『和歌山競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月12日

 和歌山競輪開設72周年記念「和歌山グランプリ」は1月12日に最終日が行われた。強風が吹き荒れて冷え込み、天候も安定しない冬場の厳しいコンディションの中で行われた最終日だったが、参戦したS班が全員勝ち上がった決勝は期待通りのハイスピードバトル。根田空史の先行に乗った郡司浩平が番手から有利に運んで新年を記念完全優勝でスタートさせた。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴るとゆっくりしたスタートから神山拓弥が誘導員の後ろを取った。古性優作-東口善朋に近畿勢の後ろを選択した神山が前を固める。中団は根田空史-郡司浩平-佐藤慎太郎のラインが占め、松本秀之介-松浦悠士-岩津裕介の西ラインが後攻めとなる。
 青板周回で早くも松本以下が踏み上げて根田に並びかけると、根田はあっさり下げて中団には松本-松浦-岩津の西ラインが収まった。4番手の松本、7番手の根田が前との車間を空けて動くタイミングをうかがうと、正攻法の古性も赤板前の4コーナーで誘導員との車間を空けはじめて別線の動きに備える。赤板で根田がスパートすると松本も踏み込み、古性もダッシュ。真っ先に仕掛けていた根田のスピードが断然優り、2コーナーで先頭に躍り出ると郡司-佐藤も続く。4番手は古性が占め、両ラインの間に挟まった松本は7番手に置かれた。ジャンは根田-郡司-佐藤、古性-東口-神山、松本-松浦-岩津の一本棒で通過。最終ホーム手前の4コーナーから松本がスパートすると、これに気づいた根田もペースを上げた。松本は徐々に番手を上げていくが、佐藤の外あたりで勢いが鈍る。最終バックで郡司が自力に転じると、佐藤がきっちり続き、3番手は佐藤を追っていた古性と、松本に見切りを付けてまくり上げた松浦で併走に。2センターでインの古性が松浦をはじくが、空いた内に東口が進路を取り、郡司-佐藤、東口で最後の直線へ。佐藤の追撃を振り切った郡司が1着、佐藤は2着。佐藤にスイッチしていた東口が3着。

郡司浩平選手
郡司浩平選手

 「今年は一回でも多く優勝をしたい。GIでも、記念でも、まずは優勝。取りこぼさないようにしたい」
 前検日に今年の目標をこう話した郡司浩平(写真)が、有言実行の優勝をつかみ取った。
 スタートでけん制が入り、古性優作ラインが前を取る。松本秀之介が後ろ攻めにこだわったことで、根田空史は中団からの組み立てになった。
 「松本君がどう出るのか次第ではあったんですけど、後ろからがいいと思って我慢しながらのスタートで、中団になった。でも、根田さんにお任せしていました」
 青板バックから早目に動いた松本が根田にフタをしようとするが、根田はサッと7番手に下げる。松本は赤板で古性を切ろうとするも突っ張られ、根田はその上を勢いよく叩いて出た。
 「根田さんが落ち着いていたし、どこから仕掛けるかタイミングだけ見ていました。松本君は合わせて出ていきたかったんでしょうけど、そこは経験値の差が出たと思う。根田さんがすごくいいペースだったので、自分も焦らないように、余裕を持って付いていました」
 幾度となく激戦を共に戦い、郡司が全幅の信頼を置く根田が主導権を握る。郡司は車間を切って別線の反撃に備え、佐藤慎太郎が内を締める。必勝態勢が整った。松本が最終ホームから松浦悠士を連れて勢いよく迫る。ギリギリまで引き付けた郡司は、最終バックから番手まくりに出た。
 「今節は何回も言っていますけど、優勝を目指して、取りこぼしをしないように、早めに踏ませてもらいました。根田さんにはお世話になりっぱなしだと思っています。今回は(佐藤)慎太郎さんがいたのでこういう並びがいいってことになったんですけど、今後自分が根田さんの前を回ることがあれば、ワンツーが決まるような競走をしたい。最後の最後まで勝てたかどうかは分からなかった。慎太郎さんは差し脚がありますし、抜かれないように最後まで必死に踏みました」
 ゴール前は郡司と佐藤の一騎打ち。佐藤の追撃を堪えた郡司が昨年10月平塚以来、通算13度目のGIII制覇を完全優勝で飾った。S班の松浦、古性、佐藤がそろい踏みだった今開催。超激戦だった初日特選を制した時から、郡司の仕上がりの良さは抜けていた。
 「自分の中でも手応えのある開催でした。4日間、体の面も、精神面も、これだけ安定していた開催はなかなかない。そこは収穫ですね。記念では今回くらいの状態に持っていければ勝てるってことが分かった。あとはもう一段階上に持っていければ、GIでもいい勝負ができると思う。(グランプリには)出なければ優勝もないと思っているので。これだけいいスタートを切れたので、一年間を通して安定した成績を残して、車券に貢献していきたい」
 これ以上ない年始のスタートを切った。これまで以上に勝ちに徹するならば、今年の郡司はどれだけの勝ち星を積み重ねるのか楽しみでならない。

 郡司後位を選択した佐藤慎太郎は、ギリギリまで内を締めながら、最後は郡司に差し迫って準V。
 「根田君もカカっていましたね。経験値も根田君の方が(松本よりも)優っていましたし。郡司君もしっかり決めたいっていう気持ちで前に踏んでくれましたし、嬉しかったですね。最後は誰かが内に来るだろうと思っていたので、焦って早めに踏み込んでも割られてしまうだけなので。自分に車間を空ける余裕があれば良かったんでしょうけど、郡司君もゴールまでいいペースでしたし。新年一発目としてはいい滑り出しになったと思います。交わせれば優勝もあったわけですし。でも、ちょっと色々と足りない部分があるので、気持ちの面も体の面も高めていきたいですね」

 地元勢から唯一決勝に進んだ東口善朋は、中団から松浦をどかして踏んだ古性を4コーナーで内から交わして3着。二度目の地元記念制覇の夢は叶わなかった。
 「自分の脚力ではあれが精いっぱいでしたね。被ってしまったのでバックで松浦君に切り替えるか迷って悩んで変な脚も使ってしまいました。最後も前で併走になっていて、あそこ(内)しか行けなかったです。悔しいですけど。優勝は遠いですね。でも、また来年そこを目指せるように」




【プロスポーツ号外版】大宮競輪GIII「東日本発祥倉茂記念杯」出場メンバー・狙い目選手
大宮競輪場開設73周年記念「東日本発祥倉茂記念杯」が1月15日~18日の日程で開催されます。
今開催は、S級S班からグランプリでラインを組んだ平原康多、宿口陽一、吉田拓矢が、地元埼玉からはSS班の2名に加え武藤龍生、黒沢征治、森田優弥、相川永伍、中田健太、笠松将太が参戦予定です。また今開催は、深谷知広、町田太我、犬伏湧也といった強力な先行選手が多く出場を予定しています。SSラインに他地区勢がどう立ち向かうのか注目です。

1月4日時点の出場予定選手データを分析した、「大宮競輪GIII 東日本発祥倉茂記念杯」の出場メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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