『向日町国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)レポート』 初日編

配信日:2月5日
 第2回国際自転車トラック競技支援競輪(G3)が向日町競輪場で今日から開幕した。S級10レース3日制のシリーズ。予選は2着権利の厳しい勝ち上がりで波乱も目立った。メーンの特選は地元の藤木裕が番手有利に抜け出し、人気の近畿勢で確定板を独占。前半2レースのガールズケイリンは奥井迪、児玉碧衣がそれぞれ人気に応えて快勝した。
 明日2日目もDREAM48のライブステージに、KEIRIN予想会ステージなど多彩なイベントが予定されています。ぜひ本場でお楽しみください
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奥井迪選手
奥井迪選手
 初日のオープニングレースは圧倒的支持を集めた奥井迪(写真)が壮絶な踏み合いを制し逃げ切り勝ち。見事人気に応えた。鐘前2コーナーから後方にいた田中まいと奥井が同時に上昇。中団にいた中川諒子もその2人の動きを見ながら合わせて上がると最終ホームでは3車で壮絶な先行争いに発展。田中は2コーナーで一杯になるも、中川と奥井の踏み合いは4コーナー過ぎまで続く。最後は地力で勝る奥井が直線でねじ伏せて後続を振り切った。疲労困憊の表情で検車場に引き揚げた奥井は「あんなにしんどいレースとは思わなかったし、キツかった。感触をつかむというよりは踏み続けるだけで精一杯。気持ちだけで頑張りました」と振り返る。
 2着には大外を鋭く伸びた地元の山本レナが食い込んだ。「鐘で誰が来たのか分からなかったけど、前に出られたあと冷静に走れたので良かった。脚はいつもより溜まっていたので伸びる手応えは感じていました」と、明るい表情を見せた。

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 児玉碧衣が圧巻の強さで19連勝を飾った。レースは打鐘で誘導員が退避すると、4番手の長澤彩が踏み込んで先行策。中団の児玉は冷静に仕掛けどころを見極めると、最終1センターからスパートする。前団を一気にまくると、そのまま一人旅。後続を4車身千切って快勝した。
 「戸田(みよ子)さんを一番警戒していました。でも、スタートの時点で前にいたので『ラッキー』って思って。1着を取れたのは良かったです。でも、レースが消極的でしたね。明日は修正して、自分で仕掛けられるように」
 風を切った長澤彩は児玉、戸田に行かれるも、3着に粘った。
 「児玉さんはスピードがあるし、先に仕掛けないとと思って。選手紹介の時に感じがよくて、自分が思ったより踏めた感じはありましたね。でも、タレてしまったので、明日はもっと良くなるように、自分なりに修正します」

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 ベテランの金田健一郎が大穴配当を演出した。目標の鷲田佳史が不発の展開から鮮やかな直線強襲。約3カ月ぶりの勝ち星を挙げた。
 「タマタマですよ。コース取りで恵まれただけ。あのコースを考えていたわけではなく、突っ込んだら空いてました。結果オーライですね。1着が取れているんで悪くないと思います」
 主導権を握ったのは笠松将太。番手回りを生かした芦澤辰弘が2着で勝ち上がりを決めた。
 「笠松君の頑張りに尽きますね。バックから笠松君のスピードが落ちたので、車間を空けつつ、詰める勢いで踏みながら、できるだけかばおうと思ってました。最後は(金田に)伸び切られた感じですね。あのコースはやっぱり伸びる」

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 赤板過ぎに斬った伊藤信を蒔田英彦が打鐘で叩いて先行策。後方7番手から早めに巻き返してきた鈴木庸之を福田知也が強烈なブロックで阻む。直線で福田が追い込むが、3番手で脚を溜めていた大木雅也が外を突き抜けた。
 「前の2人が頑張ってくれたおかげ。作戦通り最初に中団を取れたのも理想的だったし、福田君のブロックも良かった。体は完調ではないけど、2カ月間やれることはしっかりやってきたし、あとは走りながら調子を戻していくしかない。脚にも余裕があったので思ったよりも伸びました」
 大仕事をした福田知也は2着。南関の2人が勝ち上がった。
 「中団が取れて良かったし、大木さんのスタートのおかげ。蒔田も落ち着いて駆けてくれたし、余裕もあったので鈴木の動きを見ながら良いブロックができた。もう少し残せるかなと思ったけど、最後は前がタレてきてたので。南関2人で勝ち上がれたのは大きいし、上手くいきましたね」

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高原仁志選手
高原仁志選手
 後ろ攻めの岡崎智哉が中団の菅谷隆司に蓋をした後、再度踏み込み、打鐘の2センターで主導権を奪う。前受けの荻原尚人は松尾淳をさばいて3番手を奪うと、最終3コーナーから踏み上げる。しかし、市田佳寿浩のブロックで進みが鈍る。すると、バック9番手の高原仁志(写真)がコースを縫って鮮やかに突き抜けた。
 「山中(貴雄)君が被った時は焦りました。脚に余裕はあったんですけど、外にいこうか、内にいこうか迷いましたね。コースも空いていなくて。最後は落車覚悟で突っ込みました。伸びたし、厳しい勝ち上がりなので、準決に上がれて良かったです」
 市田のブロックを受けた荻原尚人だったが、何とかこらえて2着に入った。
 「打鐘で1番(山中貴雄)に斬られないように気をつけて。その後は、岡崎君がカマし気味に来たので、タイミングよく入れる位置を考えていました。市田さんのブロックも構えてたので、何とか耐えられましたね」

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 後攻めの山本健也が中団の窓場千加頼にフタをしてから打鐘過ぎに踏み込んで主導権を握る。窓場はホーム手前からロングまくり。高木隆弘の厳しいブロックを乗り越え、激戦を制した。
 「地元で勝ち上がりたい気持ちが強かった。落車してもいいというぐらいの覚悟で、気持ちを全面に出しました。高木さんに持って来られるのは分かってました。車の出はいまいちですね。前回落車の影響もあって体調はあまり良くないかも。苦しかったけど気合で何とか勝てました」
 山本の先行を利した高木隆弘が2着に入った。
 「後ろから行って、叩かれたらしょうがないと思ってました。健也がよく頑張ってくれました。俺は2回も(ブロックが)空振りしてしまって情けなかった」

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 打鐘前に徳永哲人が斬ったところを伊藤裕貴が叩いて主導権を握る。最終ホームから一気にペースを上げると、番手の朝日勇の援護を受けて力強く押し切った。
 「上手くペースを上げられたし、展開が向いた。藤田(竜矢)さんがカマしてくると思ってそれを警戒しながら先行しました。新車だったけど、ハンドルの位置が遠かった。踏み直しはできているけど、普段使っていない筋肉を使っている感じがするので微調整は必要。明日に向けてサドルかハンドルを修正しようと思います。フレーム自体は軽いし、流れてくれるので悪いところは一つもない」
 巧みなけん制を見せて伊藤に続いた朝日勇が2着。
 「藤田君のまくり追い込みを止めるにはあれしかなかった。なので、後ろの疋田(敏)さんには迷惑をかけてしまいました」
 コースを突いた成田健児は3着まで。惜しくも準決勝進出を逃した。
 「前に5人も並んでいて落車を怖がってしまった。踏み切れなかったです」

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才迫開選手
才迫開選手
 後ろから動いた才迫開(写真)が前受けの箱田優樹を押さえると、その上を吉竹雄城が叩いて主導権を握る。中団を確保した才迫は後方から巻き返してきた箱田に合わせてスパート。大西健士のブロックも乗り越え、前団をまくり切った。
 「車の出が悪かったし、箱田さんが見えて焦って踏んでしまいました。1着ですけど、(連係した前反祐一郎が落車して)複雑な気分です。もっとスッて出ていればワンツーでした。申し訳ないです。でも、練習の成果が結果に結びつきましたね」
 合わされた箱田優樹だったが、才迫を追いかける形で2着に入る。
 「無理矢理仕掛けましたね。才迫君と一緒に踏み上がっていって、すごい苦しかったです。才迫君も自分のタイミングじゃなくてきつかったと思いますよ。その後はへばり付いて、前を抜くことを意識していました」

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加藤圭一選手
加藤圭一選手
 打鐘で村上直久が叩いて出ると、上原龍がインで粘る。からまれた加藤圭一(写真)だったが、最終2コーナーで競り勝って番手を守ると、バックで自らまくり上げてきた兵藤一也を阻みゴール前できっちり前を捕らえた。
 「後手踏んだら厳しいと思っていたけど、村上君が上手く先行してくれた。高木(隆弘)さんのアドバイスでセッティングとシューズを換えたら良い方向に進んでくれた。余裕もあったし、踏み出した感じが良い。準決も良い勝負ができそうですよ」
 村上直久はラインを上位独占に導く力強い先行で2着に粘り込んだ。
 「(ラインの)3人で決まって良かった。先行しようと思っていて、鐘のところで内をすくわれそうになり焦ってしまった。でも2着に残れたので脚の感じとしては良いと思う。食事療法を元に戻してからはずっと調子が良いです」

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澤田義和選手
澤田義和選手
 片岡迪之、及川裕奨、石川雅望の順で斬って、前受けから7番手まで下げた山本伸一がすかさず巻き返して主導権を奪う。結局、初手の隊列に逆戻りで、完全に近畿勢のペース。車間を空けて山本をガードした澤田義和(写真)が余裕を持って追い込んだ。
 「山本君が頑張ってくれました。車間を空けすぎて失敗したと思ったけど、思ったよりもかかってなかった。ラインで決まったけど、2着権利はやっぱり厳しいですね」
 ライン3番手の北川紋部が直線で中を割って2着に突っ込んだ。
 「山本君はかかっていたけど、タレましたね。2着権利で打鐘から行けるのはすごい。先を見すえてやっているんだろうし、もっと上にいける選手だと思う」

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金澤竜二選手
金澤竜二選手
 赤板から動いた一ノ瀬匠が前に出ると、鈴木竜士が巻き返し、突っ張る一ノ瀬を強引に叩く。中団で戦況を見極めていた金澤竜二は、満を持して最終1センターからスパート。逃げる鈴木を3コーナーで捕らえると、最後は番手の森田康嗣がゴール寸前で交わして1着を手にした。
 「今日は金澤君の好きに走ってくれと思っていました。北の竜二の方が強かったですね。バッチリのタイミングで仕掛けてくれました。ワンツーで良かったです」
 金澤竜二(写真)は強敵を撃破して笑みがこぼれる。
 「一ノ瀬君がいたから、ああいう展開になるかと。鈴木君に合わされるかなと思っていたけど行けましたね。ヒヤヒヤでした。でも、今日は軽かったし、感じも良かった」
 人気を集めた鈴木竜士だったが、まさかの5着。
 「出切ってホームで流していて、そっから踏み上げたんですけど、かからなかったです。(疲れは)言いわけ。力負けしただけです」

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稲毛健太選手
稲毛健太選手
 最終レースは人気の近畿3車で確定板を独占した。前受けから6番手まで下げた稲毛健太が打鐘過ぎの4コーナーから一気の巻き返し。あっさりと神山拓弥を叩き切ると、中近で4番手を固めた山口富生まできっちり続く。最後は地元の藤木裕が番手からきっちり追い込み、ファンの圧倒的な支持に応えた。
 「今日は付いていっただけ。稲毛君と後ろを固めてくれた2人に感謝しています。決勝に乗らないと意味がないし、明日も稲毛君の番手でしっかり頑張るだけ。そんなに甘くないと思っているけど、2人でしっかり決めたい」
 先行した稲毛健太(写真)は2着。危なげない走りでラインを上位独占に導いた。
 「特に作戦は考えてなかったです。前になって、来るのが遅ければ突っ張って、早ければ引こうと。下げてあとは自分の行けるところで行くだけでした。相手が勝手に慌てた感じで、自分はけっこう落ち着いて走れたと思います。最後はちょっとタレたので、そこは修正したいですね」
 懸命に前の2人を追った西岡正一が3着に流れ込んだ。
 「あおりを受けて、ちょっと口が空いてしまったけど、ちゃんと付いていけたので良かったです。調子は悪くないですね」
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