『開設58周年記念和歌山競輪(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:1月13日


 和歌山競輪場開設58周年記念「和歌山グランプリ」は1月13日11レースで4日間の熱戦に幕を下ろした。佐藤友和、渡部哲男は準決で敗れたが主力メンバーが順当に勝ち上がった決勝戦。競輪祭の前哨戦といっても過言ではない好メンバーの激突を制したのは神山雄一郎だった。目標にした稲垣裕之が打鐘の4コーナー過ぎから先行すると、番手絶好の展開をモノにして通算94回目の記念V。08年最高のスタートで、続く競輪祭へ弾みを付けた。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると中バンクから野田源一がスタートを決めて井上昌己を迎え入れて前受け、以下小嶋敬二―山内卓也―新田康仁―平沼由充―稲垣裕之―神山雄一郎―手島慶介の並びに落ち着いて周回が進んだ。
  赤板で稲垣が上昇して一旦小嶋の外で止まり牽制しながら前を押さえると、新田もこのラインを追走して井上は車を下げる。小嶋も新田ライン後位に追い上げる形となり、井上は好位を取れずに結局八番手まで引くことに。稲垣は打鐘過ぎまで誘導を使い、最終ホームから一気にスパートし、バックまでは完全に一本棒の態勢で通過する。主導権を握った稲垣のかかりは良く、小嶋、新田、井上は動けない。2センターから新田がまくるも不発で、番手で絶好態勢となった神山がゴール前で鋭く抜け出し通算94回目の記念Vを飾った。追走した手島が2着に流れ込み、小嶋は2センター過ぎから踏むも届かずの4着。


神山雄一郎選手
神山雄一郎選手

 最終バックまで一本棒。後続の巻き返しもなく、稲垣裕之のかかりは車間を切る必要がないほどのものだった。「さすがですね。稲垣を目標にして良かった」。小嶋敬二、新田康仁に井上昌己と輪界を代表するスピードレーサーを相手に、神山雄一郎の通算94Vは余りにもあっさりと達成された。
  「車間を切って張りながら踏めば(稲垣の真後ろに)戻れるかなと思ってたけど、稲垣は良いかかりだった。最後は後ろから抜かれそうになってしまったけど、本当に恵まれたって感じです」
  次戦は今年のGI開幕戦となる競輪祭。「最近はないですね」と話す、最高のスタートで迎えられそうだ。
  「運も良かったし、今年一発目の開催で良い成績が残せて最高です。これからも一戦、一戦頑張って、最後はGPに行けるようにしたい。競輪祭までちょっと間が空くので、一休みしてからまた頑張ります」

 神山後位から外を懸命に踏んだ手島慶介だったが届かず2着に。「何も作戦は聞いてなかったけど、出来すぎです。感触は良いので、次の競輪祭でも頑張ります」と悔しさの中にも手応えをつかんで検車場をあとにした。

 近畿勢唯一のファイナリストとなった稲垣裕之は最高の見せ場を作った。「逃げ切れるかなと思ったけど」と悔しさをにじませるが、ラインで上位独占の結果に表情も晴れやかだ。
  「細切れでみんな先行したくないやろうなと思ってたし、展開も向きましたね。4コーナーから仕掛けようと思ってたし、次につながるレースができた。風が強かったし3着に入ったら十分。ラインで決められたのが一番です」

 中団四番手は新田康仁が確保した。車間を切って、十分な態勢からまくりを仕掛けたが伸び切れなかった。
  「できれば稲垣と小嶋さんでやり合わせるのが良かったけど、最低中団からと思ってた。脚も溜まってたし車間を詰める勢いで行ったけど、前も溜まってたみたい。一歩も出ずに、稲垣も食えなかった。もう少し何かしたかったけどね」

 六番手からまくり追い込んだ小嶋敬二だが4着まで。一本棒の展開では、前があまりに遠かった。
  「(打鐘で)稲垣が誘導を切らなかったので、どうしようもなかった。別線の動きをアテにしすぎたかな。楽だったけどなあ。でも競輪祭へは手応えをつかめました」

 井上昌己の連勝は6でストップ。最終バックでは八番手に置かれる最悪の展開に、「面白くないレースにしてしまってすいません」と頭を下げる。
  「四番手は小嶋さんって想定してたのに、新田さんが来たから迷ってしまった。もっとこだわれば良かったかな。中途半端だったし、申し訳ないことをしました」

 和歌山記念連覇に王手をかけた山内卓也だったがチャンスはなく、「小嶋さんが2コーナーで行ってくれればね」とガックリ肩を落とした。

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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