『向日町競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:1月25日


 向日町競輪開設60周年記念「平安賞」は1月25日に4日間の熱戦に幕を下ろした。武田豊樹が準決勝で敗退し、決勝戦は地元勢VS山崎芳仁の対決に。レースは赤板から川村晃司が動いて主導権を奪って先行。その3番手から村上博幸が追い込んで地元記念初優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴って、ゆっくりしたスタートから佐藤慎太郎が出て、山崎芳仁―佐藤―紺野哲也の北勢が前受け。その後ろに川村晃司―稲垣裕之―村上博幸―村上義弘―前田拓也―香川雄介とずらっと並んで周回を重ねる。
 赤板経過と同時に川村が上昇を開始。山崎もすかさず車を外に出して突っ張る構えを見せたが、2コーナーで川村が押さえ込んで主導権を奪った。山崎は引いて、打鐘過ぎには川村―稲垣―村上博―村上義―前田―香川―山崎―佐藤―紺野で一本棒に。山崎は車間を斬ってまくりに出る態勢を整えるが、川村の番手を回る稲垣も前との車間を空けて反撃に備える。しかし、山崎は最終バックで車間を詰めてまくったものの、川村の強力な先行の前に中団まで上がるのがやっとで不発に終わった。そのまま直線に入り、稲垣が車を外して川村を追い込みにかかるや、村上博が中割り。稲垣を一発外にブロックした村上博は一気に突き抜けてVを奪った。2着には村上義の猛追は凌いだ稲垣、3着村上義、川村も4着に逃げ粘って、地元勢の完全勝利に終わった。

村上博幸選手
村上博幸選手
 村上博幸にとって、選手になってから初めて兄の前回り。4年前の地元共同通信社杯では「兄のために」と前を懇願したが許されず、涙を流す場面もあった。あれから大きく成長を遂げ、日本一の選手になって地元に凱旋。前回りのプレッシャーに見事打ち勝ち、念願の地元記念制覇を遂げた。
 「脚の感じとかを判断して、2コーナーでは外を踏むつもりだったんですけどね。稲垣さんは早めに踏むだろうと思ってたけど遅めだったし、内を行ったら思ったよりも空かなかったですね。今日は選手になってから一番良い精神状態で走れました。程よい緊張感と自信があったし、レース前に『いける』と思ってました。自転車に乗り始めた頃から兄の存在感が大きかったし、自分は兄に付いていく立場だった。でも今回、兄に(前を回れと)言ってもらったことで自信になったし、今日は勝つか見せ場を作るかのどちらか。自分を崩してでもやってやろうと思ってました。兄を4番手に回すのは正直嫌だったけど、兄が付いてるってことを全面に出して走ったつもりです」と力強く話すが、緊張から解き放たれ「でも、やっぱり兄の後ろが良いですね(笑)」と漏らす場面も。「ラインやったけど、バックでまくりたい気持ちもありました。今の戦法で兄弟として認められたのは嬉しいです」と、最後は喜びを噛み締める。

 レースは思いのほか川村晃司のペース駆けとなり、車間を空けて援護した稲垣裕之が2着。準優勝したものの、レース内容を反省する。
 「今の僕の力からして結果は十分だけど、4番手を回っている義弘さんや、5番手を固めてもらっている前田さんのことを考えたらもっと早めに踏まないといけないし、車間も空けすぎた。番手を回らせてもらった責任を果たせなかった」

 博幸に前を譲った村上義弘は、並びについて「博幸は結果を出してるでしょ」と一言。「作戦をどうこう言うのは俺は嫌いだし、今日もラインの全員が自分の判断でそれぞれが仕事をして、レースを運んでくれればそれで良いと。晃司は主導権を取って、稲垣は後ろにグランプリチャンプを背負ってどう走るか。博幸も俺が4番手で走ってるってことを頭に入れていればそれでよかった。最後は博幸が外に持ち出したんで自分は内を行ったけど、戻ってきたんで危なかったね。4コーナーでは俺の頭があるかと思ったけど、最後は判断ミスです」。

 地元勢の連係を後ろから見守った前田拓也は「川村は山崎をよく見ながら焦らず落ち着いて行ってたし、出てからもオーバーペースにならんように巧く踏んでたよ。皆が落ち着いてたし、自分は今回はこれで良いです」と納得した様子。

 川村晃司も「今日は死に役をするつもりはなかったし、自分が残ることを考えて全力を出し切りました」と表情は晴れ晴れ。

 一方、敗れた福島勢。佐藤慎太郎は悔しさを隠せない。
 「とりあえず作戦としては突っ張りもあったんだけどね。川村が出てから流してたんで4コーナーで行くかと思ったけどね。前が思いっ切り駆けてからのまくり追い込みならまだしも、あれだけペースで駆けて更にロケットでしょう。まくり追い込みでは無理ですよ」

 山崎芳仁は「早めに赤板からきたし、突っ張るのは無理でした。前に香川さんもいたし、カマして行っても外に浮かされて終わると思ったんで」と説明する。

ゴール




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