『向日町競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:9月28日
 古都、京都の向日町競輪場を舞台に開設62周年記念「平安賞(G3)」の2日目が、初日に続き好天の下で繰り広げられた。2次予選ではグランプリチャンピオンの山口幸二が落車で脱落するアクシデントはあったが、地元の藤木裕、山田久徳が準決へと勝ち上がった。また、メーンの「朱雀賞」では長塚智広に乗った後閑信一が、地元勢を押さえて1着、準決へ弾みをつけた。シリーズもいよいよ佳境を迎え、29日の3日目はファイナルをかけた準決が行われる。
 本場では毎朝、京都支部の選手がお客様をお出迎えします。また、開催中の毎日、先着1000名様にハンドタオルを配布。3日目は「成田栞」ミニライブなどの様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。ぜひ、向日町競輪場へ足をお運びください。
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中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 先行態勢を取った小松崎大地が緩めると、打鐘の2センターから中川誠一郎(写真)がカマシ気味に仕掛ける。合わせて踏んだ小松崎の動きを確認した中川は、落ち着いて空いた4番手に入り、まくりの組み立てにチェンジ。最後はロンドン五輪に向けて培ったスピードを遺憾なく発揮した。
 「(前々回の)松戸で1着が取れたのが大きい。オリンピックが終わってから最初の2場所はかみ合わなかったんで。松戸での1着で安心したっていうか、脚的に問題ないということがわかったんで。今日は前が踏まなかったら、あのままカマして行こうと思っていた。そしたら踏んだのがわかったし、(4番手が)空いているのが見えた。後ろが来ないのもわかっていた」
 4番手を中川に割り込まれた阿竹智史だったが、最終1コーナーで本田博を飛ばして中川後位を奪取。中川の踏み出しを待って、2着に流れ込んだ。
 「(中川が)想定外でしたね。あそこは入られたらいかんのだけど、内も気になってたし。もうタイミング的には引けなかったし、本田さんも遅れてたんでああなりました。2コーナーではすごく詰まったんですけど、(中川)誠一郎さんが行ってくれるのを待ちました。あれなら抜けなくても2着はあるんで」
 8番手に置かれた西徹が、まくり追い込み気味の強襲で3着に届いた。
 「組み立てはダメでしたね。4.17のギアでやっている中では、踏めた方だと思います。リラックスをして走れていますね」

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荻原尚人選手
荻原尚人選手
 打鐘で先頭に立った原田研太朗は、後続を引きつけて肝の据わったペース配分。最終ホームを迎えて徐々にペースを上げた。
 「ラインがしっかりしていたんで、安心して駆けられました。吉永(和生)さんが番手にいて、3番手の三浦(稔希)さんが内をしっかり締めていてくれた。それで残ることができた。感触は悪くない」
 吉永が落車失格、三浦が落車に巻き込まれているだけに、原田の3着での準決進出も胸中は複雑だ。
 7番手からまくった野田源一は、最終2センターでの落車を避けて前団を飲み込んだ。
 「落車があったんで、そこを越えられてよかった。原田君が駆けてっていう展開はある程度わかってはいた。あとは落ち着いて仕掛けどころをと思っていました」
 4番手キープの荻原尚人(写真)は、最終2コーナーで踏み出しじわじわ伸びて2着のゴール。
 「もっと(自転車の)出がよければいいんだけど。それでも3コーナーまでに、番手を通過できた。後ろに(斉藤)正剛さんがいたんで、行けるところまでと思っていた。ギリギリだけど行けたし。前回の調子だったら、まくれていないと思いますよ」

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藤田竜矢選手
藤田竜矢選手
 主導権を握った竹澤浩司は、打鐘の4コーナーの下りを利して最終ホームから加速。前受けから7番手に下げた藤田竜矢(写真)は、車間が大きく空いたが詰める勢いでまくると鮮やかな突き抜け。上がりタイム11秒1を叩き出した。
 「(周回中)中団から攻めていければよかったけど、(前で)迷惑をかけちゃいましたね。ホームで仕掛けようとしたけど、思ったより車間が空いちゃった。まくりなんでなんとも言えないけど、今日は風もなくてバンクが軽かった。(タイムも)まだまだ出るはずなんですけどね」
 竹澤の逃げを利した萩原操は、絶好の展開も後続に交わされて3着。
 「難しいですね。(竹澤は)よく掛かっていたし、自分の中では(まくりは)来ないと思った。そこが誤算やった。竹澤君は頑張ってくれました」
 萩原の後ろから中を割った鳥越靖弘が2着に突っ込んだ。
 「本当は外を踏むのがいいんですけど、藤田君が来たのが見えたんで、あそこのコースになってしまった。初日は重く感じたけど、今日は軽かったですね。A、B、Cがなくなったこの制度では準決に乗るのは初めて」

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神山拓弥選手
神山拓弥選手
 南関ラインの主導権。4番手は荒井崇博と神山拓弥(写真)の取り合い。逃げる石井秀治のペースも思ったほど上がらず、神山が外併走からあっさりまくり切って齊藤努とのマッチレース。
 「(荒井に)突っ張られたのもあって余裕はなかった。それでもあそこで(まくって)行かないと自分の着がないんで。下りだったんでうまく吸い込まれた感じですね。出切ってからは苦しかった。最近はあのパターンで抜かれていたから、1着でよかった。初日は自分の感じがスカスカしたんで、今日はやっと当たりが出てきた」
 汗をぬぐう神山は1着での準決進出に満足そう。
 神山を称える齊藤努は、こう振り返る。
 「うまいレースをしてくれたし、信頼をしていました。今日の朝に昔の先行、まくりでやっていたセッティングに変えて、それがよかった。かなり当たりが出てきた」
 インに包まれていた荒井崇博は、最終バック過ぎから反撃を開始するも3着がいっぱい。
 「あれで頭までは無理です。もうちょっと(前との差を)詰めたかったけど、3.86のギアじゃ追いつかない。今日の天候みたいだったら、前後(ギアを)考えなきゃいけないですね」

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渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 渡邉晴智(写真)が海老根恵太にスピードをもらうと、巧みなコース取りで直線を強襲した。
 「恵太が無理なところからでも仕掛けてくれたおかげです。コース取り? 判断はともかく恵太と後ろの内藤(秀久)のおかげ。状態は見てもらっての通りです」
 3着の山田久徳は初日の挽回戦となったが、きっちりと競走を作り立て直した。
 「海老根さんが斬って、どうするのかなと思って見ていたら、中団狙いだったし仕掛ける素振りがなかったので、誘導を切って自分でいこうと。気持ち早めに仕掛けて正解でした。タイムは良くなかったですが、3着に粘れているし、4倍ギアの成果もあったのでいいでしょう」

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藤木裕選手
藤木裕選手
 後攻めを選択した石毛克幸は打鐘でハナに立つと、藤木裕の上昇を待ってシビアに番手勝負。グランプリチャンピオンの山口幸二から藤木の番手を奪取した。
 「前を取りたくなかった。引かされて7番手になっちゃうと苦しいんで。あそこで引いてたら4、5番手になっちゃうし、初日の藤木の掛かりを見てたらまくれない。だから、あれしかなかった」
 打鐘先行で押し切った藤木裕(写真)は、地元の重責を果たし準決を見据える。
 「いろんなプレッシャーがあったけど。今日は絶対に勝たなあかん番組だったし、目標を持って走れた。初日に長いことモガけているし、いい勝負ができると思っていた。準決でもしっかり結果を残して、決勝に残れるように」
 石毛後位を守った高橋雅之が、流れ込んで3着キープ。
 「初日の方が調子悪かったし、今日はツキがあった。笠松(信幸)さんをどかそうと思ってたら、落車があった。あとは前の2人が強いんで、後ろに抜かれないようにと考えていた」

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村上博幸選手
村上博幸選手
 2日目メインの「朱雀賞」。赤板の手前から6番手の稲垣裕之は前との車間を空けて、2コーナーから打鐘目がけてダッシュ。一気の主導権取りの思惑だったが、前受けの金子貴志がスーパーダッシュで合わせて稲垣は不発。
 「今日は僕の求められていた仕事を果たせなかった。悔しい…」と、地元3車の先頭での役割は痛いほど感じていただけに無念の表情で検車場を後にする。
 打鐘から突っ張りを敢行した金子貴志は、クールダウンを終えると静かに口を開く。
 「早めに来たら、すぐに引いてカマすしかないと思ってた。あそこだと(稲垣を)出したら終わりですから。踏んだ感じは悪くないと思います」
 稲垣と金子の踏み合いを見極めて長塚智広が最終ホームからカマす。村上義弘は長塚―後閑信一の後ろにスイッチ。村上義に続いた村上博幸(写真)が直線で後閑の内を鋭く伸びて2着。
 「突き抜けられる感触はあったけど、最後は(コースが)締まってしまった。ところどころ反省点はありますけど、レースは見えています」
 長塚に乗った後閑信一が、直線で村上兄弟の強襲を振り切って1着。
 「ケツを降ろしたところで(長塚に)行かれたんできつかった。出切ってからは余裕があった。状態としては普通ですね。もたつくところがあったんで、明日に微調整していく」
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