『開設58周年記念和歌山競輪(GIII)レポート』 3日目編
配信日:1月12日
和歌山競輪場開設58周年記念「和歌山グランプリ」はいよいよ大詰め。3日目の今日は準決勝A、B、C合わせて4レースで決勝戦への切符を賭けた激しい攻防戦を繰り広げた。準決勝Cの狭き門は稲垣裕之が豪快に、準決勝Bは平沼由充が中割り鋭く、そして準決勝Aは井上昌己、小嶋敬二がそれぞれまくりで制し決勝戦へ進んだ。
明日(13日)も引き続き「新春わかちゃん祭り」を場内で開催。お馴染みとなった屋台コーナーや物産コーナーに加え、ジャグリングパフォーマンス、緒方浩一氏によるトークショーやチャリティーオークションなど様々なイベントが予定されています。ぜひ明日も和歌山競輪場へ足をお運びください。
<8R>
稲垣裕之選手
8レースの準決勝Cでは
稲垣裕之(写真)
が、逃げる武井大介を上がり11秒1の今日一番時計で一気に飲み込む。続く前田拓也の猛追を退けると、近畿勢から唯一となるファイナリストとなった。
「浅井君がヤル気満々だったし、受けて立とうかなと思ってました。1着権利だし、1着が欲しかったし、浅井君の動きに合わせてカマシかまくりの作戦でした。武井君と浅井君がやり合うのは予想外でしたけどね。脚も良い感じだし、気持ちも入ってる。地元地区の記念だし、明日も優勝を狙います」
懸命に車を持ち出し逆転を狙った
前田拓也
だったが、前を走る稲垣があまりにも強すぎた。
「あの野郎、強いなあ。今の成績が物語ってますね。抜きに行くとき、思わず声が出てしまった。二人で決まったと思って、あとは抜くか抜かんかだけだったけど、全然アカンかった。完敗です」
近畿三番手を回った
佐々木昭彦
は大きく離れながらもしぶとく3着に食い込んだ。
「俺の決まり手まくりでしょ(笑)。いつ行くのか分からなくってケツを上げたり、下ろしたりでタイミングが取れなかった。稲垣が強え。ギアを掛けてるから、踏み出しさえ付いて行ければまだまだ行けるね」
後ろ攻めになった
武井大介
は斬って中団のはずが先行するはめに。
「前から組み立てようと思ったけど取れず、早めに押さえて中団を取ろうと思ってたら浅井君の巻き返しが遅いから。浅井君の考えが読めなかったね」
見せ場なく終わった
浅井康太
は「ダメですね」と肩を落とした。
<9R>
平沼由充選手
新田康仁選手
9レースの準決勝Bは新田康仁と池田智毅が周回中から内外入れ替わって松本一成の番手を争う。打鐘で松本が仕掛け、あっさりと新田が番手を取り切ると、そのまま4コーナーを立ち上がる絶好の態勢に。しかし、勝ったのは三番手で脚を溜めた
平沼由充(写真)
。松本、新田の中を鋭く割ると、ゴール寸前で微差捕らえた。
「新田さんは前を残そうとしてたし、いつもどおり自分のコースを踏んだけど、僕は2着だと思ってました。前の二人が頑張ってくれたおかげだし、僕は前だけ見てました。4コーナーまで脚が余ってましたよ。年末から流れが良いし、伸びてますね」
普段は自力の
新田康仁(写真)
だが、ここは松本後位にこだわった。
「意地でもこだわろうと思ってました。バックくらいから平沼君にもケツを叩かれてたけど、スンナリ取り切れたから松本君を残したかった。その辺がまだ未熟ですね。(渡邉)晴智だったらしっかり残せただろうし、1着じゃなかったのも反省点です。今日は人の後ろで楽だったし、調子も悪くないと思います」
中団を取った市田佳寿浩後位からコースを突いた
酒井耕介
だったが、前は遠く3着まで。
「平沼君のコースに行きたくて、待ってから外を踏んだ分3着が精一杯だった。でも、市田のデキも悪くて、僕も胸を張れるような調子じゃないから3着なら良く頑張ったほうかな。惜しかったけどね」
上手く中団四番手を確保した
市田佳寿浩
だが伸び切れず、決勝進出はならなかった。
「日に日に良くなってきて、レースの組み立てもできてるけど、脚がついてきてない。あとは時間ですね」
<10R>
井上昌己選手
野田源一選手
10レースは逃げる松尾淳に最終ホームから早々と佐藤友和が襲い掛かる。佐藤が2コーナーで出切り、番手の手島慶介も懸命の援護を見せたが、まくり追い込んだ
井上昌己(写真)
のスピードが違った。これで年明けから無傷の6連勝。もう勢いは止まらない。
「誘導も上がってたし、飛び付くのに脚を使った。寒かったし、今日が一番キツかったですね。白戸さんがからんでるのを冷静に見れたのが良かった。行ってたら僕がからんでたかも。最後は2センターからの山おろしで何とか届くかなと思ってました」
野田源一(写真)
は、これで55、57、58周年と3回連続で和歌山記念のファイナルに進出。井上との呼吸も日に日に合ってきているようだ。
「井上君の仕掛けるタイミングがつかめてきました。井上君は突き抜けるだろうけど、3コーナーの登りで離れなければ大丈夫かなと思ってた。今まで決勝では9着、8着と数字が上がってるので、明日は7着以上が目標です」
3着には佐藤の仕掛けに乗った
手島慶介
が食い込んだ。
「出切れないかと思ったけど、それでも外を行っちゃうんだから友和は切れが良いね。(井上が)外を来るだろうし、ギリギリまで待ったけど難しいですね。余裕はあったし、状態に問題はないけど今日は友和さまさまです」
ホームガマシに出た
佐藤友和
だったが惜しくも5着に。「やっぱり(去年の立川記念に続き)新年一発目は順位決定Aなんですね」と悔しさを隠せない。
「1センターで出てれば違ってただろうけど、松尾さんのけん制も痛かったですね。中団外併走のまま初日と同じレースはしたくなかったし、3着までには残れると思ったけど…」
今年も地元記念優出はならなかった
東口善朋
は「(佐藤の仕掛けが)早かったので対応できなかった。悔しいです」と唇を噛んだ。
<11R>
小嶋敬二選手
神山雄一郎選手
11レースは戦前の予想どおりライン4車と最も長い関東ラインが打鐘から主導権を奪う。松田優一もペースに持ち込んだが、上手く中団を確保した
小嶋敬二(写真)
がバックすぎからまくると一気に前団を捕らえた。
「(佐藤)友和の次にやりづらいメンバーでしたね。卓也には八番手からどうするかになると伝えてたけど、今日は中団を取れたことで、すごく楽な展開になった。スピードに乗ったのは3コーナーすぎ。明日はGIの準決勝みたいなメンバーになったけど、十分戦えると思うし楽しみ。優勝を目指して頑張ります」
同乗した他のメンバーは小嶋の強さに舌を巻く。2着の
神山雄一郎(写真)
は、「松田が頑張ってくれたし、上手く駆けてたので何とか残したいと車間を切ってた。感じは悪くないけど、社長(小嶋)が強かったね」
小嶋マークから3着に入った
山内卓也
にいたっては、「調子が良いのに、小嶋さんが強くて悪いみたいに感じる」と、もはやお手上げの様子。
「小嶋さんが強えわ。おかしいダッシュしてる。和歌山記念連覇? いや抜けないでしょ」
渡部哲男
は小嶋に中団を奪われたのが全てだった。
「内が重くて遅れてるところを小嶋さんに締められて危なかったですよ。もったいないことをしましたね。引き切ったら小嶋さんが内に差してるのが見えたし、行かんと思って行ったけどダメでした」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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