『向日町競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月3日
 向日町競輪開設64周年記念「平安賞」は8月3日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。注目の決勝戦は近畿作戦が奏功。番手まくりの稲垣裕之を村上義弘がゴール前で捕らえ、4年ぶり4度目の地元記念制覇を果たした。また11Rに行われたワールドステージは稲毛健太が会心の逃げ切り勝ち。人気を集めた外国勢を破って大穴配当を演出した。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると深谷知広がゆっくりと誘導を追いかけ、井上昌己が続いて前団に構える。以下の隊列は石井秀治―成清貴之、松岡健介―稲垣裕之―村上義弘、矢野昌彦―山下渡で周回を重ねる。
 8番手の矢野は青板のバックから早めに上昇を開始し、前の深谷に併せ込む。深谷はすんなりと下げて、押さえて出た矢野―山下に地元の近畿ラインが続き、6番手に石井で赤板を通過。深谷は一本棒の8番手。1センターで松岡が踏み込んで、打鐘手前から主導権を握って出る。松岡に稲垣―村上、中団争いを石井が制して4番手。矢野が下げると深谷は動けず最終ホームでも8番手。
 ハイペースで逃げる松岡との車間を空けた稲垣は、車間を詰める勢いで2コーナーから番手まくり。稲垣―村上の地元コンビは盤石の態勢。3番手に石井が続くが、成清はいっぱい。バックを通過してようやく深谷もまくり上げるが前が遠い。優勝争いは前の3車に絞られ直線へ。
 満を持して踏み込んだ村上が、ゴール寸前できっちり稲垣をとらえ地元V。稲垣が2着に残り、3着に石井。猛追及ばずの深谷は、離された4着。


村上義弘選手
村上義弘選手
 何というドラマだろうか。3ヶ月の自粛期間を経て、迎えた大事な復帰戦。地元記念の決勝という最高のステージで村上義弘(写真)が復活の優勝を飾った。
 「こうやって頑張れたのはファンの大きな声援があったからです。ファンをガッカリさせたくないという気持ちが強かった。向日町競輪場が日に日に盛り上がっているのが分かったし、期待に応えられたのが何よりです」
 レースは松岡健介が打鐘前から先行して、稲垣裕之が番手まくり。近畿が鉄の結束でモンスター深谷に対抗。村上にお膳立てが整った。
 「与えられた位置で自分でできることをしっかりやろうという気持ちだけでした。どんなレースでも良かったんですが、後輩2人の気持ちが伝わってきたし、その気持ちを裏切らないようにと思ってました。深谷君という厚い壁が、これからの自分達のモチベーションを上げてくれる」
 ファンの声援を力に変えて、つかんだ優勝。これからも魂の走りで競輪界を盛り上げる。
 「本当に目の前の一戦一戦をしっかり頑張っていくだけです。自分達に期待してくれるファンを裏切らないように、全力で戦います」

 稲垣裕之は最終2コーナーから番手まくり。持てる力を全て出し切り、村上と地元ワンツーを決めた。
 「これが近畿です。それぞれがやることをしっかりやって、ラインで力を合わせて走ることができました。自分が獲るつもりで最後までしっかり踏めたし、村上さんとゴール前勝負ができた。村上さんは強かったし、完敗ですね」

 松岡健介は打鐘前からフルパワーの先行。地元を背に大役を見事に務め上げた。
 「力勝負をして3人で決められるのが一番いいけど、深谷君相手に厳しいですからね。いいタイミングで仕掛けられたし、積極的なレースをして、タイムもそこそこ出ていたと思う。村上さんが優勝して良かった。9着であんなに声援をもらったのは初めてですよ」

 連日、ケタ違いの強さで完全Vに王手をかけた深谷知広だが、決勝は近畿の結束の前に敗れ去った。
 「力勝負することしか考えていなかった。まくれなかったので力負けですね。近畿の壁は厚かったです。4日間、踏み切る脚がなかった。また気持ちを入れ直して頑張ります」

 近畿勢の後位を確保した石井秀治だが、3着に流れ込むのが精いっぱいだった。
 「あの位置を取るのは作戦どおりだったんですけどね。仕掛けるところはなかった。近畿の2段ロケットはすごかったです」


ゴール
ワールドステージ
 11Rにはワールドステージが一発勝負で争われた。世界のトップ選手2人と日本人選手が激突した一戦。外国勢に圧倒的な人気が集まったが、稲毛健太(写真)が無欲の逃走劇で快勝。3連単で120万円を超える大波乱を演出した。
 「まくりで勝つという考えはなかった。志智(俊夫)さんに任されたし、主導権を取ることしか頭になかった。焦って踏んでいたので、かかりは良くなかったですね。でも最後まで踏めたと思うし、この相手に逃げ切れたのは自信になります。次につながる走りができました」


稲毛健太選手
稲毛健太選手
 単騎の諸橋愛が俊敏に内を突いて2着に突っ込んだ。
 「初手は外国勢を追走しました。打鐘でバックを踏まされて、かなりきつかった。パーキンスが仕掛けたときに付いていきたかったけど無理だった。最後は内が空いて夢を見ました」

 3番手まくりの新田康仁は不発。その後ろから林雄一が伸びて3着に入った。
 「新田さんがすごいダッシュで3番手に追い上げたので、踏み遅れないように付いていくので必死でした。最後は外を踏もうという気持ちが強かった。諸橋さんに内に入られたのが効きました」

 外国勢は期待に応えられなかった。パーキンスは最終2コーナーから自力に転じたが、3番手の新田に合わされた。
 「いつもは前を走っているので、番手のレースで難しかった。ああいう展開になったので、まくっていったけど、ブロックが厳しかった。ブロックがなければいけていたかもしれないけど、それが競輪なので仕方がない」

 ボティシャーは内に詰まって持ち味を出せずに終わった。
 「ミスをしてしまったのが敗因。後ろから他のラインが来て、スピードに乗せられなかった」


ゴール
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