『和歌山競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:1月10日

 開設72周年和歌山記念「和歌山グランプリ」は連休最終日の1月10日に二次予選メインのシリーズ2日目を終了。S班の古性優作、松浦悠士が敗れる波乱があったが、その2人を含めて主力は順当に準決進出を決めた。初日特選を制した郡司浩平は連勝での勝ち上がりで好調ぶりをアピール。11日の3日目は、決勝をかけた準決で熾烈なバトルが展開される。
 和歌山競輪場では、豪華解説陣によるスペシャル予想会が開かれるほか、11日にはタカシェンカジャグリングショーなど日替わりでイベントが用意されていますが、引き続き新型コロナウイルス感染症感染拡大予防にご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビや、連日豪華ゲストを迎えて行われる「和歌山オレンジちゅーぶ」などのインターネット中継での観戦もお楽しみください。

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和田健太郎選手
和田健太郎選手
 後ろ攻めの根田空史が押さえて先頭に立つ。南関勢を受けた小松崎大地が中団かと思われたが、単騎の大川龍二が追い上げて4番手の位置がもつれる。徐々に踏み上げた根田がペースをつかんで先行。4番手を取り切った大川がまくりを放つが、和田健太郎(写真)がそれを外に張ってから鋭く追い込んで1着。
 「(根田は)基本的には押さえ先行だと思っていました。中団の成松(春樹)君が切れば、切った所を叩く。切らなかったら今日(2日目)みたいなレースだと思ってました。ホームの向かい風がすごいなかで、ほとんど風を切って、帰ってきてもう一回踏み上がったし、根田がすごい。掛かり切っていたし、自分が何もしなくてもラインで決まっていたかもしれない。連日前の自力選手のおかげです」
 王道の押さえ先行で別線を封じた根田空史が2着。千葉ワンツーが決まった。
 「車番も悪かったし、あえて後ろを取って、たまには押さえ先行もしてみようと思った。成松君が先に切るかと思って、切るのが遅くなってしまい、小松崎さんに踏まされてしまったところは反省点です。バックの追い風でうまく(スピードに)乗せながら走れた。昨日(初日)は得意パターンだったけど、久々の押さえ先行でかなり粘れているので自信になった」

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長島大介選手
長島大介選手
 島川将貴が中団の中西大にフタをしてから、打鐘で長島大介(写真)を叩いて一気に先制。中西もすかさず巻き返すが、島川も全開で突っ張って出させない。脚をためた長島は最終2コーナーから仕掛けて、中西のさらに上をまくると、逃げる島川をゴール寸前で捕らえた。
 「今日(2日目)は前からで、タイミングが来たらいこうと思っていました。(切りにくるタイミングが)ちょっと遅かったので突っ張ろうか考えましたけど、島川君が本気だったので出させました。島川君が強くていっぱいいっぱいでしたけど、1着までいけているので悪くない。あそこ(最終3コーナー)が勝負だと思ったので、怖かったですけどギリギリいけました。コーナーでがむしゃらに踏んだので、先行した昨日(初日)よりもきつかったですね」
 中西大の反撃を突っ張り切った島川将貴は、長島には外をいかれたが、2着に逃げ粘った。
 「もう後ろからと決めていました。想定通りになりましたね。(中西)大さんが中団から出てくるようなら一旦引いてからのカマシって感じで決めていました。フタをして切ってすぐに来ている感じだったので踏みました。久々に逃げの決まり手が付きましたね。脚よりも腕がパンパンですね。首も痛いし、悪くはないですけど、腕と首に力が入り過ぎている感じですね」

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東口善朋選手
東口善朋選手
 野田源一が3番手の寺崎浩平にフタをして赤板を通過。寺崎は併走を嫌い、車を下げて2コーナーから仕掛けて今岡徹二を叩き切る。寺崎の番手の東口善朋(写真)は、車間を切って別線の反撃に備えると、最終4コーナーから詰める勢いのまま抜け出して1着を手にした。
 「初手は前か中団を考えていたんですけど、今岡君が前を取るとは思わず、フタをされるのも想定外だった。寺崎君はスピードもありますし、どこかで仕掛けてくれると思っていたけど、風の強いなかで早めに仕掛けてくれた。思いのほか風も強かったし、バンクも重かったのでその影響を受けてしまったんだと思う。なんとか(ラインの)みんなで決めたかったけど、まくり追い込みでは対処が難しかった。昨日(初日)も今日(2日目)も周りは見えているし、地元記念だからといってバタバタすることなく走れている」
 切らずに寺崎を下げさせた野田源一は勝負権のある位置を確保。最終2コーナーから追い上げ気味に踏み上げると、先まくりを狙った今岡を乗り越えて2着に食い込んだ。
 「寺崎君が前を取ると思っていたけど、今岡君が前だった。自分が切ったら厳しい位置になると思ったし、フタをして中団を奪って今岡君を駆けさせるのが理想だった。もうワンタイム早く仕掛けられたけど、相手も強いですし、一瞬ためらってしまった。ある程度スピードには乗せられたけど、今日(2日目)は粘り強く踏めた結果だと思う」

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佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 赤板で張野幸聖が勢いよく出ると、九州勢はその動きには続かずに吉田有希が中団に入る。だが、吉田は間髪入れずに打鐘目がけてカマす。吉田がライン3車できれいに出切って最周回。張野や松本秀之介の反撃は不発に終わり、絶好の態勢で番手を回った佐藤慎太郎(写真)が吉田を鋭く差し切った。
 「(吉田は)本当に強いですね。レースの中でしっかりと判断していましたし、デビューして半年とは思えない選手ですね。頼もしい限りでした。自分も九州勢がこなくてあれって思ったくらいなので、あそこ(打鐘)で叩くのも難しい判断だったと思うんですけどね。本当に素晴らしい判断だったと思います。あそこまで冷静にレースを見れるのは成熟した選手みたいですよね。最後ももっと楽に抜けるかなって思ったんですけど、がむしゃらに抜きにいかないとって感じでしたし。敵として戦うことを考えると恐ろしいですね」
 別線に全く出番を与えなかった吉田有希が2着に逃げ粘る。
 「たぶん近畿の人は自分の後ろに(佐藤)慎太郎さんが付いていたので、突っ張りも考えて切りに来たと思う。九州勢がこなかったので僕のペースというか、前も緩んでいたのであそこを逃したらきつい展開になったと思うのでいけてよかった。昨日(初日)が不甲斐ない走りをして出し切れなかったので、今日はラインで決まってよかったです。でも、初めてこんなに緊張しました。風が強くてホームがしんどかったのでバックまで脚をためられるように回して、しっかりゴール前勝負ができてよかったです」

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石塚輪太郎選手
石塚輪太郎選手
 押さえた南潤に対して恩田淳平が誘導を残して引くと、松浦悠士が打鐘前に切って誘導を降ろす。松浦が中バンクを走行して地元勢を警戒していくなか、後方になった恩田が最終ホームで内をすくって先頭に立ち、そのまま先行態勢へ。松浦は俊敏に恩田の番手を奪う。構えた南は2コーナーからの仕掛け。合わせるようにして番手から出た松浦に迫ると、南の勢いを貰った石塚輪太郎(写真)が直線で伸び切って1着。
 「初手は前以外からと思っていました。(南)潤のダッシュと踏み出しがすごいですし、連結を外さないように集中していました。恩田さんが先行して松浦さんが中団が一番苦しい展開だと思っていたんですけど、潤がいいスピードでいってくれた。踏み出しは集中していたし、余裕はありました。ワンツーで最高の結果ですね。連日人の後ろで勉強させてもらっています。地元記念の準決は初めてです」
 想定外の展開に後手を踏んだ南潤だったが、松浦を捕らえて2着に入った。
 「思いのほか車は進んでいましたね。一番嫌な展開になって、恩田さんが内をすくっていってテンパってしまった。あとはがむしゃらに行けるところまでいこうと思ったけど、意外と進んでくれました。地元だからというか、新年っていうのがあって、今年はもっと(調子を)戻していきたい。去年までは初日がよくて、勝ち上がりの2日目に負けるっていうのがあった。準決に乗れたのであと一本とは思うけど、まずは自分のレースをしたい」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 後ろ攻めの嘉永泰斗が、中団から先に切った橋本優己を叩いて先制。受けて立つ郡司浩平(写真)は7番手に下げる。橋本が最終ホームから先まくりに出るが、2コーナーで仕掛けた郡司はあっさりとその上をまくり切って人気に応えた。
 「スタートで出てみて、(他が)出なければ前からでって考えていました。ちょっと橋本君の動きが読めなくて。切りに来たのか合わせて踏むつもりなのか分からなかった。自分のタイミングでいこうと思っていたんですけど、先に仕掛けてくれたので仕掛けやすくなりましたね。(橋本が)いかなくてもホーム過ぎにはいこうと思っていました。冬場の割に動けていますし、自転車もいじっていい方向にいってますね」
 郡司マークの萩原孝之が踏み出しをしのいで2着に続いた。
 「もう全部、郡司君に任せていたので。緩んだ所をいく感じだと思っていたので集中していました。3コーナーが一番きつかったですね。昨日(初日)と同じで悪くないと思うんですけど。修正点はないので疲れが抜けるように調整したい」

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永澤剛選手
永澤剛選手
 大西貴晃が切った上を櫻井祐太郎が叩き、北日本勢の主導権。古性優作は7番手で最周回を迎える。中団で前と車間を切った大西が先まくりで前団に迫るが、これを永澤剛(写真)が3コーナーでブロック。大西は不発に終わり、そのあおりで外を踏み上げていた古性の勢いも鈍る。それでも突っ込んでくる古性に対して、永澤は外に張りつつも前に踏んで抜け出した。
 「古性君のS取りを見てからでしたけど、中団が取れたので想定通りでしたね。櫻井君の頑張りのおかげです。ちょっとブロックを持っていくのが早かったですね。疲れはレースを走っていると抜けないですよ。展開が向いてくれればなんとかなる感じですね。明日(準決勝)も恵まれるように祈ってます」
 古性は前をまくり切れなかったが、その番手から直線外のイエローライン付近を鋭く追い込んだ椎木尾拓哉が2着。
 「想定通りの展開で、古性君はいけるところからいくって感じだったと思います。永澤さんのブロックがキツかったけど、その辺は古性君ならどうにかすると思っていた。和歌山は自分が踏んだあのコースが伸びるので、しっかりと踏み切ろうと思っていました。修正点は特になく、あとは決勝に乗るだけです」