『和歌山競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月9日

 和歌山競輪開設72周年記念「和歌山グランプリ」が1月9日に開幕した。メインの特選は、戦前の予想通りS班勢を軸に激しい戦いが繰り広げられたが、好位を譲らなかった郡司浩平が勝利を収めた。予選では、石塚輪太郎、稲毛健太、椎木尾拓哉が1着を奪うなど地元勢の活躍に場内は盛り上がった。1月10日の2日目は、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 和歌山競輪場では、豪華解説陣によるスペシャル予想会が開かれるほか、10日には競輪選手グッズチャリティーオークションが行われるなど日替わりでイベントが用意されていますが、引き続き新型コロナウイルス感染症感染拡大予防にご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビや、連日豪華ゲストを迎えて行われる「和歌山オレンジちゅーぶ」などのインターネット中継での観戦もお楽しみください。

<1R>

 前受けの松本秀之介は、中団から先に切った小玉拓真と、染谷幸喜を受けて6番手まで車を下げる。染谷が徐々にペースを上げるが、松本は最終ホームから染谷が掛かり切る前に巻き返す。バック手前で出切った松本がそのまま押し切って人気に応えた。
 「前を取ってすんなり引かずにって思っていたんですけど、(小玉が)先に切りにきたので。バックを踏まずに下げ切れたので、あとは自分のタイミングでって思っていました。(染谷が)ジャン(打鐘)で駆けなかったのでいけばよかったですけど、ワンテンポ待ってから仕掛けました。(最終)ホームが流れたので。ちょっと重いって聞いていたんですけど、進んだので悪くないですね」
 松本マークの島田竜二は、齊藤竜也のけん制を堪えて2着に続いた。
 「最高です(笑)。全部任せていました。僕はもうちょっと遅め(の仕掛け)でも良かったんですけど、早めにいってくれましたね。よかったです。今日はもう前が強かったので安心してついていきました。すんなりでも交わせない感じでしたね」

<2R>

石塚輪太郎選手
石塚輪太郎選手
 村上直久が赤板で切ると、南関勢を追った恩田淳平が内をすくって先頭に出る。恩田は後ろの仕掛けを待って流すが、張野幸聖はすかさずは仕掛けずに、最終ホーム目掛けて反撃に出る。すると、それに合わせて村上が先まくり。張野の勢いが鈍ると、張野マークの石塚輪太郎(写真)は最終バックから自力に転じてまくり上げ、ゴール前で村上を捕らえた。
 「全て(張野)幸聖の感性に任せていました。スタートは前中団からがいいと思っていたので、取れてよかった。最終バックのところですね。幸聖の余裕があるのか、いっぱいいっぱいなのか、自分の判断ミスでした。シビアだったけど、地元で一番人気で売れていたし、今日(初日)は1着しかないと思っていたので。気合が入り過ぎてホワホワしていたけど、一走して落ち着けると思う」
 人気の地元勢を先まくりで苦しめた村上直久が2着。
 「(赤板で)切ってスピードを上げて、そこからが勝負だと思っていました。切って切っての展開だと、その上を叩かれてしまうので、泥仕合にしたかった。でも、すくわれてしまったのは反省点。出切ってから巧く回せていないけど、(直近4カ月の競走得点が)99点にしてはやった方だと思う。練習の感じはいいので、それを出せればもっといいと思う」

<3R>

 赤板で切った長尾拳太を叩いて日野博幸が打鐘前に先制。朝倉智仁がすかさず叩きにいくが、三ツ石康洋がこれをブロック。スピードが鈍った朝倉だが、再度踏み上げて力ずくで日野を叩き切る。脚をためた長尾のまくりは武田豊樹のけん制で出切るには至らないが、その惰性をもらった西村光太が外を鋭く突き抜けた。
 「いつも通りの長尾君の仕掛けで。まくりが得意なので任せていました。展開待ちになってしまうところもあると思うんですけど、詰まったところから行ってくれると思っていました。あの仕掛けがなかったら自分の出番もなかったので。スピードに余裕があったので、ためてためてって感じでした。やっぱり1着を取れるというのは脚がいいからだと思います」
 武田豊樹は前の朝倉を援護しつつも前に踏んで、2着を確保。
 「日野君は強いので僕も警戒していたんですけど、(朝倉は)出るのに苦戦しましたね。相手もラインの競走をしてくるので。ああなると苦しいですよね。でも、朝倉君が力でいってくれましたね。ちょっと踏むのが遅くなってしまったんですけど、このバンクは直線が長いので。(勝ち上がりの)権利とかを考えると判断が難しかったですね」

<4R>

島川将貴選手
島川将貴選手
 赤板で切った金澤竜二を叩いて南潤が主導権を握る。島川将貴(写真)は打鐘過ぎの2センターから一気に巻き返すが、これに反応した南も全開でペースアップ。中野彰人のブロックを乗り越えた島川が、抵抗する南を強引にまくり切って1着を手にした。
 「南君が前を取るかと思っていたので、後ろ中団からと思っていたけど、ちょっと並びが違いましたね。(最終1コーナーで)金澤(竜二)さんの前が少し空いていたけど、自分的には休まずにいったつもりだった。ブロックもあったし、南君が強かった。我慢と思って外を走っていました。ダッシュは悪くないけど、そこからの伸びがイマイチ。ハンドルがしっくり来てなくて、腕に力が入ってしまって、肝心の脚に力が入ってない感じがする」
 島川マークの山中貴雄が2着に続いた。
 「島川君が落ち着いて早めに仕掛けてくれて、ブロックもあったけど出切るだろうなと思って付いていた。内ばっかり気にしてしまって、抜きにいくタイミングを逃がしましたね。脚はずっといい感じをキープしていると思うので、タイミングさえ逃さなければ伸びてくれると思う」

<5R>

 スタートで前を取った近畿勢は、押さえに来た別線を出させて後方まで下げる。タイミングを取った高田修汰は、打鐘過ぎから一気にカマシ先行。きれいにライン3人で出切り、番手の稲毛健太は高田と車間を切って別線の反撃に備える。野田源一のまくりに合わせてタテに踏んだ稲毛が、鋭く抜け出して地元記念を1着でスタートさせた。
 「カマしていって後ろを見たら空いていたので、残せると思ったんですけどね。野田さんがバックでそのまま(まくりに)来てくれたらよかったんですけど、2センターで来たので、踏まないと直線でいかれると思って。前回(12月京王閣で)失敗しているので。今日(初日)はちょちょっと踏んだだけですけど、練習の感じも良かったですし、セッティングも出たので」
 切った野田源一は近畿勢のカマシを受けるが、単騎の山口翼に内をすくわれて5番手で最周回。バックからまくり上げるが、2着まで。
 「(初手は)車番的に後ろかなって。突っ張りだけ警戒してインを切って佐々木(堅次)君を待ったんですけど、来なくて。飛び付こうと思って踏んだんですけど、思いっきりいかれてしまった。内からもしゃくられてしまって。脚的に余裕はありましたけど、スピードの乗りは思ったよりも出ていなかったですね。前回に比べたらいいとは思いますけど」

<6R>

南修二選手
南修二選手
 前受けの中西大は、赤板で押さえにきた佐藤一伸を突っ張り、続いて上昇した土屋壮登をも突っ張って主導権を譲らない。中西マークの南修二(写真)は、最終ホームで再度巻き返してきた佐藤を弾いて中西を援護。直線では鋭く中西を差し切った。
 「赤板から全部突っ張ってくれてますからね。すごい頼もしかったですよ。前の中西君ががんばってくれたおかげです。復帰戦ですけど、体調は問題ないと思います」
 赤板から突っ張り先行に出た中西大が、終始レースを支配して自身も3着に粘った。
 「キツかったですね。南さんが(仕事を)すごいやってくれて、何とか残れました。後ろは見えてなかったし、とりあえずペースでいって、自力型に来られても南さんにやってもらえるようにと思って踏んでいました。ここ最近は赤板からの突っ張り先行をやっていなかったので、いつもと感触は違う」

<7R>

岩津裕介選手
岩津裕介選手
 切った嘉永泰斗は、櫻井祐太郎を受けて中団を確保する。嘉永が最終2コーナーから仕掛けると、櫻井正孝が強烈にブロック。岩津裕介(写真)は櫻井正の内をすくい、強引にまくった嘉永に付き直してゴール前で鋭く差し切った。
 「嘉永君に任せていました。先行もカカっていたんですけど、嘉永君は強いので強引な感じでいってくれましたね、しっかり追走できたので悪くない。(最終バックで)内がガラ空きになった。一番嫌なのは自分たちが外にいっているときに内をいかれることなので、コースをなくす感じで(内に)いって、まくり切ってくれればまた付け直せばいいかなって思っていました。感触はいいと思います」
 櫻井正のブロックを強引にまくり切った嘉永泰斗が2着。
 「初手は後ろから二番目が良かったんですけど、後ろからでもって感じでした。一回叩いてって感じで組み立てました。理想的な感じですね。ちょっと1コーナーで待ってしまったので、その分出が悪かったと思います。疲れは抜けているけど、まくりに行くときの初速をもう少し良くできたらって感じです」

<8R>

 初手で前受けの根田空史は、7番手まで車を下げて反撃の機をうかがう。5番手の吉田茂生は前と車間を空けて根田を警戒するが、打鐘から仕掛けた根田はそれをものともせずに一気に仕掛ける。スピードの違いで別線を置き去りにした根田が完勝した。
 「予選だし、シンプルにいつも通りのレースをしようと思っていました。結構、吉田君が車間を空けていたけど、うまくそこに入っていって、吸い込まれる感じでいけました。冬場にしてはバンクは軽く感じたし、風も吹いてきたけど気になる感じではなかった。PIST6を走ったあとなので、ギアは軽く感じました。修正点は特にないですね」
 根田の強烈な踏み出しをしのいだ萩原孝之が2着に食い下がった。
 「初手は前からと思っていて、根田君に任せて付いていくことに集中していました。いつもの根田君よりも強かったですよ。交わせる感じは全くなかったです。しっかり付いていけているので悪くないです。しっかり休憩して、明日(2日目)につなげたい」

<9R>

今岡徹二選手
今岡徹二選手
 切った菅原大也を今岡徹二が叩いて先行態勢へ。小松崎大地は打鐘から追い上げて巻き返しにいくが、今岡の掛かりがよくまくり切れない。小松崎が外併走のまま踏み続けると、その外を永澤剛が突き抜けた。
 「スタートは前か中団からって感じでしたけど…。小林(潤二)さんの動きもあって、大丈夫かな、大丈夫かなって感じでした。(小松崎)大地さんの鉄板レースだったのに…。大地さんは凄く踏まされたし、友定(祐己)さんの動きもあったので。僕はもう付いていていっぱいだったんですけど、展開が向きました」
 今岡徹二(写真)が2着に逃げ粘る。人気を集めた小松崎を不発に追いやる大健闘の2着だ。
 「(初手は)中団からがよかったんですけど、ちょっと菅原さんが切るのが早くて、一瞬フタをして追い風の所で出たいなって思っていきました。(小松崎は)構えてくれると思ったんですけど、ホームで来た。調子自体は良いと思います。シューズを換えて良くなったと思います。修正点はなくて、この脚を4日間、維持できるようにケアをしたい」

<10R>

椎木尾拓哉選手
椎木尾拓哉選手
 押さえた成松春樹ラインに、北日本勢と単騎の山田義彦まで続いて寺崎浩平は7番手まで車を下げる。根本哲吏は前と車間を空けて寺崎をけん制するが、寺崎は打鐘からダッシュよく仕掛ける。根本が反応して踏み上げるも、佐藤康紀が根本と接触して3車が落車。寺崎は落車を避けながらもスピードよく前団をまくり切り、最後は椎木尾拓哉(写真)が差し切った。
 「緊張しました。落車で寺崎君は脚に来ちゃったのかなと思う。付いていけたのもなんとかですよ。ナショナルチームの疲れもあるでしょうし、彼が普通の状態なら抜けていないと思います。調整はバッチリですね。修正点もあると思うので、あとは疲れを抜いて、もっと状態を上げていければと思います」
 持ち味のスピードを発揮した寺崎浩平だが、若干末を欠き2着。
 「前が車間を切っていたとしても、あそこ(打鐘)で仕掛けると決めていました。コンディションはよくはないです。疲れもすごいある。ただ、疲れがある中では普通かなと。明日(2日目)以降はだんだん疲れが抜けてよくなっていくと思います。風はあったんですけど、そこまで気温が下がらなかったので気にならなかったですね」

<11R>

 前受けの吉田有希は車を下げ切らず、5番手内で橋本優己にフタをされる苦しい展開。押さえて駆けた畝木努を、大西貴晃が3番手からまくる。吉田を内に封じ込めた橋本が、九州勢を追って直線で追い込み1着。大波乱の決着となった。
 「(吉田にフタをしたのは)僕の判断だったんですけど(吉田は)引くと思った。(フタをするかは)迷ったんですけど(吉田が)引くか引かないか微妙な感じだった。(最終)1コーナーでいければよかったんですけど、外併走で脚にきていた。前が仕掛けたのでそこに甘える感じになってしまいました。自力という自力は出せなかったですけど、9車にもS級の流れにも慣れていかないとですね」
 期待を背負った吉田有希だったが、組み立てが中途半端となり力を出し切れず。なんとか2着には入ったが、反省に終始した。
 「緩めにくれば突っ張ろうと思っていたんですけど、あそこ(赤板)は失敗しました。橋本さんもヨコはできないと思っていて。出たらついて行ってその上を叩いて先行するつもりだったんですけど…。引くに引けなくなって後ろに迷惑をかけてしまいました。不完全燃焼ですね。勉強ですね。ヨコもやっていかないと一生できないと思うので。反省を生かして次につなげていきたいです」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 松浦悠士が古性優作を押さえると、すかさず郡司浩平(写真)が切る。長島大介が打鐘で郡司を叩いて先行態勢。8番手に下げた古性が打鐘過ぎ3コーナーから追い上げて佐藤慎太郎に絡むが、佐藤は番手を守り切る。一車下げた古性は郡司にも絡むが、郡司も位置を譲らない。中団の激しい競り合いを制したのは郡司。郡司は、最終2センターから車を外に持ち出すと、直線抜け出して新年初戦を白星で飾った。
 「古性君がスタートを出たので、真ん中の位置は取れるし、あとは流れの中でと思っていました。松浦君のラインに長島さんが続かなかったので、すかさず切れそうだった。切れるなら切ってから考えようと。勝負所でいい位置が取れて、被りたくなかったけど早目に仕掛けても後ろを引き出してしまうと思った。古性君にうまく降りられてしまって苦しかったですね。せっかく取れたいい位置を譲ってしまったらもったいないですしね。体の感じはすごくいいと思います。あとは自転車だけ修正します」
 和田健太郎はマークした郡司を巧追。2着に続いて南関ワンツーが決まった。
 「(古性の追い上げは)郡司君も気付いて、古性君を張っていたから安心して付いていました。郡司君が前々に踏んでくれたので、余裕はありましたよ。しっかり付いていって、(佐藤)慎太郎さんを抜けているので調子はいいと思います」
 長島の先行に乗った佐藤慎太郎は、古性に絡まれるも番手を死守。南関勢には直線で交わされたが、マーク屋の意地は見せた。
 「(長島は)いいペースだったし、いい先行だったと思います。さすが初日特選のメンバーというか、みんな隙がない。気が引き締まりました。刺激の入るレースだったし、和歌山はお客さんも熱くて、その前で走れる事を感謝したい。グランプリに向けてやってきたものが残っていて、状態は悪くないと思う」