っていなかった。内藤君が車間を空けた時に中を突っ込んでれば2着はあったかな…」



<11R>
兵藤一也選手
兵藤一也選手
   11レースは、武田豊樹が打鐘過ぎから全開で駆ける渾身の先行策でレースを作ると、番手絶好の兵藤一也(写真)がチャンスをものにした。
 「最終の二角で小嶋さんのラインが来ないのは分かったけど、まだ海老根さんがいたし、ずっと気が抜けませんでした。今回は久々の実戦だったけど、その間に行った合宿の成果が出ていたし、自信が戻りました。ただ今日はスンナリの展開だったし、レース勘が戻ってるかどうかはまだわからないですね」
 村上博幸は前を任せた小嶋敬二が海老根にさばかれると、自ら前々にしぶとく踏んで3着に食い込んだ。
 「後ろに前田さんもいたし、小嶋さんがああなった時点で自分で活路を開かなきゃダメだと思い必死に踏みました。2センターで海老根さんがブロックされて飛んでいれば、コースが空いたし突き抜けていたかもしれない。だけど海老根さんがずっとへばり付いていたでしょう。ああなっては1着は無理ですね」
 村上マークの前田拓也は2着に入線する。
 「小嶋さんがさばかれた時点で、位置的にも最悪やったしもう『博幸頼む!』って気持ちでしたよ。彼の地元の意地に乗せてもらったようなもんですよ」
 堂々と先行勝負に打って出た武田豊樹。結果は伴わなかったが、明日からの戦いへの手ごたえを得たようだ。
 「北海道でかなり強めの合宿をしてきたので、その疲れが多少残っていますね。それで今日はギヤを落とした分、粘れませんでしたね。でも先行して他のラインを不発にしてるし、これで粘りこめれば大丈夫でしょう。オールスターに向けて新しい自転車の感触もつかめました」



<12R>
加倉正義選手
加倉正義選手
   12レースは、荒井崇博のまくりを、逃げた稲垣裕之マークの村上義弘が渾身のブロック。すると空いたインコースを荒井マークの加倉正義(写真)が猛然と突っ込んで1着をさらった。
 「村上の性格上、番手から出ることは無いなと思っていたから、あとは荒井に付いてどれだけのところまで行けるかに賭けていました。結果的に荒井は着外だったけど、あれだけの展開を作ってくれたわけだし感謝しないとね」
 地元コンビの三番手を固めた渡辺十夢が2着に入り、優秀戦進出を決めた。
 「村上さんの仕事ぶりには頭が下がるばかりです。自分は三番手の仕事に徹しようといつも以上に集中していました。直線に入ってからは、何としてでも稲垣さんを残そうと思ってアタマを出した分、小倉さんより先着できた」
 その小倉竜二は「前の加倉さんの動きに付いていきながらコースを探しました。コースは見えていたけど、ちょっと伸びは欠いてたね」と淡々と話す。
 稲垣の番手で荒井をブロックした村上義弘。もちろん結果に対して納得はしていないが、「(稲垣との)連係は回数を重ねていくしかない。ルーキーチャンピオンと同じような展開になったけど、稲垣は何度も番手まくりを食らうような選手じゃないし、僕も後ろを止めることしか考えてませんでした。地元記念も大事だけど、次のオールスターも僕にとっては重要なレース。色々なことを試行錯誤していきたい」と前を向く。



ルーキーチャンピオン(9R) レース経過
 号砲で谷田泰平が飛び出し、正攻法に構える。隊列は谷田-豊岡哲生-上野真吾-今井裕介-園田鉄平-中野彰人-西谷岳文-水谷好宏-石坂永伍の順で落ち着き、周回を重ねる。
 近畿勢3人が結束して唯一のラインを形成。先導役の中野が赤板前から上昇を始め、これに合わせて上野も踏み上げる。打鐘前に中野が先行態勢に入ると、今井はこの四番手を追走し、併走を嫌った上野はズルズルと車を下げる。中野は打鐘からそのままペースを上げ、地元の西谷は絶好の番手回り。2コーナーからまくった石坂は今井に合わされ不発。西谷が今井に合わせてバックから番手まくりを放つも、今井が好スピードで前団を一気に抜き去って先頭に。そのまま力強く押し切って優勝を飾った。今井を終始、追う形になった園田が2着に入り、西谷マークから直線外を追い込んだ水谷が3着。


今井裕介選手
今井裕介選手

 今年は、向日町記念の初日に、今年1月にデビューした93期生が最初に争うタイトル・ルーキーチャンピオンレース若鷲賞が行われた。3人そろった近畿勢が人気の中心。他の6人はそれぞれ自力勝負を宣言し、7分戦の激しい展開となった-。
 戦前のコメント通り中野彰人が主導権。西谷岳文と水谷好宏が続いて近畿ラインが先制を決めた。場内は大いに沸き、このまま西谷が地元でVと思われた瞬間、ピンクの勝負服が2コーナーから渾身のまくりを放った。西谷は合わせられず、今井裕介は三角で出切る。そのまま猛スピードでゴールに飛び込み、在校ナンバー1にふさわしい圧勝劇で栄冠をつかんだ。初めての美酒に酔う今井は、「師匠(武田豊樹)と同じ開催を走れるのはずっと先だと思っていたんです。それが、追加で師匠が参加して、しかもその目の前で優勝できるなんて本当に嬉しい。今まで地道に頑張ってきたことが報われました。スケートでもそうでしたけど、僕は花のあるタイプじゃないから(苦笑)。気付いたらこんなに強くなっていたのかと思われるような選手になりたい。スケートでも競輪でも、レース前は逃げ出したくなるほど緊張しますけど、この緊張感を仕事として続けられることに感謝しています。次はS級でこういう勝負ができるよう、帰ったらまた練習を頑張ります」と喜びを語った。


 2着で入線したのは園田鉄兵だ。作戦がずばりはまった。
 「色々考えた結果、今井さんの動きに賭けました。僕が後ろなら、まくりに行ってくれるだろうし、それに乗って突っ込めるかなと思った。レースは作戦通りでしたね」

 3着の水谷好宏は悔しそうな表情を浮かべながら、「悔しくないと言ったら嘘になりますね。でも、お互いの力は知っているし、中野が先行して、僕は三番手の仕事はできたと思う。次はヤンググランプリを狙います(笑)」

 注目の西谷岳文は悔しさを隠せない。レース後は悄然とし、控室に引き上げた。気持ちの整理を付けた西谷は検車場で、「最初は自分で戦うつもりだったけど、中野や水谷君と話し合った結果、番手を回ることに決めたので悔いはありません。番手まくりをためらってしまいましたね。ちょっと(出るのが)遅かった。自分も先行しているので、番手から出られるのがどんな気持ちか分かる分…。この経験を今後に生かしたいと思います」とレースを分析した。

 先行した中野彰人は、「僕が頼み込んで前で戦ったのに、西谷さんに迷惑をかけちゃいましたね。プレッシャーで肩に力が入ってしまった。せめて3コーナーまで連れて行ければ…」とふり返る。

ルーキーチャンピオンゴール




↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved