『和歌山競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月10日

 和歌山競輪場を舞台に、開設70周年記念「和歌山グランプリ」が1月10日に幕を開けた。一次予選では渡邉晴智や小川圭二、内藤宣彦らベテラン勢が活躍。地元の藤田勝也と東口善朋も白星スタートを決めた。メーンの初日特選は、新S班の松浦悠士に付けた原田研太朗が鋭く抜け出して、今年負けなしの4勝目を挙げた。
 シリーズ2日目の11日は、開門時に場内食堂お食事券抽選会を実施。さらに、太田竜馬選手によるトークショー(11レース発売中)や、サーカスパフォーマーのタカシェンカさんによるジャグリングショー(5・9レース発売中)、井上茂徳氏・内林久徳氏・井上薫氏・三橋政弘氏による場内スペシャル予想会(4・10レース発売中)も予定されています。6レース以降は、バンク内で勝ち上がりインタビューも行われますので、ぜひ和歌山競輪場でお楽しみください。

<1R>

渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 後ろ攻めから動いて隅田洋介にフタをした望月一成は、赤板の2コーナーで野田源一を叩いて主導権を握る。隅田はすぐさま反撃に出るが、望月に合わされて最終ホームから後退。その後も望月が快調に逃げて、絶好の展開で4コーナーを回った渡邉晴智(写真)が、バックから仕掛けてきた野田を張りながら抜け出して、オープニングレースを制した。
 「フレームですね。全然、違う。ダービーで優勝した時と同じメーカーのフレームが残っていて、それを引っ張り出してきたらかなり余裕があるし全然良い。(望月)一成はフカし過ぎましたよね。もうちょっと緩急を付けて走ってくれれば良かったけど、それでも同期(江守昇)とワンツーだからね。年始からこんなうれしいことはない。1着も7月の大垣記念以来、約半年ぶりだしね」
 中村圭志は野田のまくりの出が悪かったが、外を鋭く伸びて3着に入った。
 「(逃げた南関勢は)番手と3番手がしっかりとしているから、野田さんも厳しいですよね。野田さんが渡邉さんの横まで行ってくれていれば面白かったけど、あの位置からは3着が精一杯。でも、自転車は伸びている感覚はあるし、S級の流れにもスムーズに対応できていると思います」


<2R>

 今岡徹二が赤板の2コーナー手前で杉森輝大を叩いて先行態勢に入る。すぐさま巻き返した中川勝貴は、打鐘の4コーナーで室井健一に弾かれて失速。中団をキープした杉森は最終バックからまくり出すと、後続を突き放して快勝した。
 「展開が向きました。車の出も良かったし、落ち着いて踏めましたね。脚見せの段階からバンクも重たく感じなかったので、調子は良いと思います。ラインで決められて良かったです」
 杉森マークの佐藤真一は室井のけん制で杉森と離れてしまい、関東ライン3番手の山信田学が直線で伸びて2着に食い込んだ。
 「キツかったです。杉森もすごかった。佐藤さんもブロックをもらっていたし、キツかったと思います。(2着は)一生懸命追いかけた結果。交わせたのは諦めない気持ちで走れたからですね。しっかり頑張って点数を上げて、(弟子の)森田(優弥)と連係してサポートできるように頑張ります」


<3R>

小川圭二選手
小川圭二選手
 赤板手前から上昇してきた藤岡隆治を前受けの小林申太が突っ張って、3番手に藤岡、5番手に庄子信弘、地元の南潤は7番手に置かれて打鐘を迎える。先頭の小林は一旦ペースを落として、2センターから加速。最終2コーナー過ぎから藤岡がまくり出すと、同時に仕掛けた南は苦しい展開に。最後は藤岡マークの小川圭二(写真)が鋭く伸びて白星を挙げた。
 「珍しく余裕がありました。(藤岡が)すんなり3番手を取れて、まくりに行ってくれたお陰ですね。毎年1着を取るまでに半年くらいかかるのに、一発目から1着はまずないことやね(笑)」
 徳島コンビに続いた庄子信弘が2着に入った。
 「南君のことを意識し過ぎましたね。ジャン辺りで来るなら、間か内を行かないとって思っていたんですけど。(南が)後ろから来た時に、(自分は)ちょうど上りになったから伸びなかったです。踏んだ感じは悪くないけど、アタマまで来なかったんで…」


<4R>

 スタートけん制から前受けした久島尚樹が赤板で押さえにきた月森亮輔を突っ張ると、打鐘前に叩きに来た加賀山淳をも出させない。松川高大が付いて行けず、はまった加賀山がバック前から番手まくりに出たが、5番手で立て直した松川が2センターから外を回して突き抜けた。
 「スタートけん制がめちゃくちゃキツくて。突っ張りは作戦のなかにはあったけど、月森君がカンナ(削り)気味に下がってきてバックを踏まされて離れてしまった。強引についていけば良かったけど、番手回りが少ないので、その辺の経験不足が出た。まくりに行ったけど、風も強くて、最後はいっぱいいっぱいでした。人気になっていたので勝てて良かったです」
 加賀山が久島の番手にはまったことで、新田康仁は4コーナーで絶好の展開を迎えたが伸びを欠いて3着に。
 「久島君が前受けした時点で、嫌な感じはしていて、突っ張ったときにやっぱりなって感じでした。ハンドルとシューズを試してアップの時は感じが良かったのにレースになるとフワフワして全然、車が進まなかった。ダメですね。元に戻します」


<5R>

堀内俊介選手
堀内俊介選手
 赤板の2コーナーでハナに立った小堺浩二を、打鐘の2センターで曽我圭佑が叩いて先制。隊列を一本棒にして逃げる曽我に、7番手の堀内俊介(写真)は、最終2コーナーから反撃に出る。段違いのスピードで前団を飲み込むと、2着と3車身差を付けて押し切った。
 「バックは追い風だったので、踏み出しで思いっきりスピードを上げて、一気に先頭に出ないとやばいなって思いました。もう少し早めの仕掛けをしたかったけど、押さえるので脚を使っていたので。ホーム手前くらいで仕掛けられれば良かったですね」
 最終2センターから勝瀬卓也を張りながら踏み込んだ小堺浩二が2着に入った。
 「脚がなかったです。曽我君もすごい踏み直しだったので、まくれないって思いました。まくり追い込みで堀内君が早めにくれば、飛び付こうと思っていました。もうツーテンポくらい早く踏めば、(堀内から)口が空かずにずんだと思うんですけど…」


<6R>

藤田勝也選手
藤田勝也選手
 真船圭一郎が打鐘手前で川村晃司を叩いて主導権。先頭でなかなかスピードを上げない真船に、中団の川村は最終ホームから反撃に出る。地元の藤田勝也(写真)がピタリと続いて前に出切ると、バックから再び仕掛けてきた真船を藤田が飛ばし、直線で川村をきっちり交わして地元記念で白星スタートを切った。
 「(川村は)中団やし、仕掛けんやろうなと思ったら、ホームは向い風なのに行ってくれました。もう一回、真船さんが来た時も、川村さんが踏み直してくれたので、あとは真船さんが外でへばりついとってくれたら、邪魔になってくれるやろうと思いました。川村さんのお陰ですね」
 最終的に主導権を握った川村晃司が2着に粘り、近畿ワンツーを果たした。
 「(真船から)上手いこと見えへんように行けました。ホームの風が強かったんで、カマスならホームかなと思ったんで。上手いこと(ワンツーが)決まって良かったです」


<7R>

 打鐘で中井太祐が叩いて先行態勢に入るが、中団外併走から中田雄喜がカマして最終ホーム過ぎから主導権を奪う。中井マークの椎木尾拓哉がバック前からまくると、これを張りながら内藤宣彦が抜け出した。
 「中田君の頑張りに尽きますよ。中田君が叩けないと思って、下りる準備をしていたら叩いてくれた。余裕があったので仕事ができましたね。残せなかったね。勝てて良かったですよ」
 椎木尾拓哉は中井が中田に叩かれると切り替えてまくりに転じる。内藤のけん制を受けたが、外を粘り強く踏んで3着に入った。
 「復帰戦で緊張した。疲れた。何とかですね。3コーナーがキツくて。でも反応はできている。中井君が重そうだったので、切り替えさせてもらった。切り替えたからには申し訳ないので、仕掛けようと。脚の感じはどうかなって感じです」


<8R>

 打鐘の3コーナーで小川祐司が簗田一輝を叩く。小川が先頭のまま最終ホームを通過すると、中団は内に簗田、外に中釜章成で併走になる。簗田が中釜をドカしながらバックから仕掛けるが、車の進みは今ひとつ。逃げた小川の番手から、最後は大瀬戸潤一郎が抜け出して1着を手にした。
 「僕らのラインは警戒されていないのもあるし、小川君が指示通り走ってくれた。ジャンで切ったら僕らがレースを作れるって言っていたし、簗田君も僕らなら出してくれる。心理戦というか、レースを読み切った。今日(初日)はラインのおかげ。小川君も強かったし、郡(英治)さんも仕事をしてくれた」
 小川ライン3番手の郡英治が簗田をブロック。そのまま大瀬戸に続いて2着に食い込んだ。
 「ブロックしてスッと戻ったけど、白戸(淳太郎)君や、渡邊(秀明)君が入ってくるかなと。上デキですね。前2人のおかげです。小川は強かった」


<9R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 山本健也を押さえた永井清史に対し、林慶次郎は打鐘の2センターからスパート。最終1コーナー手前で永井を叩き、番手の荒井崇博(写真)がきっちり続く。その後も別線は仕掛けることができず、荒井が絶好の展開をモノにして1着でゴールした。
 「前(林)が強かっただけ。(林の出脚に車間が空いたのは、林との連係が)初めてだったし、永井がすんなり先頭に出たから、もしかしたら…と思って様子見でした。(林は)良いダッシュだったね。早めに詰めていかんと、危ない雰囲気でした(笑)。仕掛けるタイミングもバッチリだったと思う」
 九州ライン3番手の小野俊之は踏み出しで離れてしまい、3番手に飛び付いた永井の後ろから吉村和之が伸びて2着に入った。
 「永井の頑張りのお陰です。先行した子(林)も結構、キツかったと思います。圧倒的に九州勢(が人気)だったので、気持ち的に余裕はなくてドキドキしていましたけど、永井があの位置を取ってくれたので、ありがたいです」


<10R>

 打鐘前から前に出た佐藤幸治を叩きに行こうとした森田優弥が一度ちゅうちょすると、内に差し込んだ神山雄一郎が池野健太と接触して車体故障。ホームから叩いた森田は単騎での仕掛けになってしまう。佐藤幸が森田との車間を詰め切れずにいると、池野は4番手、2コーナーまくり。追いつきざまに直線で森田をとらえた。
 「(神山さんと)接触したところはびっくりしましたね。そんなに動いてなかったので。そこからは落ち着いて立て直して、まくりに行ったところが追い風で、和歌山の特性を生かせた感じでした。踏んだ感じでとりあえず、佐藤(幸治)さんはとらえられると思ったけど、森田君まで届かないと思った。届いてうれしかった。セッティングをフィーリングで少し変えたのがいい感じですね。99%の運と1%の実力で勝てました。二次予選Aは初めてなので、120%の力で戦いたいですね」
 2着に粘った森田優弥だが、中途半端になった組み立てを反省する。
 「打鐘過ぎのところは行けないと判断して、後ろに迷惑をかける形になった。(仕掛けた感じも)悪くなかったけど、休むところがなくて、末脚がキツかった。組み立てを修正したい」


<11R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 後ろ攻めから動いてハナに立った古屋琢晶を、打鐘の2センターで大西貴晃が叩いて主導権。すかさず反撃に出た野原雅也は、最終1コーナーで大西を飲み込む。番手の東口善朋(写真)を連れて3番手以降を大きく突き放すと、最後は東口が野原をゴール寸前で差し切った。
 「地元記念はいつも緊張して脚がパンパンになるけど、今回は良い感じで(レースに)入れました。余裕もありますね。野原君が行ってからは、後ろは気にせずに追走しました。抜けているので状態は悪くないと思います」
 野原雅也が2着で近畿ワンツーが決まった。
 「ちょっとキツかったです。直線が長く感じました。組み立てとかレースの流れは考えていて、良い展開になりました。少し迷ったところもあったけど、上手く仕掛けられたと思います」


<12R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 赤板の2コーナーでハナに立った武田豊樹の上を、菅田壱道が押さえて打鐘を迎える。先頭の菅田がスピードを緩めると、3番手になった武田は再び菅田を押さえに行く。そこへ、中団の松浦が一気にスパート。ライン3車で前に出切ると、まくってくる稲毛健太を張りながら踏んだ原田研太朗(写真)が鋭く抜け出して初日特選を制した。
 「(稲毛に)気付いた時には、横まで来ていたくらい良いスピードでした。僕は張ったけど、甘かったですね。(渡部)哲男さんが内を締めて、一番仕事をしてくれた感じです。前回は地元(小松島FI)で優勝できて、ここでも1着なんで、今年は良いスタートが切れました」
 目標の稲毛は最終2センターで力尽きたが、村上博幸が直線で伸びて2着に入った。
 「稲毛は何回かムダ脚を使っていましたからね。でも、動き自体は良かったと思います。自分は余裕はあったけど、少しふわふわしてる感じもありました」
 中四国ライン3番手の渡部哲男が3着でゴールした。
 「内がガラ空きだったんで、締めてたら風が強くてキツかったです。(最後も内に)入られそうだったんで、意識して最後の最後に踏んだ感じです。今日(初日)は全体的にタイムが出てなかったから、重いだろうとは思っていたけど、想像より重かったですね」