『向日町競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:1月30日


 晴天のもと、京都向日町競輪場で開設59周年記念「平安賞」が開幕した。1レースを始め、3連単10万円を超える配当が4度も飛び出す荒れ模様の初日だったが、村上兄弟に平原康多ら実力者は初日をきっちりとクリア。明日(31日)の優秀「朱雀賞」では早くも豪華メンバーが激突する。
  2日目も引き続きSPEEDチャンネルキャンペーンユニット「スピーチーズ」によるトーク&ライブ、向日かぐや太鼓の演奏などのイベントが予定されています。2日目もぜひ向日町競輪場へご来場ください。


<1R>
 「平安賞」は波乱の幕開けとなった。池崎太郎が先行すると、引けなくなった工藤政志がイン粘り。番手は尾崎和人が守りきったが、直線で伸びを欠いて4着。尾崎後位から廣瀬裕道が突き抜けた。
  「よかったです、とりあえず。記念の1次予選突破は1年くらい前の岐阜以来。そのときも1着だったと思います。今日は前の2人のおかげです」
  2着には西本龍が突っ込んだ。
  「近藤(範昌)くんは絶対出切ると思ったけど、あんなとこ(1コーナー)で行ったら行けんと思った。踏むとこがなくて2着だったけど、配分は空いてたのでしっかり練習はしてきました」


<2R>
小林弘和選手
小林弘和選手
   坂元洋行、荒木伸哉で主導権争いになったところを待ってましたの小林弘和(写真)が鮮やかにまくった。
  「武雄記念のあとにインフルエンザになって体重を落としたりしたけど、もう大丈夫です。前回の小倉も着以上に感じはよかった。今回からギアを3.69に上げて来たし、ここで名前を売りたいですね」
  2着には國武耕二が流れ込んだ。
  「小林くんとは前回も連係したし、ギアを上げて調子がいいみたいだったので安心してました。でも僕は口が空いてしまったので…。疲れはないけど、明日はもう少し仕上げていきます」


<3R>
 鈴木孝征が好回転のまくりで快勝。久しぶりの初日白星に相好を崩す。
  「地元の有馬くんが駆けるとばかり思っていたんで、西浦くんがカマした時は焦りましたよ。前回から間はないけど、踏めている感触はあるし、1周なら駆けてもいいと思えるぐらいの状態なんで悪くはないでしょう」
  3着に食い込んだ渡邉優の伸び脚にも注目したい。
  「去年、練習方法をモガキ中心に変えて良い時期もあったけど、もともと乗り込みで鍛えてきた体だから、徐々に疲れが溜まるばかりになっていった。元に戻したら車も出るようになったし、後ろから抜かれる場面は減ったと思います。今日も道中は余裕があったし、良い感じで走れそう」


<4R>
 ホームで徳吉広紀が平原輝弥を叩きに行くと、そこをすかさず田中俊充がカマして主導権を奪う。これで番手絶好となった小西誠也が勝機をモノにした。
  「もっとややこしい展開になるかなと思ったけど、結果よかったです。出切ったときにラインで決まると思ったけど、あとは僕がどこまで残せるかだと思った。先輩が頑張ってくれたし、3着に残ってくれて何よりです」
  迷わずカマした田中俊充も軽快な動きが光った。
  「あんな展開になったらいいなと思ったけど、カマシ頃になりましたね。とりあえず出るだけ出て、あとはペースでと思ってました。ギアも重くて最後は一杯になったけど、動けてるし悪くはないと思います」


<5R>
 人気を集めた伊藤信の番手で池田憲昭がイン粘り。これで伊藤がペースを落とすと、そこを佐藤政利がカマして先行する。伊藤が内に詰まってゴチャゴチャになった展開を単騎でまくった田村博之が1着で3連単47万円オーバーの高配当を叩き出した。
  「1番(伊藤)が駆けると思ってたからね。結果的に一番ケツになってしまったので、イチかバチか、どこまで行けるか行ってみただけ。あのままいても勝負権はないでしょ。ただそれだけですよ」
  2着の鈴木和雄は田村のまくりに面食らったようだ。
  「伊藤くんに飛び付かれるかなと思ったけど、引いてくれた。決まると思ってたけど、あのまくりは想定外だったね。ビックリして落ち着けなかった。それでも踏めてたんで感じはいいと思う」
  3着には大矢勇一がしぶとく食い込んだ。
  「ああなる(イン粘り)と思ってたから、どう凌ぐかだった。バックで田村さんを追いかけてたら、窓場(加乃敏)さんと僕で1、2着だったかも。窓場さんは出切れないと思ったのかな、もったいなかったね」


<6R>
中村美千隆選手
中村美千隆選手
   打鐘過ぎに叩きにかかった中村美千隆(写真)を岸澤賢太が出させない。それでも中村は西岡正一のアシストで上手く中団に入ると、バックから力強くまくり上げた。
  「(西岡)正ちゃんのおかげ。力でねじ伏せて行ったろうと思ったけど出させてもらえなかった。バックではタイミングが悪いけど、入れてもらったしムリしてでも行かんとね。思ったより粘れました。自分のパターンじゃなくて1着だし踏めてると思う」
  後方で不発に終わった杉山剛後位からインコースを突いた中谷渉が2着に強襲した。
  「バックじゃチーンて言いよったです。3コーナーでやっと杉山くんが追いついて、明田(春喜)くんが外に行ったから内に行った。コースは見えてたけど、ほんとに助かりました」
 3着には「思ったより余裕があった」と話す手島達矢が入線。
 「中村さんを出させたら厳しいので、あそこは脚を使ってでも合わせた。残れればよかったけどダメでした」と話す岸澤賢太は6着で2次予選Bに回った。


<7R>
岩本和也選手
岩本和也選手
   窪田陽介と福田知也が激しいモガキ合いを演じ、岩本和也(写真)が自力に転じて大まくりを決めた。
  「ラインの人には悪かったんですけど、今日はどうしても力を出し切りたかったので思い切って仕掛けました。親戚がこちらにいるので、この記念に走ることが決まってから調整してきたんです。直前に向日町競輪場にお邪魔して1人合宿をしたんですが、村上義さんにバイク誘導をしてもらったり、充実した練習ができました。坂上樹くんの活躍を見て、もう一度僕も上で走りたいと思えるようになりましたね。このところ、寒さや天気のせいにして練習をサボり気味だったけど、良い刺激になりました」


<8R>
島野浩司選手
島野浩司選手
   初手中団を確保した西谷岳文だったが、打鐘過ぎに大西祐が一気に叩くと7番手に置かれてしまう。それでも1コーナーから力強くまくり返すと、そのまま後続を千切って圧勝した。
  「(大西の上昇が遅かったので)中団から出て行こうかなと思ったけど、動いてからでも遅くないかなと思った。朝の指定練習より軽かったので、イケるかなと思いました。ただ力んでるのもあって踏みすぎてる感じでしたね。記念で勝ち上がりの1着は初めてだけど、明日もあるんで気持ちを入れて走りたい」
  西谷との連結が外れた秋山智幸が内からスルスルと上昇し、最後は逃げる大西の番手まで追い上げる。渡部一之をドカしてコースが空くと、すかさずそのコースを突いた島野浩司(写真)が2着に。
  「ああなったら秋山くんに付いていくしかない。3コーナーでヤバいかなと思ったけど、最後はいいコースが空いたんでよかった。緊張したけど、よかったです」
  逃げた大西祐は「ギアを3.85に上げて、西谷さんを出させず、中団から突っ張る作戦が西谷さんが中団になった。甘かったですね。明日はメンバー次第で3.57に戻すか考えます」。


<9R>
浅井康太選手
浅井康太選手
   浅井康太が打鐘から主導権を握る。新田祐大がまくってくるが、これをきっちり村上博幸がブロックすると、そのままラインで上位を独占した。
  「やっぱりレースの勘がいい選手はいいですね。ブロックも何とか判断してできました。まさか浅井くんが打鐘から押さえ先行みたいになるとは思わなかったけど、その気持ちは伝わってきた。応えられたと思うし、ラインで決まって何よりです。感じより、今シリーズは気持ちで乗り切りたい」
  逃げた浅井康太(写真)は笑顔でレースを振り返る。
  「先行は久しぶりすぎてキツかったです。ホームで栗田(雅也)さんが来ると思ったので駆けないとヤバイと思って踏み上げたけど、1コーナーからはペースで行けた。村上さんを信頼してたので、まくられても行こうって気持ちがよかったですね。かかりは悪い気がしたけど、とりあえず初日をクリアできてよかった」
  まくった新田祐大は村上のブロックの前に力尽きた。
  「行けるかなと思ったけど、思ったより合わされたし、村上さんのブロックもよかった。今回はダルいわりには感じがいい。このダルさが抜けてくれば、よくなってくると思います」


<10R>
成田和也選手
成田和也選手
   中団の松岡健介にけん制されながらも打鐘過ぎにカマした深谷知広。このラインを追いかけて、バックからグングン加速した平原康多が力の違いを見せ付けた。
  「松岡さんは出させる感じだったし、ダメでも付いて行こうと思った。付いて行くのはキツかったけど、追いついてからは楽でしたね。(調子は)ボチボチいいと思います。今日はあそこで付いていけたのが収穫です」
  吉永和生の追い上げをしのいだ成田和也(写真)が平原に続いた。
  「ヨコを気にしながらだったので、付いて行くのに冷や冷やしました。それで口が空きましたね。1走してみて、徐々によくなっていけばって感じです。とりあえず決勝には乗りたいです」
  3着の玉木勝実は「(深谷と松岡が)ずっとにらめっこしててヤバイかなと思ったけど、深谷は2センターで影になったところですかさず行ってくれた。よく行ってくれましたよ」と逃げた深谷に感謝しきり。
  逃げた深谷知広は「SS班の人と初めて対戦したけど、スピードの違いを肌で感じました。僕の調子うんぬんよりも絶対的な力の差を見せ付けられた」。改めてSSの力を思い知らされた。


<11R>
菅原晃選手
菅原晃選手
   先行態勢に入った渡邉一成を菅原晃(写真)が一気に巻き返す。加倉正義が離れるほどの踏み出しと、最後まで踏み切る持久力でSS3名を破る大金星を収めた。
  「1カ月休んで練習した甲斐がありました。いつも離れる周回練習で切れなくなったし、練習で持久力が付いてるのが分かってた。加倉さんがついてるので構えて不発は嫌だったから行ったけど、離れてるのは全然分からなかった。道中重かったけど、脚を使ってなかったから。このメンバーで勝ててよかったです」
  後続のまくりに合わせて渡邉後位から踏んだ神山雄一郎が2着をキープ。
  「菅原くんの後ろがいなかったし、一成に力が残ってれば追いかけさせてと思ってた。でも8番(佐々木則幸)、1番(村上義弘)が来たので前に踏んだ。菅原くんには届かなかったけど、自分としては4コーナーからのペダリングがよかったと思う。いい感じでいけました」
  村上義弘は菅原に離れた加倉にからまれるのを凌いで、佐々木則幸のまくりに合わせて5番手からまくり上げる。外を力強く伸びたが3着が精一杯だった。
  「今日のレース展開の中では、やれることをやれたと思います。菅原くんの仕掛けにすかさず付いていきたかったけど、下りてこられてタイミングを失った。何とか3着に食い込めたのは大きいですね。さっそく地元で(博幸と)一緒に走れる訳だし、ファンの方のそういう期待に応えられたのは良かったと思います」
  村上に合わされた佐々木則幸は「最初の敗因は菅原くんにすくわれたこと。それと加倉さんが村上さんのところで降りたので目標にできなかった。でも人任せにしてるのが悪いところですよね」と、口を突くのは反省の弁ばかりだった。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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