『向日町競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 2日目編
 
配信日:9月1日


 開設58周年向日町記念は今日が2日目。最終レースの朱雀賞をメインに、6個の二次予選が争われた。昨日の特選で自力型がそろって敗退したため、二次予選Aはどれも特別競輪並みのメンバーとなった。当然、激しい潰し合いとなり、9RではS級S班レーサーが姿を消す波乱も。奮闘した地元勢が準決勝に大挙して勝ち上がるなど、見所イッパイの一日となった。
  明日の向日町本場では源氏物語千年紀にちなみ、豪華賞品が当たる抽選会が予定されています。ラッキーカードによるQUOカード抽選会も毎日開催されています。ぜひ競輪場に足をお運びください!


<5R>
立花成泰選手
立花成泰選手
   準決勝進出を賭けて争われる二次予選。5R、6R、7Rは1着が準決勝A、2着がB、3着がCに進む二次予選Bだ。機動型が多い今シリーズを象徴する激戦の連続。まず勝ち名乗りを挙げたのは、立花成泰(写真)。持ち味の鋭いまくりで連勝し、何とも嬉しそうな笑顔を見せた。
  「今日も勝利者インタビューを受けられて嬉しいですよ。展開は厳しかった。中団をとる予定だったんですけど、後ろになっちゃったでしょう。(赤板で)押さえに行った時点で結構来てましたよ。まくって出た感じも、田中君に踏み直されてスピードが合ってしまった。あそこで諦めてたら終わりでしたね。欲を言えばもう少し上積みがほしい感じだけど、最近の中では上出来です。これでやっと明日は朝寝坊できる(笑)」
  浦山一栄は憮然としながら、「田中君が(スタートで)出るかと思ったんだけどな。横を見たら誰も出る気配がなかったから、僕が受けて立つしかないと思った。立花君を突っ張っても仕方ないでしょう。今日はもう仕方がない」と引き上げた。


<6R>
中沢央治選手
中沢央治選手
   続く6Rでは近畿勢のカマシが炸裂。番手から抜け出した中沢央治(写真)が快勝し、準決勝Aへの切符を手にした。
  「今日は稲川君のおかげやね。付くのは初めてだったし、強烈なダッシュで後ろが離れてるのも見たことがあるから緊張した。しかも僕がギヤ上げてるし。そのギヤのせいで2着に残せへんかった。いつもの詰めるスピードと違ったから、ゴールしてから稲川が残ってくれたか認するまでヒヤヒヤでした。久しぶりの準決勝Aやな」
  稲川翔は、「昨日はヘマしてしまったので、今日は行けるところからしっかり行こうと決めてました。結果、力を出し切って3着だったんで仕方ない。納得はしてないけど、これが今の力だってことです。勝ち上がれたし、明日もしっかり走りますよ」とローラー台でレースをふり返る。


<7R>
佐野梅一選手
佐野梅一選手
   7Rでは佐野梅一(写真)が連勝を飾った。もつれる前団をあっさりまくる完璧な内容での勝利。今シリーズの充実ぶりは本物だ。
  「最悪、7番手まで下げても何とかなるって自信はありました。直前の練習で手応えをつかんでいますから。結果的に、中部勢が粘ってくれて、僕にとってはいい展開になってくれた。ようやく好調に戻せた感じです。後は気持ちの問題。今回は気合いを入れて走れているし、明日も一発頑張りたいですね。ちょっと欲をだしてみようかな」
  イン粘りで勝負した竹内公亮は「作戦だったんです。でも、粘るには(天田が押さえるタイミングが)早すぎたかな。もうちょっと4番が踏んでくれれば勝負になったと思うんですけどね。失敗しました」とうなだれる。



<8R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   8Rからはグレードが上がって二次予選A。昨日の特選で先行屋が総崩れしたため、どのレースもビッグネームがそろった大激戦となった。その口開けとなる8Rを制したのは稲垣裕之(写真)。武田豊樹がインで粘る意外な展開となったが、冷静に対処して川崎健次の番手にはまり、最後はバックからのハコまくりで後続を千切った。
  「武田さんが粘ったのは意外だったけど、僕もそこそこのペースで踏んでいたし、川崎君のカマシにうまく対処できたと思う。スタートで中団を獲れなかったのが痛かったけどね。今日はギヤを上げたのもいい方向に出てくれた。前回は練習の疲れで3・71を踏めなかったけど、今回はしっかり踏みこなせる。勝負は明日です」
  2着には武田豊樹が。稲垣の番手で粘り、バックでは完全に詰まったように見えたが、余力をしっかり残していた。
  「稲垣が押さえに来るタイミングが微妙だったからね。タイミングによっては突っ張ることも考えていたけど、あそこで踏んでも川崎君のカマシ頃になるだけでしょう。稲垣の番手なら粘る価値もあるし。今日は厳しいメンバーだったので大敗する可能性があることも覚悟していたけど、ちゃんとクリアできたし状態は悪くないですね」
  川崎健次は3着で準決勝Aに。前走のふるさと福井の時とは別人のような活躍だ。
  「前回はレースに集中できてませんでした。ここに来る前は家を出ず、レースに向けてしっかり備えてきた。それが昨日、今日のレースに出ているんでしょう。ここというタイミングで踏み出せています。明日は強い人と戦えるので楽しみです」



<9R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
   9Rでは小嶋敬二、荒井崇博のS級S班レーサーがともに姿を消す大波乱。勝ったのは岩津裕介(写真)だ。昨日は中団のまま終わってしまったが、今日は中バンクを一気に突き抜けての快勝。だが本人に納得した様子はない。
  「周りからは伸びているように見えるみたいだけど、感覚としてはマダマダですね。ケガの影響で練習できていないのがモロにでている。強い人と対戦したら恐らく駄目でしょう。今日勝てたのは本当に偶然です。4コーナーで内が空いたのも奇跡のようなもの。ツキ一本ですね」
  荒木真慈が2着で入線。高配当の立役者となった。前回のふるさと福井から続く流れはまだまだ途絶えていないよう。
  「びっくりですね。荒井君のまくりに遅れてしまって、内を何とか踏んでいくしかないと思ったら、ガバッと空いた。こんな事ってあるんですね」
  絶好のまくり態勢と思われた荒井崇博だが、3コーナーで小林大介に大きくけん制されて万事休す。「昨日も今日も同じようなレースですね。あそこまで持ってこられては…」と憤懣やるかたない様子だ。



<10R>
村上義弘選手
村上義弘選手
   向日町バンクが大きく湧いた10R。村上義弘(写真)が渾身のまくりで藤田竜矢をまくって1着。気迫溢れるレース運びを見せてくれた。
  「気力で勝ったようなもの。脚じゃないですよ。昔はその気力ももうちょっと先行の方に向いていたんですけどね(苦笑)。ただ、地元記念に賭ける思いは自分が一番やと思っています。自分にも果たさなきゃいけない役割があるし、とにかく力を出し切るレースをするだけですね」
  2着に海老根恵太、3着は藤田竜矢とそれぞれラインの先頭を走った選手が上位を独占した。海老根は「前を押さえるタイミングが難しかったですね。村上さんにずっと見られて、自分が思っていたよりも早く出てしまった。前に同じような並びから押さえに行ったら突っ張られたこともあるし、村上さんへの恐怖症みたくなってるんですよね。村上さんが仕掛けた後、出切れるかどうか半信半疑で見ていたので、スイッチするのが遅れてしまった。ただ、自分でレースを動かして2着に入れたので、感触は取り戻せたと思う。すごく嬉しいですよ」



<11R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   最終レースの「朱雀賞」は山崎芳仁(写真)が圧倒的な人気に応えて押し切った。後攻めから一気のカマシで主導権を奪う盤石の態勢。全く危なげないレースだった。
  「村上(博幸)が前を取った時点で、カマシで行こうと思いました。もともと後ろも競りだったし、押さえ先行だと展開がゴチャゴチャになっちゃうでしょう。今日のレースに関しては、行くべき所で行って、普通に踏んだ結果というだけですね。調子は悪くないと思います。とにかくオールスター前に悪いイメージを残したくない。明日も力を出し切りたいですね」
  加倉正義は公約通り山崎の番手を奪い取り、山崎に続いて入線。だが加倉はレース後に首を捻る。
  「どうもタイミングがうまく取れないんですよね。F1とは感覚が違うんですよ。番手を取り切っても抜きに行く余力はなかった。村上君に粘られたのが余計でしたね」
  地元の村上博幸は見せ場を作れなかった。検車場で「山崎との二分戦じゃ、ああなっちゃいますよね。前を取って飛び付きを狙ったけど、カマシて来られては対処できない」とうなだれた。
  3着に食い込んだ前田拓也は「レースは村上に任せていたし、粘りたいということだったので納得です。まあ3着じゃあまり意味はないけど、意外に伸びたとは思います」とクールダウンする。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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