『被災地支援競輪向日町競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月29日
 京都向日町競輪場を舞台に平成28年熊本地震被災地支援・開設66周年記念「平安賞(G3)」が今日から始まった。朝から雨が降ったり止んだりの不安定な天候となったが、バンク上では熱戦が展開された。メーンの特選3個レースは吉澤純平、稲垣裕之、山田英明の3人がそれぞれ快勝。明日の2日目は優秀競走「朱雀賞」をメーンに、二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 明日もU字工事によるお笑いステージをはじめ、山口幸二さんによる予想会など場内イベントは満載。ぜひ向日町競輪場でお楽しみください。
<1R>
小橋秀幸選手
小橋秀幸選手
 打鐘で先行態勢に入った高鍋邦彰を清水裕友が最終ホーム過ぎに強引に叩いて主導権を握る。清水の踏み出しに守安政雄が不覚を取った隙を逃さずに、小橋秀幸(写真)が巧みにスイッチ。番手絶好態勢から小橋が鋭く追い込み、オープニングレースを白星で飾った。
 「清水君が仕掛けたのは分かっていたし、(守安が)離れるのも分かったのでうまくスイッチできた。清水君の番手が離れるのを想定していたので、想定どおりのレースができた。ただ、脚を使わずに番手に入れたのにきつかったし、清水君は強いですね」
 別線に番手に入られた清水裕友だが、懸命に踏み続けて3着に逃げ粘った。
 「久々に緊張した。番手に小橋さんが入ったのは分からなかった。(最終)4コーナーで番手に入っていることに気づいて一気に交わされると思ったけど、何とか粘れました。初日は重かったけど、もがいた分、脚に刺激が入ったし、2日目以降からもっと良くなってくると思う」
 清水の踏み出しに離れた守安政雄は「情けない。踏み出しは分かっていたけど、一歩一歩がきつくて。反省しかないです」と猛省。

<2R>
 猪俣康一が打鐘から先行。4番手を確保した田中勇二が先まくりを打つが、その上を小泉俊也が豪快にまくって完勝した。
 「1コーナーで詰まった感じだったので行ったんですけど、4番(田中)の子とスピードが合ってきつかったですね。それでもまくれたんで良かったです。最近はコツコツとやってきたことが出ている。それしかないですね。今回、来ている高木翔君とか本当に強い。岩手の若い子と一緒に練習して刺激を受けているし、脚もついてきてます」
 ベテランの梶應弘樹が田中のまくりに乗って2着。久しぶりに記念の一次予選を突破した。
 「田中が頑張ってくれた。いいレースをしてくれたね。けっこうスピードもよかった。俺は余裕がないけど、前回の広島よりはいいと思う」

<3R>
 打鐘前に小原周祐が野口大誠を叩く。窓場千加頼がすかさず仕掛けるも、小原を叩けず。しかし、内に降りた篠塚光一の巧アシストもあって窓場が3番手を確保。2コーナーで仕掛けた窓場に合わせて吉松直人が番手まくりを敢行。いったんは仕掛けを合された窓場だが、落ち着いて吉松を追って直線勝負。ゴール前で差し切った。
 「篠塚(光一)さんに3番手を取ってもらったのに緊張して焦ってしまい、吉松(直人)さんの番手まくりと仕掛けが合ってしまった。それでも気持ちで乗り越えられた。一走して気持ちも楽になった」
 逃げる小原を利した吉松直人が番手まくりで2着。
 「作戦は先手先手といった感じで結果的に小原君が先行してくれました。窓場君も来ていたし、申しわけないが踏ませてもらった。展開が向けばからめる脚はある。ただ、初日はすべて前の頑張りに尽きる」
 窓場ラインの3番手から直線中を踏んで突っ込んだのは木村直隆
 「脚にはずっと余裕があったけど、(篠塚)光一が仕事してくれてコースも作ってくれたし、(窓場)千加頼も頑張ってくれた。すべてラインのおかげです」

<4R>
小原唯志選手
小原唯志選手
 磯島康祐が打鐘で主導権を奪うと、このラインを俊敏に追った小原唯志(写真)が難なく3番手をキープ。最終2コーナーから力強くまくって快勝した。
 「まさかあの位置が取れるとは。3番手は相手も許さないと思っていたんですけどね。仕掛けのタイミングは最悪でしたけど、何とか勝ててよかったです。練習はしていたんで、その成果は出せていると思います」
 山形一気は最終ホームで追い上げて6番手の位置を野田と併走。関東ラインを追う形から2着に突っ込んだ。
 「位置取りに失敗しました。(ホームで)緩んだので、行けるところまでと思って踏んだらあの位置になった。4コーナーは楽勝で1着かと思ったんですけどね。全然、伸びなかった。でも、調子は悪くないと思います」

<5R>
 打鐘で先頭に立った成松春樹が緩めているところを相川永伍が打鐘過ぎの2センターから一気のカマシ。そのまま快調に飛ばして別線をシャットアウト。今期初勝利を挙げた。
 「久々に良い感じで駆けられた。楽に出切ることができたので、後は2コーナーと4コーナーの踏み直しだけに集中していた。最近はダメだったので、悔しくて練習した甲斐があった」
 相川をマークした須賀和彦は開口一番に「相川さんが強かった」と舌を巻く。
 「最近はいろいろと試していて車間を空け過ぎて交わせなかったのもあるけど、相川さんも今の点数以上の力があるし、やっぱり強いですね」
 6番手からまくった山本健也は不発。そこからしぶとく石毛克幸が4着に入り、一次予選を突破した。
 「ヤバいなと思ったけど、最後は勢いをもらって。脚には余裕があったし、車の出も良かったので何とか突っ込めた」

<6R>
北川紋部選手
北川紋部選手
 宿口陽一、亀井久幸の順で斬って、打鐘過ぎにその上を高久保雄介が叩いて主導権を握る。本郷雄三の巻き返しを許さず、軽快に駆ける。最後は番手の北川紋部(写真)が直線で鋭く追い込んだ。
 「高久保君はダッシュもいいし、かかりも抜群でした。僕にもうちょっと余裕があればワンツーが決まってましたね。宿口君が外に見えて、山降ろしで来られたら厳しいと思って、ちょっと焦って早く踏んでしまった」
 高久保雄介は直線で末を欠いて3着に敗れたとはいえ、力強い先行策でレースを支配した。
 「逃げ1本しか考えてなかったけど、パワーで行った感じですね。緊張して、力が入りすぎました。きつかったですね。ラインでワンツースリーできなかったのは自分の力不足です」

<7R>
 赤板過ぎに金澤竜二が高橋和也を押さえると、今度は岩本俊介がインを斬る。7番手まで下げた高橋がすかさず巻き返して先制。ホーム、バックと一本棒で逃げて高橋ペースで進むが、ゴール前で失速。中団を占めた岩本が2センターから早めに追い込んで白星をつかんだ。
 「いったん斬ってから(別線に)叩かせて理想の形で中団を取れた。バックは(高橋が)かかっていたので仕掛けきれなかった。ただ、2センターから踏んで伸びているし、脚も大丈夫だと思う」
 高橋和也が逃げて絶好の番手を回った加藤慎平は頼れる目標に称賛を贈った。
 「雨が降ってきてきつかったけど、高橋(和也)君は自分のポイントをしっかり抑えて走っているし、強かった。僕自身も前を交わせているし、踏み出しも楽だったので以前より状態は良くなっていると思う」
 先行して3着の高橋和也は表情も冴えない。
 「出切ってからホームまできつかった。風もきつかったし、思ったより踏み上がる感じがなく踏み直しも甘かった」

<8R>
高木翔選手
高木翔選手
 赤板で前に出た長島大介が後続の出方をうかがう。中団は高木翔と藤岡隆治で併走。腹をくくった長島が打鐘からペースを上げて先行策に出る。番手絶好となった高橋大作が直線で余裕を持って抜け出した。
 「まさか先行してくれるとは。長島君はああいうタイプじゃないので、これでいいのかなって。こんな展開は久しぶりだし、これで余裕がないようではどうしようもないですからね。やっぱり長島君は点数を持っているから強い。かかってました。最後は7番(高木翔)があんないいスピードで来るとは思わなかった」
 藤岡をどかして中団を確保した高木翔(写真)がまくり追い込みで2着に強襲した。
 「(藤岡に)降りられたら、そこで勝負するしかないと思ってました。一発、ポーンってやったら決まったので。どかしてすぐ仕掛けると、3コーナーで浮かされると思ったので、落ち着いていきました。何とか勝ち上がれてよかったです」
 人気の長島大介は先行策で3着に粘った。
 「藤岡さんがもう1回来ると思ったけど、来なかったので、打鐘では腹をくくりました。すごい重かったですね。でも、魅せるレースはできたと思います」

<9R>
 徳永哲人が谷田泰平を打鐘前に押さえて出る。すかさず仕掛けた嶋津拓弥が徳永を最終ホーム前に叩いて主導権。出切ってからは嶋津は緩急付けたペース配分で別線を封じる。番手の成清貴之がゴール前で差し切った。
 「スタートけん制もあって(嶋津が)前受けさせられて作戦どおりではなかった(笑)。それでも初連係で嶋津君は気持ち良く駆けてくれたし、強かった。自分の中でも車間を空けた援護ができたと思うし、今節はいけそうな感じがある」
 嶋津拓弥は持ち味の先行で別線を寄せ付けず、ラインを上位独占に導いた。
 「前を取らされてしまったけど、後方にならないようだけ気を付けていた。踏み出しはよかったし、ラインで決まって良かった。向日町は初めてだったけど、走りやすかった」
 叩かれた徳永哲人は4番手で態勢を立て直したが、不発に終わった。
 「相手が強かったので自分で駆けていこうと思って、組み立て自体は納得。ただ、相手が強かった。叩かれてからも嶋津君は巧く駆けていたし、成清さんのブロックが気になって仕掛けられなかった」

<10R>
朝倉佳弘選手
朝倉佳弘選手
 阿竹智史の上昇を許さず、前受けの根本哲吏が赤板前から突っ張る。阿竹が根本の番手にはまるが、中団まで下げた山崎が外から追い上げる。そのスピードをもらった吉澤純平がホーム過ぎに根本を叩いて最終主導権。朝倉佳弘の追撃を振り切って快勝した。
 「展開が向きましたね。仕掛けようと思ったときに、山崎さんが追い上げたので、それに乗ってスピードに乗せられました。風は気にならなかったし、最後もしっかり踏み直せました」
 朝倉佳弘(写真)が続いて関東ワンツー決着。吉澤の強さを称える。
 「超強かったです。踏み出しがすごかったけど、付いていけてるし、状態はいいですね。最後は抜きにいったんですが、踏み直しがすごかったです」
 阿竹から根本の番手を奪い返した山崎芳仁が3着に入った。
 「引いて、吉澤君の動きを見て、ワンポイントで追い上げました。今日はギアを軽くして付いているのは楽でしたね。新車の感じもよかった。あとは自力でやってみてどうかですね」

<11R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
 打鐘前から脇本雄太が駆けてレースを作る。3番手の布居寛幸の位置を森川大輔、芦澤大輔に狙われて稲垣裕之の後位はもつれる形に。全開で駆ける脇本に対し、稲垣が車間を空けた援護で応える。直線は脇本と稲垣のマッチレース。粘る脇本を稲垣がきっちり捕らえた。
 「何も作戦は立てずに、脇本(雄太)君にすべてお任せしていた。彼のおかげです。雨が降ってきつかったけど、落ち着いて周りも見えていた。前回(共同通信社杯)でいろいろと経験できたので、そこが役立っている。調子は良いと思う」
 脇本雄太(写真)はハイパワーで同型のライバルを圧倒した。
 「直前に体調を崩して少しきつかったけど、そんなことを言っている場合ではないし、先行争いをしてしっかり結果を出せたのは良かった。ただ、ライン3車だったので3人で決めたかったので、そこは反省です」
 渡邉雄太は脇本を叩けず後退。最終1コーナーで内に切り込んだ芦澤大輔が布居寛幸をさばいて3着に食い込んだ。
 「切り替えてしまい渡邉君には悪いことをしてしまった。ラインの連係として考えればダメだけど、自分の動き自体は悪くない。反応はできているし、新車の感じも良い」
 近畿ラインの3番手に飛び付きを狙った森川大輔だが、詰めの甘さを見せて凡走。
 「最初から位置は狙っていたし、近畿勢を受けることはできたけど、布居さんにからまれて車間が空いてしまった。そこを割り込まれてしまったのが痛かった」

<12R>
山田英明選手
山田英明選手
 山田英明(写真)が狙いすました一撃で地元勢を粉砕した。レースは飯野祐太との激しい踏み合いを制した山本伸一が先行。これに山田がロングまくりで襲いかかる。村上義弘の強烈なブロックを乗り越えた山田が完勝。落車明けの不安を一掃する走りを披露した。
 「緩んだところで仕掛けようと思ってました。あとは行けるかどうか。向日町はまくりが効きにくいし、隊列が整う前に行かないと厳しいですからね。村上さんは絶対に(ブロックに)来るから怖かったけど、そこだけ乗り越えれば何とかなるかなと。踏んだ感じはよかったです。落車後だったんですが、結果的に体を休められたので体調は大丈夫です」
 村上義弘は後輩の山本を献身的にアシスト。山田のまくりは止められなかったが、2着で優秀戦に進出した。
 「思った以上に早くレースが動いた。僕らにとっては厳しかったけど、そこからよう伸一が頑張ってくれた」
 飯野の抵抗に脚力をかなり消耗した山本伸一だが、村上のアシストもあって3着に粘り込んだ。
 「自分の組み立てがちょっと甘かったですね。(飯野は)2車だから出させてくれるかなって思ってました。出切るまでに脚を使ったわりに、踏み上げていけました。後ろのおかげですが、粘れたんで悪くないと思います」
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