『和歌山競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:1月11日


 和歌山競輪場開設59周年記念「和歌山グランプリ」は今日11日が最終日。激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦が第11レースで争われた。激しい直線の攻防を制し、見事優勝を飾ったのは加倉正義。逃げた稲垣裕之ラインの三番手から鋭く追い込み、通算12回目の記念Vを達成。今年走りぞめの記念で最高のスタートを切り、続く競輪祭へ大きな弾みをつけた。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると、最内の武田豊樹がためらわずに飛び出して正攻法の位置に付く。並びは、武田-稲村成浩-荻原尚人-斎藤登志信-吉岡篤志-吉永和生-稲垣裕之-紫原政文-加倉正義ですんなり落ち着いた。
  赤板前2センターで稲垣が早くも上昇を開始。これを見た荻原は車を下げ、関東コンビの後ろは稲垣-紫原-加倉のラインと態勢は変わる。しかし、下げた荻原はすかさず巻き返す。合わせて稲垣も動くが、何故か斎藤は荻原を追わない。二角を過ぎて荻原は前団を押さえて先頭に立つも、これに稲垣ラインがマークして続く形となる。打鐘を過ぎて斎藤は追い上げに動くが、三番手の外まで上がった所で、稲垣は荻原の番手から出る。斎藤は紫原にドカされて後退し、稲垣に叩かれた荻原も下がって行く。最終ホームでは、稲垣ラインの3人がそっくり出切り、そのままの稲垣が先行勝負に出た。吉永が四番手に切り替え、宮城コンビは五、六番手に落ち着く。武田-稲村は八、九番手に置かれる苦しい状況に。ペースを徐々に上げて行く稲垣に対し、荻原は前との車間が空いてしまい、全く動けない。武田もこれで更に苦しくなるが、バック手前から怒涛の反撃に出る。直線に入り、前を行く稲垣ラインに迫った武田だったが、届かず僅差の3着まで。V争いは稲垣ラインの3人に絞られ、三番手回りの加倉がゴール前鋭い伸びで、逃げ粘る稲垣を捕らえてVを飾った。


加倉正義選手
加倉正義選手

 稲垣裕之が先行して後続は一本棒の展開。武田豊樹は八番手に置かれ、最終バックでは誰もが番手の紫原政文の優勝を確信したが、三番手で脚を溜めていた加倉正義が直線でその外を強襲。逃げる稲垣をゴール寸前で捕らえ、久々の記念Vを飾った。
  「稲垣があんなに行ってくれるとは思わなかったし、かかりもすごく良かった。でも、前が紫原さんだし、武田さんもまくってきますからね。今日のレースでまさか外を踏める展開になるとは。余裕もそんなになかったし、今回のデキで優勝なんて信じられない。初優勝みたいな気分ですよ。練習をやってて本当に良かった」
  昨年の終盤戦はFⅠシリーズでも決勝に乗れず低迷したが、その中でも腐らず練習していた成果が出た。これで気分良く地元の競輪祭を迎えられる。
  「状態は競輪祭までそんなに変わらないと思うけど、気分的には楽になったかな。展開さえ向けばまだ優勝を狙える脚がある。でも、予選スタートなので、欲をかかずに一戦一戦大事に走るだけです」

  稲垣裕之は今シリーズ初めての先行策。惜しくも加倉に交わされたが、表情は明るい。
  「初日に不甲斐ないレースをしてしまったし、2、3日目は番手を回らせてもらいましたからね。今日は先行で自分の力を出し切るレースをしようと思っていました。荻原君の番手に入ったけど、齋藤さんが来るのが見えたので、かぶる前に仕掛けました。かかりは良かったと思うし、先行して2着なら上出来です」

  人気の武田豊樹は僅差の3着。八番手に置かれたが、まくったスピードは光っていた。
  「2車で先行争いしても仕方がないし、今日は優勝を狙うレースをしました。あと少しでしたね。悔しいけど、あの位置から迫れましたからね。初日、2日目は不甲斐ないレースをしてしまったけど、それほどデキが悪くないことをファンの人にも分かってもらえたでしょう。ライン3車なら届いていたかもしれないですね」

  番手絶好展開の紫原政文はまさかの4着。さすがにショックを隠せない。
  「稲垣があんなに積極的に駆けてくれるとは思わなかった。余裕はあったんですけど、何か後ろばかり気になっちゃって…。こんなチャンスをモノにできないようではダメですね。本当に情けない。この悔しさを競輪祭にぶつけます」

  荻原尚人は初の記念決勝に挑んだが、車体故障に泣いた。
  「1回下げて、赤板でもう1回踏んだときにスポークが飛んでしまった。それでパニックになり、何が何だか分からないうちに終わってしまいました。あの展開なら稲垣さんの後ろで勝負するべきでしたね」

  齋藤登志信は打鐘前に荻原を追わなかった場面を説明する。
  「周りからは離れたように見えるんでしょうけど、荻原の車体故障が分かったら迷ってしまった。でも、荻原が前に出た以上、追わないわけにはいかないですからね」

ゴール





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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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